卵子凍結について

女性・男性の妊娠適齢期は何歳?からだに妊娠適齢期がある理由

妊娠適齢期という言葉を耳にしたことはありますか?

これは「そろそろ結婚したほうがいいのでは?」「子どもはまだ?」という声をかけるためのものではなく、医学的に根拠のある「生殖機能」についての適齢期のことです。

妊娠適齢期と聞くと赤ちゃんを産む女性について思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

しかし当然男性にも妊娠に適した年齢があり、そのことについて最近研究されてきています。

一体妊娠に適した年齢とは具体的にどのような理由があり、何歳のことなのでしょうか?

女性と男性ではその年齢に差はあるのでしょうか?

今回は厚生労働省の平均初産年齢などのデータをもとにご紹介します。

女性の妊娠適齢期は何歳?

実は妊娠適齢期という言葉に明確な定義があるわけではありません。

それでも女性は初潮を迎えてから閉経するまでが妊娠可能な期間であって、その中でも一般的には25〜34歳が妊娠に適している期間だと言われています。

厚生労働省の人口動態調査によると、ここ40年ほどの第1子の平均初産年齢は、25~30歳で推移しています。

  • 1975年:25.7歳
  • 1995年:27.5歳
  • 2015~2020年:30.7歳
  • 2021~2022年:30.9歳

厚生労働省の人口動態調査によると、2022年に第1子を出産した女性約35万5,000人のうち、25~34歳で第1子を出産している人が全体の約68%と過半数を占めています。

  • 19歳以下:1.1%(約4,000人)
  • 20~24歳:10.0%(約3万5,000人)
  • 25~29歳:34.3%(約12万1,000人)
  • 30~34歳:33.4%(約11万8,000人)
  • 35~39歳:16.6%(約5万8,000人)
  • 40~44歳:4.4%(約1万5,000人)
  • 45歳以上:0.2%(約700人)

女性の妊娠適齢期には「卵子の質」が関係している

上記のように、第1子の出産する年齢が35歳以降に減少していくことがみえてきました。

実は女性は35歳を過ぎると妊娠確率の低下の他に、流産・早産・死産・染色体疾患などの胎児リスク、妊娠高血圧症候群などの合併症・緊急帝王切開などの母体リスクが年々増加することがわかっています。

その原因は母体の加齢だけでなく、卵子の加齢による減少および質の低下にあります。

女性は赤ちゃんの頃から卵子の元になる細胞を持っています。

その元になる細胞から毎月卵子を作り出し、妊娠の機会を待っているのです。

つまり身体の年齢がそのまま卵子の年齢となります。

加齢とともに卵子の質の低下が進むと、正常な受精卵になるための卵子の機能(妊孕性)が低下するので上記のようなさまざまなリスクが生じます。

その卵子の質の低下は35歳ぐらいから閉経にかけて急激に進行すると言われているため、女性としての生殖機能が成熟する20歳頃から34歳くらいまでが、妊娠適齢期といわれる理由と言えます。

男性の妊娠適齢期は何歳?

男性の妊娠適齢期については、これまであまり問題視されてこなかったこともあり研究途上な部分が多いのが事実です。

しかし近年の研究で、男性の精子も加齢にともなって質が低下することが判明しています。

精子の質とは、精子の運動率や濃度、受精卵ができた際に細胞分裂を促す機能のことを言います。

精子のDNA損傷などの質低下は、30代半ば~40代ぐらいから始まると考えられています。

25歳未満の男性と35歳以上の男性では、1年以内に妊娠へ至る確率が2分の1になるという報告もあります。(公益社団法人 日本産婦人科医会

これらの研究結果を鑑みると一般的には男性も25~34歳くらいまでの年代が妊娠適齢期となり、女性と同じといえます。

妊娠適齢期を過ぎると妊娠できない?35歳以上でも妊娠確率を高める方法

では妊娠適齢期を過ぎると妊娠は困難なのでしょうか。

実は母体が妊娠適齢期を過ぎても卵子が若ければ妊娠出産率が高いというデータがあります。

卵子が若ければ40代の体外受精による出産率は20代と大きく変わりません(米CDC、2013)。

現在では医療の発達により卵子を若いまま凍結保管することが可能です。

「卵子凍結保存」とはもともと抗がん剤や放射線治療を行う女性が将来妊娠できるように治療前に卵子を残すためのものとしてすでに行われてきました。取り出した卵子はマイナス196℃の液体窒素の中で半永久的に保存することが可能です。凍結した卵子は長期間その質を劣化することのないまま保存され、将来子どもを授かりたい時が来たら解凍して体外受精に使用できます。

卵子凍結保存を行なっているGrace Bankは国内最大級のバンクで、確かな実績を持った経験豊富な有名不妊治療クリニックと提携しています。

また凍結した卵子は従来の不妊クリニックのような小型の液体窒素タンクでの保管するのとは異なり、臍帯血バンクのステムセル研究所と提携し、今まで20年以上無事故を誇る専用大型タンクで一括管理をしています。保管施設は地震や津波に強いエリアに設置され、停電対策も万全、安心のシステムで大切な卵子を保管します。

このように体外に取り出した卵子は凍結保存することで長期間卵子の加齢は止められても、母体の年齢は止められません。妊娠出産の際にかかる母体リスクも考慮して、早めに計画することが大事です。そのため卵子凍結保存にも年齢制限があり、Grace Bankでも年齢制限を設けています。

【採卵~凍結まで】

Grace Bankでは、基本的には採卵をするご年齢を満40歳の誕生日までとさせていただいておりますが、それ以上のご年齢でご希望される場合でも専門医の判断により実施できることもありますので、お気軽にご相談ください。

【凍結~保管~融解使用まで】

Grace Bankでは、ご本人のご意向により満50歳の誕生日まで凍結卵子を保管いただけます。

ただし、実際に融解して使用する際には、母体の安全を考慮した上で専門医が実施の可否を判断しますので、50歳まで体外受精が行えることを保証するものではございません。あらかじめご了承ください。

まとめ

妊娠適齢期というのは男女ともに25〜35歳くらいが目安といえます。

ただし、この期間というのは「そろそろ結婚すべき」「子どもをもつべき」といった社会通念ではありません。

あくまでも医学的に根拠のある生殖機能の問題です。

卵子は凍結保存という選択肢がありますが、もしも将来子どもを産もうと考えているのであれば男女ともに年齢を十分考慮しておく必要があります。

みなさんがご自身のライフスタイルや夫婦の考えを尊重しつつ、かわいい赤ちゃんに会える日が来ることを願っています。

監修者

名倉 優子 なぐら ゆうこ

杉山産婦人科 日本産科婦人科学会専門医


杉山産婦人科 (東京都新宿区)

70年あまりの歴史を持ち、過去10000人以上の患者様と向き合ってきた生殖医療専門クリニックのトップ施設。
不妊検診センター、内視鏡手術、体外受精など生殖医療に特化。
新宿駅至近の好立地で、19時まで診療しており、仕事と生殖医療の両立をサポート。

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