卵子凍結について

【最新版】日本でも話題の卵子凍結|海外の動向は?アメリカの普及率を解説

日本で卵子凍結への関心が高まる中、海外、特にアメリカの動向に注目が集まっています。アメリカでは卵子凍結の需要が急増しており、米国生殖補助医療学会(SART)のデータによると2022年から2023年の間の周期数は前年同期比で約39.2%増加しました。2023年に報告された採卵件数は 39,269 件で、前年度の約29,000件から大幅に増えています。

本記事では、アメリカで卵子凍結がなぜこれほど普及したのか、その背景にある大手企業の福利厚生や多様なライフプランといった要因を深掘りします。

はじめに 日本で卵子凍結が注目される背景

近年、日本社会において女性のライフプランは多様化し、それに伴い「卵子凍結」への関心が急速に高まっています。かつては一部の医療関係者や不妊治療に関心のある層に限定されていたこの選択肢が、今や多くの女性にとって現実的なものとして議論されるようになりました。この章では、なぜ日本で卵子凍結がこれほどまでに注目を集めるようになったのか、その背景にある社会的な変化と個人の意識の変化を深掘りしていきます。

現代日本におけるライフプランの変化と卵子凍結

日本の女性を取り巻く環境は、過去数十年の間に大きく変化しました。晩婚化・晩産化の進行とキャリア形成への意欲の高まりが、卵子凍結への関心を高める主要な要因となっています。

晩婚化・晩産化の進行と女性の選択肢

厚生労働省の統計が示すように、日本の平均初婚年齢、そして第一子出産年齢は年々上昇傾向にあります。これは、女性が社会で活躍する期間が長くなり、結婚や出産といったライフイベントを自身のペースで選択する傾向が強まっていることを意味します。しかし、年齢とともに卵子の質が低下し、妊娠の可能性が減少する「卵子の老化」という生物学的な事実は、多くの女性にとって避けられない課題として立ちはだかります。将来的に子どもを望むものの、現時点での結婚や出産に踏み切れない女性にとって、卵子凍結は将来の選択肢を広げるための有効な手段として認識され始めています。

キャリア形成と出産時期のジレンマ

女性の社会進出は目覚ましく、キャリアを追求し、専門性を高める女性が増加しています。昇進や重要なプロジェクトへの参画、自己実現のための学びなど、キャリアの重要な局面と出産・育児の適齢期が重なることで、多くの女性が「キャリアか出産か」というジレンマに直面してきました。卵子凍結は、このジレンマに対する新たな解決策として注目されています。若く質の良い卵子を保存しておくことで、キャリアを中断することなく、将来的に安心して出産を検討できるという希望を女性に与えています。

卵子凍結への関心が高まる社会的要因

ライフプランの変化に加え、メディアの報道や不妊治療技術の進歩、そして「卵子の老化」に対する一般の認識の変化も、卵子凍結への関心を高める重要な社会的要因となっています。

メディア報道と著名人の影響

テレビ、雑誌、インターネットといった様々なメディアで卵子凍結に関する情報が取り上げられる機会が増えました。特に、著名人やインフルエンサーが自身の卵子凍結経験を公表するケースが増えたことで、一般層への認知度が飛躍的に向上しました。これにより、卵子凍結は「特別な人が行うもの」という認識から、「自分も検討できる選択肢の一つ」へと変化し、オープンに議論されるテーマとなっています。ポジティブな側面だけでなく、費用やリスクに関する情報も同時に広まることで、より現実的な視点での検討が促されています。

不妊治療の進歩と生殖医療の選択肢

日本の不妊治療技術は世界的に見ても高い水準にあり、体外受精や顕微授精などの生殖補助医療は多くのカップルに希望を与えてきました。その中で、卵子凍結は「将来の不妊に備える予防的な選択肢」として位置づけられるようになりました。不妊治療の経験者やその周囲の人々が、より早い段階での対策の重要性を認識するようになり、卵子凍結が「妊活」の一環として検討されるケースも増えています。また、不妊治療の保険適用拡大といった国の政策的な動きも、生殖医療全体への関心を高める一因となっています。

