仕事、勉強、育児でストレスや疲れが溜まり、体の不調、特に女性は生理不順になり悩んでいらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
なぜストレスが生理不順を引き起こすのでしょう?今回はストレスによって引き起こされる生理不順を解消する糸口を探していきます。
目次
ストレスが生理不順を引き起こす仕組み
ホルモンのコントロールセンターである脳の視床下部(※1)には、自律神経の中枢があります。心やからだに、ストレスを受けると、脳の視床下部からストレスホルモンが分泌されます。ストレスホルモンが分泌されることにより、自律神経のバランスが崩れ、女性ホルモン(※2)の分泌を抑制するなどの影響を与えてしまうことになります。このようにして、女性ホルモンの分泌が乱れると、生理不順を起こすことになってしまいます。
(※1)視床下部 自律神経系や内分泌系のコントロールをし、さまざまな調整機能を持つ脳の部位です。
(※2)女性ホルモン 卵巣から分泌されるホルモンを、女性ホルモンといいます。女性ホルモンは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2つから成ります。エストロゲンは、卵胞の発育とともに産生され、子宮内膜を増殖させたり、頸管粘液の分泌を促したりする働きがあります。プロゲステロンは、黄体から分泌され、子宮内膜の着床準備や妊娠維持の環境を整えるなどします。
生理不順とは?
「生理不順」という言葉は、明確にはどのような事を指すのでしょうか?そもそも、正常な生理とは、周期は25~28日程度、期間は3~7日程度、量は20~140g(※3)が目安といわれています。この正常な生理に、当てはまらない場合が「生理不順」の状態であるということになります。
(※3)目安は生理用ナプキンが多い日には1日5~6枚、それ以外の日は1日3~4枚程度
生理不順を解消する5つの方法は?
生理不順を解消するには、ストレスや疲れを軽減したり、解消することでストレスホルモンの分泌を抑え、心身のバランスを整えることが大切になります。また、生理不順の症状が、病気が原因である場合は、婦人科を受診し、治療することが大切になります。
規則正しい生活
睡眠不足や栄養不足は、疲れやストレスの原因になるといわれています。十分な睡眠、バランスのよい食事を心掛けることが大切になります。
食事は、女性ホルモンバランスを整えるのに効果的なメニューを選ぶのがお勧めです。大豆イソフラボンや、亜鉛、ビタミンを含む食材を積極的に摂るのが効果的です。食事は主食に主菜と野菜をそろえるようにし、それに加えて、朝食に豆乳きな粉ドリンク、昼食にかつお節・焼き海苔、夕食に豆腐・味噌汁、おやつにナッツなどを足してみるのはいかがでしょうか?
リラックス
疲れやストレス解消には、心も体もゆっくり休むことが、何より効果的です。仕事や家事、育児で頑張りすぎている方は、手を抜けるところは抜いてみるのはいかがでしょう。
適度な運動
適度な有酸素運動は、ストレス解消に役立つのでおすすめです。例えば、ウォーキング、エクササイズ、ランニング、ヨガ、ピラティスなどです。全身の血行や代謝がよくなり、自律神経や女性ホルモンが整うといわれています。また、美容やポジティブシンキングにも効果的と言われています。外での運動が難しい場合は、ご自宅で簡単なストレッチから始めてみてはいかがでしょう。ぜひご自分のスタイルにあった方法を見つけてください。
漢方薬の活用
女性ホルモンバランスを整える漢方薬を補助的に摂ることで、生理不順が解消されるケースもあるようです。例えば、漢方薬でしたら温経湯(ウンケイトウ)、当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)などです。
婦人科での治療
生理不順の中には、子宮筋腫などの病気が原因のケースがありますので、婦人科で根本的に治療することが大切です。生理不順がひどくて、つらい場合には我慢をせずに、原因を突き止めるための検査を含めて、迷わずに婦人科を受診するのがおすすめです。気になる症状がある場合は、是非早めの受診をお願いいたします。
