卵子凍結について

令和4年(2022年)平均初産年齢と過去50年の推移~世界と比べて日本は?~

令和4年(2022年)の初産平均年齢と過去50年の推移は?

厚生労働省の人口動態調査(※)によると、2022年の日本の平均初産年齢は30.9歳となっています。また、2022年に第1子を出産した女性約35万5,000人のうち、25~34歳で第1子を出産している人が全体の約68%と過半数を占めています。

  • 19歳以下…1.1%(約4,000人)
  • 20~24歳…10.0%(約3万6,000人)
  • 25~29歳…34.3%(約12万2,000人)
  • 30~34歳…33.4%(約11万9,000人)
  • 35~39歳…16.6%(約5万9,000人)
  • 40~44歳…4.4%(約1万6,000人)
  • 45歳以上…0.2%(約700人)

厚生労働省の人口動態調査(※)によると、ここ50年ほどの第1子の平均初産年齢は、25~30歳で推移しています。

  • 1975年(昭和50年)…25.7歳
  • 1985年(昭和60年)…26.7歳
  • 1995年(平成7年)…27.5歳
  • 2005年(平成17年)…29.1歳
  • 2015年(平成27年)…30.7歳
  • 2021年(令和3年)…30.9歳
  • 2022年(令和4年)…30.9歳

(※出典:令和4年 厚生労働省「人口動態統計月報年計(概数)」

世界の平均初産年齢は?

2014年時点の世界31ヵ国の平均初産年齢は、28.7歳というデータがあります(※)。このデータによると、主要国の平均初産年齢は以下の通りで、日本はアメリカ・フランスなどと比べると、平均初産年齢が高いことがわかります。

  • アメリカ…26.3歳
  • フランス…28.3歳
  • イギリス…28.6歳
  • ドイツ…29.4歳
  • 日本…30.6歳
  • イタリア…30.7歳
  • 韓国…31.0歳

また1995年の同データからの推移をみると、約20年間で世界の平均初産年齢は26.1歳→28.7歳にあがっていることが分かります。

(※出典:OECD「Society at a Glance 2019」

では出産適齢期はいつなのでしょう?

世界的にみても初産年齢は上昇傾向にあることがわかりました。では、そもそも人間の生殖機能のピークや出産適齢期はいつ頃なのでしょうか?妊娠を望まれる方にとっては、大変気になる事かと思います。

一般的に35歳を過ぎると、妊娠率が下がり、流産率が上昇します。また合併症などのリスクも多くなります。40歳を超えると妊娠はさらに難しくなります。そのため、出産適齢期は一般的に男女ともに20~30代前半と言われています。

妊娠するための能力を、専門用語で「妊孕性(にんようせい)」と言いますが、妊孕性は、女性であれば子宮や卵巣、卵子の能力があるか、排卵がきちんとされているか、卵管が通っているか、また男性であれば精巣や精子の能力があるかどうか、勃起や射精ができているか、とも言い換えることが可能です。

男性・女性ともに「妊孕性」を維持するためには?

男性の場合

精子の質を低下させないように、生活習慣に気を配る事が大切になります。ストレスや、過度な飲酒・喫煙は、精子の遺伝子にダメージを与える可能性を招きますので避けるようにしましょう。禁煙、バランスのよい食事、適度な運動、ストレス解消を意識してみてください。精子のもとである精原細胞が精子になるまでは、2ヶ月半ほどかかり、さらに、精巣に貯蔵されるまでは、約2週間と、生活習慣の改善が良質な精子につながるまでには、時間を要しますので、コツコツと生活習慣を良いものに維持していくことが必要になります。精子は高温に弱く、睾丸内の温度が上がると、精子数が減ってしまいますので、暑めのお風呂や長風呂サウナなどは避けることも心掛けてください。