若年女性の卵子の老化への意識

「卵子の老化」という言葉は、かつて専門家の間でのみ使われていましたが、現在では一般の女性にも広く知られるようになりました。年齢とともに卵子の数が減少し、質が低下すること、そしてそれが妊娠率の低下や流産率の上昇、さらには染色体異常のリスクを高めるという科学的な事実が、広く認識されています。特に20代後半から30代前半の女性が、将来の妊娠・出産を見据え、若く質の良い卵子を保存しておきたいという切実なニーズを持つようになり、これが卵子凍結への強い動機付けとなっています。

世界の動向

現代社会において、女性のライフプランは多様化し、それに伴い「卵子凍結」という選択肢が注目を集めています。アメリカの記事では、「卵子凍結はルーチンな選択肢となり、安全で増加傾向にあるオプションとして広く受け入れられていて、出生率の遅延という複雑な生殖の現実に向き合う方法として、その人気は高まっている。」と紹介されています。

The State of Egg Freezing 2024 | Cofertility

世界の主要国における卵子凍結の最新トレンド

卵子凍結は、世界中でその認知度と利用が拡大しています。特に、晩婚化や女性の社会進出が進む国々で、そのトレンドが顕著です。各国における法規制、保険適用、社会的受容の状況は異なり、それが普及率にも影響を与えています。

欧米諸国では、日本に先駆けて卵子凍結が普及し始めており、特にアメリカでは、社会的卵子凍結が一般化しつつあります。 大手企業が従業員向けの福利厚生として卵子凍結費用を補助する事例も増え、ライフプランの選択肢の一つとして認識されています。

卵子凍結に対する関心は Google トレンドにおいても倍々で増加しており、この5年間で2倍以上の検索関心が示されています。

海外の卵子凍結事情 アメリカの普及率を徹底解説

日本でも卵子凍結への関心が高まる中、海外、特にアメリカではその普及が先行しています。ここでは、アメリカにおける卵子凍結の普及状況と、それが社会にどのように受け入れられているのかを深掘りし、さらに普及を後押しした背景にある要因を詳しく解説します。

アメリカにおける卵子凍結の普及状況と社会的受容

アメリカでは、卵子凍結が女性のライフプランを多様化させる選択肢の一つとして、急速に普及が進んでいます。米国疾病対策センター(CDC)の報告などによれば、生殖補助医療の一環として行われる卵子凍結の件数は年々増加傾向にあり、特に30代後半から40代前半の女性の間で利用が広がっています。

この背景には、アメリカ社会における女性のキャリア志向の高まりや晩婚化、初産年齢の上昇といった社会的な変化があります。かつては医療上の理由(がん治療など)で卵子凍結を選択するケースが主でしたが、現在では「社会的卵子凍結(Social Egg Freezing)」と呼ばれる、将来の出産に備えるための選択として広く認識されています。

アメリカでは、1980年には平均初婚年齢が22歳でしたが、現在では28歳を超えており、学士・大学院を修了した女性では、初産年齢がそれぞれ41%、54%が30歳以上に達しています。

社会的受容の面では、卵子凍結はもはや特別な選択肢ではなく、「生殖の自由(reproductive freedom)」という考え方のもと、個人の自己決定権を尊重する文化の中で、前向きに検討されるようになっています。メディアでの取り上げられ方も肯定的であり、女性がキャリアと出産を両立させるための有効な手段として紹介されることが増えました。

なぜアメリカで卵子凍結が広まったのか 背景にある要因

アメリカで卵子凍結がこれほどまでに普及し、社会に浸透した背景には、いくつかの複合的な要因が存在します。特に、企業による福利厚生の充実と、多様なライフプランを尊重する社会的な価値観が大きく影響しています。

