卵子凍結の「メリット・デメリットは?」「費用は?」「痛みは?」…気になるアレコレや、ご質問の多い内容についてご説明をさせていただきます。実際に卵子凍結をされた方の痛みについてのアンケート結果や感想もご紹介しますので、ぜひ卵子凍結を具体的にイメージするのに役立ててください。
目次
今、大変注目を集めている「卵子凍結」ずばり!メリット・デメリットは?
卵子凍結は、若く妊孕性の高いうちに卵子を凍結保存し、将来の妊娠(体外受精)確率を高める方法として注目を集めています。
卵子凍結のメリット
まず、卵子凍結のメリットは2点考えられます。
- 将来の妊娠確率(体外受精の成功率)アップ
- 不妊治療より費用が抑えられる可能性が高い
まず、「将来の妊娠確率(体外受精の成功率)アップが期待できること」があげられます。これは、卵子が若ければ40代の体外受精による出産率は20代と変わらないこと(米CDC 2013)が下記の表からも分かります(※1)
※1 自社HPより抜粋(https://gracebank.jp/guide/)
また、「不妊治療より費用が抑えられる可能性が高い」ということです。というのも、卵子が若い方が流産率も低いため、結果として妊娠・出産に至る確率も凍結卵子の方が高くなるからです。
卵子凍結のデメリット
次に、卵子凍結のデメリットは3点あげられます。
- 費用負担が全額自己負担で経済的な負担がかかる
- 採卵などの医療行為で身体的な負担を伴う
- 年齢制限がある
ここ数年で、卵子凍結にかかる費用を、国や自治体が助成する動きが活発化しています。2023年9月、東京都は、健康な女性が将来の妊娠に備えるための卵子凍結(=社会的卵子凍結)にも助成金を出す方針について発表し、卵子凍結費用を1人あたり30万円程度助成することを発表しました。
東京都は15日、将来の妊娠を望む人への具体的な支援策を公表した。凍結した卵子を活用した生殖補助医療を利用する人に対し最大150万円を助成する。都は2022年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産むとされる子供の数)が1.04と全国で最も低い。妊娠を希望する人への支援を広げ、将来の妊娠の可能性を残せるようにする。
対象となるのは妻の年齢が43歳未満で、凍結卵子を使った生殖補助医療を受ける夫婦。1回につき25万円を上限に最大6回まで助成する。10月16日から申請を受け付ける。
加えて18〜39歳の都内在住の女性が都の指定する医療機関で卵子の凍結保存をする場合、最大30万円を助成する。都の調査への協力や説明会への参加が必要で、凍結する年度に上限20万円、次年度以降は年に2万円を最大5年間助成する。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC1564G0V10C23A9000000/
身体的な負担については、不安に寄り添ってくれる医療機関を選ぶといった方法も可能です。卵子凍結の痛みは主に4つです。
- 各種検査
- 排卵誘発
- 採卵
- 体外受精の胚移植
排卵誘発では本人の意思を尊重して注射や内服薬を選べる、採卵では痛みの少ない細い採卵針の使用、などの負担の少ない処置を心掛けている医療機関もあります。
年齢制限については、卵子の質や母体の健康のために設定されたものなので、1歳でも若く卵子凍結をした方がよいと捉えてください。
卵子凍結の流れは?
大きな流れとしては、以下のとおりです。
- 診療・検査
- 採卵誘発
- 採卵
- 卵子凍結・保管
これらは、不妊治療クリニックで行うのが一般的です。以下、具体的にみていきます。
診療・検査
採卵前の検査には、血液検査、超音波検査、尿検査などがあり、ホルモン値、卵巣機能、卵管の通り、卵子の数(AMH値※2)などを調べます。また、生理周期(月経期・卵胞期・排卵期・黄体期)にあわせて、さまざまな検査を複数行います。
※2 AMH(アンチミューラ管ホルモン)検査とは、卵巣の中に卵子がどのくらい残っているかを調べるための血液検査のこと。「卵巣年齢を計る検査」ともいわれる。AMHが高いと、これらが育つ卵胞が卵巣内にまだたくさんある状態、値が低いと卵胞が少なくなってきている状態ということ。
採卵誘発
質の良い卵子を複数採取するため、排卵誘発剤を使用して、多くの卵子を成熟させます。方法は、注射や内服薬など様々ですが、年齢、卵巣機能、体への負担や希望なども考慮して、その人に合った方法により行われます。
一例として、グレイス杉山SHIBUYAクリニックでの、排卵のやり方を抜粋してご紹介いたします。
「卵胞の大きさと(18~20mm程度)、女性ホルモンの値、の値を考慮して総合的に判断し採卵日を決定します。排卵日が決まったら、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)を注射もしくはGnRHアゴニスト製剤を点鼻して人為的にLHサージを起こし、卵子を成熟させ排卵を促します」
※参考HP
採卵
膣に超音波機器をいれて超音波画像を見ながら、卵巣のなかの卵胞に針をさし、卵胞液とともに卵子を吸引・採取します。クリニックにもよりますが、一般的に、排卵誘発の注射後約34時間から37時間以内に卵子を採卵します。採卵は時間にしては10分から15分くらいで終了します。
卵子凍結・保管
耐凍剤濃度の高い溶液に卵子をひたし、マイナス196℃の超低温で凍結します。液体窒素タンクのなかで保管するため、何十年も状態変化なく保存ができます。