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ストレスは生理不順だけではなく、卵子の老化を早める恐れも
生理不順の原因に、ストレスが関与することはお伝えしましたが、ホルモンバランスの乱れは、卵子の老化を早める恐れがあります。女性は年を重ねるごとに、皮膚や髪質などの老化を感じます。実は、卵子も「卵子の質」が低下します。そもそも卵子は、出生時に訳200万個の原子卵胞がありますが、初潮のころには30万個、それ以後は1か月あたり1,000個ずつ減り、38歳では、約3万個と、量も減少します。老化した卵子は、排卵(※4)に至るまで成長するのが困難になったり、卵子としての機能を失っていくことが多くなります。
年齢とともに、生理的現象として、卵子の質も量も低下していきますが、ホルモンバランスの乱れはさらにこの老化を加速させる原因になる可能性があります。ですから、ストレスを溜め込まず、女性ホルモンバランスに気を遣いながら生活することは、とても大切になってきます。
(※4)排卵としての機能
誰も教えてくれなかった卵子の話 杉本公平・鴨下桂子 著 集英社
排卵のしくみを、福引きにたとえると、ガラガラ(回転式福引器)が卵巣で、その中に入っている玉は卵子。最初のうちは、たくさん玉(卵子)が入っていて、そのほとんどが当たり玉。ゆえに当選(妊娠)確率は高い。しかし、時が経つにつれてガラガラの中の玉数はどんどん減っていき、当たり玉も少なくなり、当選確率は低くなる。生理がある間は、妊娠できると思っている人も多いが、それは間違い。閉経の10年以上前から妊娠可能な卵子の当たり玉は減っている。ちなみに排卵までに成長できるのは、すべての卵子の約5,000分の1にすぎない
若い卵子を凍結保存できる「卵子凍結保存」について
卵子は生理的現象として、質も量も低下し、老化していきますが、卵子の年齢が若いうちに凍結保存をすることができます。今大変注目を集めているのが、グレイスバンクの凍結卵子の保管サービスです。卵子凍結保存は、卵子が若く、妊娠力の高いうちに凍結保存し、将来の不妊治療時に役立てるというものです。
卵子凍結保存は確実に卵子を採取するため、排卵誘発剤を使って卵巣刺激を行い、いくつかの卵胞を育てて採卵に臨みます。そうすることで、1回で複数個の卵子を採取することができるのです。採卵した卵子は、高速で凍結する急速ガラス化法により凍結され、マイナス196℃の液体窒素内に保存することにより、半永久的にそのままの状態を保つことができます。グレイスバンクの凍結卵子の保管は、20年以上無事故の万全の環境で保管される仕組みです。
まとめ
日頃からストレスは誰もが避けたいものです。ストレスは、女性にとって生理不順だけでなく、美容や将来の妊娠などにも影響が心配されるので、和らげていきたいですね。本日ご紹介した5つの方法が、お役に立てば幸いです。また、加齢に伴う妊娠確率が下がるリスクを避けるためのひとつの選択肢として、卵子凍結保存もぜひご検討ください。
管理栄養士紹介:小林 れい子(こばやし れいこ) 管理栄養士 長野県生まれ、東京農業大学栄養科卒業。保健所の生活改善推進員として、講義と調理講習を行う。この活動が認められ農林水産大臣賞を受ける。その後墨田区公立保育所に勤務、平行して職場内研修の講師を務める。その後は、調理専門学校で講義を行う。長年の保育所での実体験に基づいた乳幼児期の食育活動をライフワークとしている。 |
名倉 優子 なぐら ゆうこ
日本産科婦人科学会専門医
グレイス杉山クリニックSHIBUYA (東京都渋谷区)
杉山産婦人科の医師・培養士による技術を用いた質の高い診療を提供。
将来の妊娠に備えたプレコンセプションケアと卵子凍結にフォーカスした診療。
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