IT・エンタメ業界で20年走り続けてきた39歳女性。軌道に乗ったキャリアと迫るタイムリミットの板挟みで「心の蓋」をしていた彼女が、なぜ卵子凍結を選んだのか?2回の採卵を経て「子供が欲しい」という本心に気づくまでの体験談をご紹介します。
目次
エンタメに捧げた20年。ふと見上げた「年齢」という壁
――まずはお仕事やこれまでの歩みについて教えてください。
大学卒業からずっと、映像作品や動画コンテンツに携わるエンタメ業界で働いています。とにかくコンテンツが好きで、宣伝や企画の仕事に没頭してきました。キャリアを築くことに必死だった20代、30代を過ごし、今の仕事には非常にやりがいを感じています。
――卵子凍結を意識し、決断されたきっかけは何でしたか?



37歳頃から「卵子凍結」という言葉自体は知っていましたが、2024年の秋、キャリア面で大きな壁にぶつかったのが本当の転機でした。今後の生き方を立ち止まって考える中で、「自分はどう生きていきたいのか?」という問いに直面し、「子供を産む年齢的なタイムリミット」という現実が、かつてない重さでのしかかってきたんです。







「子供をどうしたいか?」今すぐには答えが出せませんでした。でも、出せないからといって放置すれば、可能性はゼロになる。その焦りと恐怖から、私は自分の本心に分厚い「蓋」をして、見ないふりをしてきたんです。でも、そもそも「卵子凍結」を考えている時点で、本当は子供をもつことや、共に歩むパートナーが欲しいという気持ちが自分の中にあったのだと思います。
「きれいごと」で守っていた自分。初診までのヒリつくような葛藤
――卵子凍結をすると決めてから、初診までのお気持ちを詳しく教えてください。


1回目の時は、本当に、本当にもがき苦しんだ末の大きな決断でした。
「子どもをどうしたいか、今すぐには答えが出ないから」……そんな風に、どこか他人事のような「きれいごと」を自分に言い聞かせていました。でも本音は、ようやく軌道に乗り始めたキャリアをさらに積み重ねたいという野心と、無情にも秒読みを続ける年齢への焦り、そしてパートナー探しという高い壁の板挟み。
直視するのが、ただただ怖かった。



卵子凍結に向けて具体的な一歩を踏み出すということは、見えないふりをしてきた「自分の本当の気持ち」と真正面から向き合う、いわば「逃げ場をなくす行為」でした。クリニックへ向かうまでは、心臓がバクバクするような、現実を突きつけられる覚悟が必要な時間でした。
自己注射は「未来へのタスク」。働きながらクリニックに通う日常
――実際のプロセス(自己注射や採卵)はいかがでしたか?


最初は自分で針を刺すなんて……と緊張しましたが、慣れれば「忘れてはいけない大切なタスク」として粛々とこなせるようになりました。採卵1回目は初めてのことばかりで気分の上がり下がりもありましたが、採卵2回目は「とにかく一個でも多く私の未来を凍結したい」という執念がありましたね。睡眠やストレス管理にも採卵1回目以上に気を配りました。
――お仕事との調整で工夫したことはありますか?







「グレイス杉山クリニックSHIBUYA」には、待合室にデスクとコンセントがあったので、診察を待ちながらテレワークをしていました。スタッフの方が全員女性で、病院特有の威圧感がない開放的な雰囲気も通いやすかったですね。
職場でのオープンな会話が、私の「普通」を変えてくれた
――周囲の方には卵子凍結についてお話しされましたか?



はい。私にとっては一大イベントだったので、採取の前後ともに、職場の上司や同僚、友人たちには積極的にオープンに話しました。1回目の採卵が大みそか、2回目が誕生日という、自分にとって大切な記念日と重なったこともあり、「実は今日、採卵だったんだ」と、自然に会話のネタにすることもできましたね。







周囲に話してみて驚いたのは、外資系企業に勤めた経験がある男性の友人から「周りの女性社員も結構していますよ」と、驚くほどあっけらかんと言われたことです。その一言で、「これは隠すべきことでも特別なことでもなく、現代を生きる女性にとって当たり前の選択なんだ」と、自分の中での受け止め方が大きく変わりました。



また、実際に体外受精を経験して出産した友人からも「できるなら絶対にしておいたほうがいいよ」と力強く背中を押されました。今では30代前半の後輩女性から「興味があるんですけど、実際どうでした?」と体験談を聞かれる機会も増えています。包み隠さず話すことで、周りからも色々な反響や応援をもらえるようになり、今ではもう、日常の出来事と同じように当たり前のこととして、誰にでも話せるようになりました。
「私は、誰かと共に生きていきたい」2回の採卵を経て、溢れ出した「私の本心」
――結果と、その後の心境の変化について教えてください。







1回目は採卵5個・凍結4個。2回目は採卵10個・凍結8個、合計12個を保存できました。
1回目を終えた時、まず「やって良かった」と人生に対してポジティブになれました。そして2回目の採卵を終えた今、確信していることがあります。蓋を外して自分に向き合った結果、「私は子供が欲しい。そして、誰かと共に生きていきたい」という素直な願いに気づけたんです。



焦りからくる逃げの婚活ではなく、今は迷いが消え、理想の未来に向けて具体的で前向きな行動ができるようになりました。卵子凍結は、私にとって単なる「保険」ではなく、精神的な余裕と「自分らしく生きる勇気」をくれた最高の投資です。
まとめ|卵子凍結を考えるあなたへ
――最後に、卵子凍結を悩んでいる方へメッセージをお願いします。







卵子凍結は、将来への備えであると同時に、現在の自分を前向きに変えてくれる大きなきっかけとなります。これまで向き合うのが怖いと感じていた「心の蓋」を外す勇気を持つことで、漠然とした不安は次第に確かな安心感へと変わっていくはずです。
また、現代ではテレワークなどを活用して自分のペースで通院できる環境が整っているため、大切なキャリアを止める必要もありません。実際に周囲へ打ち明けてみると、外資系企業の男性社員や人生の先輩である女性たちからも「して当然の備え」という前向きな反応が返ってくることが多く、いつしか自分の中でもそれが「特別なこと」ではなく「当たり前の選択肢」へと変わっていきました。



もし今、迷いの中にいるのなら、未来の自分のためにその一歩を踏み出してみてください。その勇気ある決断が、数年後のあなたに最高の笑顔をプレゼントしてくれるはずです。



