卵子凍結について

いつかは妊娠したい!妊娠のために知っておきたい妊活5つのポイント

不妊に悩む夫婦も増えていると聞くけど、いつかは妊娠したい!

結婚はまだこれからの方も、結婚はしているけれど今は子育てできるタイミングじゃないという方も、もしかしたらすでに不妊なのでは?という方も。

いつかは妊娠したいと考えているあなたに知ってほしい、いざ妊娠する時のために知っておきたい妊活のポイントをご紹介します。

妊娠できる確率は意外と低い

不妊なのかなかなか子どもを授かることが出来ないということを耳にする機会も多い昨今ですが、実は妊娠できること自体が当たり前じゃないということを知っていますか?

赤ちゃんが欲しいと考えている夫婦が避妊をせず自然妊娠をする場合、1周期(月)でみると、20~30代でも妊娠確率は20~30%となっています。

年間でみても、30代後半からは自然妊娠の確率は50%ほど、つまり2人に1人が妊娠できていないことになります。

年代別・自然妊娠の確率

年代別にまとめた1回の生理周期で妊娠できる確率は以下の通りです。

1周期当たりの妊娠確率(※1)

  • 25歳:25%~30%
  • 30歳:25%~30%
  • 35歳:18%
  • 40歳:5%
  • 45歳:1%

それが1年間になった時の自然妊娠の確率は以下の通りです。 

1年間避妊しないで性交渉をした場合の年代別妊娠確率(※2)

  • 20歳~24歳:86%
  • 25歳~29歳:78%
  • 30歳~34歳:63%
  • 35歳~39歳:52%
  • 40歳~44歳:36%
  • 45歳~49歳:5%
  • 50歳以上:0%

(※1、※2とも M.Sara Rosenthal.The Fertility Sourcebook.Third Edition よりデータ引用)

1回の生理周期での妊娠確率は低くても毎回避妊なしの性交渉を続けることで20代の夫婦であればかなり高い確率で妊娠することができます。

ところが30代後半、特に40代からは顕著に妊娠確率が下がっていることがわかります。

このように妊娠したいと思って自然妊娠を試みても約1年間妊娠できないことが続いている場合に不妊と定義されます。

妊娠リスクは年齢とともに高くなる

妊娠が成功するまでのリスク、胎児へのリスク、母体へのリスクは年齢と共に高くなって行く事実があります。

卵子というのは、母体の年齢とともに同様に歳をとります。加齢とともに卵子の数は減少するのはもちろんのこと、その質も低下します。質が低下するということは正常な受精卵になるための卵子の機能(妊孕力)が低下するため、妊娠しにくくなってしまいます。

卵子の質の低下は35歳くらいから始まり、40歳頃から閉経するまでの間に急激に進行します。自然妊娠の確率がこの年代で急激に下がってしまうのはこのことも原因になっています。

また、妊娠できたとしても流産・早産・死産・遺伝子疾患などの胎児リスクや、妊娠高血圧症候群などの合併症・緊急帝王切開などの母体リスクが増加することがわかっています。

流産の確率

まず妊娠のリスクの1つである流産の可能性と年齢の関係についてです。特に40代になってから急激に流産の確率が増加していることが分かります。

  • 20歳以下:0.0%
  • 25歳:14.3%
  • 30歳:16.8%
  • 35歳:20.1%
  • 40歳:32.1%
  • 45歳:60.6%

出典:日本産科婦人科学会 ARTデータブック2018 https://plaza.umin.ac.jp/~jsog-art/2018data_20201001.pdf

子供に障害があらわれる確率

次にダウン症候群をはじめとする染色体異常と年齢の関係についてです。

人間には2本ずつ23対、46本の染色体を持って産まれますが、23対のうち21番目の染色体が3本になってしまう状態のことをダウン症候群といいます。

そのほかに染色体が46本ではないもの、染色体の構造自体が変わってしまうものをまとめて染色体異常としています。

女性の年齢と子どもの染色体異常の頻度

女性の年齢ダウン症候群の子が生まれる頻度染色体異常をもつ子が生まれる頻度
出生人数あたり出生千対出生人数あたり出生千対
20歳1/16670.61/5261.9
25歳1/12500.81/4762.1
30歳1/9521.11/3842.6
35歳1/3852.61/1925.2
40歳1/1069.41/6615.2
45歳1/3033.31/2147.6
48歳1/1471.41/10100.0

