生理が長引く、なかなか終わらないといった悩みをお持ちの方へ。生理が長引く原因や病院を受診する目安を解説していきます。
目次
生理が長引く「過長月経」とは
生理周期の正常範囲は25〜38日の間にあり、変動が6日以内とされています。生理の日数は3~7日間で、平均で5日間です。生理が8日以上続く場合を「過長月経」といい、月経異常の1つとされています。
生理が長引く原因
ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスの乱れによって、生理周期が長引いている可能性があります。ホルモンバランスが乱れる原因は年齢によっても様々です。10代の思春期では、卵巣機能が未熟なためホルモンバランスも不安定だと言われています。20代~30代では、ストレス、過労、睡眠不足、偏った食生活などが原因でホルモンバランスの乱れが起こります。そして40代では、生活習慣に加えてプレ更年期や更年期でホルモン分泌量が減少することでホルモンバランスの乱れが起こります。
経血量が多い(過多月経)
生理の時に経血量が多い場合を「過多月経」と言います。過多月経の場合、経血量の増加とともに生理期間が長引くケースが多いとされています。
経血量には個人差がありますが、1周期あたりの生理の総出血量は20~140mLが目安と言われています。最も多い日でも2~3時間に1回程度のナプキン交換が目安になっています。夜用ナプキンが1時間もたず日常生活に支障がある、血の塊が2日以上続く、月経4日目以降にも血の塊が出る、などの場合は、過多月経の可能性があります。月経過多の原因としてはホルモンバランスの乱れ、子宮内膜症や子宮筋腫などの病気の可能性が考えられます。
無排卵性の月経
無排卵性の月経とは、排卵を伴わない生理のことをいいます。排卵の有無は基礎体温の測定や検査をしてみないとわからないため、自分では気が付かないことがほとんどで、気が付かないうちに無排卵性の月経を放置してしまう場合があります。
排卵を伴わない生理では、子宮内膜が増殖した状態から破綻出血がおこります。経血量は少なく、生理期間がダラダラと8日以上長引くのが特徴です。少量の茶色い経血が生理初日~2日目でもナプキンに付着する程度で、おりものシートでも間に合うくらいです。
無排卵性の月経の原因はPCOS(多膿胞性卵巣症候群)や更年期による卵巣機能の低下などが考えられます。生理不順などの治療でピルを服用している場合にも無排卵性月経となり、少量の出血が続くことがありますが、この場合、問題はありません。
子宮系の病気による不正出血
子宮筋腫、子宮のポリープ、子宮内膜症、子宮のがんなどの病気が原因で、不正出血が起こることもあります。
生理が長引く理由は病気?病院受診の目安
生理が長引く場合、どのようなタイミングで病院を受診したらよいのでしょうか。
まず、10日以上ダラダラ続く生理が2~3周期連続して起きているような場合には、病気による不正出血の疑いがあります。早めの検査と治療をおすすめします。また、ひどい生理痛を伴う場合も子宮内膜症や子宮筋腫の疑いがありますので、早めの婦人科受診をおすすめします。貧血を伴う、ホットフラッシュやめまいなどの症状を伴う場合には貧血症状の治療や更年期症状の治療を行う必要があります。
特に、将来妊娠を希望している場合には、PCOS(多膿胞性卵巣症候群)や黄体機能不全など不妊につながる病気が隠れていないか調べておく必要があります。気になる症状があれば早めに婦人科を受診しましょう。
生理が長引くと不妊の原因にも|早めの受診がおすすめ
長引く生理には、ホルモンバランスの乱れや不妊につながる子宮・卵巣系の病気が隠れている可能性があります。これらは放置すると、子宮や卵巣にダメージが蓄積し、不妊のリスクが高くなります。将来妊娠・出産を考えている人は早めの治療が大切です。
将来妊娠を考えている人に知ってほしい「卵子凍結保存」
「卵子凍結保存」というものをご存じでしょうか。若く妊娠する力の高いうちに、質の良い卵子を凍結保存して将来の不妊リスクに備えるという方法です。実は、卵子は加齢とともに質が低下し、妊娠できる可能性が低くなっていきます。様々な生理の悩みを抱えている現代女性は、いざ妊娠出産を望んだときに、不妊に悩むことも少なくありません。将来妊娠を考えている人は、ぜひこの「卵子凍結保存」について知っておいてください。
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まとめ
長引く生理には、ホルモンバランスの乱れが関係している可能性があります。また、子宮系の病気がもとで不正出血が起こっている可能性もあります。生理トラブルを放置すると将来の不妊リスクにつながります。不妊リスクは卵子凍結の予防医療で減らすことができます。少子化対策の一環として東京都などでは卵子凍結にかかる費用の助成がされ始め、少しずつ注目を集めてきています。将来の不妊リスクに備えてぜひ卵子凍結保存を考えてみてはいかがでしょうか。
▼参考文献
- 知っておきたい月経異常の診断と治療 田中 忠夫 編著
- わかりやすい女性内分泌イラストで読む性周期の仕組み 武内 裕之 著
- おとなも子どもも知っておきたい新常識 生理の話 髙橋 怜奈 監修
名倉 優子 なぐら ゆうこ
日本産科婦人科学会専門医
グレイス杉山クリニックSHIBUYA (東京都渋谷区)
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