卵子凍結について

体外受精の回数と妊娠確率|回数を重ねると妊娠確率はアップする?

不妊治療を悩まれている方、始めている方で、「体外受精は回数を重ねると妊娠確率がアップするのか?」と疑問をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。

体外受精は、タイミング法や人工授精など体内での受精が難しいという方の次のステップです。女性の体内から卵を取り出し(採卵)、体外で受精させてできた受精卵をまた子宮に戻します(胚移植)。

体外受精は繰り返せば成功確率が高くなるのでしょうか。時間も費用もかかる治療ですので気になるところかと思います。

今回は体外受精の回数と妊娠確率についてご紹介します。

体外受精の回数と確率

体外受精は無制限に回数を増やせばいいというものではありません。

体外受精を行う病院にもよりますが、体外受精1回目で妊娠する確率は約20%、体外受精4回目までに妊娠する確率:約80~90%といわれています。

また、多くの病院では3回もしくは4回までが適切と考えられています。 5回以上繰り返してもなかなか成功しないという場合には子宮や卵子、精子に問題があることが多く、詳細な検査を勧められる場合があります。

【年齢別】体外受精の妊娠確率

体外受精は、年齢により妊娠確率は下がっていきます。

凍結卵子を融解後に、卵子が生存・受精(顕微授精)し良好な受精卵が確保できた場合の受精卵1つあたりの妊娠率は以下の通りです。(杉山産婦人科データより)

30歳以下・・・35%程度
31~34歳・・・30%程度
35~37歳・・・25%程度
38~39歳・・・20%程度
40歳以上・・・15%以下

30代後半から妊娠率は急激に下がっていきます。

自然妊娠でも同様に30代後半から下がっていくことがわかっているので体外受精をお考えであれば、少しでも早い時点で始めることをおすすめします。

1回の体外受精にかかる費用

1回の体外受精を行うために必要な過程は以下の通りです。

  1. 採卵(局所麻酔や静脈麻酔をする場合あり)
  2. 精子処理 
  3. 受精
  4. 受精卵(胚)の培養
  5. 胚移植

それぞれの過程に約数万円ずつの費用がかかり、病院により違いはありますが約20〜60万円が必要と言われています。

体外受精の費用の保険適用

2022(令和4)年4月から不妊治療の治療費が保険適用になりました。

1回あたり高額な治療費を払わなければならなかったため、なかなか体外受精に踏み出せないというカップルも多かったでしょう。

以前から不妊の検査や、症状がある場合の治療には保険が適用されていましたが、今回新たに体外受精や顕微受精も含めて3割負担になりました。

しかしここで注意しなければならないのが、保険適用には条件があることです。

「年齢制限」

治療開始時における女性の年齢が

  • 40歳未満:通算6回までの移植が保険適用
  • 40〜43歳未満:通算3回までの移植が保険適用
  • 43歳以上:適用なし

また、医療費控除や医療費が高額になった場合には高額療養費制度も対象になります。

参考:https://www.cfa.go.jp/policies/boshihoken/funin

体外受精の妊娠確率を高める「卵子凍結保存」とは

現在の生殖医療はとても進歩していて、卵子凍結保存という選択肢を選ぶことができます。

以前、卵子凍結保存はガンなどの病気の治療によって将来子どもを授かれないかもしれないという方たちのために始められました。

体内から取り出した卵子はマイナス196℃の液体窒素の中で安全に半永久的に保存することが可能です。凍結した卵子は長期間その質を劣化することのないまま保存され、将来妊娠したいという時が来たら解凍して体外受精に使用できます。

そうして生まれた子供について染色体異常や発達障害などのリスクが増えるという事実が見られなかったため承認されました。

このため今では治療が必要な女性だけでなく、健康で将来妊娠したいと考えている女性も対象に卵子を凍結保存できるようになりました。

若く妊孕力の高いうちに卵子を凍結保存しておき、将来の体外受精の成功率を高めることができます。卵子が若ければ、母体が妊娠適齢期をすぎても、妊娠出産率が高いというデータがあり、40代の体外受精による出産率は20代と大きく変わりません(米CDC、2013)。

凍結卵子保管サービスのグレイスバンクをご存知ですか?

グレイスバンクは、クリニックで採卵・凍結した凍結卵子保管専門のサービスを提供しており、クリニックで採卵・凍結から保管まで行う場合とは異なり、体外受精を行う際は全国の提携クリニックにて凍結卵子の利用が可能です。

グレイスバンクは確かな実績を持った経験豊富な有名不妊治療クリニックと提携しています。また、従来の不妊クリニックのような小型の液体窒素タンクによる保管とは異なり、臍帯血バンクのステムセル研究所と提携し、今まで20年以上無事故を誇る同社の専用大型タンクで24時間365日一括管理をしています。保管施設は地震や津波に強いエリアに設置され、停電対策も万全、安心のシステムで大切な卵子を保管します。

東京都では卵子凍結に係る費用を最大30万円助成

東京都は、23年9月15日、健康な女性の卵子凍結について自治体として支援を開始すると発表しました。

これまで東京都では、がんの治療のために女性が妊娠するための力(妊孕性:にんようせい)を温存する方法として、卵子凍結への支援をしていましたが、健康な女性の将来への備えとしての卵子凍結を支援するのは初めてです。

※2021年度より、「妊孕性温存療法」に対して都道府県が助成を行うようになっています。

まとめ

1度の体外受精でも高額な費用がかかりますので始めるのに勇気がいりますが、年齢としては少しでも若い方が妊娠率が高いことがわかっています。

もし不妊治療を始めようとお考えであれば少しでも早いうちに病院に相談してみてください。

また、体の年齢が上がっても卵子が若ければ妊孕力は高いままであることから卵子の凍結保存も選択肢の1つとしてご検討ください。

監修者

名倉 優子 なぐら ゆうこ

日本産科婦人科学会専門医


グレイス杉山クリニックSHIBUYA (東京都渋谷区)

杉山産婦人科の医師・培養士による技術を用いた質の高い診療を提供。
将来の妊娠に備えたプレコンセプションケアと卵子凍結にフォーカスした診療。
スタッフは全員女性。明瞭な料金設定も人気!

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