「卵子凍結を検討しているけれど、仕事への影響が心配…」そんな不安を抱えるあなたへ。この記事では、卵子凍結が仕事に与える具体的な影響(通院頻度、体調変化、キャリアプランなど)を詳しく解説。職場への適切な説明方法、そして仕事と両立させるための実践的な対策をご紹介します。会社の制度活用から業務調整の工夫まで、具体的な解決策を知ることで、後悔しない選択と、安心して治療に臨むための道筋が見えてきます。
目次
卵子凍結を考えるあなたへ 仕事との両立は可能です
現代社会において、女性のキャリア形成は多様化し、多くの女性が仕事にやりがいを見出し活躍しています。しかし、同時に「いつか子どもを持ちたい」という願いとの間で、ライフプランに悩む方も少なくありません。特に、年齢による卵子の質の低下は、将来の妊娠・出産を考える上で避けて通れない現実です。そんな中、将来の選択肢を広げる手段として「卵子凍結」が注目されています。
今の仕事に没頭しても良いという安心感や、将来子供が欲しいと思う時期に焦らなくても良いと思えるようになりました。
34歳で転職、パートナーなし。これからお相手を探そうにも、しばらくは仕事に打ち込みたかった。年齢を重ね、いざパートナーとの子供が欲しいとなったとき、今の自分にできることをしておけば、たとえ子供を授かることはなかったにしても、後悔が少ないと思った。
「卵子凍結」と聞くと、仕事との両立は難しいのではないか、職場にどう説明すれば良いのか、といった不安を感じる方もいるでしょう。しかし、ご安心ください。適切な情報と準備があれば、仕事と卵子凍結の両立は十分に可能です。この章では、卵子凍結の基本的な知識と、働く女性が抱えがちな不安を解消するための導入部分として、その可能性についてお伝えします。
卵子凍結とは 将来の選択肢を広げるために
卵子凍結とは、女性が若く健康な状態の卵子を採取し、液体窒素中で凍結保存しておく医療技術です。これにより、将来の妊娠・出産に備え、自身の年齢による卵子の質の低下をカバーすることが可能になります。特に、キャリアを優先したい、パートナーとの出会いがまだである、あるいは病気の治療などで妊孕性(にんようせい)が低下する可能性があるといった方が、将来の選択肢を確保するために利用を検討しています。
この技術は、女性が自身のライフプランをより柔軟に、そして主体的に設計するための強力なツールとなり得ます。年齢を重ねるにつれて自然妊娠の確率が低下し、体外受精などの生殖補助医療でも卵子の質が課題となるケースが増える中で、若いうちに質の良い卵子を保存しておくことは、将来の不妊治療における成功率を高める可能性も秘めています。
卵子凍結は、あくまで将来の選択肢を広げるための手段であり、妊娠を保証するものではありませんが、多くの女性にとって精神的な安心感をもたらし、キャリア形成やパートナーシップの構築に集中できる環境を整える一助となっています。
仕事と卵子凍結 両立への不安を解消しよう
卵子凍結を検討する際、働く女性が最も懸念するのは、やはり仕事への影響でしょう。通院スケジュール、体調の変化、職場への説明、そして費用面など、様々な不安が頭をよぎるかもしれません。しかし、これらの不安に対しては、適切な情報収集と準備、そして利用可能な制度やサポートを活用することで、現実的に対処し、仕事との両立を図ることが可能です。
具体的にどのような不安があるか、そしてそれに対する考え方の一部を以下に示します。
| 主な不安要素 | 両立に向けた考え方・ヒント |
| 通院による業務調整 | 採卵までの通院は数回必要ですが、事前にスケジュールを把握し、会社や上司と相談することで調整は可能です。フレックスタイムや有給休暇の活用も検討できます。 |
| ホルモン剤による体調変化 | 個人差はありますが、ホルモン剤の影響で体調が変化する場合があります。体調管理を徹底し、必要に応じて業務内容の調整や休憩を検討しましょう。 |
| 職場への説明の仕方 | どこまで、誰に伝えるかは個人の判断ですが、会社の制度や理解度を確認し、適切なタイミングで相談することで、協力を得やすくなります。 |