女性の場合

女性ホルモンのバランスを整えることが大切になります。男性同様、バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠、ストレスを削減することで、女性ホルモンのバランスを整えることが、延いては妊孕性を維持することにつながります。また、近年大変注目を集めている方法として、「卵子凍結保存」があります。先ほど、特に35歳を過ぎると、妊娠率が低下したり、合併症のリスクが増えるとお伝えしましたが、現実的には、様々な事情やライフプランの関係で、必ずしも妊娠の時期を決定できるとは限りません。年齢によるタイムリミットは自然の摂理でありますが、「卵子凍結保存」という近年の医学の進歩という力を借りることで、妊孕性を維持することが可能になりました。次章で、詳しく説明していきます。

卵子凍結保存とは?

卵子年齢が若く妊娠力の高いうちに、質の高い卵子を凍結保存し、将来の対外受精などの成功率を高める方法です。卵子が若ければ、母体が妊娠適齢期を過ぎても、妊娠出産率が高いというでデータがあります(※)また、卵子が若ければ、40代の体外受精による出産率は20代と大きく変わりません(米CDC、2013)

※自社HPより抜粋(https://gracebank.jp/guide/#p_guide03

卵子凍結保存の仕組みを簡単にご紹介いたします。

まず、不妊治療クリニックでさまざまな検査を行ったのち、年齢や卵巣機能、体の負担や本人の希望を考慮して、排卵誘発を行い採卵します。その後、耐凍剤濃度の高い溶液に卵子をひたし、マイナス196℃の超低温で凍結し、液体窒素タンクの中で保管します。

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状況により異なりますが、通院回数は約5~6回と言われています。費用は、1回の検査・排卵・凍結費用に30~50万、保管費用は、初期費用に加えて年間3~5万円かかります(状況、クリニックにより変動します)。

Grace Bankでは、全国に組織化された、国内最高峰の厳選クリニックを組織化しております。また排卵した後の卵子は、さい帯血の凍結保管システムを20年以上無事故で運用してきたステムセル研究所と連携し、安心の保管システムを構築しています。

今回は簡単に卵子凍結保存について、ご紹介しました。1点付け加えたいことは、卵子凍結保存により卵子の妊孕性を維持できても、母体の年齢を止めることはできないということです。妊娠・出産は、母体に掛かる負担やリスク、その後の子育てを考慮すると、早めにご計画や準備することが大切にります。

まとめ

晩婚化や高齢出産などを耳にする機会も増えましたが、今回、2022年の日本の平均初産年齢は30.9歳、世界の平均初産年齢(2014年時点)は28.7歳で、世界各国と比べて、日本の初産年齢は高い方にあることをご紹介しました。また、日本だけでなく、世界的にも初産年齢は上昇傾向にあることもわかりました。将来妊娠をお考えのみなさんにとって、男女ともに妊孕性を維持することが大切で、特に年齢のハードルは避けようにも避けられず、悩みを抱きやすいかと思います。そのようなお悩みに、今大変注目されている卵子凍結保存がひとつの選択肢としてお役に立てば大変嬉しく思います。ご注意いただきたいのは、卵子凍結保存にも年齢制限があり、採卵は40歳未満まで・凍結卵子の利用は50歳未満が目安(https://gracebank.jp/question/)ということです。詳しくは、Grace Bankホームページをぜひご覧ください。

▼参考文献
誰も教えてくれなかった卵子の話 杉本公平・鴨下桂子 著 集英社
赤ちゃんがほしいときに読む本 監修 宮内彰人・笠井靖代 ナツメ社

監修者

名倉 優子 なぐら ゆうこ

杉山産婦人科 日本産科婦人科学会専門医


杉山産婦人科 (東京都新宿区)

70年あまりの歴史を持ち、過去10000人以上の患者様と向き合ってきた生殖医療専門クリニックのトップ施設。
不妊検診センター、内視鏡手術、体外受精など生殖医療に特化。
新宿駅至近の好立地で、19時まで診療しており、仕事と生殖医療の両立をサポート。

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