生理中に食欲が増進することはありませんか?太りたくないと思っているのに生理中になるとつい食べ過ぎてしまうあなたへ。生理中に食欲が止まらなくなる原因と、太らないための対策を紹介いたします。
目次
生理中の食欲が止まらない原因はホルモンバランス
女性は、女性らしさをつくるエストロゲン(卵胞ホルモン)と妊娠を助けるプロゲステロン(黄体ホルモン)という2種類の女性ホルモンの影響を受けながら生理周期を繰り返しています。約ひと月でワンサイクルの生理周期の中で、ホルモンバランスが変化するため、体や心の状態も変化します。ホルモンの分泌からひと月を4つの時期に分けることができます。
卵胞期 (生理後) | エストロゲン分泌のピーク | 体調や精神状態が安定する・ダイエットに向いている |
排卵期 | エストロゲンの分泌が下降し始める・プロゲステロンの分泌が上昇し始める・ホルモンの変化が急激に起こる | 排卵痛や排卵出血が起こることがある |
黄体期 (生理前) | エストロゲンが減少しプロゲステロンが増加する | 食欲増進する・痩せにくい・便秘、むくみ、倦怠感、イライラなどが起こりやすい |
生理中 | プロゲステロンが減少しはじめる・痛みを引き起こすプロスタグランジンという生理活性物質が増加する | 下痢になりやすい・生理痛、腹痛、吐き気が起こりやすい |
排卵後~生理が始まるまでの黄体期(生理前)になると、妊娠に備える働きをするプロゲステロンの分泌が増加します。プロゲステロンには、排卵後の妊娠に備えて子宮内膜を厚くしたり、水分や栄養を体内にため込んだり、体温を上げたりする作用があります。また、同時にむくみ、倦怠感、イライラなど不快な症状も引き起こします。ホルモンの急激な変化が血糖値を不安定にするため、生理前~生理中になると食欲が増進したり甘いものが欲しくなったりします。
生理中はプロスタグランジンの分泌が増え、急に腸のぜん動運動が活発になることで、食欲がなくなったり下痢になったりする人もいます。
生理中の食欲は我慢しないで!太らないための5つの対策
生理中の食欲増進は、ホルモンバランスによる生理的なもので、我慢しすぎるとストレスのもとになり、さらにホルモンバランスが乱れ、食欲増進や体調不良を悪化させる可能性もあります。一時的なものが多いので、うまく付き合って太りすぎない対策をすることが大切です。
食事を小分けにする(1日の食事回数を増やす)
1回の食事量を減らし、3回の食事を5~6回に小分けにして食べると、空腹になりすぎるのを防ぐことが出来ます。空腹をこらえた後の血糖値の急激な上昇を防ぐことができ、脂肪の蓄積を抑えることができます。
よく噛んで食べる
よく噛んで味わいながらゆっくり食べると満腹感を得やすくなり、1回の食事量を減らすことが出来ます。よく嚙むと栄養もしっかりと吸収されます。料理に噛みごたえのある食材を取り入れたり、具材を大きめに切って調理したりすると良いでしょう。
食物繊維が多い食べ物をとる
食物繊維は、小腸で消化されず大腸まで達しておなかの調子を整える成分です。便秘の予防、血糖値上昇の抑制、血中コレステロール濃度の低下などの働きをします。サツマイモやじゃがいもなどの根菜類、大豆などの豆類、わかめなどの海藻類、きのこ類に多く含まれています。
自然な甘味のおやつを食べる
生理中の食欲が抑えられない時には、一度にたくさん食べるのではなく、おやつをうまく取り入れながら、少量頻回の食事にするのが良いですが、その際、お砂糖たっぷりの甘いおやつではなく、食材の自然な甘味を生かしたおやつにすると肥満防止になります。ドライフルーツ、こんにゃくゼリーや寒天、バナナやみかんなどの果物類、サツマイモやかぼちゃなど甘味のある野菜類、きな粉やホットココアもおすすめです。これらの食材には満腹感をもたらす食物繊維も多く含まれています。
適度な運動やストレッチをする
適度な運動でストレス発散するのもおすすめです。食べものを我慢する対策だけではストレスがたまる方もいると思います。生理中の食欲増進で食べすぎてしまう分、運動でカロリーを消費しましょう。ただし、生理中は無理な運動は控えましょう。ウォーキングやストレッチなどがおすすめです。また、食べ物のことばかり考えずに、趣味に没頭したり家族と出かけたりして気晴らしをするのもおすすめです。
生理中の食欲FAQ
生理中の食欲が止まらず、つい食べすぎて毎月太るのが悩みです。生理中にダイエットしても大丈夫ですか?
ホルモンバランスの影響で、生理前~生理中は痩せにくくなっています。生理中は鉄分不足で貧血にもなりやすいので、ダイエットには不向きです。生理中は、増える食欲とうまく付き合って、体重キープを目指すのが良いでしょう。ダイエットをするなら生理後~排卵前の痩せやすい時期がおすすめです。
生理中に食欲がなくなることもありますか?
生理中に分泌されるプロスタグランジンは、子宮や腸を収縮させ、痛みや吐き気を引き起こすことがあります。強い生理痛、頭痛、吐き気などで食欲がなくなる場合もあります。生理中の不快症状が強い場合は、月経困難症の可能性もあります。心配な症状がある場合は、婦人科を受診し、低用量ピルなどで早めに治療をおこなうことが大切です。
生理中の異常な食欲はホルモンバランスの乱れ|気になる場合は婦人科へ
生理中に胃腸の調子が悪くなるほどの食欲増進に悩んでいる場合は、一度婦人科を受診してみましょう。漢方薬や低用量ピルなどでホルモンバランスの乱れを治療することで症状が改善できる場合もあります。
ホルモンバランスの乱れによるPMS(月経前症候群)、生理痛、生理不順などのトラブルは、子宮や卵巣にダメージが蓄積し、不妊の原因にもつながります。ホルモンバランスの乱れは早めの治療が大切です。
生理のたびに卵子は減る|将来妊娠を望む人に「卵子凍結保存」
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まとめ
生理前は、ホルモンバランスの影響で、食欲が増進し、食べすぎてしまいがちです。生理中は体が痩せにくい状態にあるので、無理にダイエットをしようとしてもうまくいきません。生理中の食欲増進は一時的なものなので、食事の摂り方や食べる物を工夫して、太らないよう意識してみましょう。生理中に胃腸の調子が悪くなるほどの食欲増進に悩むような場合には、婦人科を受診することも考えてみてください。
▼参考文献
- 女医さんが教えてくれた女性ホルモンがわかる本 網野 幸子 監修
- PMS月経前症候群とうまくつきあう 丸本 百合子 著
名倉 優子 なぐら ゆうこ
日本産科婦人科学会専門医
グレイス杉山クリニックSHIBUYA (東京都渋谷区)
杉山産婦人科の医師・培養士による技術を用いた質の高い診療を提供。
将来の妊娠に備えたプレコンセプションケアと卵子凍結にフォーカスした診療。
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