出典:「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」2013|厚生労働省より

妊娠適齢期は25~34歳

医学的に明確な定義はありませんが、妊娠確率や初産の平均的な年齢を元にして、一般的に妊娠適齢期は25〜34歳がその期間に当てはまると考えられています。

厚生労働省の人口動態調査によると、ここ40年ほどの第1子の平均初産年齢は、25~30歳で推移していて少しずつ年齢が上がっていることがわかります。

  • 1975年…25.7歳
  • 1995年…27.5歳
  • 2015~2020年…30.7歳
  • 2021~2022年…30.9歳
  • 2023年…31.0歳

さらに厚生労働省の人口動態調査によると、2023年に第1子を出産した女性約33万8,900人のうち、25~34歳で第1子を出産している人が全体の約67%と過半数となっています。

不妊治療の技術の向上はもちろんありますが、加齢とともに妊娠したいと思っても妊娠しにくくなってしまう事実は変えられません。これは加齢に伴って卵子や精子の減少、質の低下が起こるためです。

女性の卵子と同様に男性の精子でも年齢の影響はあるので、妊娠したいと考えている夫婦であれば、男女ともに妊娠出産の計画や準備は早めに初めておくのがおすすめです。

妊娠しやすいからだづくりのポイント

ここまでで妊娠と年齢の関係についてわかったところで、妊娠したいと思った時に妊娠できるように普段から妊娠しやすい体づくりを心がけておくことが大切です。

女性ホルモンバランスを整える

妊娠出産に必要なのは女性ホルモンです。

月経が正しく起こるためにも、胎児を子宮で育てるためにも女性ホルモンが正しく分泌される必要があります。その分泌は体の調子によって繊細なバランスが保たれています。

このバランスを維持するためには、

  • バランスのとれた食事
  • 十分な睡眠
  • 適度な運動
  • ストレス解消、リラックス

を心がけることが大切です。

冷えを解消する

冷えは血の巡りを悪くし、ホルモンバランスの乱れを引き起こします。

  • 首・手首・足首・お腹・腰を冷やさない
  • からだを温める食べ物や飲み物をとる
  • 適度な運動で血行を改善する

妊婦さんもよく体を冷やすなと言われますが、妊娠したいと思っている女性にも大切な条件です。

生理不順、PMS、月経困難症、婦人科系疾患を治療する

普段から子宮や卵巣が健康で生理周期が整っていると、スムーズに排卵がおこなわれます。生理周期が整っていると排卵日も正確に把握しやすいというメリットもあります。

生理不順やPMS(生理前の体の不調や気分の落ち込みなど)は、女性ホルモンバランスを整えることで自然に治る場合もあります。

それでも改善がみられなかった場合や月経困難症、子宮筋腫などの婦人科系疾患は、婦人科での治療がおすすめです。気になる症状があれば早期に受診をしましょう。

「妊娠したい」未来の自分に贈る卵子凍結保存

妊娠したいと思った時すでに加齢が進み卵子のリスクが高まってしまっていた、という不安をなくすための1つの選択肢として、卵子の凍結保存があることをご存知でしょうか?

卵子凍結保存は、将来の妊娠に備える「未来へのタイムカプセル」です。

体内から取り出した卵子は、マイナス196℃の液体窒素の中で安全に半永久的に保存することが可能です。凍結した卵子は長期間その質を劣化することのないまま保存され、将来妊娠したいという時が来たら解凍して体外受精に使用できます。

卵子凍結保存はそもそも、ガンなどの病気の治療によって将来子どもを授かれないかもしれないという方たちのために研究が進んでいました。卵子凍結により生まれた子供について、染色体異常や発達障害などのリスクが増えるという事実が見られなかったため、今では治療が必要な女性だけでなく、健康で将来妊娠したいと考えている女性も対象に卵子を凍結保存できるようになりました。

まとめ

妊娠したいという夢を叶えるためには「年齢」がポイントになってきます。

若いうちであれば妊娠しやすく、妊娠についてのリスクも低いことがわかっています。

自分の、そして夫婦のライフプランもあるので、なかなか今すぐに赤ちゃんを迎えることのできないこともあるでしょう。

しかし、早めに「妊娠したい」という意思を確認して、少しでも若いうちから妊娠出産についての知識を共有すること、またひとつの選択肢として卵子の凍結保存という準備をしてみることをおすすめします。

監修者

名倉 優子 なぐら ゆうこ

日本産科婦人科学会専門医


グレイス杉山クリニックSHIBUYA (東京都渋谷区)

杉山産婦人科の医師・培養士による技術を用いた質の高い診療を提供。
将来の妊娠に備えたプレコンセプションケアと卵子凍結にフォーカスした診療。
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