| キャリアへの長期的な影響 | 卵子凍結は将来のライフプランを豊かにするための投資です。短期的な業務調整は必要でも、長期的なキャリア形成に悪影響を及ぼすものではありません。 |
| 費用負担 | 高額な費用がかかるイメージがありますが、自治体によっては助成金制度もあります。福利厚生として卵子凍結費用を補助する企業も増えています。事前に情報収集し、計画的に準備することで負担を軽減できます。 |
これらの不安は、決して一人で抱え込む必要はありません。情報収集や相談を通じて、具体的な対策を講じることができます。このガイドを通して、卵子凍結があなたのキャリアを諦める理由ではなく、むしろあなたのライフプランを豊かにするための選択肢となるよう、具体的な情報とサポートを提供していきます。
卵子凍結が仕事に与える具体的な影響を解説
卵子凍結は将来の選択肢を広げるための重要なステップですが、その過程で仕事に具体的な影響を及ぼす可能性があります。ここでは、通院スケジュール、体調の変化、そしてキャリアプランへの影響について詳しく解説します。
通院による業務調整と頻度
卵子凍結のプロセスには、複数の通院が必要です。特に排卵誘発期間中は、通院頻度が高まるため、事前の業務調整が不可欠となります。
採卵までの通院スケジュール
採卵までの期間は、個人の生理周期や卵巣の状態、医師の治療方針によって異なりますが、一般的には以下のような通院が求められます。特に排卵誘発期間中は、数日おきに医療機関を訪れる必要があるため、業務への影響が大きくなる時期と言えます。
| 時期 | 主な内容 | 通院目安 |
| 生理開始~排卵誘発初期 | 初期検査、ホルモン剤(排卵誘発剤)の開始 | 1~2回 |
| 排卵誘発期間中 | 卵胞の成長確認(超音波検査)、ホルモン値測定 | 2~4回(数日おき) |
これらの通院は、多くの場合、平日の日中に行われるため、勤務時間中の外出や早退、遅刻が必要となることがあります。特に重要な会議や顧客対応の予定がある場合は、事前に調整しておくことが求められます。クリニックによっては平日の夜や土日に対応していることもありますので、事前に確認をしましょう。
採卵後の回復期間と業務への影響
採卵手術自体は、全身麻酔または局所麻酔下で行われ、多くの場合日帰りで完了します。しかし、手術後は安静が必要であり、体調によっては数日間の回復期間を要することがあります。
採卵後は、以下のような症状が現れる可能性があります。
- 腹部の張りや痛み
- 少量の出血
- 麻酔による倦怠感や吐き気
- 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスク(重症化すると入院が必要な場合も)
これらの症状がある場合、仕事のパフォーマンスが低下したり、肉体労働や長時間のデスクワークが困難になったりすることがあります。特にOHSSのリスクがある場合は、医師の指示に従い、無理のない範囲で業務を調整することが極めて重要です。
体調の変化と仕事のパフォーマンス
卵子凍結の過程では、ホルモン剤の使用や精神的な負担により、体調に変化が生じ、それが仕事のパフォーマンスに影響を与えることがあります。
ホルモン剤の影響と体調管理
排卵誘発のために使用するホルモン剤は、体内のホルモンバランスを一時的に変化させます。これにより、個人差はありますが、以下のような副作用が現れることがあります。
- 吐き気、頭痛
- 倦怠感、疲労感
- 腹部の張り、むくみ
- 気分の変動(イライラ、落ち込みなど)
これらの副作用は、集中力の低下や判断力の鈍化を招き、仕事の効率や質に影響を与える可能性があります。特に重要な業務を抱えている時期と重なる場合は、細心の注意を払い、自身の体調変化を敏感に察知し、必要に応じて休憩を取るなどの体調管理が求められます。
精神的な負担への対処法
卵子凍結は、将来の選択肢を広げるポジティブな側面がある一方で、精神的な負担も伴います。治療への期待と不安、高額な費用への懸念、仕事との両立へのプレッシャーなどがストレスの原因となることがあります。
