卵子凍結について

不妊治療にはどんなやり方がある?5つの方法と費用を解説

努力はしているけれどなかなか子どもを授かれないという方へ。いざ不妊治療に踏み出すにも勇気がいりますよね。

そもそも不妊治療にはどのようなステップや方法があるのか、どれくらいの費用が必要なのか何もわからないという方へ、今回は不妊治療について5つの方法と費用について解説します。

  • 不妊の原因
  • 不妊治療の前におこなう検査
  • 不妊治療の5つの方法
  • 不妊治療にかかる費用と助成金
  • 不妊治療の成功確率
  • 不妊治療の成功確率を高めるポイント

不妊の原因

卵子が受精して妊娠するためには女性の卵子と男性の精子が必要です。

不妊の原因はもちろん女性側にも男性側にもある可能性があります。

不妊かもしれないと感じたらパートナーと受診することをお勧めします。

女性の不妊因子

女性は月に一度排卵が起こり、子宮の内膜が厚くなることで妊娠の準備をします。

そこで子宮内に精子が入り受精することがなければ子宮内膜は剥がれおち月経が始まります。

この過程のどこかで不調があると不妊につながります。

排卵障害卵がうまく成熟しない、成熟できても排卵されないといったもの。
卵管閉塞排卵された卵子が子宮に移動するときに通る卵管が子宮内膜症やクラミジア感染症などの原因で
詰まってしまう。
子宮筋腫子宮をつくる筋肉に良性の腫瘍ができること。
抗精子抗体免疫の仕組みで精子を異物とみなして体内に入った精子を攻撃してしまう。

男性の不妊因子

不妊の原因は女性と男性で半々であるとも言われています。

無精子症精液中に精子が見られないこと。
精子が精巣で作られていないものと、精子は作られているがその後の通り道が詰まってしまうものがある。
精子無力症精子の動きが弱く、子宮内の卵に辿り着くことができない。
抗精子抗体外傷や精巣の炎症などで血液中に精子が入ってしまうなどの理由で抗体をもち、免疫が精子を攻撃してしまう。

男女共通の因子

上記以外に、検査でも見つけることができずに原因不明の不妊ということもありますが、男女ともに不妊の因子となりうるのが「加齢」です。

そもそも不妊でなくとも年齢を重ねると妊娠しにくくなるという事実があります。

加齢による体の機能の老化は不妊につながる大きな要因になってしまいます。

不妊治療の前におこなう検査

まずは受診して不妊の原因を探ることになります。

不妊治療の前にはどのような検査が必要なのでしょうか。

女性の検査

血液検査採血により糖尿病などの全身の疾患に関すること、女性ホルモンに関することを検査します。
内診・経腟超音波検査産婦人科にて診察台の上で膣に細長い棒状の超音波プローベを入れ、子宮や卵巣の様子をみます。
これにより子宮筋腫や子宮内膜症などを確認することができます。
子宮卵管造影検査子宮口から子宮の中に造影剤を入れ、卵管の詰まりがないかをX線で確認します。

男性の検査

精液検査精子の量や精子の濃度、運動率、精子の正常形態率などを調べます。
精子の質をみるため病院にて精液を採取します。
もしその時の結果が良くなくても、男性の精子は都度新しいものが作られるので再検査となることもあります。

夫婦共同でおこなう検査

抗精子抗体検査血中の抗精子抗体が陽性となると、抗体が精子を攻撃して動きを妨げてしまうので
自然妊娠しにくいと考えられています。

不妊治療の5つの方法

では次に、不妊治療にはどのようなものがあるのでしょうか。

「一般不妊治療」にはタイミング法・人工授精、「高度不妊治療」には体外受精・顕微受精があります。

さらに採卵するための排卵誘発法についてもご紹介します。

タイミング法

不妊治療の初めのステップで、受精しやすい日を狙って性交を行い妊娠を目指します。

女性の月経のサイクルの中で、ちょうど排卵する2日前~当日あたりが1番妊娠しやすいと言われているので、病院にて尿中のホルモン量や卵胞の大きさを測定し排卵日を特定します。

排卵誘発法 

排卵誘発法は、注射や飲み薬で卵巣を刺激して卵胞の成熟と排卵を促します。

もともと排卵に何か不調があるときや、人工授精や体外受精を行うときに併用することで妊娠率を上げることができます。

人工授精

採取した精液の中から運動機能が良好な精子を選び、最も受精しやすい日に子宮内に注入します。

体外受精

女性から卵子を取り出し、精子と体外で受精させ、数日後に受精卵を子宮内に戻します。

顕微授精

体外受精で卵子と精子がうまく受精しない場合には、卵子に直接精子を注入し受精させます。

不妊治療にかかる費用

厚生労働省が2020年度に「不妊治療の実態に関する調査研究」を公表しました。

それにより不妊治療にかかるそれぞれの費用の平均が明らかになりました。

一部2022年から始まった保健適用前の値段となりますが参考にしてください。

「一般不妊治療」※それぞれ1回あたり

タイミング法約数千円〜2万円(3割負担)
排卵誘発法約数千円〜2万円(3割負担)
人工授精約1万円〜3万円

 

「特定不妊治療」※それぞれ1回あたり

体外受精約20万円〜60万円
顕微受精約30万円〜70万円

不妊治療の費用の保険適用

2022(令和4)年4月から、不妊治療の治療費が保険適用になったのをご存知ですか?