卵子凍結までにかかる通院回数や期間は?
卵子凍結の流れをみると、病院に通うのも多くなりそうで心配になる方もいらっしゃるかもしれません。一般的な場合の目安をご紹介します。まず、1回の採卵に必要な通院回数は、約5~6回といわれています(卵胞の育ち方などによって異なるため、かかる期間は人によります)また期間は、採卵までの検査を生理周期にあわせて行う必要があるため1~2ヶ月はかかります。
ご参考までに、ひとつの例をご紹介させていただきます。
「初診で1回、卵巣の刺激を開始してから採卵日の決定までに2~3回、採卵で1回、採卵後の状態確認と結果説明で1回、合計で5~6回通院していただくのが通例です。採卵日以外は、予約時間とクリニックの場所にもよりますが、半休取得、もしくは出勤前の時間帯での対応なども可能です。」
卵子凍結にかかる費用は?
費用についても、大きな関心事であると思います。だいたいの相場を申し上げますと、1回の検査・採卵・凍結費用は30~50万円、また保管費用は年間3~5万円が相場といわれています。
ご参考までに、弊社で卵子をお預けいただく場合の料金をご紹介いたします。
クリニックへのお支払い
1回の検査・採卵・凍結にかかる費用:30~50万円程度(*クリニック毎に変動あり)

Grace Bankへの年間保管費用
- 初期費用:0円〜110,000円(税込)
- 年間保管費用:33,000円〜49,500円(税込、卵子15個まで)
初回の採卵で十分な数の卵子が採れた場合には、初年度費用としておよそ43~53万円程度、次年度以降は毎年33,000円〜49,500円の費用(税込、卵子15個まで)がかかることになります。なお、2回目以降の採卵の場合には、上記初期費用以外の採卵・凍結にかかる費用(およそ30~40万円)と毎年33,000円〜49,500円(税込)の保管費用が追加で発生することになります。

卵子凍結Q&A
卵子凍結について、よくあるQ&Aを3つご紹介します。
Q1.卵子凍結をするにあたって、痛みはありますか?
卵子凍結には、検査・排卵誘発・採卵から体外受精時の胚移植まで、痛みが生じる可能性がある処置も存在します。しかし、希望により麻酔が使用できる処置もありますので、クリニックとよく相談する必要があります。痛みを軽減するためには、痛みの少ない処置を心がけながら、不安な気持ちにきちんと寄り添ってくれる医療機関選びが大切かと思います。
Q2. 卵子凍結の費用は保険適用になりますか?補助金などはありますか?
将来に備えた卵子凍結費用は、保険適用外になります。卵子凍結の補助金が出るのは、がん治療の「妊孕性温存療法」の一部対象者に限られます。がん治療などの目的以外(将来の妊娠確率アップや、不妊治療に備えて等)で卵子凍結をする場合や、すでに自治体からの不妊治療の補助金を受けている場合は、補助金対象外になります。
また、不妊治療の体外受精のための卵子凍結費用は、医療費控除の対象になりますが、将来に備えた卵子凍結費用は、医療費控除の対象になりません。
※最新情報として、2023年9月15日、東京都の小池都知事が婦人治療支援事業の卵子凍結について、健康な人への支援を開始すると発表しました。
Q3独身ですが、将来の妊娠出産にそなえて卵子凍結保存はできますか?結婚していないとできないのでしょうか?
将来に備えた卵子凍結保存は、独身でも可能です。妊娠確率を高めるためには、1歳でも若く妊孕性(妊娠できる力のこと)の高いうちに卵子を凍結保存しておくのがおすすめ(理想は20~30代前半までの卵子凍結)です。
【卵子凍結体験者アンケート】気になる「痛み」についてのリアルな声をご紹介
卵子凍結経験者のアンケート結果による、痛みについてのリアルな声を、一部抜粋してご紹介します。

