人生の転機は、思いがけないタイミングで訪れることがあります。 外資系企業でのキャリアを経て、現在は個人事業主として自立した道を歩むYさん(37歳)。
36歳の秋、ブライダルチェックを兼ねて受けたAMH検査(卵巣予備能検査)で、数値が平均よりも低いことが判明。さらに、結婚を前提に考えていたパートナーとの別れが重なり、Yさんは自身の「未来の選択肢」を守るため、卵子凍結を決断しました。
東京都の助成制度説明会やクリニックへのリサーチを重ね、早く進めたいと願う一方で、仕事の出張スケジュールとの調整に悩む日々。そしていざ始まった誘発ステップでも、「思ったように卵子が育たないかもしれない」という想定外の焦りに直面することになります。
今回は、そんなYさんが直前まで不安を抱えながらも、最終的に13個の卵子を凍結保存し、「自分の人生と身体を大切にする心の余裕」を手に入れるまでの等身大の記録をお届けします。
目次
「もっと早くしていれば」出張との兼ね合いに悩んだスケジュール調整
――卵子凍結をやろうと決めてから、実際の初診・採卵まではどのようなお気持ちでしたか?
「やる」と決めてからは、年齢のこともあったので早めに実施したいという気持ちでした。
ただ、個人事業主としての仕事もあり、すでに動かせない出張のスケジュールが決まっていたんです。そのタイミングをずらすとなると、次のチャンス(実施できる時期)が3〜4ヶ月先になってしまうことが分かりました。「とにかく一刻も早く動いていればよかったかもしれない。 」という気持ちが一瞬頭をよぎりましたね。
元々テレワーク中心の働き方だったため、最終的には仕事が比較的落ち着いているタイミングを見計らい、スケジュールをなんとか調整してクリニックへの通院をスタートさせました。
「数個しか採れないかも…」採卵直前まで続いた、個数への焦りと不安
――実際に通院が始まってから、採卵日を迎えるまでの体調やメンタル面はいかがでしたか?


実は、採卵の痛みそのものよりも、「何個採卵できるか」という結果に対する不安が当日まで消えませんでした。
ホルモン検査を経て排卵誘発剤を始め、途中の来院で卵胞の育ち具合をチェックしたのですが、その時点で左右合わせて見えていた数は9個でした。しかも左側の育ちが遅く、小さいままでした。「このままだと、自分の予想よりも少ない数個しか採れないかもしれない」と、急に焦りが込み上げてきて……。
医師からは、生理のタイミングによって育ち具合や採れる個数は異なると説明されました。「別の周期(タイミング)の方がよかったのかな?」「でもこれ以上遅くなったら、もっと少なくなってしまうかも……」と、この時期が一番考え込んでしまいましたね。もう当日になって結果を見るまでは分からない、と祈るような気持ちで過ごしていました。
驚きの結果。後半の巻き返しで「13個凍結」を達成した瞬間の安堵
――そんな不安を抱えて迎えた採卵当日、結果はどうだったのでしょうか。


結果的には採卵は22個、その中から13個を凍結保存することができました!
診察の途中で見えていたものだけでなく、後半になって一気に育ってくれたようです。さらに、後ろの方に隠れていてエコーで見えていなかった小さな卵子たちも、しっかり育ってくれていたと聞きました。
自分の年齢や事前のAMH値(36歳時点で1.9)を考えると、これだけの数をしっかりと凍結できたことは想像以上の結果で、本当にホッとしました。あの診察途中の不安から一転、一気に大きな安心感に包まれたのを覚えています。
クリニックの診療は、こちらから質問しないと丁寧には説明してくれないクールな印象もありましたが、最終的な薬の処方や来院タイミングのコントロールは非常に的確だったんだなと、結果を見て技術の高さを実感しました。
友人や仕事仲間の言葉、そして「自分を愛おしむ」という心境の変化
――卵子凍結を経験したことで、周囲の反応や、Yさんご自身の心境に変化はありましたか?



周囲には事前に何人かの友人や、仕事のパートナー(同僚)に話していました。卵子凍結経験者の友人からは「いいじゃん!卵子凍結のことならなんでも聞いて!」と背中を押してもらい、採卵後も「とりあえずお互いお疲れ!」と言い合える関係に救われました。仕事のパートナーも「大切なことだから、本当によかったね」と理解を示してくれたのがありがたかったです。
そして何より、自分自身の内面に大きな変化がありました。 今回の卵子凍結という経験を通じて、「自分のこれからの人生や、自分の身体をもっと労わって、大切にしてあげよう」という、自分に対するすごく優しい気持ちになれたんです。今できる最善のことをやりきった、という満足感があります。
卵子凍結を考えている人へのメッセージ
――最後に、卵子凍結を悩んでいる方へメッセージをお願いします。


卵子凍結を検討するにあたって、まとまった費用がかかることや、一連の通院・治療による精神的・時間的な負担は、やはりどうしても発生してしまいます。
けれど、「将来後悔したくない」「できる限りの準備をしておきたい」と思われる方にとっては、これ以上ない素晴らしい選択肢だと思います。私自身、この選択をしたことに大きな満足を感じていますし、明確なデメリットはないなと感じています。
もし、今少しでも気になっているのであれば、まずは第一歩として「AMH検査」だけでも受けてみることをおすすめします。自分の身体の今の状態を知ることで、未来の歩き方がきっと見えてくるはずです。
まとめ
37歳・Yさんの卵子凍結ストーリー。いかがでしたでしょうか。
パートナーとの別れ、そして平均を下回るAMHの数値。予期せぬ現実を前にしながらも、Yさんは「自分の未来の可能性」を諦めず、自らの手で選択肢を掴み取りました。途中の経過で不安にかられながらも、最終的に手にした13個の卵子は、これから彼女が個人事業主として、そして一人の女性として力強く生きていくための「自分への優しさ」そのものです。
「まだ先のことだから」「今は仕事が忙しいから」と、つい後回しにしてしまいがちな不妊や将来の備え。 けれど、あなたの卵巣の中に、今どれだけの卵子が残されているかを知ることは、あなたの人生のスケジュール帳を創るための第一歩になります。
まずは、お近くのクリニックでAMH検査(卵巣予備能検査)を受けてみることから始めてみませんか? 自分の体の現在地を知ることは、決して怖いことではありません。それは未来のあなたへ、新しい選択肢のバトンを繋ぐための、最も優しいアクションなのです。



