いつかは妊娠したい。でもまだ20代だし自分の仕事を頑張りたい、趣味を楽しみたい。晩婚化も進み女性の初産の年齢も上がっているので、結婚や妊娠出産はまだまだ先でいいだろう…とお考えの方もいらっしゃるのでは。確かに結婚や出産の年齢は上がってきています。しかしどの時代でも体は等しく年を取ります。そして体が若いことが妊娠に適しているというのが事実です。
では20代での妊娠確率はどれくらいなのでしょうか。また、年齢が上がるとともに妊娠確率に変化はあるのでしょうか。
今後妊娠したいと考えている方に今のうちに知っておいてほしい年齢と妊娠の関係についてご紹介します。
目次
20代女性の1周期当たりの妊娠確率は25~30%
妊娠を望む健康な男女が避妊をせずに性交渉をして自然に妊娠する確率は20代でも25〜30%といわれています。その確率は年齢とともにさらに下がっていきます。45歳ともなるとその妊娠確率はわずか1%にもなってしまいます。
1周期当たりの妊娠確率
- 25歳:25%~30%
- 30歳:25%~30%
- 35歳:18%
- 40歳:5%
- 45歳:1%
(M.Sara Rosenthal.The Fertility Sourcebook.Third Edition よりデータ引用)
20代女性の1年間の妊娠確率は78~86%
同様に妊娠を望む健康な男女が避妊をせずに1年間自然妊娠を試みた場合の年代別妊娠確率は以下の通りとなります。20代では高い確率ですが、加齢とともに特に30代後半からグッと確率が下がることがわかります。
1年間避妊しないで性交渉をした場合の年代別妊娠確率
- 20歳~24歳:86%
- 25歳~29歳:78%
- 30歳~34歳:63%
- 35歳~39歳:52%
- 40歳~44歳:36%
- 45歳~49歳:5%
- 50歳以上:0%
(M.Sara Rosenthal.The Fertility Sourcebook.Third Edition よりデータ引用)
なぜ20代の妊娠確率は高い?理由は「卵子の質」
このように20代の妊娠確率が高いのはなぜなのか。実は女性がもつ卵子というのは、すでに胎児の時にその元になる細胞が出来上がっているため、体の年齢と同じく老化し、妊孕性(妊娠する力)も年齢とともに低下していきます。そして月経のたびに卵子は数が減っていきます。
卵子の加齢による減少や質の低下は、妊娠確率の低下、流産・早産・死産・遺伝子疾患などの胎児リスクの増加、妊娠高血圧症候群などの合併症・緊急帝王切開などの母体リスクの増加の原因になってしまいます。
卵子の質の低下は年々加齢とともに進行し、20代前半・後半でも妊娠確率に差が出てくることになるのです。さらに35歳ぐらいから閉経にかけて、卵子の質の低下は急激に進行することがわかっています。
20代の妊娠確率をキープするためにできること
加齢は止めることのできないものですが、20代の妊娠確率を出来るだけキープするためにできることはないのでしょうか。
女性ホルモンバランスを整える
月経はもちろん妊娠や出産のためには女性ホルモンの分泌が欠かせません。その量やタイミングの微妙なバランスが整うことで成り立っているので、日頃から女性ホルモンバランスを整えることを心がけることが必要です。女性ホルモンバランスを整えるためには、
- バランスのとれた食事
- 十分な睡眠
- 適度な運動
- ストレス解消、リラックス
がポイントです。仕事などで忙しい毎日の中で少しでも改善できるものがあれば意識してみましょう。
卵子凍結保存をする
実は母体が年齢とともに老化が進んでも、卵子が若ければ妊娠・出産率は高いというデータがあります。
卵子が若ければ、例えば40代の体外受精による出産率は20代と大きく変わりません(米CDC、2021)。
現在では医療の発達により卵子を若いまま凍結保管することが可能です。「卵子凍結保存」とはもともと抗がん剤や放射線治療を行う女性が将来妊娠できるように治療前に卵子を残すためのものとしてすでに行われてきました。2013年には日本生殖医学会がガイドラインを正式決定し、健康な未婚女性が将来の妊娠に備えて卵子凍結を行うことを認めています。
取り出した卵子はマイナス196℃の液体窒素の中で半永久的に保存することが可能です。凍結した卵子は長期間その質を劣化することのないまま保存され、将来子どもを授かりたい時が来たら解凍して体外受精に使用できます。
凍結卵子の保管サービスを行なっているGrace Bankは国内最大級のバンクで、確かな実績を持った経験豊富な有名不妊治療クリニックと提携しています。
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凍結した卵子は従来の不妊クリニックのような小型の液体窒素タンクでの保管するのとは異なり、臍帯血バンクのステムセル研究所と提携し、今まで25年以上無事故を誇る専用大型タンクで一括管理をしています。保管施設は地震や津波に強いエリアに設置され、停電対策も万全、安心のシステムで大切な卵子を保管します。
卵子凍結保存についてご紹介しましたが、このように体外に取り出した卵子は凍結保存することで長期間卵子の加齢は止められても、母体の加齢は止められません。妊娠出産の際ににかかる母体リスクも考慮して早めに計画することが大事です。
まとめ
若いうちの方が妊娠確率が高いということは明らかです。今すぐに妊娠・出産となると難しい方も多いとは思いますが、今のうちから知識を深め、準備をしておくことはとても大切です。
年齢による確率も少し頭に入れたうえで今後かわいい赤ちゃんに会えるよう、体づくりや卵子凍結保存などできることから始めることをおすすめします。
名倉 優子 なぐら ゆうこ
日本産科婦人科学会専門医
グレイス杉山クリニックSHIBUYA (東京都渋谷区)
杉山産婦人科の医師・培養士による技術を用いた質の高い診療を提供。
将来の妊娠に備えたプレコンセプションケアと卵子凍結にフォーカスした診療。
スタッフは全員女性。明瞭な料金設定も人気!