女性の妊娠率は一般的に年齢と共に下がると言われ、40代になると妊娠確率は非常に低くなり、自然妊娠だと1~5%というデータもあります。また、妊娠できても、流産・子どものダウン症候群などの染色体異常があらわれる確率が高いとも言われています。
ここでは、
- 40代の自然妊娠の妊娠確率
- 40代妊娠でのダウン症候群などの染色体異常があらわれる確率
- 40代の妊娠確率を高める方法
- 将来の妊娠に備えるために今からすべきこと
をご紹介していきます。
目次
40代の自然妊娠・不妊治療での妊娠確率
40代の自然妊娠の確率は1~5%
実は排卵日を含め、1ヶ月の間に自然妊娠する確率は40歳だと5%、45歳だと1%というデータもあるほど、40代の自然妊娠の確率は低いとされています。(※1)
自然妊娠の確率は30歳くらいまではほぼ変わりませんが、35歳以降から急激に下がり始めます。
1周期当たりの妊娠率(※1)
25歳 25%~30%
30歳 25%~30%
35歳 18%
40歳 5%
45歳 1%
※婦人科ラボ「実は思っているほど高くない「自然に妊娠できる確率」」よりデータ引用
40代妊娠の流産確率は41.3%
虎ノ門病院産婦人科が3年間にわたって1,767人の妊婦から集めたデータによると、40歳以上の自然流産確率は41.3%で、他の年齢層と比べて突出して多いことがわかっています。
年代別自然流産確率
24歳以下 16.7%
25~29歳 11.0%
30~34歳 10.0%
35~39歳 20.7%
40歳以上 41.3%
※「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」2013|厚生労働省よりデータ引用
40代妊娠でダウン症候群などの染色体異常が現れる確率は10%
ダウン症候群など、受精卵が形成される際に染色体異常が起こる確率は、母体年齢とともに高くなるとされ、40歳は9.4%で、35歳以降から確率は年々増えていきます。
女性の年齢と子どもの染色体異常の頻度
女性の年齢 | ダウン症候群の子が生まれる頻度 | 染色体異常をもつ子が生まれる頻度 | ||
出生人数あたり | 出生千対 | 出生人数あたり | 出生千対 | |
20歳 | 1/1667 | 0.6 | 1/526 | 1.9 |
25歳 | 1/1250 | 0.8 | 1/476 | 2.1 |
30歳 | 1/952 | 1.1 | 1/384 | 2.6 |
35歳 | 1/385 | 2.6 | 1/192 | 5.2 |
40歳 | 1/106 | 9.4 | 1/66 | 15.2 |
45歳 | 1/30 | 33.3 | 1/21 | 47.6 |
48歳 | 1/14 | 71.4 | 1/10 | 100.0 |
出典:「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」2013|厚生労働省より
40代の妊娠環境が厳しくなる原因は「卵子の老化」
加齢に伴い、妊娠確率が低くなるとともに、流産・ダウン症候群などの染色体異常・妊娠高血圧症候群・緊急帝王切開などのリスクが高まるとされています。その原因は「卵子の老化」。卵子の数は生まれたときから決まっていて、残念ながら加齢に伴い減少するとともに、質も低下します。卵子の加齢による質低下が、妊娠確率の低下、胎児の染色体異常などの増加につながっているのです。
卵子の老化は35歳ぐらいから始まり、妊娠確率の低下・リスク増加が急激に進みます。そのような事実から子供を望んで不妊治療をしても、年齢によってあきらめる人は多いのです。
40代女性が妊娠確率を高めるためにできること
40代女性が妊娠確率を高めるためにできること。それは、まず大切なのは女性ホルモンのバランスを整えることです。
そのために良いとされるものは、
- バランスのとれた食事
- 十分な睡眠
- ストレス解消
- 適度な運動
- サプリメント(葉酸、ビタミンD)を取り入れる
などが挙げられます。