以前から不妊の検査や、症状がある場合の治療には保険が適用されていましたが、今回新たに体外受精や顕微受精も含めて3割負担になりました。

体外受精などは1回あたり平均で約50万円ほどかかっていたので、保険適用になれば経済的負担も緩和されて出産に前向きになれる方も増えるのではないでしょうか。

しかしここで注意しなければならないのが、保険適用には条件があることです。

不妊治療の保険適用の条件

不妊治療の保険適用には「年齢制限」があります。

治療開始時における女性の年齢が、

  • 40歳未満 通算6回まで移植が適用
  • 40〜43歳未満 通算3回まで移植が適用
  • 43歳以上 適用なし

また、医療費控除や医療費が高額になった場合には高額療養費制度も対象になります。

参考:https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/ff38becb-bbd1-41f3-a95e-3a22ddac09d8/d055f060/20230401_policies_boshihoken_01.pdf

不妊治療の費用の助成金

助成金は保険適用の開始とともに終了しました。

不妊治療の成功確率

凍結卵子を融解後に、卵子が生存・受精(顕微授精)し良好な受精卵が確保できた場合の受精卵1つあたりの妊娠率は以下の通りです。(杉山産婦人科データより)

30歳以下・・・35%程度
31~34歳・・・30%程度
35~37歳・・・25%程度
38~39歳・・・20%程度
40歳以上・・・15%以下

保健適用や助成金などで43歳というのが基準になっていましたが、やはりより若いうちの方が不妊治療の成功率が高いことがわかります。

不妊治療の成功確率を高めるポイント

不妊治療はどうしても長い目でみなければなりません。

女性の月経の周期は1ヶ月に1度、妊娠のチャンスも1ヶ月に1度です。

その治療の成功確率を高めるにはどうしたら良いのでしょうか。

男女とも早めに検査を受ける

不妊治療にとって重要なのは「早めに」行動することです。

卵子も精子も加齢によってその質、妊孕力(=妊娠する力)が低下することがわかっているので、できるだけ若いうちに男女ともに自分の状態を検査しておくとこをおすすめします。

若く、仕事などで忙しいとまだ子どもを授かるタイミングではないという時は『まさか自分は大丈夫だろう』と思いがちです。

しかし、いつかは子どもを…と考えているならばその時に是非検査をしておきましょう。

卵子凍結保存をする

検査以外でも若いうちにできる選択肢があります。

ご自身の卵子を若いうちに凍結保管しておき、妊娠したいというタイミングで融解し受精卵にして体内に戻すことができます。

安全に採卵し、マイナス196℃の液体窒素で半永久的に保管することが可能です。

このような凍結融解卵子から産まれた子どもに染色体異常、先天異常、発育障害のリスクが増大することはないという見解が米国生殖医学会からされていることから 2013年に日本生殖医学会がガイドラインを正式決定し、健康な未婚の女性が将来の妊娠に備えて保管できるようになりました。

ここ数年で性能の進化や技術も向上により高い精度で卵子の融解後の生存率も90%を超えるようになりました。

凍結卵子保管サービスのグレイスバンクをご存知ですか?グレイスバンクは、クリニックで採卵・凍結した凍結卵子保管専門のサービスを提供しており、クリニックで採卵・凍結から保管まで行う場合とは異なり、体外受精を行う際は全国の提携クリニックにて凍結卵子の利用が可能です。

グレイスバンクは確かな実績を持った経験豊富な有名不妊治療クリニックと提携しています。

また、従来の不妊クリニックのような小型の液体窒素タンクによる保管とは異なり、臍帯血バンクのステムセル研究所と提携し、今まで20年以上無事故を誇る同社の専用大型タンクで24時間365日一括管理をしています。

保管施設は地震や津波に強いエリアに設置され、停電対策も万全、安心のシステムで大切な卵子を保管します。

今は仕事などが忙しいけれど将来妊娠を希望するという方は、一度卵子凍結についても検討してみてはいかがでしょうか。

東京都の卵子凍結に係る費用の助成金について

東京都では健康な女性の卵子凍結について最大30万円の支援を開始しました。これまで東京都では、がんの治療のために女性が妊娠するための力(妊孕力)を温存する方法として、卵子凍結への支援をしていましたが、健康な女性の将来への備えとしての卵子凍結を支援するのは初めてです。東京都が、女性の出産とキャリアの両立が難しい点などを考慮して、女性の選択肢を増やすために支援を開始したことは、とても画期的なことです。

また、実際に凍結した卵子を使用する際にも費用がかかりますが、「凍結卵子を使用した生殖補助医療への助成」を使用すれば、卵子融解・授精・胚培養・胚凍結・胚移植・妊娠確認までの費用にも助成がでます。(※1回につき上限25万円(最大6回まで))

まとめ

赤ちゃんに会うために不妊治療をすべきか悩んでいる方は多いでしょう。しかし不妊治療についてよくわからないから先延ばしにする、というのはとてももったいないことだと言えます。少しでも不妊治療について気になった段階でパートナーとよく話し合い、まずは検査だけでも受けてみましょう。

今は出産に至るまでの医療も発達してきています。さまざまな選択肢もありますので是非一歩踏み出してみてください。

▼参考HP

監修者

名倉 優子 なぐら ゆうこ

日本産科婦人科学会専門医


グレイス杉山クリニックSHIBUYA (東京都渋谷区)

杉山産婦人科の医師・培養士による技術を用いた質の高い診療を提供。
将来の妊娠に備えたプレコンセプションケアと卵子凍結にフォーカスした診療。
スタッフは全員女性。明瞭な料金設定も人気!

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