精神的な負担が増大すると、モチベーションの低下、不眠、集中力の散漫など、仕事のパフォーマンスに直接的な影響を及ぼすことがあります。また、周囲に相談できないことによる孤独感も、さらにストレスを増幅させる要因となりえます。心身の健康を維持するためには、ストレスを溜め込まず、適切な対処法を見つけることが重要です。
キャリアプランへの長期的な影響
卵子凍結は、治療期間中に業務調整が必要となることで、プロジェクトへの参加を一時的に見送ったり、業務内容の変更を余儀なくされたりするケースも考えられます。
しかし、卵子凍結は将来の出産・育児のタイミングを柔軟に選択できる可能性を高めるものであり、結果的に長期的な視点で見れば、キャリアとライフイベントの両立をより計画的に進めるための投資となり得ます。一時的な業務調整やキャリアパスの見直しが必要になるかもしれませんが、それが将来的なキャリアの中断リスクを軽減し、より持続可能な働き方を実現するための基盤となる可能性も秘めているのです。

職場への説明はどうする?理解を得るためのポイント
卵子凍結の治療を進めるにあたり、職場への説明は多くの人が悩むポイントです。自身のプライバシーを守りつつ、円滑に治療と仕事を両立させるためには、戦略的なコミュニケーションが不可欠です。この章では、誰にいつ、どこまで伝えるべきか、そして理解を得るための具体的な方法について解説します。
誰にいつ伝えるか 上司への相談タイミング
職場への説明は、誰に、そしてどのタイミングで伝えるかが非常に重要です。適切な相手に適切な時期に伝えることで、業務調整がスムーズに進み、不要な誤解やトラブルを避けることができます。
まず、伝える相手としては、直属の上司が基本となります。業務の調整や休暇の申請は、まず直属の上司を通じて行うのが一般的だからです。企業によっては、人事部や産業医への相談窓口が設けられている場合もありますので、会社の制度を確認しておくことも大切です。
次に、伝えるタイミングですが、これは早すぎても遅すぎても良くありません。採卵に向けた通院スケジュールが具体的に見えてきた段階で、早めに相談することが理想的です。これにより、上司も業務調整のための時間を確保しやすくなります。
| 伝える相手 | 伝えるタイミング | ポイント |
| 直属の上司 | 採卵に向けた通院スケジュールが具体化した段階 | 業務調整や休暇申請の窓口となるため、最も重要です。 |
| 人事部 | 会社の福利厚生や制度を活用したい場合 | 制度の利用方法や、より広範なサポートについて相談できます。 |
| 同僚 | 業務の引き継ぎやサポートが必要な場合 | 上司への相談後、必要に応じて協力を依頼します。 |
通院が始まる直前や、体調不良で急に休むことになってからでは、職場に迷惑をかけたり、理解を得にくくなる可能性があります。余裕を持った行動が、双方にとって良い結果を生むでしょう。
どこまで話すか 伝える内容とプライバシー保護
卵子凍結は非常に個人的な情報であり、どこまで職場に伝えるべきか悩む方も多いでしょう。自身のプライバシーを守りつつ、業務への影響を最小限に抑えるための情報共有のバランスが重要です。
伝えるべき最低限の情報は、以下の点です。
- 通院が必要であること:具体的な治療内容を詳細に話す必要はありませんが、「医療行為のため定期的な通院が必要になる」と伝えます。
- 体調の変化の可能性:ホルモン剤の影響で体調が一時的に変化する可能性があることを伝えておくと、万が一の際に理解を得やすくなります。
- 業務調整の相談:通院日や体調不良時の業務調整について、具体的な相談をしたい旨を伝えます。
卵子凍結という具体的な治療名を伝えるかどうかは、個人の判断に委ねられます。しかし、「不妊治療」や「婦人科系の治療」といった表現でぼかして伝えることも可能です。重要なのは、業務への影響が予測されるため、事前に相談したいという姿勢を示すことです。