大手企業の福利厚生が卵子凍結を後押し

アメリカにおける卵子凍結の普及を語る上で、大手テック企業を中心とした福利厚生の導入は欠かせない要素です。2014年には、GoogleやAppleといった世界的な企業が、女性従業員向けの福利厚生として卵子凍結の費用補助を開始したことが大きな話題となりました。これにより、経済的なハードルが下がり、多くの女性が卵子凍結を選択しやすくなりました。

これらの企業は、優秀な女性人材の確保と定着を目指し、従業員がキャリアを中断することなく、将来的な出産計画を立てられるよう支援する姿勢を示しました。この動きは他の企業にも波及し、現在では様々な業界で卵子凍結をサポートする福利厚生が提供されています。以下に、福利厚生として卵子凍結支援を提供する企業の一例と、その一般的な内容を示します。

企業名提供される福利厚生の内容(一般的な例)普及への影響
Google卵子凍結費用の一部または全額補助大手企業が先駆けとなり、社会的な認知度と受容性を高めた
Apple生殖補助医療費用の包括的なサポート(卵子凍結含む)従業員の多様なライフイベントへの対応として注目を集めた
Meta (旧Facebook)不妊治療および卵子凍結に関する費用補助テック業界全体に同様の福利厚生が広がるきっかけとなった
Starbucks生殖補助医療に関する医療保険適用サービス業など幅広い業界に支援の動きが波及した

このような企業の後押しは、卵子凍結が個人の選択肢であると同時に、企業が従業員のワークライフバランスを支援する重要な手段であるという認識を社会に広めることにつながりました。

アメリカのライフプラン多様化と卵子凍結の選択

アメリカでは、個人の自由と選択を重んじる文化が根強く、多様なライフプランが尊重される社会です。女性の社会進出が進み、キャリア形成に時間をかけることが一般的になる中で、出産時期を遅らせたいと考える女性が増加しました。

卵子凍結は、こうした女性たちがキャリアと出産という二つの重要なライフイベントを、自身のタイミングで実現するための「保険」として機能しています。例えば、まだパートナーがいない、キャリアの重要な局面にある、あるいは経済的な安定を待ってから出産したいといった様々な理由から、若いうちに質の良い卵子を保存しておくという選択が支持されています。

また、独身女性や同性カップルなど、多様な家族形態が増えていることも、卵子凍結の需要を押し上げています。将来的に体外受精や代理出産を検討する際に、自身の若い卵子を使用できるという選択肢は、多くの人々にとって魅力的です。このように、アメリカ社会におけるライフプランの多様化が、卵子凍結をより一般的な選択肢へと押し上げた主要な要因の一つと言えるでしょう。

まとめ

本記事では、日本で関心が高まる卵子凍結について、特に海外、中でもアメリカの動向に焦点を当てて解説しました。アメリカでは、大手企業の福利厚生制度や多様なライフプランを尊重する社会背景が相まって、卵子凍結が日本よりもはるかに普及し、社会的に広く受け入れられています。卵子凍結は女性のキャリアと出産という重要なライフイベントを自身のタイミングで実現するための「保険」となり得ます。卵子凍結に興味がある方は、まずは無料セミナーなどで情報収集をしてみてはいかがでしょうか。

卵子凍結について興味がある方・実際に検討されている方は、ぜひGrace Bank(グレイスバンク)の無料セミナー等もご活用ください。より詳しく卵子凍結の相談・検討をしたい場合は無料の個別相談がおすすめです。

Grace Bank(グレイスバンク)所属スタッフが、グレイスバンクのサービス内容・ご利用の流れ・お手続き・クリニック選び等のご不明な点について個別にお応えします。ぜひご活用ください。

監修者

名倉 優子 なぐら ゆうこ

日本産科婦人科学会専門医


グレイス杉山クリニックSHIBUYA (東京都渋谷区)

杉山産婦人科の医師・培養士による技術を用いた質の高い診療を提供。
将来の妊娠に備えたプレコンセプションケアと卵子凍結にフォーカスした診療。
スタッフは全員女性。明瞭な料金設定も人気!

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