卵子凍結について

関西・大阪在住30歳女性のAMH検査に密着!まさかの低AMH…どう行動すればいい?

関西でも卵子凍結についての関心が高まりつつあり、池田市など助成制度を実施している自治体も出てきました。大阪在住で今年30歳になるリサさん(仮名)も、将来の妊娠・出産を考えるうえで、卵子凍結が最近気になっていたそうです。そこで「試しに」AMH検査(※1)を受けてみることにしたリサさんに密着しました!
※1:AMH検査について詳しくはこちら

なぜAMH検査を受けてみようと思ったのでしょうか?

リサさん:私は今年で30歳になります。仕事の事情もあり、まだ結婚・出産は考えられないですが、ブライダル・チェックプレコンセプションケアという話を最近よく聞くので、うっすらと妊活について考えはじめていました。

それから、5年ほどお付き合いしている人がいるのですが、まだ結婚や出産の具体的な話はない中で、正直に言うと少し焦りが出てきたという面もあります。周囲には妊活を検討中の新婚の友だちや、不妊治療中の先輩も多く、私も何かしたほうがいいのではないかと思いました。

最近は芸能人の話やメディアの記事で卵子凍結の文字をよく目にするようになったので、「卵子凍結も選択肢になるのかも…」と思って、少し調べてみたんです。職場の先輩にも少し相談したら、「私も妊活していたときにAMH検査とか受けたなぁ」ということを聞いて、調べてみたらグレイスバンクの記事が出てきました。

それで卵子凍結をするにしても、将来の結婚・妊活を考えるにしても、まず一度検査くらいは受けてみたほうがいいのではないかと思って、丁度30歳になるタイミングで受けてみることにしました。

AMH検査のクリニックはどう選びましたか?

不妊治療は未知の世界でクリニックがどこがよいかもわからなかったので、グレイスバンクのサイトで紹介されている提携クリニックの中から選ぶことにしました。

その中で越田クリニックは、大阪駅から徒歩5分とアクセスが非常によかったことと、クリニックのHPがわかりやすく安心感があったので、ここに決めました。

初診は電話予約でした。越田クリニックは夜診(※2)があり、仕事帰りに寄ることができたので、よかったです。

※2:夜診は混雑する場合があります。19:30までの受診であれば当日に結果を聞くことが可能ですが、それ以降の受診の場合は、後日の結果通知となります。

越田クリニック 建物入口

AMH検査の流れ(越田クリニックの場合)

  1. 事前に電話で予約:AMH検査希望と伝える、診察時間内に空きがあれば当日予約も可
  2. 受診:受付にて問診票を記入
  3. そのまま採血:採血は看護師が対応、その際に簡単な問診と説明
  4. 当日結果を知りたければ1時間待機(外出可)
  5. 後日結果を知りたければ再診予約(翌日移行のご都合の良い日)※結果は医師が説明し、郵送やメールでの送信は行なっていません。
  6. 会計
    • 初診診察採血料 3,300円   
    • AMH検査料 6,600円  
    • 合計 9,900円(税込) ※クレジットカード支払い可 

クリニックに行ってみての感想は?

リサさん:婦人科のクリニックには定期的に通っているのですが、不妊治療専門のクリニックには初めて行きました。「妊活中ではない私が行ってもいいのだろうか…」と少し緊張していたのですが、白を基調とした落ち着いた院内親身に対応してくださった先生やスタッフの方々のおかげで、想像以上にリラックスして臨めました。クリニックのシステムや検査の流れについても丁寧に説明してもらえるので、特に問題はありませんでした。

Wi-Fiやドリンクコーナーも完備されていて、待ち時間にも仕事をしたり休憩したり柔軟な過ごし方ができる点もいいなぁと思いました。

あと、呼び出しがカルテ番号という点からも、細やかに配慮されていることを感じました。

越田クリニック 院内

AMH検査をしてみての感想は?

リサさん:採血と問診で10分もかからず終わって「こんなに一瞬なんだ!」と驚きました。検査結果は1時間ほど待てば当日聞くことができる(※3)という点も、「せっかち」な関西人の私にはありがたかったです(笑)。 ※3:後日改めて聞くことも可能です。

結果が出るまで私は院内で待ちましたが、越田クリニックは大阪駅から徒歩5分(HEP FIVEの東隣)と立地もいいので、周辺の商業施設や茶屋町周辺で買い物や用事を済ませて、時間を有効活用することもできますね。

採血時の様子・ブース

さて、気になるAMH検査の結果は…

リサさんの結果は、0.64ということでした。今回、結果について説明してくださるのは、越田クリニックの網和美先生です。

結果報告書

リサさん:予想よりも低いというか、これは相当低いですよね…?