詳細な医療情報や個人的な背景を無理に話す必要はありません。あくまで業務への影響と、それに対する調整の必要性を中心にコミュニケーションを図りましょう。プライバシー保護は個人の権利であり、その線引きは自身で決めることができます。
理解を得るためのコミュニケーション術
職場からの理解を得るためには、単に状況を伝えるだけでなく、建設的なコミュニケーションを心がけることが大切です。具体的な対策を提示し、協力体制を築くことで、スムーズな両立が可能になります。
会社の制度を確認する
上司に相談する前に、まず自社の就業規則や福利厚生制度を確認しておくことが非常に重要です。利用できる制度を把握しておくことで、具体的な相談内容を組み立てやすくなります。
- 有給休暇:通常の有給休暇の取得条件や残日数を確認します。
- 特別休暇・慶弔休暇・傷病休暇:治療目的で利用できる特別休暇や、傷病休暇制度がないか確認します。積立有給制度がある場合は、そちらも検討できます。
- フレックスタイム制度:コアタイムなしのフレックスタイム制度があれば、通院時間に合わせて勤務時間を調整できます。
- 時短勤務・在宅勤務:一時的な時短勤務や在宅勤務が可能な制度があるか確認します。
- 健康相談窓口・産業医:必要に応じて専門家への相談ができるか確認します。
これらの制度を事前に把握しておくことで、「〇〇制度を利用して通院したい」と具体的に提案でき、上司も対応しやすくなります。制度の活用は、会社にとっても従業員の健康管理や定着支援の一環となるため、積極的に活用を検討しましょう。
具体的な業務調整案を提示する
上司への相談時には、単に「通院が必要」と伝えるだけでなく、具体的な業務調整案を提示することで、より理解を得やすくなります。これは、自身の責任感と業務への配慮を示すことにも繋がります。
- 通院スケジュールの提示:現時点で把握している通院の頻度や時間帯を伝え、業務に影響が出そうな日時を具体的に示します。
- 業務の引き継ぎ・代替案:自分が不在になる時間帯や休む日に、誰に業務を引き継ぐか、あるいは事前にどこまで進めておくかなど、具体的な案を提示します。
- 業務効率化の提案:自身の業務を見直し、効率化できる部分や、他のメンバーに協力を仰げる部分を洗い出します。
- 緊急時の連絡体制:体調不良などで急に休む場合の連絡方法や、緊急時の対応について事前に相談します。
具体的な業務調整案をまとめることで、上司も状況を把握しやすくなり、チーム内でのサポート体制を検討しやすくなります。以下に、具体的な調整案の例を示します。
| 調整内容 | 具体的な提案例 | 期待される効果 |
| 通院時間の確保 | 「週に1~2回、午前中に2~3時間程度の通院が必要になる可能性があります。その際はフレックスタイム制度を利用し、勤務時間を調整したいです。」 | 業務への影響を最小限に抑えつつ、通院時間を確保。 |
| 業務の引き継ぎ | 「〇〇業務については、△△さんに事前に共有し、不在時には対応いただけるよう準備を進めます。」 | 業務停滞のリスクを軽減し、チームの負担を分散。 |
| 在宅勤務の活用 | 「採卵後の回復期間は、体調を見ながら在宅勤務での業務を希望します。」 | 身体への負担を軽減しつつ、業務継続を可能に。 |
| 事前の業務前倒し | 「通院が集中する時期の〇〇業務は、事前に前倒しで完了させておきます。」 | 計画的な業務遂行で、急な対応を減らす。 |
一方的に要望を伝えるのではなく、会社やチームへの配慮を示す姿勢が、理解と協力を得るための鍵となります。
説明しないという選択肢とそのリスク
卵子凍結について職場に説明しないという選択肢ももちろんあります。プライバシーを守りたい、余計な詮索をされたくない、といった思いから、この選択をする人も少なくありません。しかし、説明しないことには、いくつかのリスクが伴います。
- 急な体調不良や通院への対応:ホルモン剤の影響で体調が優れない場合や、急な通院が必要になった際に、理由を説明できないと周囲に不信感を与えかねません。
