セミナーレポート

どうして日本は世界最大の「不妊治療大国」なのか? #02

日本が世界最大の不妊治療大国であることを知っていますか?

現在6組に1組のカップルが不妊治療をしている現状があるのです。

なぜでしょうか。日本の技術力が低いからでしょうか、それとも日本人の体が妊娠しにくいからなのでしょうか。

大きな一つの答えは、「不妊治療を開始する年齢が遅いから」、なのです。

私たちは、将来の妊娠や出産に関してどのような選択肢を持っておくべきなのでしょうか。

日本は世界最大の不妊治療大国だと知っていましたか?

2021年度に生まれた子どもは80万人と言われていますが、日本の体外受精の件数は46万件(2019年実績)。世界第2位のアメリカは年間30万件(2018年実績CDC)です。

アメリカの方が人口や出生数が多いので、日本の体外受精の件数がいかに多いかがわかるでしょう。2030代の女性の人口換算でいうと、日本はアメリカの約6倍の差があることになります。

調査によると、子どものいないカップルの28%が不妊治療の経験があるといいます。出生児のうち1314人が体外受精から生まれています。

日本は医療技術的にも世界トップと言われていながら、日本の成績は良くないことは意外と知られていません。

アメリカでは約30万件の体外受精から84000人が生まれていて、25%の成功率です。

日本では46万件から6万人ということで、成功率は13%くらいにしかならないのです。これは89回ほどの体外受精をやってようやく一人が誕生する計算です。

なぜ日本の技術はトップでありながら、成績がふるわないのでしょうか?

一つの原因が年齢にあります。年齢とは不妊治療を開始する年齢です。

日本では体外受精を開始する平均年齢は40歳。アメリカでは34歳。35歳を超えて体外受精する場合はドナーの卵子を使うことも一つの選択肢になっています。

他の先進諸国に比べて性、妊孕性(妊娠する力)に対する教育が整備されておらず、高齢でも妊娠できると誤認していることもあるのです。

芸能人の方で40歳以降も子どもを授かったというニュースがあります。とても喜ばしいことではありますが、高齢であってもいつでも授かれると安易に考えるのは違うのです。

もう一つは卵子の年齢です。

アメリカの政府機関が発表したグラフですが、ピンクのメモリは自分の卵子で体外受精をした場合の出生率です。年齢とともに下降しています。

緑は28歳の若い提供卵子で体外受精をした場合の出産率です。これは、将来まで妊娠・出産の傾向がほぼ一定であるということがわかります。

つまりどれだけ「卵子の年齢」が重要かということを示しています。卵子が若いというだけで、妊娠・出産の確率を維持できるのです。

こちらのグラフは、いくつの卵子が採卵できたら一人の子どもを授かれるかという目安です。

10個、20個、30個、取れる個数が上がっても、年齢3740歳とみていくと、その割合が下がっていることがわかります。つまり、30代後半から急激に妊孕性が低下していくということがわかると思います。

日本では不妊治療の開始年齢、卵子の年齢が高いということがありますが、個人でできる対策としては正しい知識を持つことが挙げられます。

AMH検査(アンチミューラリアン・ホルモン検査)というものがあって、ホルモンの値を測って自分の卵子の年齢を調べたり、自身の体を理解することもできます。このような検査を受けるという他に、クリニックに行って体の状態を調べる、卵子凍結をするということもあるでしょう。

卵子凍結とは、若いうちに「体外受精の前倒し」として卵子を採取し、凍結保存しておくことです。

卵子は冷凍保存することで、半永久的に老化を止めることができます。今すぐにでなくても、将来の妊娠・出産を考える上で、今できることの一つの選択肢になり得るのです。

不妊治療離婚、辞職ということを聞いたことがあるでしょうか?

不妊治療に対する、時間、費用、精神的負担は重く、多くの人が不妊治療に苦しんでいます。

将来の不妊は誰にとっても他人事ではありません。

その状況を考えた時に、卵子凍結という現在の卵子の質を将来まで保存できる、「タイムカプセル」を利用することで、これらのさまざまな負担にとらわれず、選択肢を広げられるというのは、不妊の予防治療になるともいえるかもしれません。

生殖医療の技術的な進化も目覚ましく、凍結・融解した卵子の生存率が99%以上という数値を公表しているクリニックもあります。

さらに2012年、アメリカの生殖医療学会が、卵子凍結によって生まれた子どもに遺伝的リスクはないということを発表していることも、安心できるポイントではないかと思います。

昨今では、福利厚生として卵子凍結を考える企業も増えています。

アメリカでは一回あたり100万円以上かかる卵子凍結を、世界がリードする企業が従業員支援策として導入しています。安全性とともに、それが社員のライフプランに対して価値があると企業が評価しているのです。

 

医学的には自然に妊娠・出産ということに越したことはありませんが、願っても仕事やパートナーの状況、社会生活のバランスの中で、タイミングが合わないということがあります。

希望しているのであれば、少しでも若いうちから妊娠・出産への準備をすること、将来の自分へ送れる「今できること」になるのではないでしょうか。

「プレコンセプションケア」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

この意味は将来の妊娠を考えながら、女性やカップルが自分達の生活や、健康に向き合うことです。

今すぐでなくても将来子どもがほしい。いざ妊活となった時にリスクが発覚するのは避けたい今からできるケアはしておきたいーー。

プレコンセプションケアは、知識を付けて自分の体を理解し、必要な行動につなげるということでもあります。

よく聞く「AMH検査」、何か知っていますか?

卵子は「質」と「量」という二つの考え方があります。

卵子というのは特殊な細胞で、新しく生まれ変わることのない細胞です。卵子はわたしたちと同じように年齢を重ねていて、加齢は卵子の妊娠できる能力に影響することになるのです。

また、卵子の個数は減り続けます。

女性は母親のお腹にいる胎児の時から、卵祖細胞が増えて700万個あります。それが生まれた時は200万個にまで減り、月経を迎えた時には30万個、35歳では13万個しか残っていないのです。つまり、どんどん年齢と一緒に減っていくのです。

卵子の質は年齢とともに老化し、個数は減って増えることがない

実は量の減少については、個人差があります。自分の卵子の数を知るというのは、将来の出産・妊娠を考える時の第一歩です。

どうやって卵子の数を知るのか、そこで出てくるのがAMH検査」です。

血液検査によってホルモンの値を測ると、体に残された卵子の残数の目安を得られるのです。AMHの値が高くなれば、卵子が多く取れることが予想され、不妊治療を進めやすくなります。そして、不妊治療に取り組める時間が長いということも予想できます。

こちらのグラフは年齢と、それに準じたAMH値になるのですが、年齢とともに下がっていきます。自覚症状もなく実年齢に比例しないので、検査によって自身の体の状況を知ることが必要になります。

ただ、「AMH値が低い=妊娠できない」ということではありません。妊娠率を表すものではないからです。AMH検査は婦人科系クリニック、不妊治療クリニックなどで検査することができます。

費用は単体で70001万円くらいです。

気づいた時に「遅かった、もっと早く知っていれば良かった」という機会損失を無くして、自らが人生設計できるようになれたらと願っています。


◆ 本記事の内容に関しては、2022年3月30日に行った
『産婦人科医に聞く!女性のカラダセミナー ~未来の自分のために”今”知って考えよう ~』
の動画にてより詳しくご視聴いただけます。
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