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人工授精で妊娠できる確率は?
人工授精における妊娠確率は、1周期あたり5~10%と言われています。人工授精を4周期以上行った際の妊娠確率は、39歳以下ですと約20%、40歳以上ですと約15%です。人工授精で妊娠確率を上げるために、40歳を迎えるまでに治療を始めるのが理想といえるかもしれません。5周期以降の人工授精では、妊娠確率が約4%しかないため、体外受精・顕微授精を検討したほうがよいと言えます。
参考:人工授精(AIH:Artificial Insemination with Husband’s semen)|日本産婦人科医会
人工授精に向いている人・向いていない人は?
人工授精は性交障害があるカップルや精子所見がやや不良なカップルにメリットが大きいと考えられます。具体的には、
- 精子の数や動きがやや悪く、自然妊娠が難しい方
- 勃起障害がある
- 腟内射精障害がある(腟内での射精ができない)
- 性交に抵抗がある
という方です。
向いていないカップルとしては、
- 精子所見や性交渉に問題がないカップル
- 卵管が閉塞している
という方です。
人工授精の流れとスケジュールは?
月経周期に合わせて、スケジュールが進行します。
- 月経周期10日目~12日目→排卵日を予測
- 月経周期12日目~14日目→人工授精開始
- 月経周期14日目以降→人工授精後の状態確認
- 月経周期28日目以降には妊娠判定に至ります。
以下、具体的にみていきましょう。
排卵日を予測【月経10日目~12日目】
超音波検査(エコー検査)で卵胞の発育の程度や子宮内膜の厚さを確認し、排卵日を予想します。他に尿検査や血液検査によるホルモン検査を併用する場合もあります。
人工授精開始【月経周期12日目~14日目】
人工授精の当日に精液を準備して、調整を行った精子を子宮内へ注入します。精液は持参もしくは院内で採取し、動きのよい精子の数を顕微鏡で確認し、洗浄・濃縮を行います。
人工授精後の状態確認【月経14日目以降】
人工授精後は排卵と黄体機能の確認をします。黄体機能が低下している場合は、黄体補充療法(黄体ホルモン剤の内服、もしくは注射)を行います。黄体機能の低下は、受精卵の着床障害や流産の原因になることがあるためです。
妊娠判定【月経28日目以降】
人工授精を行ってから2週間が経過しても月経が来ない場合は、病院での血液検査や自宅での尿検査で妊娠の判定を行います。
人工授精の費用は?
1周期あたり平均3万円ほどといわれています。(参考:不妊治療の実態に関する調査研究|厚生労働省)
2022年4月より保険適用の対象となり、自己負担が3割となり、保険適用後の費用は平均9,000円ほどです。(参考:不妊治療に関する取組|厚生労働省)
人工授精に痛みはある?対処方法は?
精子を注入する際に多少の痛みを感じる場合があり、痛みのないケースがほとんどですが、子宮の位置によっては、器具で膣を広げるため痛みを感じる場合があります。万が一、施術後も長時間痛みが続く場合は、市販の痛み止めで対応が可能です。
人工授精は安全?確立された治療方法?
人工授精は、1790年にイギリスで初めて報告があり、230年以上の歴史がある治療方法です。リスクとしては施術後の細菌感染などが極まれに起こることがあるため、リスクの高い方は場合により抗菌薬を処方される場合もあります。また、人工授精は自然妊娠に限りなく近い方法なので、心理的な負担が少なく、副作用がないなどのメリットもあります。人工授精による胎児異常発生率は、自然妊娠と同等です。
人工授精で妊娠確率を上げる4つの方法は?
質の良い睡眠
疲労回復、ストレス発散、ホルモンバランスが整うために大切です。男性の場合、精子の質がよくなります。睡眠時間は7~8時間がベストといわれています
適度な運動
ホルモンバランスや血流がよくなり、体温の上昇が期待できます。血流がよくなると卵巣へ栄養を届けやすい状態になります。運動の内容としては、ウォーキングやストレッチ、ヨガなどの軽い運動が有効ですが、激しい運動は逆効果になりますので気を付けましょう。1週間で5時間以上の運動、1日に換算すると40分程度の適度な運動が妊娠確率を上げる理想的な運動量と言えそうです。
参考:生活習慣と妊娠する力の関係|Yell From Partners
体温を下げない
体温が下がると血流が悪くなり、卵巣へ栄養を届けにくくなります。38~40℃の湯船に20~30分ほど浸かったり、入浴の際はラベンダーの入浴剤が効果的です。ラベンダーにはリラックス効果があり、妊活の不安要素になるストレスを緩和してくれることが期待できます。
栄養補給
「ビタミンE」には抗酸化作用があり、卵子の老化防止にも役立ちます。また、血流の改善、ホルモンバランスの調整、冷え性の改善効果もあります。ビタミンCと一緒に摂ると効果的です。
また、「亜鉛」は細胞分裂を促す栄養素で、女性ホルモンの作用を高めたり、男性の精子の質も高めます。
さらに、「鉄」は赤血球を作り出す栄養素なので意識的に摂取しましょう。というのも、赤血球は、体全体に酸素や栄養を運ぶ大事な役割があります。鉄が不足すると、赤血球が減り充分な酸素や栄養が行き渡らず、卵巣や子宮の働きが鈍くなってしまいます。したがって、積極的摂取を心掛けましょう。
最後に、「葉酸」は赤ちゃんの先天性異常のひとつである「神経管閉鎖障害」を防ぎます。妊娠発覚前からの摂取が重要なポイントとなります。
参考:妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針|厚生労働省
人工授精で妊娠できないときは?
人工授精で妊娠できない場合は、次のステップとして「体外受精・顕微授精」を選択肢に入れることになります。
今から備えることのできる妊娠確率を上げるためにできることは?
妊娠確率が下がる要因として加齢があり、卵子も老化するため、妊娠・出産が難しくなるという現実があります。加齢には抗うことのできない現実があり、仕事や、キャリアを考えると諦めるしかないと悲観される方もいらっしゃるかもしれません。
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名倉 優子 なぐら ゆうこ
日本産科婦人科学会専門医
グレイス杉山クリニックSHIBUYA (東京都渋谷区)
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