- 業務への支障:通院のために頻繁に早退や欠勤を繰り返すと、業務に支障が出たり、同僚に負担がかかったりする可能性があります。説明がないと、周囲は「なぜ頻繁に休むのか」と疑問を抱き、不公平感を感じるかもしれません。
- 自身の精神的負担:職場に隠し続けることは、精神的なストレスとなることがあります。常に嘘をついたり、言い訳を考えたりすることに疲弊してしまう可能性もあります。
- 会社の制度が利用できない:もし会社に卵子凍結や不妊治療に関する支援制度や休暇制度があったとしても、説明しない限りそれらを利用することはできません。
説明しないことのメリットはプライバシーが守られることですが、デメリットは業務への影響や周囲との関係性、そして自身の精神的な負担に繋がりやすい点です。これらのリスクを十分に理解した上で、自身の状況や職場の雰囲気、上司との関係性などを総合的に判断し、最適な選択をすることが重要です。
外部の相談窓口やサポート機関の利用
卵子凍結に関する情報収集や、治療期間中の精神的な負担に対するサポートは、社内だけでは解決できない場合もあります。外部の専門機関や相談窓口を積極的に活用することで、より多角的な支援を受けることができます。
各都道府県には、仕事と不妊治療の両立を支援するための相談窓口が設置されていることがあります。卵子凍結も広義の生殖医療の一部として、これらの窓口で相談できる場合がありますので、情報収集や具体的なアドバイスを求める際に役立ちます。また、卵子凍結に関する専門のカウンセリングサービスを提供している医療機関やNPO法人もあります。精神的なストレスや不安を感じた際には、専門家によるカウンセリングを受けることで、心の健康を保つ助けとなるでしょう。
さらに、オンラインコミュニティや患者会に参加することも、精神的な支えとなります。同じ経験を持つ人々と情報交換したり、悩みを共有したりすることで、孤立感を軽減し、前向きに治療に取り組むモチベーションを得られることがあります。企業によっては、産業医や保健師が配置されている場合があり、健康面やメンタルヘルスに関する相談が可能です。プライバシーに配慮した形で、仕事と治療の両立について相談してみるのも良いでしょう。
後悔しないための卵子凍結 費用と心身のケア
卵子凍結にかかる費用と助成金制度
卵子凍結は、将来の選択肢を広げるための大切な投資ですが、決して安価なものではありません。治療を始める前に、かかる費用の全体像を把握し、利用できる助成金制度がないか確認することが重要です。
一般的に、卵子凍結にかかる費用は以下の項目で構成されます。医療機関や個人の状況によって金額は変動するため、あくまで目安としてご参照ください。
| 費用の項目 | 内容 | 費用の目安 |
| 事前検査費用 | AMH検査(卵巣予備能)、感染症検査、内診、血液検査など | 数千円~数万円 |
| 排卵誘発剤費用 | 卵子を複数育てるためのホルモン剤(注射、内服薬など) | 数万円~数十万円 |
| 採卵費用 | 麻酔代、採卵手術代、培養費用など | 10万円~20万円程度 |
| 卵子凍結費用 | 採卵した卵子を凍結保存する費用 | 5万円~15万円程度 |
| 年間保管費用 | 凍結した卵子を保管するための年間費用 | 年間3万円~5万円程度 |
これらの費用を合計すると、初回治療で総額30万円~70万円程度かかることが一般的です。また、凍結した卵子の保管には年間費用が継続的に発生します。複数回採卵を行う場合や、より多くの卵子を凍結する場合は、さらに費用が増加する可能性があります。
利用できる助成金制度を確認する
卵子凍結にかかる経済的負担を軽減するため、国や自治体、企業などが助成金制度を設けている場合があります。
- 自治体による助成制度
現在、東京都をはじめとする一部の自治体では、若年女性の卵子凍結費用を助成する独自の制度を導入しています。これらの制度は、対象年齢、助成額、所得制限、居住期間などの条件が設けられていることが多いため、ご自身の居住する自治体のウェブサイトなどで最新情報を確認することが不可欠です。例えば、東京都の制度では、初期費用の一部が助成されるケースがあります。 - 企業の福利厚生制度
