毎月の生理の出血が長引き、病気ではないかと心配している方へ。生理が終わらない原因と対策について解説していきます。
目次
生理が終わらない4つの原因
一般的に生理は25〜38日周期、7日程度で終わるのが正常とされています。生理周期は毎回同じとは限らず、前後数日以内のずれであればあまり心配することはありません。しかし、様々な原因で出血が長引き、生理が終わらないことがあります。
過長月経
生理期間の異常には、月経期間が8日以上続く過長月経と2日以内に終わる過短月経があります。生理がダラダラと8日以上続く過長月経の原因は、ストレス、疲労、ダイエットなどによるホルモンバランスの乱れであると言われています。
思春期や更年期
ホルモンバランスが乱れやすい10代の思春期や40代以上の更年期では、生理不順による過長月経や、不正出血が起こりやすいとされています。10代の場合、初潮から数年間はホルモンバランスが安定しないため、生理不順が起きやすくなります。
周期的に起こる長引く生理は、排卵障害による無排卵周期症の可能性もあります。
ピルの副作用
低用量ピルを服用していると、まれに副作用で、不正出血が起こることがあります。
子宮の病気
子宮筋腫、子宮のポリープ、子宮内膜症、子宮のがんなどの病気が原因で、不正出血が起こることもあります。
子宮筋腫
子宮筋腫は、子宮の中に良性の腫瘍ができた状態のことをいいます。子宮が筋腫で腫れて大きくなると、子宮内膜の範囲も広がるので、生理の際の出血量が増え、出血が続く原因となります。
子宮のポリープ
ポリープとは、できもの、腫瘍のことです。子宮頸管や子宮内膜にできることがあります。ポリープはほとんどが良性です。やわらかく組織がもろいので、性交の摩擦やスポーツの刺激で傷ついて出血することがあります。
子宮内膜症
子宮内膜症とは、本来子宮の内側を覆っているはずの内膜が卵管、卵巣、腹膜など子宮周辺の組織に増殖することで発生する病気です。生理のサイクルに伴って剝がれ落ちますが、経血の出口がないため、血液が貯まり炎症を起こしたり、周囲の組織に癒着したりします。生理のたびに進行するので、年々生理痛が重くなり、経血も増え、不正出血も見られます。
子宮のがん
子宮頸がんと子宮体がんを合わせて子宮がんといいます。子宮頸がんは進行すると不正出血や悪臭のするおりものが見られます。子宮頸がんは初期に不正出血や血が混じった茶色いおりものが見られることがあります。
生理が終わらないときの対策
婦人科を受診する
まずは、早めに婦人科を受診しましょう。生理のトラブルだと思っていた症状が、実は病気が原因だったということもあります。ちょっとした生理の異常から病気が見つかり、早期治療につながるケースもあります。
また、ホルモンバランスの乱れは漢方薬や低用量ピルなどの薬物療法でしっかり改善できる場合があります。
セルフケアでホルモンバランスを整える
自律神経や女性ホルモンバランスが整うことで過長月経などの生理不順の改善が期待できます。バランスの良い食事、十分な睡眠と休息、ストレス発散、漢方薬服用による血行改善や体質改善など、ホルモンバランスを整えるセルフケアを取り入れてみましょう。
生理が終わらないときのFAQ
生理がなかなか終わらず、鮮血が出ます。重い病気でしょうか?
鮮血=必ずしも重篤な病気とは限りません。良性の子宮頸管ポリープなど、膣の出口に近い場所から出血している場合は、鮮血が出ることもあります。ただし、安易な自己判断は禁物です。まずは一度婦人科を受診し、医師に相談しましょう。
40代になってから、生理が長引くことが多くなりました。原因は何でしょうか?
更年期、もしくは更年期のはじまりのプレ更年期で、ホルモンバランスが乱れている可能性があります。子宮筋腫や子宮腺筋症の可能性も考えられます。
生理が終わらないとき、病院に行くタイミングは?出血中でも病院に行って良いのでしょうか?
出血中でも婦人科受診はOKです。病院によっては出血中は内診をおこなわず、腹部エコーなどで診察する場合もあります。
生理が終わらない症状は早めに治療を!不妊の原因にも
生理が終わらない、不正出血が続くといった場合には、女性ホルモンバランスの乱れや、子宮の病気の可能性も考えられます。そして、それらを放置すると子宮や卵巣にダメージが蓄積し、不妊リスクが高くなります。女性の健康のためにはもちろん、将来妊娠を考えている人は早めの治療を行うことが大切です。
将来妊娠を考えている人に知ってほしい「卵子凍結保存」
将来妊娠するために必要な卵子は、生理のたびに在庫数が減り、加齢とともに質が低下していきます。つまり、年齢を重ねるとともに、妊娠できる可能性は低くなっていくということです。いざ妊娠出産を望んだときに、不妊に悩む女性は多くなっています。
そんな悩みを解決する卵子凍結保存をご存じでしょうか。卵子凍結とは、若く妊孕性の高いうちに、質の良い卵子を保存し、将来の不妊リスクに備えるシステムです。排卵誘発剤を使って卵巣刺激を行い、いくつかの卵胞を育てて複数個の卵子を採取します。採卵した卵子は、マイナス196℃で凍結保存し、将来年齢を重ねて子供がほしくなったときに、体外受精で使用することができます。
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まとめ
生理が終わらない原因には、ホルモンバランスの乱れや、子宮の病気が関係している可能性があります。心配なことがあれば早めに婦人科を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。生理のトラブルは、将来不妊の原因となることもあります。将来の不妊に備える卵子凍結についてぜひ知っておいてください。
▼参考文献
- 妊娠出産のリテラシー「精子・卵子の老化」を超えて 齊藤 英和 杉森 裕樹 編
- 女医さんが教えてくれた女性ホルモンがわかる本 網野 幸子 監修
- 卵子の大切なお話 井沢 かおり 著 山室 理 監修
- 体の声を聞くことで生理が楽になる 安部 雅道 著
名倉 優子 なぐら ゆうこ
日本産科婦人科学会専門医
グレイス杉山クリニックSHIBUYA (東京都渋谷区)
杉山産婦人科の医師・培養士による技術を用いた質の高い診療を提供。
将来の妊娠に備えたプレコンセプションケアと卵子凍結にフォーカスした診療。
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