女性ホルモンのバランスを整えることは、妊娠確率を高めるだけではありません。美肌や美髪の維持や、骨粗鬆症や女性器系疾患の予防、情緒の安定といったメリットもあるのです。
将来の妊娠に備えるために今からすべきこと
将来の妊娠確率を高める「卵子凍結保存」とは
将来の妊娠に備えるために今からすべきことのひとつに卵子凍結保存があります。
若く妊娠力の高いうちに、卵子を凍結保存する「卵子凍結保存」は、将来の不妊治療の妊娠確率を高める可能性があります。
卵子凍結保存とは、将来の体外受精を見据えて未受精卵を凍結する技術です。採卵は確実に卵子を採取するため、排卵誘発剤を使って卵巣刺激を行い、いくつかの卵胞を育てて採卵します。採卵した卵子は、固体と液体の中間状態を保ちながら高速で凍結する急速ガラス化法により凍結し、凍結した卵子はマイナス196℃の液体窒素内に保存されます。保存期間は、満50歳の誕生日までとなっています。卵子凍結にかかる費用は、クリニックにお支払いいただく採卵・凍結費用と、Grace Bankにお支払いいただく保管費用に分かれます。採卵・凍結費用はクリニックによって、また採卵回数や採卵個数によっても異なりますが、おおまかな目安として、1回の採卵で10個の卵子が採れた場合、初年度で総額50~60万円、次年度以降、毎年3万円の保管費用が発生します(いずれも税別)。卵子凍結保存ができるのは、一般的には40歳前後までです。
卵子凍結保管サービスは「Grace Bank」がおすすめ
不妊治療の実績ある提携クリニックで採卵し、長期保管に適した大型タンクで安心して卵子を保管できるのがGrace Bankの特徴です。
- 確かな実績を持った経験豊富な有名不妊治療クリニックと提携。将来の体外受精時には、凍結卵子をどの提携クリニックでも利用可能
- クリニック内の小型タンクによる保管とは異なり、さい帯血バンクのステムセル研究所と提携し、20年以上無事故を誇る専用大型タンクで一括管理
- 保管施設は地震や津波に強いエリアに設置され、停電対策も万全、安心のシステムで大切な卵子を保管
凍結した卵子は、20年以上無事故という信頼の置ける場所で保管できるので安心です。将来の体外受精時に、全国の有名不妊治療クリニックで使用できるというメリットも得られます。もし、将来転勤などで居住地が変わっても、凍結した卵子を使える安心感があります。
まとめ
40代の妊娠確率は、自然妊娠だと1~5%と低いのが現実です。また、流産やダウン症などの染色体異常があらわれる確率や高血圧や緊急帝王切開などのリスクも高まります。
40代で妊娠を考えている人は、母体や子どもに起こるリスクを十分考慮しながら、日常生活においては女性ホルモンバランスを整えることを心がけることが大切です。
また将来的に妊娠を考えている人は、年齢を考えて早めの準備が大切で、卵子の老化による妊娠確率の低下リスクを抑えるには、卵子凍結保存もおすすめです。卵子凍結を行い妊娠年齢を先送りした場合でも妊娠時の母体の年齢が高いことによる出産のリスクはありますので、妊娠・出産に向けた早めの準備が重要です。
管理栄養士紹介:小林 れい子(こばやし れいこ) 管理栄養士 長野県生まれ、東京農業大学栄養科卒業。保健所の生活改善推進員として、講義と調理講習を行う。この活動が認められ農林水産大臣賞を受ける。その後墨田区公立保育所に勤務、平行して職場内研修の講師を務める。その後は、調理専門学校で講義を行う。長年の保育所での実体験に基づいた乳幼児期の食育活動をライフワークとしている。 |
岡田 有香 おかだ ゆか
グレイス杉山クリニックSHIBUYA 院長
日本産科婦人科学会専門医
da Vinci certified First Assistant (ダビンチ認定資格取得術者)
日本母体救命システム普及協議会J-CIMELSプロバイダー
グレイス杉山クリニックSHIBUYA (東京都渋谷区)
杉山産婦人科の医師・培養士による技術を用いた質の高い診療を提供。
将来の妊娠に備えたプレコンセプションケアと卵子凍結にフォーカスした診療。
スタッフは全員女性。明瞭な料金設定も人気!