痛みレベルを5段階(※3)で評価する設問では、レベル2と答えた方が最も多く、1~3と評価した方が約6割となりました。痛みが原因で卵子凍結を躊躇されている方も多いなか、実際は小~中程度の痛みと感じられた方が半数以上でした(痛みの感じ方は個人差があります)。
※3 1が痛みを感じなかった、5が痛みを感じた、の5段階での選択式
アンケートの回答をまとめると、
- 自己注射にともなう痛み
- 採卵による痛み
- 採卵後のお腹の腫れによる痛み
が多く寄せられていました。痛みは肉体的な苦痛にくわえて、精神的な苦痛も伴う可能性が高いです。卵子凍結では、体力面でゆとりを持ったスケジュールにすることや、リラックスして過ごすことが大切なことかもしれません。
【体験談】となりの卵子凍結
Grace Bankでは、卵子凍結をした方の体験談を紹介しています。ここでは、卵子凍結の痛みに絞って、体験談を2つみていきましょう。
体験談1:痛みがとても苦手な方の体験談
35歳で卵子凍結を決断されたあすかさん。痛みが大の苦手とのことでしたが、豪華なランチなどでモチベーションをアップさせ、卵子凍結の痛みを乗り切られたそうです。
Q:痛みが大の苦手とうかがっております。卵子凍結で痛みを感じるとすれば、どのプロセスが該当しますか?
はい。それはもう、健康診断すら憂鬱なくらい苦手です(笑)。なので初診時に細かく質問し、結果、痛い可能性があるのは通院時の採血と、自己注射、採卵の3点だとわかりました。
このなかで採血だけは経験がある分ハードルは低いのですが、通院のたびに必要なので、通院日は少し豪華なランチをとってモチベーションを上げていました。
https://gracebank.jp/tonatama03/
体験談2:婦人科トラブル未経験の方の体験談
婦人科トラブル未経験の状態から、AMH検査の結果をきっかけに卵子凍結を決断したはみるさん。痛みは想像以下とのことでした。痛みの感じ方は個人差はありますが、こういった体験談は、これから卵子凍結するにあたり、励みなります。
Q:自己注射と採卵手術は大きなハードルだと思うのですが、感想はいかがでしょうか。
やる前はかなり怖かったのですが、どちらも痛みは想像以下でした。
自己注射については、「本当にできるのだろうか」と全く自信がなかったのですが、杉山産婦人科で処方されたものはかなり細く短い針。緊張はしたものの、ほとんど痛みは感じなかったです。針については、鍼灸のものをイメージしておくといいと思います。
採卵手術は間違いなく人生最高に緊張しました(笑)。局所麻酔で臨みましたが、こちらも結果として緊張の方が大きかったという感想です。今思えば採卵は体外受精と同様なので、先生がたは百戦錬磨なんですよね。そのことを意識できていればもっと緊張せずにすんだと思います。
https://gracebank.jp/tonatama01/
まとめ
現在は仕事を優先したいから、今のところ妊娠や出産を予定していなくても、いつかは…とお考えの皆さんにとって、ひとつの大きな選択肢となるのが卵子凍結保管です。妊娠力の高い良質な卵子を凍結保存しておくことは、将来の妊娠に備えた方法として効果的です。
Grace Bankでは、有名不妊治療クリニックとの連携、安心の保管システムを採用し、皆様の選択肢を大切にお守りいたします。ご質問、ご不明な点はGrace Bankまでお問い合わせください。
Grace Bankの専門医無料セミナー・個別相談会をご活用ください
卵子凍結には時間も費用も一定程度かかり、お悩みの皆様も多いことかと思います。
Grace Bankでは専門医による無料セミナーや、カウンセラーによる個別相談会(いずれもオンライン)を実施しています。専門医による解説で知識と理解を深めたうえで、カウンセラーへの個別相談で個人的な疑問や不安を解消できます。

▼この記事の監修は…
医師紹介:岡田 有香(おかだ ゆか) 産婦人科学会専門医、日本産科婦人科内視鏡学会腹腔鏡技術認定医、グレイス杉山クリニックSHIBUYA院長 順天堂大学医学部卒/聖路加国際病院8年勤務 現在まで産科、婦人科全ての領域に携わる。不妊治療を行う中で、不妊予防に興味を持ち、自身のInstagram(@dr.yuka_okada)でも生理痛や不妊、妊活の知識を発信している。 資格:da Vinci certified First Assistant (ダビンチ認定資格取得術者) 、日本母体救命システム普及協議会J-CIMELSプロバイダー 所属学会:日本産婦人科学会、日本生殖医学会、日本女性医学会、日本産科婦人科内視鏡学会、NPO法人日本内膜症啓発会議 |
202212.jpg)