卵子凍結について

将来の妊娠にそなえる卵子凍結とは~「費用は?」「痛みはある?」徹底解説~

卵子凍結の「メリット・デメリットは?」「費用は?」「痛みは?」…気になるアレコレや、ご質問の多い内容についてご説明をさせていただきます。

今、大変注目を集めている「卵子凍結」ずばり!メリット・デメリットは?

卵子凍結は、若く妊孕性の高いうちに卵子を凍結保存し、将来の妊娠(体外受精)確率を高める方法として注目を集めています。

まず、卵子凍結のメリットは2点考えられます。まず、①将来の妊娠確率(体外受精の成功率)アップが期待できることが挙げられます。これは、卵子が若ければ40代の体外受精による出産率は20代と変わらないこと(米CDC 2013)が下記の表からも分かります(※1)

また、②不妊治療より費用が抑えられる可能性が高いということです。というのも、卵子が若い方が流産率も低いため、結果として妊娠・出産に至る確率も凍結卵子の方が高くなるからです。

※1 自社HPより抜粋(https://gracebank.jp/guide/

次に、卵子凍結のデメリットも2点あげられます。まず、①費用負担が全額自己負担ということで、経済的な負担がかかるということです。また、②採卵などの医療行為で身体的な負担を伴うことが考えられます。

卵子凍結の流れは?

大きな流れとしては、以下のとおりです。

  1. 診療・検査
  2. 採卵誘発
  3. 採卵
  4. 卵子凍結・保管

これらは、不妊治療クリニックでおこなうのが一般的です。以下、具体的にみていきます。

診療・検査

採卵前の検査には、血液検査、超音波検査、尿検査などがあり、ホルモン値、卵巣機能、卵管の通り、卵子の数(AMH値※2)などを調べます。また、生理周期(月経期・卵胞期・排卵期・黄体期)にあわせて、さまざまな検査を複数行います。

※2 AMH(アンチミューラ管ホルモン)検査とは、卵巣の中に卵子がどのくらい残っているかを調べるための血液検査のこと。「卵巣年齢を計る検査」とも言われる。AMHが高いと、これらが育つ卵胞が卵巣内にまだたくさんある状態、値が低いと卵胞が少なくなってきている状態ということ。

採卵誘発

質の良い卵子を複数採取するため、排卵誘発剤を使用して、多くの卵子を成熟させます。方法は、注射や内服薬など様々ですが、年齢、卵巣機能、体への負担や希望なども考慮して、その人に合った方法により行われます。

一例として、グレイス杉山SHIBUYAクリニックでの、排卵のやり方を抜粋してご紹介いたします。

「卵胞の大きさと(18~20mm程度)、女性ホルモンの値、の値を考慮して総合的に判断し採卵日を決定します。排卵日が決まったら、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)を注射もしくはGnRHアゴニスト製剤を点鼻して人為的にLHサージを起こし、卵子を成熟させ排卵を促します」

※参考HP

採卵

膣に超音波機器をいれて超音波画像を見ながら、卵巣のなかの卵胞に針をさし、卵胞液ととともに卵子を吸引・採取します。クリニックにもよりますが、一般的に、排卵誘発の注射後約34時間から37時間以内に卵子を採卵します。採卵は時間にしては10分から15分くらいで終了します。

卵子凍結・保管

耐凍剤濃度の高い溶液に卵子をひたし、マイナス196℃の超低温で凍結します。液体窒素タンクのなかで保管するため、何十年も状態変化なく保存させることができます。

卵子凍結までにかかる通院回数や期間は?

卵子凍結の流れをみると、病院に通うのも多くなりそうで心配になる方もいらっしゃるかもしれません。一般的な場合の目安をご紹介します。まず、1回の採卵に必要な通院回数は、約5~6回と言われています(卵胞の育ち方などによって異なるため、かかる期間は人によります)また期間は、採卵までの検査を生理周期にあわせて行う必要があるため1~2ヶ月はかかります。

ご参考まで、ひとつの例をご紹介させていただきます。

「初診で1回、卵巣の刺激を開始してから採卵日の決定までに2~3回、採卵で1回、採卵後の状態確認と結果説明で1回、合計で5~6回通院していただきます。また採卵通院以外になりますが、忙しい方のために半休取得もしくは出勤前の時間帯での対応なども行っておりますので、お気軽にご相談ください。」

自社HP FAQより内容抜粋

卵子凍結にかかる費用は?

