日頃、感覚的に考えることの多い「女性ホルモン」ですが、血液検査でホルモン値を知ることができるのはご存知でしょうか?生理不順、不妊、更年期障害の治療のために血液検査を受けて、数値をご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんが、女性ホルモンには、AMH、エストラジオール(エストロゲン)、FSH、LH、PRLなどさまざまな値があり、それぞれ役割があります。
今日は女性ホルモンの数値や基準値は?異常値だったときの影響は?…また、自宅で検査できるキットなど最新情報もお伝えします
目次
血液検査でどんな女性ホルモンの数値がわかるのか?
AMH(抗ミュラー管ホルモン)
卵胞から分泌されるホルモンで、卵巣にある予備の卵の数を示します。
エストラジオール(エストロゲン、卵胞ホルモン、E2)
子宮内膜を厚くし、着床しやすい状態にする役割を持ち、卵胞の大きさと個数と卵子の成熟度に比例して、血中濃度が上昇します。
FSH(卵胞刺激ホルモン)
生理中に脳下垂体から分泌され、卵巣の中の卵胞を発育させます。
LH(黄体化ホルモン)
排卵前に、脳下垂体から急激に分泌され、排卵を促します。
PRL(プロラクチン、乳腺刺激ホルモン)
脳下垂体から分泌されて、乳腺を刺激し乳汁を分泌させます。

それぞれの女性ホルモンの基準値は?
・AMHの基準値は年齢によって異なります。
※参照サイト http://tokyo-hart.jp/kensa.html
・エストラジオールの基準値
[月経周期]
卵胞期(月経開始から排卵まで)前期 11~82pg(ピコグラム)/ml
卵胞期後期 52~230 pg/ml
排卵期(排卵日) 120~390 pg/ml
黄体期(排卵後から月経まで) 9~230 pg/ml
[妊娠中]
妊娠前期 2,300~7,400 pg/ml
妊娠中期 9,700~18,400 pg/ml
妊娠後期 16,500~32,400 pg/ml
[閉経後]
22 pg/ml以下
・FSHの基準値
正常値:7~8 mlU/ml(検査時期:生理開始3日目)
・LHの基準値
正常値:2~4 mlU/ml(検査時期:生理開始3日目)
・PRLの基準値
正常値:30 ng/ml以下(検査時期:生理開始3日目)
基準値より高い?低い?何がわかるの?
・AMH
正常値は年齢により異なります。AMHの値が低い場合は、年齢平均より体内にある卵子の数が少ない可能性があります。なお、AMHは卵巣の予備の卵胞から分泌されるホルモンで、卵巣の予備の卵の数を示しますので、質に対する数値ではありません。
・エストラジオール
また月経周期や妊娠中かどうかによって、基準値が変わりますので、ご自分の体の状態と照らし合わせることが必要となります。
・FSH
数値が高い場合は、無排卵、無月経、卵巣機能の低下が考えられます。
・LH
数値が高い場合で、生理周期が長く不順であれば、多能胞卵巣である可能性があります。不妊につながる可能性もあります。
・PRL
数値が高い場合、無排卵や黄体機能不全になる可能性があり、不妊につながる場合もあります。
女性ホルモンが基準値にない場合…対策は?
先ずは、婦人科で、適切な診断を受けることが必要です。内服薬などの治療法や、漢方薬、ホルモン注射などの治療が必要となる可能性があります。
食事・睡眠において健康的な生活を心掛けてください。心身ともにストレスがかかると、ホルモン分泌の司令塔である脳がダメージを受け、卵巣に指令を出せなくなると、女性ホルモンのバランスが乱れてしまいます。食生活が乱れていると、必要な栄養素が不足し、女性ホルモンにも影響を及ぼします。ストレスを減らし、食生活を大切にするなど生活習慣から改善できることを見つけてください。
まとめ
女性ホルモンを数値化してみると、さまざまな種類、役割があることに驚きます。基準値の範囲外だった場合、今まで抱えていた不調を治療できる機会ともいえますので、婦人科の受診をおすすめします。女性ホルモンが基準値にあれば、生理不順や月経前症候群、生理痛、経血量、更年期症候群などの悩みが減り、子宮がん、骨粗鬆症などの病気リスクが減ります。また妊娠を望む場合は、妊娠しやすい体質になるといえます。
ただし、卵子は、年々歳を重ね、35歳ぐらいからは、女性ホルモン分泌は減り始めます。将来妊娠を希望される方は、年齢の若いうちに、卵子凍結保存をするのも、ひとつの選択肢です。今大変注目されている、Grace Bankの「卵子凍結」についてもぜひご検討くだされば幸いです。
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▼この記事の監修は…
医師紹介:名倉 優子(なぐら ゆうこ) 日本産科婦人科学会専門医 |

管理栄養士紹介:小林 れい子(こばやし れいこ) 管理栄養士 長野県生まれ、東京農業大学栄養科卒業。保健所の生活改善推進員として、講義と調理講習を行う。この活動が認められ農林水産大臣賞を受ける。その後墨田区公立保育所に勤務、平行して職場内研修の講師を務める。その後は、調理専門学校で講義を行う。長年の保育所での実体験に基づいた乳幼児期の食育活動をライフワークとしている。 |

▼参考サイト
https://www.pluswellness.com/dictionary/checkup/010006.html
▼参考文献
女性ホルモンの美バランスの秘訣 松村圭子著 大泉書店