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そもそも正常な生理とは?
正常な生理かどうかは、周期・期間・経血量から判断することが必要になります。
生理周期
24~39日間が正常な範囲といわれています。24日以下の場合で、当該症状が3ヶ月以上続く場合は、「頻発月経(※1)」という生理不順が疑われます。また、39日以上の場合で、当該症状が3ヶ月以上続く場合は、「稀発月経」という生理不順が疑われます。いずれの原因も、ホルモンバランスの乱れや卵巣機能の低下などが考えられます。
(※1)頻発月経をより細分化すると、3つに分かれます。
- 無排卵性頻発月経:排卵が起きていない状態のこと
- 黄体機能不全型頻発月経:排卵後から次の生理までの日数が短い状態のこと
- 卵胞短縮頻発月経:排卵そのものは起こっているが、卵胞期が短く、生理から排卵までの期間が短い状態のこと
生理の期間
3~7日が正常な範囲といわれています。2日以下の場合で、当該症状が3ヶ月以上続く場合は、「過短月経」という生理不順が疑われます。また、8日以上の場合で、当該症状が3ヶ月以上続く場合には、「過長月経」という生理不順が疑われます。いずれの原因も、ホルモンバランスの乱れなどが考えられます。過長月経の場合は、子宮筋腫、子宮腺筋症などが原因の可能性もあります。
生理の経血量
20~140mlが正常範囲といわれています。具体的には、使う生理用ナプキンが多い日には1日5~6枚、少ない日には、3~4枚程度です。経血量が多い(レバーのような塊がまじる、昼用ナプキンが1時間もたない)場合で、当該症状が3ヶ月以上続く場合は、「過多月経」という生理不順が疑われます。また、経血量が少ない(ナプキンを使わなくても良いくらい、または、ナプキンに経血がわずかに付くくらい)場合で、当該症状が3ヶ月以上続く場合は、「過少月経」という生理不順が疑われます。いずれの原因も、ホルモンバランスの乱れなどが考えられます。
生理不順のおもな原因と対策は?
思春期や更年期障害
思春期は子宮や卵巣機能も未成熟なうえ、ホルモンバランスも乱れがちで、生理不順や生理痛が起こりやすい時期です。また、更年期障害もホルモンバランスの乱れの一種で、加齢に伴ってエストロゲン(卵胞ホルモン)が減少することが原因で、生理不順の状態になりやすいです。このような、思春期や更年期障害の生理不順は、成長や加齢とともに自然に落ち着くことも多いですが、緩和するには、漢方薬、低用量ピル、ホルモン剤などによる治療も効果的です。
女性ホルモンバランスの乱れ
そもそも、女性ホルモンの「ホルモン」とは、体内の情報伝達物質の一つで、「刺激する」という意味のギリシャ語「ホルマオ」に由来します。ホルモンは100種類以上あり、視床下部、下垂体、甲状腺など内分泌器官で作られ放出されます。女性ホルモンは、卵巣で分泌されるホルモンで、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類があります。女性ホルモンの分泌を調整するための上位ホルモンは脳の視床下部から分泌されます。視床下部は、自律神経や様々なホルモンの調整をするための司令塔で、ストレスの影響を受けやすく、ストレスがかかると分泌が乱れたり、影響を受けます。ストレスのほかにも、疲労や加齢などの影響も受けます。
女性ホルモンのバランスを整えるには?|バランスのよい食生活
では、女性ホルモンのバランスを整えるにはどうすればよいのでしょうか。まずは、バランスのよい食生活が大切となります。人間のからだには、体重の約8%の量の血液が流れています。血液には様々な役割がありますが、血液は毎日の食事から作られることを考えると、よい食生活を送る=女性ホルモンが作られる卵巣に十分栄養が届けられることになります。
女性ホルモンのバランスを整えるには?|適度な運動
次に、適度な運動も大切になります。からだを動かすことで、血液の循環がよくなり、卵巣をはじめとする臓器に酸素や栄養を十分に届けることができます。「血液はひと時も休まずに、体内を循環しているので、運動は、毎日少しずつ続けて行うことが大切です。週に1回だけ、ジムで2時間の運動をするより、毎日10分間家でストレッチしたり、歩いたりするほうが効果がある」(※2)といわれています。日々の適度な運動を心掛けたいですね。
(※2) 決定版 女性ホルモンの増やし方 新野 博子 監修 宝島社 より引用
婦人科系の病気
子宮内膜症、子宮筋腫、子宮頸がん、子宮体がん、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などの病気が隠れている可能性があります。気になる症状がある場合は、早めに病院を受診しましょう。適切な治療をすることが大切になってきます。
妊娠
生理が1週間以上遅れている場合は、妊娠の可能性があります。早めに市販の妊娠検査薬や産婦人科で検査しましょう。
まとめ
生理不順は何となく毎月見過ごしてしまうことも多いです。正常な生理かどうか把握するために、手帳やスマホのメモ機能などでご自分の健康状態を書き留めておくのも、健康管理の1つとしておすすめです。気になる症状がある場合は、まずは婦人科の受診をなさってください。
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また、女性ホルモンのバランスの改善は、食事・運動・睡眠の生活習慣を良好なものにすることをお勧めします。「大豆イソフラボン」は女性らしさをつかさどるエストロゲンと似た働きをします。ただし、過剰に摂取すると胃腸障害・肥満などの副作用がでることもあるので注意しましょう。
最後に、もし将来の妊娠を望んでいるのであれば、妊娠には健康な卵子を保つことが大切になるということをお伝えしたいと思います。このコラムでお伝えした生理不順も、女性ホルモンバランスが乱れていることが多く、卵巣機能の低下や卵子の老化が早まる懸念があります。妊娠に必要なステップは様々ありますが、特に重要となるのが「卵子の質」です。卵子の質は年齢とともに低下します。将来の妊娠に備えるならば1歳でも若く卵子の質が高いうちに、卵子凍結保存することが1つの大きな選択肢になり得ます。
管理栄養士紹介:小林 れい子(こばやし れいこ) 管理栄養士 長野県生まれ、東京農業大学栄養科卒業。保健所の生活改善推進員として、講義と調理講習を行う。この活動が認められ農林水産大臣賞を受ける。その後墨田区公立保育所に勤務、平行して職場内研修の講師を務める。その後は、調理専門学校で講義を行う。長年の保育所での実体験に基づいた乳幼児期の食育活動をライフワークとしている。 |
▼参考文献 生理痛ぬけ。 杉山 卓也 著 三才ブックス
名倉 優子 なぐら ゆうこ
日本産科婦人科学会専門医
グレイス杉山クリニックSHIBUYA (東京都渋谷区)
杉山産婦人科の医師・培養士による技術を用いた質の高い診療を提供。
将来の妊娠に備えたプレコンセプションケアと卵子凍結にフォーカスした診療。
スタッフは全員女性。明瞭な料金設定も人気!