近年、従業員のウェルビーイングや多様な働き方を支援する目的で、卵子凍結費用を補助する福利厚生制度を導入する企業も増えています。ご自身の勤務先の人事部や福利厚生担当部署に、そのような制度がないか確認してみましょう。
助成金制度は、条件や内容が頻繁に更新される可能性があります。申請を検討する際は、必ず最新の情報を確認し、不明な点は担当窓口に問い合わせるようにしてください。
治療期間中の心身の健康維持
卵子凍結の治療期間中は、ホルモン剤の影響や通院による身体的な負担に加え、将来への不安や期待から精神的なストレスを感じやすくなります。心身ともに健康な状態で治療を進めるために、意識的にケアを行うことが大切です。
身体的なケアと体調管理
排卵誘発剤の使用や採卵手術は、体に少なからず影響を与えます。以下の点に注意し、体調を整えましょう。
- ホルモン剤による体調変化への対応
ホルモン剤の投与により、吐き気、頭痛、腹部の膨満感、倦怠感などの症状が出ることがあります。これらの症状が辛い場合は、無理せず医師に相談し、薬の調整や対処法についてアドバイスを受けましょう。 - 十分な休息と睡眠
治療期間中は、普段以上に体を休めることが重要です。特に採卵後は、出血や痛みを伴うことがあるため、医師の指示に従い、安静を心がけ、十分な睡眠時間を確保してください。 - バランスの取れた食事と水分補給
栄養バランスの取れた食事を心がけ、体を冷やさないように温かい飲み物や食事を取りましょう。また、脱水症状を防ぐためにも、こまめな水分補給が大切です。 - 適度な運動
激しい運動は避けるべきですが、ウォーキングなどの軽い運動は血行促進やストレス軽減に役立ちます。ただし、治療の段階によっては運動が制限される場合もあるため、必ず医師に確認してください。
精神的なケアとストレス対策
卵子凍結は、身体的な側面だけでなく、精神的な側面でも大きな決断を伴います。不安やストレスを抱え込まず、適切に対処することが重要です。
- 信頼できる人への相談
パートナー、家族、親しい友人など、信頼できる人に気持ちを打ち明けることで、精神的な負担が軽減されることがあります。一人で抱え込まず、支えを求めることをためらわないでください。 - 専門家への相談
医療機関によっては、不妊カウンセラーや心理士が在籍しており、精神的なサポートを提供しています。漠然とした不安や強いストレスを感じる場合は、専門家のアドバイスを受けることも有効な手段です。 - リラックスできる時間の確保
趣味に没頭する時間、瞑想、アロマセラピーなど、ご自身がリラックスできる方法を見つけて実践しましょう。心身の緊張を和らげることが、治療を乗り切る上で役立ちます。 - 情報との付き合い方
インターネットやSNS上の情報は玉石混交であり、時に不安を煽ることもあります。信頼できる情報源を選び、情報過多にならないよう注意し、必要以上に検索しすぎないことも大切です。
心身の健康を保ちながら卵子凍結を進めることで、後悔のない選択へとつながります。無理せず、ご自身のペースで治療に臨んでください。
まとめ
卵子凍結は、将来の選択肢を広げ、後悔しない人生を送るための有効な選択肢です。仕事との両立には、通院や体調変化、精神的負担など具体的な影響が伴いますが、職場への適切な説明と理解、会社の福利厚生や休暇制度の積極的な活用、そして具体的な業務調整の工夫によって十分に可能です。一人で抱え込まず、外部のサポートも活用しながら、心身の健康を保ちつつ、計画的に進めることが成功の鍵となります。
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Grace Bank(グレイスバンク)所属スタッフが、グレイスバンクのサービス内容・ご利用の流れ・お手続き・クリニック選び等のご不明な点について個別にお応えします。ぜひご活用ください。
名倉 優子 なぐら ゆうこ
日本産科婦人科学会専門医
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