卵子凍結について

生理中に下痢がおこる原因と5つの対策

生理中の下痢、腹痛、吐き気などの胃腸症状に悩んでいる方へ。生理中に下痢が起こる原因、対策や治療法について解説します。

生理中に下痢が起こる原因

生理前や生理中の胃腸症状は、エストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンのバランスやそれに伴う神経物質の増加が原因で起こります。

卵胞期・排卵期エストロゲンが増加するトラブル起こりにくい
黄体期プロゲステロンが増加する便秘になりやすい
生理中プロスタグランジンが増加する下痢になりやすい・生理痛、腹痛、吐き気が起こりやすい

生理後の卵胞期・排卵期には女性らしさを作るエストロゲンというホルモンが増加します。エストロゲンには、髪や肌の潤いを保つ、骨や血管を強くする、代謝を促す、肥満を予防するなどの働きがあり、エストロゲンの分泌が増加すると心身が安定します。そのため、卵胞期・排卵期には胃腸のトラブルも起こりにくくなります。

排卵後の黄体期になると、妊娠に備える働きをするプロゲステロンというホルモンが増加してきます。プロゲステロンには、子宮内膜を厚くしたり、体内の水分を保ったり、食欲を増進したり、腸の運動機能を低下させたりする働きがあります。そのため、プロゲステロンの分泌が増加すると胃もたれや便秘が起こりやすくなります。

生理中は、不要になった子宮内膜を外に出すため、子宮を収縮させる働きを持つプロスタグランジンという生理活性物質の分泌が増加します。プロスタグランジンは、子宮だけでなく、腸の収縮も活発にします。便の水分が大腸で十分吸収されないまま排出されるので、下痢になりやすくなります。

生理中の下痢とともに腹痛・吐き気が起こる原因は?

生理中に分泌されるプロスタグランジンは、生理中の痛みを引き起こし、子宮だけでなく腸の収縮も活発にします。子宮や腸の過収縮は、腹痛や吐き気の原因となります。

生理中のつらい下痢の5つの対策

生理中のつらい下痢症状を緩和する対策方法をご紹介します。

お腹を温める

カイロや腹巻でお腹を温めてみましょう。服装にも気をつけてお腹を冷やさないようにしましょう。

お腹にやさしい食べ物・飲み物をとる

お腹にやさしい消化吸収の良い食べ物や飲み物をとるようにしましょう。主食であれば、おかゆやうどんがおすすめです。おかずは卵、豆腐、白身魚、鶏のささみなど消化の良いたんぱく質をメインに、にんじん、ジャガイモ、大根などの根菜を使った煮込み料理がおすすめです。りんごやバナナは消化吸収にすぐれた果物です。

下痢が酷い場合には、水分と共に電解質も失われるので常温の経口補水液やスポーツドリンクを摂取して脱水になるのを防ぎます。

下痢のときに避けたい食べ物・飲み物

下痢のときには、胃腸を刺激する揚げ物、肉類、生野菜、カレーなど香辛料の強い料理、冷たい飲み物、アルコール類は避けるようにしましょう。

下痢止め薬を飲む

対症療法として、下痢止め薬や整腸剤を服用する方法もあります。すぐに下痢を何とかしたい場合は、水なしで飲める下痢止め薬などもあります。生理中に下痢になりやすい方は、生理前から整腸剤を飲んで、腸の調子を整えておくと良いでしょう。

婦人科を受診する

婦人科を受診すると、漢方薬や低用量ピルなどを使った女性ホルモンのバランスを整える根本的な治療が受けられます。下痢のほか、生理痛、腹痛、吐き気などの症状がつらい場合は、月経困難症や子宮内膜症などの病気が隠れている場合もあります。気になる症状のある場合には早めに受診するようにしましょう。

女性ホルモンバランスを整える

女性ホルモンバランスを整えることで、生理中の不快な症状を改善することができます。十分な睡眠と休息、お腹にやさしいバランスの良い食事、適度な運動、ストレス発散やリラックス、漢方薬などを使った体質改善など、自分に合った方法を試してみましょう。

生理中の気になる下痢FAQ

生理中の下痢とともに、ひどい腹痛や吐き気があります。良い対処法はありますか?

生理中の下痢の原因となるプロスタグランジンは、痛みや吐き気も引き起こします。腹痛や吐き気には、プロスタグランジンを抑える鎮痛剤が効果的です。鎮痛剤は早めに服用するようにしましょう。症状が強くなる前に服用した方がしっかりと効果が出ます。症状がつらい場合は、婦人科受診がおすすめです。

生理中に黒い下痢が出たのですが、病気のサインでしょうか?

黒い下痢は、消化管から出血している可能性があります。排便する頃には、便に混じった血液が酸化しているため、黒く見えます。消化器内科で検査を受けてください。

生理中の下痢・生理痛などのトラブルは「不妊リスク」を高める可能性

生理中の下痢、生理痛、生理不順などのトラブルは、女性ホルモンバランスの乱れが原因です。放置していると、子宮や卵巣にダメージが蓄積し、将来不妊になる可能性もあります。まずは生活習慣や食事を見直し、女性ホルモンバランスを整えるためのセルフケアをしてみましょう。毎月の症状がつらい場合には、早めの婦人科受診がおすすめです。漢方薬や低用量ピルなどを使った女性ホルモンバランスを整える治療が受けられるかもしれません。

生理のたびに卵子は減る|将来妊娠を望む人に「卵子凍結保存」

卵子のもとになる原始卵胞の数は胎児期に最も多く500~700万個、生まれる頃には200万個に減り、そこからは減る一方です。生理が始まるころには30万個、35歳には1~3万個まで減少していきます。原始卵胞は一生を通して減り続けて、増えることはありません。そして、数だけでなく年齢を重ねることによって質も低下し、妊娠できる可能性は低くなっていきます。いざ妊娠出産を望んだときに不妊に悩む現代女性が増えているのは、卵子の質の低下が原因かもしれません。

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まとめ

生理中の下痢は、生理中に分泌される痛みのもととなる生理活性物質のプロスタグランジンによって引き起こされます。お腹を温める、食事に気をつける、薬を飲むなどの対策をして乗り切るようにしましょう。ホルモンバランスを改善することで生理中の下痢症状が緩和されることもあります。ホルモンバランスを整えるような生活を意識してみましょう。症状が辛い場合には早めの婦人科受診がおすすめです。

▼参考文献

  • 卵子の大切な話 井沢 かおり 著 山室 理 監修
  • 女医さんが教えてくれた女性ホルモンがわかる本 網野 幸子 監修
  • PMS月経前症候群とうまくつきあう 丸本 百合子 著

     

監修者

名倉 優子 なぐら ゆうこ

日本産科婦人科学会専門医


グレイス杉山クリニックSHIBUYA (東京都渋谷区)

杉山産婦人科の医師・培養士による技術を用いた質の高い診療を提供。
将来の妊娠に備えたプレコンセプションケアと卵子凍結にフォーカスした診療。
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