ドクターインタビュー

津田沼IVFクリニック 髙木 亜由美院長|患者さんが本当に求めている診療を届けるカスタマイズ医療

千葉大学医学部附属病院をはじめ、千葉市の複数の基幹病院やクリニックの産婦人科において、お産や婦人科疾患の診療や手術、不妊治療などに長く携わってきた髙木 亜由美医師。吉川 守名誉院長よりクリニックを継承し、2023年10月から不妊治療を専門的に行う津田沼IVFクリニックの院長を務めておられます。

プライベートでは、動物の命を助ける保護猫活動にも参加。バスケットボール好きで試合観戦にもよく行くというアクティブな面も。
「女性が自分自身の身体を知ることが妊娠・出産を含めた人生計画を進めていくための第一歩」という考えのもと、気軽に訪れやすいクリニックづくりに努め、子どもが欲しいという女性に医療的な側面から寄り添い、伴走し続けています。

生殖内分泌や内視鏡手術への興味から不妊治療の道に

若手のころは産科での勤務が中心で、産まれてくる赤ちゃんと出会える毎日がとても魅力的でした。しかし一方で、婦人科の現場では、妊娠するにあたって問題を抱えている方や妊娠のスタート地点まで立つのも難しい方がいらっしゃいます。産婦人科の現場で働いているうちに、赤ちゃんを欲しいと思っている方へのお手伝いをしたいと思うようになり、不妊治療に専門的に携わる道をめざしました。

千葉大学医学部付属病院の医局に入ったときに、教授の専門である生殖内分泌や内視鏡手術についての話を聞く機会に恵まれました。生殖内分泌の分野は、生命の誕生を治療として扱えることが神秘的に感じましたし、内視鏡手術に関しては、海外におけるロボット手術や遠隔手術などの話は、とても魅力的に感じました。

生殖内分泌や内視鏡手術の分野に興味を持っていると申し出たところ、不妊治療と内視鏡手術を多く行っていた川鉄千葉病院(現・千葉メディカルセンター)に後期研修から行かせてもらうことができました。研修の早い時期から体外受精などの不妊治療や、不妊患者さんの手術に多く携われたことが、今のキャリアにも活きていると思っています。

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人生に加担できる喜び、医療的に妊娠を支援する素晴らしさ

病院勤務時代には患者さんと長くお付き合いすることも多くありました。最初に外来の診察に生理の経血量が多いなどの理由で来られた患者さんの子宮筋腫や卵巣嚢腫(のうしゅ)などの手術を担当し、結婚されてからの不妊治療、赤ちゃんを授かってからの妊婦健診、そしてお産まで、年単位で関わることもありました。患者さんの人生に加担することができて「赤ちゃんが産まれてよかったね」と言えることが、とても幸せだと感じます。

時が経って、患者さんが婦人科にお子さんを連れて来られた際に、赤ちゃんの成長を目の当たりにできるのも非常にうれしいです。その方の苦しい時期も見てきているからこそ、うれしそうにしている顔を見るのが本当に喜ばしく思います。

大学病院時代には、がんの患者さんの治療をすることも多く、卵巣機能が低下する前に採卵をすることもありました。病気を克服された患者さんが妊娠されたときには、患者さんの「子どもを授かりたい」という情熱に、医療的な技術を持ってお手伝いができることを非常に素晴らしいと感じました。

千葉大学医学部附属病院に勤務後も、千葉市内の複数の基幹病院で働いており、大変やりがいがありましたが、同時に専門とした生殖医療で社会貢献をしたいという気持ちもありました。不妊治療を専門的に行っている津田沼IVFクリニックの先代院長であり、現・名誉院長の吉川守先生が、クリニックの後継者を探されていると知ったときには、ぜひやってみたいと手を挙げさせていただきました。

クリニック外観

クリニックのお城やホテルを思わせるような西洋風の外観や、明るくて過ごしやすい院内の内装など、患者さんが訪れやすく、リラックスできるようにという吉川名誉院長のご意向も素敵だと感じましたし、実際にお会いして同じ高校出身だとわかったときにはご縁を感じずにはいられませんでした。そうして、2023年10月より、吉川名誉院長よりクリニックを引き継ぎ、津田沼IVFクリニックの院長を務めております。

個人にとことん寄り添うカウンセリングとカスタマイズ医療

津田沼IVFクリニックは不妊治療を専門的に行うクリニックです。妊娠前の身体づくりであるプレコンセプションケアや、各種検査や手術、体外受精についての勉強会の開催、社会的卵子凍結など、個人個人に応じたニーズに応えるための幅広い診療を提供しています。妊娠しても赤ちゃんが育たない不育症の検査・治療にも力を入れているのも当院の特徴の一つです。

当院では、より個人に深く寄り添い、うまくいかない原因やどうしたらよいかという対策を患者さんと一緒に考え出していく体制が整っていることが強みです。クリニックに来られるのは船橋市や市川市、習志野市などの千葉県西部からの患者さんが多いのですが、当院の不育症の取り組みをホームページで見て、県外から来てくださる方もいらっしゃいます。

