卵子凍結について

高齢出産の初産にはどんなリスクがある?初産は予定日が遅れるって本当?

高齢での出産による、様々なリスクや初めての出産に不安がある方へ。高齢出産のリスクや高齢の初産婦と経産婦の違い、初産では予定日超過しやすいというのは本当なのか?…高齢出産の気になることを解説いたします。

2022年国内の高齢出産(初産)は約20%・7万5,000人

日本産婦人科学会によれば、高齢出産とは35歳以上の初産を指します。2022年に第1子を出産した女性約35万5,000人のうち、35歳以上で第1子を出産している人の割合は全体の21.2%で約7万5,000人というデータがあります。女性の社会進出に伴い晩婚化が進み、その結果、高齢出産が増えてきています。

  • 19歳以下…1.1%(約4,000人)
  • 20~24歳…10.0%(約3万6,000人)
  • 25~29歳…34.3%(約12万2,000人)
  • 30~34歳…33.4%(約11万9,000人)
  • 35~39歳…16.6%(約5万9,000人)
  • 40~44歳…4.4%(約1万6,000人)
  • 45歳以上…0.2%(約700人)

出典:令和4年 厚生労働省「人口動態統計月報年計(概数)」

高齢出産のリスク

近年、様々なデータから高齢出産の場合、妊娠中の合併症や出産時にトラブルが起こる確率、赤ちゃんに異常がみられる確率が高くなるということがわかっています。加齢に伴い婦人科系の病気だけでなく、全身の病気にもかかりやすくなります。また、卵子の質も低下します。これらのことから高齢出産では様々なリスクが発生します。

子どもに障がいがあらわれる確率が高くなる

35歳を超えると染色体異常の子どもが生まれる確率が高くなります。年齢が高くなると卵子が老化します。卵子の質の低下により染色体の分裂がうまくいかず、染色体の数が通常とは異なってしまうのです。その結果、子どもに障がいがあらわれることがあります。

女性の年齢と子どもの染色体異常の頻度

女性の年齢ダウン症候群の子が生まれる頻度染色体異常をもつ子が生まれる頻度
出生人数あたり出生千対出生人数あたり出生千対
20歳1/16670.61/5261.9
25歳1/12500.81/4762.1
30歳1/9521.11/3842.6
35歳1/3852.61/1925.2
40歳1/1069.41/6615.2
45歳1/3033.31/2147.6
48歳1/1471.41/10100.0

出典:「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」2013|厚生労働省より

母体の妊娠高血圧症候群のリスクが高くなる

34歳頃から徐々に、妊娠高血圧症候群の発症頻度が高くなります。妊娠高血圧症候群は、母体死亡や胎児新生児の死亡リスクにつながり、緊急帝王切開になる確率も高くなります。

画像出典:「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」2013|厚生労働省より

前置胎盤のリスクが高くなる

母体の年齢があがるにつれて、前置胎盤の発症頻度も高くなります。前置胎盤は、分娩時の大出血による母体死亡や胎児新生児の死亡リスクにつながります。前置胎盤の場合、出産は100%帝王切開になります。

画像出典:「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」2013|厚生労働省より

出産時の死亡リスクが高くなる

37歳頃から、妊産婦死亡率が高くなっています。(妊産婦死亡率とは、分娩10万に対する妊産婦死亡数)

画像出典:「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」2013|厚生労働省より

高齢出産の「初産婦」「経産婦」の違いは? 

出産にかかる平均時間は初産で約14時間、経産で約8時間とされています。経産婦では、子供が一度産道を通っているため子宮、産道、腟口などが柔らかくなっています。そのため、初産婦に比べてお産の進みが早く、出産がスムーズなことが多く、高齢出産の場合でも母体への負担が少なくなります。また、子宮口が開きやすく会陰切開の発生率が低いなど、母体にかかる身体的リスクも軽減されます。

高齢出産の初産は予定日が遅れるって本当?

