女性の生理痛は、個人差はありますが、痛みを感じている人がほとんどでしょう。
しかし、生理じゃないのに子宮が痛い場合、原因がわからず不安になりますね。痛みは病気のサインの可能性もあるので、放置せずに原因を探すことが大切です。
今回はその原因、病気の可能性などについて解説します。
目次
生理じゃないのに子宮が痛い原因1:排卵痛
生理前に、左右どちらかが痛む場合は排卵痛の可能性があります。
左右どちらかの卵巣から卵子が飛び出す際、痛みを感じることがあるのです。
排卵痛の主な症状
排卵痛の主な症状は以下の3つです。
- 排卵前後2~3日に子宮の左右どちらかが痛い
- 痛みは、排卵前後2~3日でおさまる場合が多い
- 排卵痛とともに微量の出血を伴うことがある
このような症状の場合、排卵痛の可能性があります。排卵痛は健康な人にも起こる痛みです。
排卵痛の解決策
排卵痛の痛みが極端に強くて辛い場合は、婦人科で相談してみましょう。
低用量ピル処方で、排卵が抑制され、痛みがおさまる場合もあります。ピルには副作用があります。また、体質に合わないこともあるので婦人科の受診が必須です。
生理じゃないのに子宮が痛い原因2:子宮内膜症
子宮内膜症は、本来あるべき子宮の内側以外の部分に、子宮内膜やそれに似た組織が増殖してしまう病気です。10~30代の若い女性に多いとされています。(※1)
(※1)日本産科婦人科学会|子宮内膜症
子宮内膜症の主な症状
子宮内膜が発生し増殖してしまった臓器が、癒着したり引っ張られたりすることで痛みが生じてしまいます。月経時以外の子宮の痛み、排便痛や性交痛などがみられます。
またその特徴として、生理の際、ひどい生理痛が起き、経血量が多い(レバー状の塊が出る)ことがみられます。
子宮内膜症の解決策
婦人科の受診を強くおすすめします。
症状だけでなく、妊娠の希望なども総合的に判断して、最適な治療法をすすめられることでしょう。
主な治療は低用量ピルの処方です。重症度によっては手術となってしまうことがあります。
生理じゃないのに子宮が痛い原因3:子宮頸がん
痛みの原因が悪性腫瘍(がん)である場合もあります。
子宮の入口の子宮頚部にできる、子宮頸がんの可能性について見ていきましょう。
子宮頸がんの主な症状
子宮頸がんの場合、初期症状はほとんどありません。症状があらわれる頃には重症化していることもあります。
がんが進行してしまうと、生理じゃないのに子宮が痛むことがあります。
不正出血やおりものの量の増加、血尿や血便、腰痛といった症状が出ることもあります。
子宮頸がんの解決策
子宮頸がんは、初期症状がないので早期発見が大事です。早期発見して治療すれば、予後の良いがんですが、進行してしまうと治療が難しくなってしまいます。
定期的に自治体の定期検診などでチェックを行うことをおすすめします。
生理じゃないのに子宮が痛い原因4:子宮・卵巣・卵管や骨盤内膜の感染症
性感染症や、大腸菌などの病原菌などが、子宮・卵巣・卵管・骨盤内膜に感染してしまうことがあります。感染症を起こすと炎症のために痛みが発生する場合があります。
感染症の主な症状
感染症による痛みの場合、子宮がジクジクするような痛みが続くことがあります。
そのほかにも、不正出血や発熱がみられる場合もあります。
感染症の解決策
まずは婦人科を受診しましょう。感染症が原因の場合は、抗生物質を投与することで症状が改善されることが多いです。
生理じゃないのに子宮が痛い原因5:腸の不調
ここまでご覧いただいたように、生理じゃないのに子宮が痛い原因はたくさん考えられます。
そのほかの原因として、便秘や下痢など、消化器系の不調による場合があります。腸が痛いときに、子宮の痛みと混同することがあるのです。
特に、生理前や妊娠初期は、女性ホルモンバランスの関係で、腸の動きに影響が出やすいです。また、更年期による冷えで、腸の不調を起こし、下腹部に痛みを感じることもあります。
腸の不調の主な症状
腸の不調のおもな症状は、下腹部痛や、下腹部がグルグルとするような違和感です。
特に、便秘や下痢がある場合は、腸の不調による痛みの可能性も考えてみてください。
腸の不調の解決策
腸の不調が起きてしまった時、まずは食生活や運動習慣を見直してみましょう。野菜やヨーグルトなどを適切に食べたり、ウォーキングやストレッチなどを取り入れて体を動かしたりしてみましょう。整腸剤の服用なども考えてみてもいいかもしれません。
更年期の場合は、婦人科でのホルモン治療も効果的です。
生理じゃないのに子宮が痛いと、将来の不妊につながる可能性
生理じゃないのに子宮が痛い、その原因は様々です。病院に行こうかと悩んでいるうちに痛みがなくなってきたり、痛みを我慢し続けてしまったりする人もいるでしょう。しかし、子宮内膜症、子宮頸がん、感染症などが原因の場合は、早期治療が大切なのです。
また、排卵痛や生理痛などの子宮の痛みは、放置すると子宮や卵巣にダメージが蓄積し、不妊につながる可能性もあります。
生理じゃないのに子宮の痛みがあって気になる場合は、早めに婦人科を受診しましょう。
将来の不妊リスクに備えられる「卵子凍結保存」
生理中の不調を放置してしまうと、子宮や卵巣にダメージが蓄積し、不妊につながる可能性もあります。将来、子どもを授かりたいと思っている人は特に注意が必要です。
そのリスクを回避する手段として「卵子凍結保存」という選択肢もあります。
若く妊孕性(にんようせい:妊娠する力のこと)が高いうちに、質の高い卵子を凍結保管しておくことで、将来、不妊治療をしたときに、妊娠・出産の確率があがる可能性が高いのです。
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まとめ
現代は、女性特有の不調に悩まされながらも、社会で活躍することを求められる時代でもあります。様々な事情から、必ずしも若いうちに出産できるわけではありません。しかしながら、女性が自身の身体をメンテナンスしながら、将来の妊娠に備えることは大変なことです。将来の妊娠まで見据えて、少しでも若いうちに卵子凍結保管をしておくのも、現代のライフスタイルの選択肢のひとつです。
Grace Bankは、現代医療のプラットフォームを築き、女性がますます輝く社会を支えてまいります。
▼参考サイト
- https://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=9
- https://ganjoho.jp/public/cancer/cervix_uteri/print.html
- https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1220470552
名倉 優子 なぐら ゆうこ
日本産科婦人科学会専門医
グレイス杉山クリニックSHIBUYA (東京都渋谷区)
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