費用についても、大きな関心事であると思います。だいたいの相場を申し上げますと、1回の検査・採卵・凍結費用は30~50万円、また保管費用は年間3~5万円が相場といわれています。

ご参考までに、弊社で卵子をお預けいただく場合の料金をご紹介いたします。

クリニックへのお支払い

1回の検査・採卵・凍結にかかる費用:30~50万円程度(*クリニック毎に変動あり)

Grace Bankへの年間保管費用

  • 初期費用:0円〜110,000円(税込)
  • 年間保管費用:33,000円〜49,500円(税込、卵子15個まで)

初回の採卵で十分な数の卵子が採れた場合には、初年度費用としておよそ43~53万円程度、次年度以降は毎年33,000円〜49,500円の費用(税込、卵子15個まで)がかかることになります。なお、2回目以降の採卵の場合には、上記初期費用以外の採卵・凍結にかかる費用(おそよ30~40万円)と毎年33,000円〜49,500円(税込み)の保管費用が追加で発生することになります。

自社HP FAQより内容抜粋

卵子凍結Q&A

Q1.卵子凍結をするにあたって、痛みはありますか?

卵子凍結には、検査・排卵誘発・採卵から体外受精時の胚移植まで、痛みが生じる可能性がある処置も存在します。しかし、希望により麻酔が使用できる処置もありますので、クリニックとよく相談する必要があります。痛みを軽減するためには、痛みの少ない処置を心がけながら、不安な気持ちにきちんと寄り添ってくれる医療機関選びが大切かと思います。

Q2. 卵子凍結の費用は保険適用になりますか?補助金などはありますか?

将来に備えた卵子凍結費用は、保険適用外になります。卵子凍結の補助金が出るのは、がん治療の「妊孕性温存療法」の一部対象者に限られます。がん治療などの目的以外(将来の妊娠確率アップや、不妊治療に備えて等)で卵子凍結をする場合や、すでに自治体からの不妊治療の補助金を受けている場合は、補助金対象外になります。

また、不妊治療の体外受精のための卵子凍結費用は、医療費控除の対象になりますが、将来に備えた卵子凍結費用は、医療費控除の対象になりません。

※最新情報として、東京都の小池都知事が婦人治療支援事業の卵子凍結について、健康な人への対象拡大を「検討していく」と発言された下記のニュースをご紹介します。

2022年12月7日 18:51 小池都知事、健康な人の卵子凍結支援「対応を検討」: 日本経済新聞 (nikkei.com)

東京都の小池百合子知事は7日、都の不妊治療支援事業の卵子凍結について健康な人への対象拡大を「検討していく」と話した。小池氏は民間企業の福利厚生を例に挙げ、「健康な女性の間で将来の選択肢として関心が高まっている」と理由を述べた。同日の都議会本会議で都民ファーストの会の後藤奈美議員の代表質問に答弁した。卵子凍結はがん治療などに伴う妊孕(にんよう)性の低下に備えて実施する「医学的適応」と、健康な人が将来の妊娠のために実施する「社会的適応」によるものがある。

Q3独身ですが、将来の妊娠出産にそなえて卵子凍結保存はできますか?結婚していないとできないのでしょうか?

将来に備えた卵子凍結保存は、独身でも可能です。妊娠確率を高めるためには、1歳でも若く妊孕性(妊娠できる力のこと)の高いうちに卵子を凍結保存しておくのがおすすめ(理想は20~30代前半までの卵子凍結)です。

まとめ

現在は仕事を優先したいから、今のところ妊娠や出産を予定していなくても、いつかは…とお考えの皆さんにとって、ひとつの大きな選択肢となるのが卵子凍結保管です。妊娠力の高い良質な卵子を凍結保存しておくことは、将来の妊娠に備えた方法として効果的です。

Grace Bankでは、有名不妊治療クリニックとの連携、安心の保管システムを採用し、皆様の選択肢を大切にお守りいたします。ご質問、ご不明な点はGrace Bankまでお問い合わせください。

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▼この記事の監修は…

医師紹介:岡田 有香(おかだ ゆか)
産婦人科学会専門医、日本産科婦人科内視鏡学会腹腔鏡技術認定医、グレイス杉山クリニックSHIBUYA院長
順天堂大学医学部卒/聖路加国際病院8年勤務 現在まで産科、婦人科全ての領域に携わる。不妊治療を行う中で、不妊予防に興味を持ち、自身のInstagram(@dr.yuka_okada)でも生理痛や不妊、妊活の知識を発信している。
資格:da Vinci certified First Assistant (ダビンチ認定資格取得術者) 、日本母体救命システム普及協議会J-CIMELSプロバイダー 所属学会:日本産婦人科学会、日本生殖医学会、日本女性医学会、日本産科婦人科内視鏡学会、NPO法人日本内膜症啓発会議
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