網先生:ご存知かもしれませんが、AMH検査とはAMH(坑ミュラー管ホルモン)という発育過程初期の卵胞から分泌されるホルモンの値を測定したもの[1] なんですね。そして、個人差が大きく、年齢別でみても数値には幅が結構あるんです。ですので、個人的な数値であり平均値は言えません。確かにAMH値が低いということは、卵子の残り個数が少ないことを意味します。それはあまりタイムリミットがないかもしれないということであって、妊娠できないということを意味するわけでは決してありません

あと、リサさんは5年ほど月経困難症の治療として低用量ピルを服用されているということなので、2か月ピルを止めただけだと、まだ卵子が育っていない可能性(※4)があります。

AMH検査では、この発育が進んでいない段階の卵子は測定できません。

※4:卵子は原始卵胞(出生前から眠っている卵胞)→一次卵胞→二次卵胞→成熟卵胞になるまで、180日以上かかると言われています。なお、ピルの服用により排卵を止めても卵子の減少は防げません。

今回の数値がピルの影響で実際の卵子の在庫数よりも低く出ているのか、実際に在庫数が少ない、つまり早発閉経(40歳未満で卵巣機能が低下して無月経となった状態)のおそれがあるのかはわからないんですね。

リサさん:なるほど…。絶望しなくてもよいということがわかり、少しホッとしました。では、私はどうしたらよいでしょうか。

網先生:もう少し(1~2か月くらい)期間をおいてから再度検査するということでもいいですし、早めの卵子凍結を検討されるという選択肢もあるかと思います。

卵子の在庫数が少ないと卵子凍結をするとしても採卵できる個数が少ない可能性があります。けれども、採卵個数が少なく、例えば10個以下という場合でも、若いうちに質の高い卵子をとっておけば、より将来の妊娠可能性を残せます。

AMHはあくまで残りの卵子の量だけで、質は全く関係ありません。質は年齢による部分が大きいので、リサ[和網2] さんの年齢であれば、十分妊娠の可能性はあります。

リサさん:それならよかったです…。やっぱり早めに検査を受けてよかったということですね。

網先生:はい。本当に子宮や卵子の状態は日常生活ではわからないですから、「まさか」ということも結構あります。

あとは、低用量ピルを服用している理由によっても判断は変わります。

リサさんは生理痛が重いという月経困難症のためにピルを服用されることにしたそうですが、人によって子宮内膜症、子宮筋腫などの器質的原因があって服用されている場合や、排卵障害があり規則的に月経を起こす目的で服用されている場合もあります。

それらの場合に服用を中止して自然に月経が来ない場合、実は排卵障害の原因が早発卵巣不全に移行前であった可能性もあります。

ピル内服中で不具合がなかったけれど、実は問題が隠れていたということもあるので、AMH検査前に

一度かかりつけの婦人科に受診されるのもよいと思います。

最近はオンラインピル処方など手軽な方法もありますが、やはり重大な疾患を見落とさないために、かかりつけの婦人科で定期検診を受けてほしいです。

リサさん:もう一度AMH検査をするにしても、早めの卵子凍結を検討するにしても、まずはかかりつけの婦人科で子宮や卵巣のチェックということですね。

網先生:はい、そうです。そのうえで子宮・卵巣もし問題があれば、期間を決めて一時的にピルの服用を止めて一気に排卵を誘発して卵子凍結するか、あるいは子宮・卵巣に特に問題がないようであれば、ピルをもうしばらく止めて卵子が育つのを待ってから再度AMH検査を受けるか、という感じですね。

月経周期が徐々に短くなっている場合は、残りの卵子の数が少なくなっている兆候かもしれないので、その辺りも併せて様子を見るのがよいと思います。

説明時の様子

リサさん:卵子凍結をする場合は、少しでも早いほうがいいことは確実ですよね?

網先生:はい。卵子は加齢とともに数も質も低下していきますので、低AMHであるか否かに関係なく、いまが一番状態が良いことは確かです。

実は100人に4人前後の割合の早発閉経(Grace Bank資料より抜粋)

早発閉経の人はかつては1%だったのが、近年では3.5%といわれています。診断数としては増えていますが、早発閉経自体が増えたというよりは、妊娠に関する女性の意識が高まってきている中で、リサさんのように「検査をして早期に発見される方」が増えた可能性もあります。

実際には早発卵巣不全だったとしても、検査を受けていないと気づきませんし、そのまま何の問題もなく自然妊娠している人もたくさんいます。ですので、AMH検査の値が低くても、あくまでこれは数値ですし、妊娠はできます。

特にリサさんはまだ若いので、早めに卵子凍結や妊活をすれば、個数が少なくても卵子の1つ1つの質は高く、妊娠の可能性は高いです。

もし今後卵子凍結をするということになれば、しっかり当院でサポートしますので、安心してください。

AMH検査を終えてみての感想は?