いままで婦人科の患者さんを診療していると「もっと早く治療を始められていたら、ここまで悪くなることもなかっただろう」「ここまで我慢しなくても良かったのに」と感じる事も少なくありません。私は、患者さん自身が自分の身体について深く知識を持つことが、妊娠・出産を含めた自分の人生を思い描く通りにすすめていくための第一歩だと思っています。そのために、どなたでも気軽に来ていただきやすく話しやすい雰囲気づくりを心がけ、産婦人科を受診するハードルを少しでも下げていきたいと思っています。

カウンセリングルーム

当院のスタッフは、看護師もクラーク(医事課)も不妊カウンセラーの資格を持っており、初診時には個室のカウンセリングルームで患者さんにお話をお伺いしています。今日は何をしに来院されて、どのようなことに困っておられるのか、医師には面と向かって聞きにくいところなどもスタッフが先にお伺いしてから私の診察を受けてもらう流れをとっています。

せっかく患者さんに来ていただいても、聞きたいことを言えずに帰ってしまったり、思っていたことと違うことを話してしまい、なんかもやもやしてしまったりということが起こらないように「患者さんが本当に求めていることを聞く」を常に心に留めて関わっています。このように、患者さんの疑問にすぐに適応できるように、個人に寄り添ったカスタマイズ医療を提供できるところが当院の特徴です。

また、女性だけが治療に通うという状態にならないように、ご主人と一緒に来院された際には、治療内容の説明をしっかりと行い、ご主人にも現状を理解していただけるように配慮しています。

現在のクリニックでの仕事において、特にやりがいを感じるときは、妊娠判定が出て、患者さんにお伝えする瞬間です。あるとき「良かったね」と患者さんに妊娠判定の紙を見せて結果を伝えたことがありました。すると、患者さんが何も言わずにずっと俯いているんです。「どうしたんだろう」と思って見ていると、ハラハラと涙を流されていて。私は何も声をかけることができずに、ただ、その静かな時間を患者さんと共有しました。そのときに心から良かったなと温かい気持ちになったのを今でも憶えています。妊娠した患者さんが、ご主人と一緒にうれしそうに来院されている姿を見るのも、非常にやりがいを感じる瞬間です。

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女性自身が自分の身体や不妊についてもっと知る機会を

実は、私も医師になるまでは、女性の身体について詳しく知りませんでした。「年を取っても子供を持ちたいと思ったら持てるだろう、仕事が落ち着いたら、まあ考えようかな」みたいなスタンスでいたんです。でも、残念ながら実際はそうではないですよね。

子どもが欲しいと思ったときには身体的に難しくなったり。うまく子どもを授かることができる方もいますけれども、それはかなりラッキーなレアケースです。私自身も子どもが欲しいと思ったときにはなかなか難しいという状況に直面しました。いまだ女性のキャリア形成と妊娠・出産の問題は、個人においても社会においても解決されていないと感じています。

女性にはそのことを知って人生を過ごして欲しいと思っています。子宮内膜症や子宮筋腫の症状があっても、それが通常だと思って病院にもかからずにずっと苦しんでいる方も多くみてきました。女性が自分の身体や不妊について学べる場自体も今の日本においては少ないですので、知識を得られるように啓蒙が必要だと感じています。

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今朝もテレビで流れていましたが、「妊娠・出産すると会社で肩身が狭くなる」などのさまざまな事情で赤ちゃんを産みたいと思う人が少ないという社会自体も、改善が必要だと思っています。産んだ後の保育所無償化などといった保障こそは整ってきていますが、産みたい人が産めるようにするにはどうしたら良いかというところはまだ不足していると感じます。必要な方に対して、卵子凍結の費用の助成など、将来的に産みたい人の想いが実現されるための支援が必要だと思います。そして、女性だけが何十万も投資しなければいけないという現状は、少子化という国の問題を考える上でも、サポートが必要な部分だと考えます。

産みたいという女性が子育てもキャリア形成も両立できる社会に

女性の人生における自己実現は子育てだけではなく、キャリア形成も必要だと思います。でも、キャリアも積んでお子さんも持つというのはすごく難しいことです。私は、その人生の中での子育てとキャリア形成の両立を医療的な側面からお手伝いをしていきたいと思っています。

産みたいと思わせる社会の実現は、すぐにはなかなか難しいとは思いますが、社会的卵子凍結の選択肢が増えるなど、昔よりは状況は良くなってきてはいます。皆さんがお子さんを安心して持てる社会に向けて、私も一緒に発信していきたいと思います。社会的卵子凍結に関しては、東京都内の人からも、都内か千葉県で卵子凍結を行える医療機関を探しているというお問い合わせをよく受けます。東京都など、社会的卵子凍結の助成制度が受けられる地域も広がってきていますので、今後千葉県でも助成制度ができ、必要とする方に届けられるようになってほしいと願います。

※この記事は2024年3月のインタビューを元にしています。最新の情報はクリニックHPをご覧ください。

※津田沼IVFクリニックのHPはこちら:https://www.tsudanuma-ivf-clinic.jp/

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