ドクターインタビュー

明大前アートクリニックの北村誠司院長|どんなニーズにも応えたい「理想の医療」

6組に1組が不妊治療を受けると言われる日本。

妊活や不妊治療の現場の医師たちは、どんな想いを持って最前線に立っているのでしょうか。普段は語られることがない、ドクターのパーソナルストーリー、第10話は東京都杉並区にある「明大前アートクリニック」の北村誠司院長です。

北村院長が不妊治療に携わる中で大切にしているのは、「この患者さんが家族だったら何がしてあげられるだろうか」という思いだといいます。

だからこそ、どこのクリニックでも診察しているわけではない男性不妊の外来も受け入れ、どんなニーズにも応えるべく高度生殖医療に力を入れています。

北村院長が目指す、「理想の医療」とはどのようなものなのでしょうか。現場で強く感じること、そして卵子凍結に思うことを聞きました。

明大前アートクリニック 提供

【経歴】慶應大学医学部を卒業し、産婦人科医として診療を始める。その後、不妊治療に携わるようになり、都内の不妊治療専門「虹クリニック」を開設し院長に就任。2018年には「明大前駅」近くに「明大前アートクリニック」を開業した。日本生殖医学会認定生殖医療専門医日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医

救われたのが「産科」だった

──どのような経緯で不妊治療の医師になられたのでしょうか。

北村 医師になって2年目に、北関東の三次救急をやっている病院に勤めました。重篤患者や特殊疾病患者の受け入れをしたり、より高度な救命救急医療を提供する場所で、担当したがんの患者さんが亡くなるということもありました。

1〜10まで全て医師が対応するところで、そこには産科もありました。難しいケースに直面する中で、お子さんが生まれるという救われる部分があったんです。

子供が生まれるということに強く魅かれるところがあって、その次に済生会中央病院に入りました。そこは不妊治療で大変有名な総合病院で、そこで初めて不妊治療に出会ったんです。ここで、「これこそ行く道なんだ」と目覚めました。

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──当時、生殖医療といえば済生会中央病院と言われた場所で、不妊治療を専門にする恩師との出会いがあったとのことです。どのような出会いがあったのでしょうか。

北村 最大の恩師のような方が、済生会中央病院で出会った落合寛先生です。また前職のクリニック、荻窪病院で名誉院長の杉山武先生にもたくさんお世話になりました。

落合先生の場合は、不妊治療のイロハを教えてもらいました。ゼロから手ほどきを受け、厳しく教えてもらいましたし、杉山先生の場合は懐の広い先生で、20年以上一緒にお仕事をさせてもらいました。

「自分の家族だったらどうするか」を考える

──患者さんを見る中でモチベーションになっていることを教えてください。

北村 不妊治療は、やりがいがあると常々思っています。妊娠がしにくい方、私でしか検査できないだろうなと思う人もいるので、そういう人が妊娠されて、最後に「ありがとう」と言ってもらえた時、本当にこの仕事やっていて良かったなと思います。

──2018年に「明大前アートクリニック」を開業されましたが、その思いはどこにあったのでしょう。

北村 前職が、「虹クリニック」という場所でした。自分で開設したクリニックでしたが、経営する母体が総合病院のクリニックだったため、患者さんにとって融通が効かないところがあったんです。

例えば、夜間診療が急にできない、また休みの時に検査を入れられないという、小回りが効かないところがありました。こうなると患者さんに我慢してもらうことが出てきます。

プライベートクリニックにしないと、患者さんからの要求に完全に応えられないというのがあり、一人で明大前アートクリニックを開いたという経緯があるのです。

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──診察で心がけていることを教えてください。

北村 患者さんの状況を第一に考えて、「自分の家族ならどういうことをしてあげられるか」ということを大切にしています。

ですから私のクリニックでは、男性不妊の外来も受け入れています。この様な小さいクリニックで、男性不妊の外来をやっているところはありません。最近は男性の患者さんの需要が非常に多くなってきています。

その他にも、様々なニーズに応えていきたいという思いから、仕事をしている人にも対応できるように、夜間でも診察できるというところが特徴です。

ステップアップもダウンも必要

──北村医師は、「自然な妊娠につなげる」とお話ししています。どのようなことを目指しているのでしょうか。

北村 妊娠は、タイミングで妊娠できるのが望ましいと考えています。何度か回数を重ねて妊娠ができないとステップアップが必要なので、人工授精に移ります。ただこれも回数を繰り返すと妊娠しづらくなってしまうのです。