初産婦か経産婦か、または母体年齢によって「出産予定日が遅れる」ことの科学的根拠はありません。ただし、高齢出産や初産では子宮頚管の熟化が起こりにくい場合があります。子宮頚管の熟化とは、分娩が近くなると赤ちゃんがと通れるように子宮の出口が軟らかくなり広がるようになることをいいます。子宮の熟化が起こりにくいと予定日が遅れる原因になります。

他にも予定日が遅れる原因には、運動不足、子宮環境が良好で胎児が下りてこない、予定日の計算がずれていた、などがあります。予定日を2週間以上超えなければ心配はないと言われています。

まとめ

高齢出産には様々なリスクがつきものです。リスクの中には卵子の質の低下によって生じるものもあります。母体の高齢化とともに卵子も老化します。若く妊孕力の高いうちに卵子を凍結保存しておくことも、将来の体外受精の成功率を高める方法のひとつです。卵子が若ければ、母体が妊娠適齢期をすぎても、妊娠出産率が高いというデータがあります。

卵子が若ければ、40代の体外受精による出産率は20代と大きく変わりません。(米CDC、2013)

※自社HPより抜粋(https://gracebank.jp

卵子凍結保存は確実に卵子を採取するため、排卵誘発剤を使って卵巣刺激を行い、いくつかの卵胞を育てて採卵に臨みます。そうすることで、1回で複数個の卵子を採取することができるのです。採卵した卵子は、高速で凍結する急速ガラス化法により凍結され、マイナス196℃の液体窒素内に保存することにより、半永久的にそのままの状態を保つことができます。(※1)卵子凍結保存にかかる費用は、麻酔なし、成熟卵9個を凍結・保管した場合ですと、約39万円です。(※2)

卵子凍結保管サービスを行うGrace Bankは、国内最大級バンクであり、過去20年以上に亘って無事故を誇る安心の保管システムを運用するステムセル研究所と提携し、万全の環境であなたの大切な卵子を保管できます。(※3)また、Grace Bankでは国内最高峰の厳選された不妊治療クリニックを全国に組織化しているので、転勤や引っ越しの際でも凍結卵子をどの提携クリニックでもご利用いただけます。(※4)

※1 自社HPより内容抜粋 卵子凍結とは – Grace Bank(グレイスバンク) | 卵子凍結保管サービス
※2 自社HPより内容抜粋 費用 – Grace Bank(グレイスバンク) | 卵子凍結保管サービス
※3 自社HPより内容抜粋 20年以上無事故の安心の保管システム – Grace Bank(グレイスバンク) | 卵子凍結保管サービス
※4 自社HPより内容抜粋 厳選クリニックの全国ネットワーク – Grace Bank(グレイスバンク) | 卵子凍結保管サービス

加齢の影響でリスクが高くなることは仕方ありません。しかし、妊婦健診でリスクを早期に発見し、対応できることもあります。妊娠中はきちんと健診を受けましょう。一番大切なことはお母さんが心身ともに健康な状態で赤ちゃんを迎えてあげることです。あれこれと心配しすぎることなく無理のない生活を心がけましょう。

▼参考文献
まだ産める?もう産めない?「卵子の老化」と「高齢妊娠」の真実 河野美香レディースクリニック院長 河野美香
間違いだらけの高齢出産 慶応義塾大学病院産婦人科教授 吉村泰典
▼参考URL
https://www.ncchd.go.jp/hospital/pregnancy/bunben/img/guide_11.pdf
https://find.ferring.co.jp/res/front/product/propess/RMP_20200421.pdf

監修者

名倉 優子 なぐら ゆうこ

杉山産婦人科 日本産科婦人科学会専門医


杉山産婦人科 (東京都新宿区)

70年あまりの歴史を持ち、過去10000人以上の患者様と向き合ってきた生殖医療専門クリニックのトップ施設。
不妊検診センター、内視鏡手術、体外受精など生殖医療に特化。
新宿駅至近の好立地で、19時まで診療しており、仕事と生殖医療の両立をサポート。

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