リサさん:検査を受けるにあたって、ネットなどで体験談を見てきたのですが、ここまで低い数値の方はあまり見たことがありませんでした。多少は結果がよくない可能性やピルの影響で少し低めに出ることも含めて、心の準備をしてきたつもりだったのですが、「まさか自分が…」とショックでした。

網先生もおっしゃっていたように、本当に子宮や卵子の状態は検査してみないと確実なことはいえないのだなとよくわかりました。

クリニックや検査方法によっては、結果は郵送ということもあるようですが、もし私が結果を一人でみただけだったら、きっと立ち直れなかったと思いますし、今後どうすればよいのかもわからないままだったと思います。

網先生から数値をどう解釈すればいいのかや、数値が低くても妊娠できている人がいることを教えていただき、冷静になることができました。

また、この次にどうすればいいのかというところも具体的に細かく相談することができ、前向きになることができました。

近日中にかかりつけの婦人科に行って、今後の相談をしたいと思います。

AMH検査から1週間後…

リサさん:あの後、すぐにかかりつけの婦人科を受診して、とりあえず内診を受けてきました。月経周期の関係で内膜症などの血液検査はできませんでしたが、内診では問題なさそうということでした。

将来の妊娠について1人で考えていると、不安や心配ごとがたくさん出てきますが、きちんと専門家に相談して検査をしてみることで、「1つ1つ対処できるから大丈夫」と安心することができています。

さらに、パートナーにも結果を共有して、今後の人生設計について少し相談することができました。パートナーまだピンと来ていないようでしたが、感情任せに結婚や妊娠の話をしたわけではないので、相手も「そうなんだね」「どういう検査なの?」と冷静に向き合ってくれたと感じます。

実家の母にも「心配かけるかな…」と思いつつ、先生から教えてもらったことやクリニックでいただいた資料をもとに説明しました。これまで母にはあまり結婚や妊娠の話はしてきませんでしたが、「いまはこういう検査があるんだね。どういう選択をするにしても早めのほうが選択肢は多いと思うし、必要なら私たち家族も今後のサポートを考えるからね。あなたの選択を尊重するよ。」と言ってくれました。

検査を受ける前は、すぐに結婚・妊娠ということはあまり考えていませんでしたし、ぼんやりとした焦りや将来展望しか抱いていませんでした。

ですが、検査を受けたことで自分の身体の状態や今後のスケジュールを具体的に検討しながら、行動を起こすことができました。それによって、漠然とした不安感が解消できた気がします。

卵子凍結をするのか、するとしたらいつするのかについては、もう少し検討したいと思いますが、早めに一歩踏み出してみて本当によかったです。

読者の方へのメッセージをお願いします。

私は「まだ焦らなくてもいいかもしれないけれど、試しに」という軽い気持ちで検査を受けることにしましたが、このタイミングで受けてよかったです。

周囲でも「妊娠・出産を考えると35歳くらいが一つの節目かな?」という話をよく耳にしますし、そう思われている方も多いと思います。

むやみに焦る必要はないと思いますが、子宮や卵子の状態は個人差が大きく、場合によっては35歳よりも早めに行動したほうがよいことがあると身をもって感じました。

根拠なく「自分はたぶん大丈夫だろう」と考えずに、信頼できるクリニックで早めに検査を受けてみるということも、将来につながる大事な第一歩かもしれません。結果に問題がなければ、それはそれで安心して今やるべきことに集中できると思います。

AMH検査は不妊治療でないと保険の適用外で1万円ほどかかりますが、グレイスバンクではAMHクーポンが利用できるのが良いですよね。

このクーポンを利用すれば、私のように卵子凍結すると完全に決めたわけではなくても、「試しに」検査を受けてみやすいと思います。

全国の信頼できるクリニックを紹介しているページも参考になりました。

1人で考えている間に確実に時間は過ぎていきます。

この記事を読まれている方が少しでも将来の妊娠や卵子凍結をお考えなら、「まずAMH検査を受けてみてから考えませんか?」とお伝えしたいです。

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※越田クリニックHPはこちら:https://www.koshida-cl.or.jp/

※大阪府では2025年7月10日から「早発卵巣不全患者等妊よう性温存治療助成試行事業」として、AMH検査や早発卵巣不全の場合の卵子凍結への助成が開始されました。詳細はこちら

※本記事の内容はあくまで2025年7月時点の事例の1つです。最新の情報や個人のご事情については、クリニックでご確認ください。

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