検査にしても治療にしても、自然に形にして行けるのが望ましい。

体外受精でも顕微授精を多用するのではなくて、受精の部分でも自然に近い形、体外受精でできるのであればと思いますし、自然に近い形で妊娠してもらいたいと強く思っています。

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──治療の中では、何度も回数を重ねて結果が出ないということもあると思います。どのように患者と向き合うのでしょうか。

北村 確かに、患者さんが頑張って、私たちが最善を尽くしても、患者さんの体がついてこれないこともあります。

その場合は、治療をお休みしてもらったりというのはありますね。医師である私に話しづらいこともあると思うので、看護スタッフに、さらに不妊カウンセラーに相談できる体制も整えています。

患者さんの心と体の状態によって、治療は常にステップアップでなくステップダウンすることも大事だと思っています。

──これまでの不妊治療という歴史において、どの様な技術が大きく治療を変えたと思われますか。

北村 それは、もう体外受精に尽きると思います。

最近はPGT-A(着床前胚染色体異数性検査)と言って、体外受精や顕微授精によってできた受精卵(胚)の細胞の一部を検査して、細胞の染色体や遺伝子の異常を見極めるというのも出ていますが、体外受精の技術がなければ今の不妊治療はありません。

体外受精の技術を確立したイギリスのロバート・ジェフリー・エドワーズ氏は2010年度にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。それほど大きな変革をもたらしたということです。

この技術があるとないとでは、不妊治療でできることが全く違ってきます。

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マルチな高度医療の提供を目指す

──2022年4月より、不妊治療に保険が適用されるようになりました。来られる患者さんに変化はあるでしょうか。

北村 不妊治療への保険適用が始まり、治療へのハードルが低くなったために、これまで手が届かなかった患者さんが入りやすくなったメリットを強く感じますね。

若い人も入りやすくなって治療の開始が早くできるようになるというのはプラスです。実際に、20代後半の患者さんが増えています。

──将来、「女性向けのサロン」を開きたいと思っていらっしゃると聞きました。

北村 そうですね、患者さんの治療・検査で足りない部分を補ってあげられないかと考えています。

前職の「虹クリニック」では行っていたのですが、例えば、体作りでどんなサプリメントを摂取した方がいいのかなどアドバイスをしてきました。今のクリニックでは始めたい気持ちは山々でニーズもあるのですが、やりたいことが多くて手が回らない状況なんです(笑)

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──やりたいことというのは?

北村 例えば、内視鏡を使った手術です。不妊で悩んでいる女性の患者さんの中には、子宮腔内にポリープがあったり、卵管に何らかの障害があるケースが多くみられます。

子宮鏡や腹腔鏡の検査をして問題がある箇所が見つかれば、子宮内膜のポリープ手術がうちのクリニックで一貫してできるという体制を作っていきたいです。

これだけのクリニックの規模で全てカバーするのは難しいのですが、マルチにやっていけたらと思い、日々努力を続けています。

将来の妊娠の選択肢を増やす

──健康な女性が、将来において妊娠できる選択肢を残す「卵子凍結」についてはどうお考えでしょうか。

北村 不妊治療をやっていると、高齢の患者さんの中に「こういう治療があったなら、早くやっておけば良かった」と後悔する人がおられます。

健康な女性であっても卵子を若いうちに確保しておく、そういうあり方があるということをまず知ってもらうことは大切だと思います。

様々な事情により高齢妊娠を目指し、気がついたら手遅れになってしまっていた、という事態は卵子凍結によって避けられると思いますし、その一助になればいいなと思っています。

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──毎日患者さんに寄り添う日々ですが、オンオフをどの様に切り替えてポジティブな毎日を送っているのか教えてください。

北村 実は家事、買い物、掃除が私の大好きなオフの時間です。家事では洗濯が結構好きです(笑)。スーパーで果物とか好きなものを買うのも大いに気分転換になっています。料理は得意ではないので、その部分は妻に任せていますが(笑)。

また自転車は週一で3時間前後多摩川のあたりを50キロほどこいで帰ってきます。仕事から離れて、「さあ!また明日頑張ろう!」という新鮮な気持ちで次の日を迎えています。

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