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プレコンセプションケアの定義とは?
プレコンセンプションの、「プレ」とは「~前の」、「コンセプション」とは「妊娠、受胎」を意味します。「プレコンセプションケア」とは、将来の妊娠を考えながら、女性やカップルが自分たちの生活や健康に向き合うことをいいます。
なぜ今「プレコンセプションケア」?
WHO(世界保健機関)が「妊娠前の女性とカップルに医学的・行動学的・社会的な保健介入を行うこと」を提唱しており、国際的に取組みが推奨されている背景があります。加えて日本でも、①出産適齢期・出産可能年齢にある若い男女の健康増進、②その世代から産まれる次世代の子どもたちの健康増進、③正しい知識にもとづく計画的なキャリア・ライフプラン形成による経済活動の活性化や少子化対策のため、厚生労働省がさまざまな啓発活動をおこなっています。まさに、令和時代の新しい価値観といえるかもしれません。
(参考:厚生労働省「健やか親子21」プレコンセプションケア)
日本でプレコンセプションケアが必要とされる4つの理由(現状の課題)とは?
若い世代の生活スタイルの乱れと出産時のリスクの増加
現代の日本社会では、食生活の乱れ、偏食、過度なダイエット、ストレスなどで、若い世代にも、やせや、肥満が蔓延しています。特にやせ型体質の人のうち、20代女性が占める割合は約20%(データ出典:厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」1.肥満及びやせの状況)で、母体がやせ型だと、切迫早産・低出生体重児のリスクが高いといわれています。出生時の平均体重は男女ともに減少傾向にあり、2000年代に入ってからは3kgを下回るようになっています。
【出生時の平均体重の比較(kg)】
1960(昭和35) | 1970(昭和45) | 1980(昭和55) | 1990(平成2) | 2000(平成12) | 2010(平成22) | |
男子 | 3.1 | 3.2 | 3.23 | 3.15 | 3.04 | 2.98 |
女子 | 3.0 | 3.1 | 3.16 | 3.06 | 2.96 | 2.91 |
(データ出典:厚生労働省「乳幼児身体発育調査:調査の結果 平成22年」)
このようなことから、健全な妊娠・出産のためにも、適正体重(BMI指数)、バランスの良い食生活、適度な運動など、若い世代に対する正しい健康知識の啓発のため、プレコンセプションケアが必要となっています。
晩婚化と不妊治療の件数増加
日本の平均初婚年齢は、1995年に比べると男女とも+3歳ほど上がっている晩婚化の現状があります。
(画像出典:厚生労働省「令和4年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況」結果の概要)
加えて、体外受精の実施件数は、ここ10年で激増しているという不妊治療件数の増加の現状があります。2010年には、約10万周期だったのが、2015年で約42万周期、2019年で約46万周期、2020年で約44万周期となっています。
(参考:日本産婦人科学会「2020年ARTデータブック」)
このような、晩婚化・不妊治療の件数の増加の背景を踏まえ、出産適齢期や、生理痛・性感染症の放置による不妊リスクなど、妊娠・出産に関する正しい知識啓発のため、プレコンセプションケアが必要となっています。
晩産化と高齢出産のリスク
第1子出産時の平均年齢は上昇傾向、2021年は30.9歳となっていて、晩産化の傾向にあります。
(画像出典:厚生労働省「令和4年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況」結果の概要)
また、高齢出産(35歳以上の初産)は、流産・子どもの染色体異常・前置胎盤・妊娠高血圧症候群など、さまざまなリスクが高くなる傾向があります。
(参考:「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」2013|厚生労働省)
そのため、出産適齢期や、高齢妊娠・出産による母体・胎児へのリスクなど、妊娠・出産に関する正しい知識啓発のため、プレコンセプションケアが必要となっています。
女性のキャリアとライフプランの両立の課題
働く女性2,000人を対象におこなったアンケートによると、PMS(月経前症候群)・生理痛などの女性特有の症状で、業務生産性が下がると答えた人は約半数いることが分かりました。(参考:日本医療政策機構「働く女性の健康増進調査 2018」)
また、働く女性1,319人におこなったアンケートでは、生理痛時の対処方法は「通院、薬の服用」が61.9%で最も割合が高く、「有給休暇」や「生理休暇」は1割以下。「何もしない」という女性は37.0%と4割弱に及ぶようです。(参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「ビジネス・レーバー・トレンド」)
このように、女性特有の症状に対し、ヘルスリテラシーが行き届かないと、休暇取得などの制度利用に至らず、QOL(生活の質)そのものの低下につながります。このため、プレコンセプションケアが必要となっています。
更に、不妊治療中の女性は、仕事と不妊治療が両立できないと答えた人は約3割に上り、仕事の継続やキャリアをあきらめた人が多く、不妊治療支援などの福利厚生導入が多くの企業(※1)に広がるよう、プレコンセプションケアが必要となっています。
(※1)厚生労働省の推奨する「不妊治療と仕事の両立支援」のもと、不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりへの取り組みは徐々に広がっているが、支援制度等を実施している企業は約3割(参考:厚生労働省「不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック」)
プレコンセプションケアのためにどのようなアクションを起こせばいいのか?
