セミナーレポート

女性の「QOL」アップに必要なことは?(後編)/ LiLi 廣岡絵美さん、mederi 坂梨 亜里咲さん、グレイス杉山クリニックSHIBUYA岡田院長

キャリアの選択とプライベートの選択。

子どもを持つのか、そうでないのか。持つとしたら、いつのタイミングがいいのか。どんな道を選ぶにしても、迷いや不安があるのは、多くの女性がうなずくところではないでしょうか。

女性が心身ともに輝けるようなQOL(Quality of Life:生活の質)アップに向け、人生について迷って考えて進んできた3人の女性のお話の後編です。(前半はこちら)

登場いただくのは、キャリア志向の女性をアップデートする教育サービス「LiLi」株式会社の代表取締役、廣岡絵美さん、オンラインピル診療サービス「mederi Pill(メデリピル)」の代表取締役、坂梨 亜里咲さん、そしてグレイス杉山クリニックSHIBUYAの岡田有香院長です。

後半は、3人の女性たちが立ち上げた事業にかける思いと、20〜30代の女性たちに伝えたいことについてお話しします。

廣岡:岡田さん、産婦人科医だから効用がわかっていたので、ピルを飲んだとお話をされていました。ピルはどうして、知識が伝わらずに服用率が低いのでしょうか?

岡田:診療でピル出すのは普通ですし、産婦人科の医師の8割の女性医師がピルを飲んでいます。ピルの重要性、効用も知っていても、副作用を気にする人が多い印象です。怖いというところで、近づかない人がいるのではないかと思います。

血栓症のリスクも言われていますが、1万人に2人なるものが、ピルを飲むと5人くらいになるかもしれないと言われています。ただ、出産後の女性は25人くらいになります。

血栓症はピルを飲むより、出産のリスクの方が高くなるので、リスクと利益と考えて、内服を考えてもらう人がいてもいいのかと思います。

廣岡:私が運営する女性のキャリア支援するスクール「LiLi」では、20代後半で結婚し、30代までに子どもが欲しいという人も多いのですが、準備してない人も多い印象です。そして気がついた時に、不妊治療が始まるという人が増えています。

もっと事前に準備できることがたくさんあると思っていますが、その解決口がピル、卵子凍結という情報が伝わればいいなと思っています。

岡田:10代の人たちに学校などで情報を伝えるのは、今からできるかもしれないのですが、20代の人はそういう段階が終わってしまっています。LiLiさんのようなところで伝えてもらうのは大切だと思うのです。

不妊になってからクリニックに行くのでなく、ならないようにしていくことが大切。

不妊というと、自分は違うという人がいて、まさか自分がという人が多いのですが、そうなる前に知ってもらって、キャリアを考えるという方が時間もお金も無駄にしないと思います。

廣岡:個人的な話ですが、娘が16歳です。いつから産婦人科の先生にかかったらいいでしょう?

岡田:アメリカ、ヨーロッパは思春期から、かかりつけ医を持つので、本来はそのあたりから産婦人科のかかりつけ医を持ってほしいですね。症状を相談しながら、月経不順があったり痛みがあったりしたら、ピルも選択肢だし、それが合わない場合は漢方など様々な選択肢があります。

廣岡:この大切さは、子どもの親世代にも伝え続けないといけないですね。

廣岡:女性の健康という領域で多くのサービスが出てきている気もしています。そこで、どうして必要なのかしっかり伝わらないと、「ピルなのね」「卵子凍結、ふーん」となってしまうのでないか、それではもったいないと思うのです。皆さんはどんな思いで事業をされていますか?

坂梨:創業して1年は、原体験である妊活サポート事業をしてきました。早くから妊活の知識を持つのが大切だよと伝えたかったのです。

ところが、妊娠のサプリやチェックキットは、今妊娠に関して取り組みたい人にしか届かなかったのです。届けたいのは、そこに「関心のない人」だったので、それでピルを始めたという経緯があります。

PMSや生理痛に向き合えて、そこから女性の体の仕組みをしっかり知ってもらって、そうしたら最後に妊娠サポートをさせてもらえるなと思ったのです。

ピルは10歳〜40歳までの女性にとって、毎月のトラブルケアをする有用な医薬品です。そこからユーザーとの接点を持てるのは素敵だと思い、モチベーションを高く持ってやっていますね。

廣岡:坂梨さんは、なぜご自身でこの事業をやろうと思っているのでしょうか。

坂梨:オンラインピルサービスは売れる商材なのですが、私はビジネスからスタートしているのでなく、女性として体験したことがあるので、その体験した世界観でプロダクトをお届けできるのではと思っています。

私がやらないと誰がやるのかというくらいの使命感があります。

廣岡:岡田先生はどうでしょう?

岡田:医師になって、手術がとても好きだったのです。その手術が子宮筋腫や子宮内膜症でした。妊娠を望む人にとって、妊娠するために手術をしましょう、というものだったけれど、この手術が20代後半でやらなくてはいけない場合もあります。

子宮内膜症などで不妊になると思ってはいないと思うのですが、それがあるだけで不妊になってしまう。

子宮内膜症の半分が不妊になるのです。それを手術で直していたわけですが、手術前に治した方がいいのではないかと思うようになりました。30代の半ばになって、不妊治療入ったと同世代が悩む姿を見て、そこから何かできないかと思ったのがきっかけです。

廣岡:日本では、結婚した3組に1組は不妊治療を考えているそうですね。

岡田:日本は不妊治療を始める年齢が高いことがあります。30代後半が一番多いボリュームゾーンなのですが、アメリカは30代の前半です。

30代後半だと成功率が下がってくるので、30代前半から妊活できるといいのです。ただ、30代前半まで働き、妊娠・出産が考えられないという社会システムもいけないと思います。

そのような環境に置かれている人たちが、今できることとしては、卵子凍結が選択肢になるのではないかと思っています。

坂梨:選択肢を多く残した方が、後悔がないと思います。毎月メデリピルで体をケアしたり、卵子凍結をするというのもそうだと思いますが、未来の女性の選択肢として、何を残しておけるかですね。

岡田:年代で価値観は変わっていきます。30代まで全く子どもが欲しいとは思わなかったけれど、30代の半ばになって子どもが欲しくなったという人もいます。将来のための選択肢を考えておくというのはいいかなと思います。

廣岡:私自身考えさせられる時間でした。娘にできていることがあるし、私も気がつかないことがあったと感じました。女性が自分らしく生きるためにも、あらゆるキャリア選択ができるようになるためにも、こういうサービスが浸透する社会を作っていきたいですね。

岡田:女性の体について、少しでも知ってもらえたらと思う時間でした。少しでも今日のお話を聞いて、一歩動き出そうと思ってもらえたらありがたいです。そこでできることは全力でサポートしていきたいです。


◆ 本記事の内容に関しては、2022年1月20日に行った 『女性のQOLを高めるには?(LiLi x mederi x Grace Bank 特別企画)』 の動画にてより詳しくご視聴いただけます。

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