クラミジア感染症が気になっている方へ。クラミジア感染症の症状・原因・検査・治療・予防方法についてご紹介します。
目次
クラミジアとは?
クラミジア感染症とは、「クラミジア・トラコマティス(Chlamydia Trachomatis)」という病原菌による感染症で、主に性的接触によって感染します。
日本の性感染症の中では、もっとも感染者数が多く、2021(令和3)年の感染者数は、30,003人となっています。
データ出典:厚生労働省|性感染症報告数(2004年~2021年)「性器クラミジア感染症」
クラミジアは20代女性に最も多い
クラミジア感染症は、近年、若い世代で増加傾向にあり、かかった人のうち約70%を10~20代が占めています。
画像出典:NIID(国立感染症研究所)「若年者で増加してきている性器クラミジア感染症」
年代別・男女別では、20代前半女性の感染者数が5,000人超と最も多くなっています。
データ出典:厚生労働省|性感染症報告数(2004年~2021年)「性器クラミジア感染症」をもとに表作成
クラミジアの原因
クラミジアは、精液・腟分泌液に存在するため、性交渉で性器感染します。性器だけでなく、オーラルセックスによって喉にも感染します。他にもアナルセックスで肛門や直腸に感染したり、精液・腟分泌液のついた手で目をこすって目に感染したりします。出産時の母子感染により新生児に感染することもあります。
クラミジアの症状
クラミジアは感染者の約8割に自覚症状がないとい言われていて、気づかずに長期化しやすい傾向にあります。
妊婦検診において正常妊婦の3〜5%にクラミジア保有者がみられることから、自覚症状のない感染者はかなりあるものと推測されている
NIID(国立感染症研究所)「若年者で増加してきている性器クラミジア感染症」
クラミジアの怖い症状として、女性の不妊、エイズを発症させるHIV感染のリスクが高まることが挙げられます。
男性のクラミジアの主な症状
男性の場合、尿道に感染し、尿道炎を発症します。尿道から分泌物が出て、かゆみや不快感が生じます。排尿時に痛みを感じることもあります。また約5%の人は精巣上体炎(副睾丸炎)を併発します。発熱して陰嚢が腫れ、痛みを伴います。
女性のクラミジアの主な症状
女性の場合、まず子宮頸管に感染し、子宮頸管炎を発症しますが、自覚症状がない不顕性感染がほとんどです。子宮頸管炎により、おりものの増加、不正出血、下腹部痛、性交痛などが生じます。クラミジアによる子宮頸管炎を治療しないでいると、子宮内膜、卵管や卵巣などの子宮付属器、骨盤腹膜、肝周囲へと炎症が広がり、激しい下腹部痛、上腹部痛、発熱などが生じることもあります。さらに長期化すると卵管などの癒着や排卵障害が起き、不妊の原因にもなります。
その他のクラミジアの症状
クラミジアが喉に感染した場合、咽頭炎が起こります。直腸感染した場合、下痢、肛門のかゆみや違和感を引き起こします。目に感染した場合、結膜炎が起こります。
クラミジアに感染している人は粘膜炎症により、エイズを発症させるHIVウイルスへの感染リスクが高くなることがわかっています。
クラミジアの潜伏期間
クラミジアの潜伏期間は1~3週間です。潜伏期間を過ぎて発症しても、自覚症状が出ない場合が多いので、感染に気付きにくいといわれています。潜伏期間中でも、感染力はあるので、注意が必要です。
クラミジアの検査方法
クラミジアはパートナー間で繰り返し移しあってしまうため、パートナー双方の検査・治療が大切です。男性は尿検査、女性は腟分泌液や血液検査を行います。
クラミジアの治療方法
クラミジアの治療には抗生物質を服用します。最近は1回の服用で治療が完結する薬があります。抗生物質を1〜7日間服用すると、2週間ほどで治ります。感染が進んで子宮付属器炎などを起こしていると治療には時間がかかります。治療が終わって2〜3週間後に、もう一度検査を受け、感染が続いていないか確認するのが望ましいとされています。治療で大切なのは、パートナーも同時に治療を受けることです。お互いが完治するまではセックスも控えましょう。
クラミジアは長期化すると怖い!早めの検査・治療と予防が大切
クラミジアは、長期化すると不妊、HIVウイルスの感染確率の増加などを引き起こす性感染症です。自分だけ治療しても、パートナーが感染した状態だと、繰り返し感染してしまいます。女性の反復感染は、卵管狭窄や卵管閉塞を引き起こすため、不妊の原因になります。パートナーとともに早めの検査と治療が大切です。
クラミジアの予防方法は、コンドームを正しく使用すること、不特定多数との性交渉をしないこと、検査を受けることです。
不妊リスクに備える「卵子凍結保存」とは
クラミジアは長期化すると卵管が詰まり、不妊に繋がることもあります。現代女性は、食生活の変化による生理開始年齢の早期化や出産回数の減少により生理の回数が増えています。生理回数の増加により、PMS(月経前症候群)や子宮内膜症発症のリスクも増加しています。また、生理回数の増加は卵子の在庫減少を早めることにもつながります。
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まとめ
クラミジアは20代女性に多い性感染症で、反復感染や長期化すると卵管狭窄や卵管閉塞による排卵障害を引き起こし、不妊の原因になることもあります。感染が疑われる場合には、パートナーとともに早めの検査と治療が大切です。
▼参考文献
- 身近な感染症こわい感染症 竹田美文 監修
- 女性の医学大全科 女性の健康週間委員会 監修
名倉 優子 なぐら ゆうこ
日本産科婦人科学会専門医
グレイス杉山クリニックSHIBUYA (東京都渋谷区)
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