健康な生活習慣について認識を高める
適正体重(BMI指数)や、食事、睡眠、運動といった基本的な生活習慣に加え、酒、たばこ、ドラッグなどの危険性などを認識する必要性があります。おすすめは、厚生労働省などが発行するリーフレットを利用することです。
(参考:厚生労働省「働く女性のためのヘルスケアブック」)
妊娠適齢期や不妊リスクについて知る
妊娠適齢期(卵子や精子の老化についての知識)や、不妊リスクについての学習を深めることです。
検査を受ける
身体計測、血圧測定、尿検査、血液検査、婦人科検診などに加え、婦人科のブライダルチェックも、プレコンセプションケアの検査として有効となるでしょう。
将来の妊娠に備えたからだづくりと環境づくりを行う
基本的な生活習慣の改善に加え、生理不順、生理痛、子宮内膜症、ポリープなどがある場合は、早めに婦人科を受診して治療することが、健康維持+将来妊娠しやすいからだづくりにつながります。また、不妊治療にかかる支援制度(※2)や福利厚生を調べることで、自分たちの生活スタイルに合った方法を選択することができます。
(※2)一定条件を満たす不妊治療は、2022年4月から健康保険適用
プレコンセプションケアとしての具体的で実効性のあるアクションとは?
ズバリ、卵子凍結保存ならGrace Bank
プレコンセプションケアについての様々なアクションがあることがわかりましたが、更に実行性のあるアクションとしてご紹介したいのが「卵子凍結保存」です。若く妊孕性の高い卵子を凍結保存することによって、将来の不妊治療に備える方法です。
この「卵子凍結保存」については、東京都が、健康な女性の将来のための卵子凍結保存に関して、費用助成を行うなど、ニュースでもお耳に入る機会も多くなったことかと思います。
Grace Bankでは、日本最大級の卵子凍結サービスを行っております。厳選したクリニックの全国ネットワークを持ち、23年間無事故の生体凍結保管施設での一括保管をおこなうことで、高い安全性と将来の不妊治療を受ける際の高度な利便性を実現しております。
また、ドクターや専門家による無料セミナー開催をはじめ、法人向け福利厚生サービスは株式会社サイバーエージェント様、株式会社ジャパネットホールディングス様、セガサミーホールディングス株式会社様などが導入しています。
将来の妊娠を考えながら、女性やカップルが自分たちの生活や健康に向き合うプレコンセプションケアは、令和時代の新しい価値観として広がりをみせることでしょう。
この機会に、ぜひGrace Bankの卵子凍結保存を福利厚生としてご検討してみてはいかがでしょうか?
Grace Bankの【プレコンセプションケアプロジェクト】にもご期待ください。
名倉 優子 なぐら ゆうこ
日本産科婦人科学会専門医
グレイス杉山クリニックSHIBUYA (東京都渋谷区)
杉山産婦人科の医師・培養士による技術を用いた質の高い診療を提供。
将来の妊娠に備えたプレコンセプションケアと卵子凍結にフォーカスした診療。
スタッフは全員女性。明瞭な料金設定も人気!