将来に妊娠したいけれど、妊活はいつから始めたらいいの? 生理不順があるけれど、クリニックに行った方がいい? 凍結した卵子は、どれくらいの割合で妊娠に至るの?
どんな女性の体にも起きる変化なのに、私たちは意外と知らないことが多くありませんか?将来の妊娠・出産を望む場合、どんなことを心も体も準備しておいたら良いのでしょう。
「グレイス杉山クリニックSHIBUYA」の岡田有香院長が、オンラインセミナー参加者から出た6つの質問に答えます。
Q: 将来、妊娠したいと思っています。いつから妊活を始めるべきなのでしょうか。
岡田:妊活の時期を見るのであれば、将来的に何人くらい子どもがほしいかということも考えたら良いかなと思います。
もし2人ほしい場合、自然妊娠で授かろうとすると、27歳までに妊活を始めたら良いとアドバイスできるかなと思います。1人の場合であれば、32歳が90%の確率で自然妊娠できるとされる年齢になります。
不妊治療も視野に入れて妊娠を考えたい、そして一人でいいですということになれば、35歳が90%妊娠できるという年齢になってくるので、そのあたりが目安になるかなと思っています。
妊娠・出産は、結婚、またほしいと思うタイミングの、一年ほど前から準備が必要になってきます。
例えば、血液から風疹の抗体があるのかをチェックしたり、子宮や卵巣に病気がないかなどをチェックした方が良いからです。
子宮などに筋腫などがあれば、手術をするということもありますが、手術すると半年くらい妊娠できなくなったりしてしまうので、妊娠前の準備期間が必要なのです。
そして生活習慣の上で注意するべきことは、喫煙です。卵巣にダメージを与えてしまうのと、体重に関しても崩れる可能性があります。
体重が増えて、肥満に入ると排卵しにくくなる原因になるので、気をつけたいですね。逆に痩せすぎも低出生出産児といって、子どもが小さく生まれてくるリスクがあります。
適正の体重をキープすることが大切だと言われているのです。
栄養管理の面からすると、ビタミンBも妊娠への重要な要素です。
日焼けしたくないと、太陽から隠れている人もいるかもしれないのですが、太陽に当たって作られるビタミンBの数値が低いと、受精卵が子宮に着床するのが難しくなる原因になると言われています。場合によってビタミンBを取れるサプリもおすすめしています。
Q: 卵子の年齢がわかるという「AMH検査」。これで妊娠の可能性がわかるのでしょうか。
AMHの値によって、妊娠できる期間というものがわかります。
AMH検査で値が年齢の目安値より低いとすると、妊娠できる期間が通常より短くなるということになり、また高すぎる場合は、排卵しにくい病気がある可能性があるので、しっかりこの二つをみていく必要があります。
例えば、5年後に妊娠したいと思ったプランがあるとした時に、現在のAMHが低くなっていると将来の妊娠・出産が難しくなってしまいます。5年後になって、妊活をして妊娠できずに諦める、ということは避けてもらいたいなと思います。
その意味で、現在地を知るAMH検査を受けてもらえたらと思っています。
Q: 生理不順があるのですが、卵子凍結に影響はありますか。
答えから言いますと、卵子凍結に大きく影響はありません。
生理が不順である方の場合、卵子の在庫が多く、一回の採卵で採れる卵子の個数が多い可能性があるのです。
ただ生理不順で、2~3カ月も生理が来なくて当たり前ということになると、逆に排卵誘発剤に敏感に反応してしまう可能性があります。その場合、卵巣過剰刺激症候群と言って、卵巣が腫れて採卵後にお腹が苦しいということが起きることもあります。
そうならないように、予防の薬を併用して、症状がひどくならないように手順を踏んでいきます。
Q: 凍結した卵子はどれくらいの割合で受精するのでしょうか。
凍結した卵子は、「ガラス化法」という日本人が発明した方法で行う場合、約90%の卵子の生存率になると言われています。10個凍結して9個残っていることになります。
9個のうち受精させるには、顕微授精といって、精子を入れる方法をやっています。そうすると大体7割は受精します。精子との相性にもよるので、確実でとは言えないのですが、
そこで6個くらいになる計算です。次に、残った6~7個の受精卵を培養します。
細胞が分裂して育っていく過程に入りますが、この時に何歳の時に卵子を凍結したかということが結果に関わってくるのです。
20代の時に凍結した卵子はかなりの確率で育ちますし、30代の後半ということになると、その辺りが歩留まりが低くなってきます。「34歳で20個凍結すると91%の割合で1人を妊娠できる」という確率は、受精、培養、着床での数値を考えて出されたものなのです。
Q: 卵子凍結で採卵の痛みはどれだけ続きますか。
一部だけ麻酔をかける局所麻酔だと処置の時間帯くらいです。長くてもその日ぐらいだと思います。全身麻酔の場合は寝ている間に処置が終わるので、痛みの点については楽かと思います。
局所か全身麻酔かどうかは、それぞれの状況によります。卵子がたくさん育って20個以上採れそうという場合は、全身麻酔の方が楽かなというのもありますし、一度の採卵が5個以下の時は局所麻酔でやる場合が多という印象です。
Q: 30代の後半。24日の早い周期で生理が来ましたが、クリニックに行くべきでしょうか。
クリニックに行った見ると、安心かと思います。24日の生理周期の場合、早発卵巣機能不全と黄体機能不全というものが代表的な原因としてあげられます。
黄体機能不全は、飲み薬で治ったりもします。一方、卵巣の機能が落ちてきている可能性のある、早期卵巣機能不全という場合もあるので、どんな原因かを確かめるためにも一度クリニックに来てもらえたらと思います。
◆ 本記事の内容に関しては、2022年3月30日に行った
『産婦人科医に聞く!女性のカラダセミナー ~未来の自分のために”今”知って考えよう ~』
の動画にてより詳しくご視聴いただけます。
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今後開催予定のセミナーの確認と、お申し込みはこちらから行えます。
セミナーでは、チャットで質問も受け付けていますので、どなたでもぜひお気軽にご参加くださいね。