女性の健康・妊活

マンジャロダイエットと妊娠|知っておくべきリスクと安全性

マンジャロ(糖尿病治療薬)をダイエット目的で使用している方で、妊娠を考えている、あるいは妊娠が判明した方へ。この記事では、マンジャロが妊娠中や胎児に与える影響、そして安全性について詳しく解説します。結論として、妊娠中のマンジャロ使用は推奨されず、速やかな中止と医師への相談が不可欠です。妊娠を希望する際の計画的な進め方や、授乳中の注意点、妊娠中の安全な体重管理方法まで、知っておくべき重要な情報を提供し、あなたの不安を解消する一助となることを目指します。

マンジャロダイエットと妊娠|ダイエット中の女性が知るべきこと

マンジャロとは|2型糖尿病治療薬としての位置づけ

マンジャロは、一般名をチルゼパチドといい、本来は2型糖尿病の治療薬として開発された注射薬です。体内のGLP-1受容体とGIP受容体の両方に作用する「デュアルアゴニスト」という新しいタイプの薬剤であり、血糖値のコントロールに加えて体重減少効果が注目されています

日本国内では、2023年4月に2型糖尿病の治療薬として承認・販売が開始されました。この薬剤は、インスリン分泌を促進し、胃の内容物の排出を遅らせることで、食後の血糖値上昇を抑えるとともに、食欲を抑制し満腹感を持続させる効果が期待されています。

マンジャロダイエットの現状と注意点

マンジャロの持つ顕著な体重減少効果から、2型糖尿病ではない方でもダイエット目的でマンジャロを使用するケースが見られます。しかし、これは日本国内においては保険適用外の「自由診療」として行われているものであり、マンジャロが肥満症治療薬として正式に承認されているわけではありません。

ダイエット目的でマンジャロの使用を検討する場合、本来の承認用途とは異なること、そして必ず医師の適切な指導のもとで行うことが極めて重要です。安易な自己判断での使用や、インターネットなどを通じた個人輸入は、健康被害のリスクを伴うため絶対に避けるべきです。また、他の薬剤と同様に副作用のリスクも存在し、吐き気、下痢、便秘などが報告されています。特に妊娠を希望する女性や妊娠中の女性にとっては、その安全性に関する情報が非常に限られているため、慎重な判断が求められます

マンジャロの妊娠中における安全性とリスク

妊娠中のマンジャロ使用は推奨されるか

マンジャロ(一般名:チルゼパチド)は、2型糖尿病の治療薬として開発され、体重減少効果も期待される薬剤ですが、妊娠中の使用に関しては、その安全性が確立されていません。日本の添付文書においても、妊婦または妊娠している可能性のある女性に対しては、投与しないことが明確に記載されています。これは、ヒトにおける妊娠中の使用経験が非常に限られており、胎児への影響に関する十分なデータがないためです。

医師が治療上の有益性が危険性を上回ると判断した場合でも、妊娠中のマンジャロ使用は極めて慎重に行われるべきであり、基本的には推奨されません。妊娠が判明した場合には、速やかにマンジャロの使用を中止し、医師に相談することが最重要となります。

マンジャロが胎児に与える可能性のある影響

マンジャロが胎児に与える具体的な影響については、ヒトでの臨床データが不足しているため、現時点では不明確な点が多いです。しかし、妊娠初期の器官形成期に薬剤が胎児に曝露されることは、催奇形性や胎児の成長・発達に悪影響を及ぼす可能性が懸念されます。一般的に、妊娠中の薬物使用は、その薬物の種類や使用時期、用量によって胎児へのリスクが異なりますが、未知のリスクを避けるためにも、安全性が確立されていない薬剤の使用は避けるべきです。

特に、マンジャロのような新しいタイプの薬剤については、長期的な影響に関する情報も限られているため、将来的な健康リスクについても考慮する必要があります。妊娠中に薬物を使用する際は、必ず医師や薬剤師と相談し、その必要性とリスクについて十分な説明を受けることが不可欠です。

動物実験から示唆されるマンジャロの胎児への影響

ヒトでのデータが限られている一方で、マンジャロの胎児への影響については、動物実験からいくつかの示唆が得られています。ラットやウサギを用いた生殖発生毒性試験では、胎児の骨格の異常、内臓の奇形などが報告されています。

これらの動物実験の結果は、必ずしもヒトに直接当てはまるわけではありませんが、マンジャロが胎児に潜在的な悪影響を及ぼす可能性を示唆するものとして、重要な情報源となります。動物実験で確認されたリスクがあるため、妊娠中の女性へのマンジャロの使用は、極めて慎重な判断が求められ、原則として避けるべきとされています。

マンジャロ使用中に妊娠が判明した場合の対処法

マンジャロをダイエット目的で使用中に妊娠が判明した場合、速やかに適切な対応を取ることが、母体と胎児の健康を守る上で極めて重要です。妊娠中の薬物使用は慎重に行う必要があり、特にマンジャロのような新しい薬剤については、胎児への影響に関するデータがまだ限られているため、より一層の注意が求められます。

妊娠がわかったらすぐにマンジャロを中止する

マンジャロの使用中に妊娠が判明した場合、最も重要なことは、自己判断で服用量を調整したり継続したりせず、直ちにマンジャロの使用を中止することです。動物実験では、マンジャロの成分であるチルゼパチドが胎児に影響を及ぼす可能性が示唆されており、ヒトでの安全性は確立されていません。そのため、妊娠中のマンジャロ使用は推奨されていません。

マンジャロの半減期を考慮すると、体内に薬の成分が残存する期間がありますが、妊娠が分かった時点での即時中止が、胎児への潜在的なリスクを最小限に抑えるための最善策となります。

速やかに医師へ相談することの重要性

マンジャロの使用を中止したら、できるだけ速やかにマンジャロを処方した医師、またはかかりつけの産婦人科医に相談してください。医師には、マンジャロの使用期間、服用量、妊娠が判明した時期(最終月経開始日や妊娠週数)、そして現在の体調などを正確に伝えてください。これにより、医師は適切な判断を下し、今後の妊娠中の管理計画を立てることができます。

自己判断によるマンジャロ継続の危険性

妊娠が判明した後も、医師の指示なしに自己判断でマンジャロの服用を継続することは、非常に危険です。前述の通り、マンジャロの妊娠中の安全性は確立されておらず、胎児に悪影響を及ぼす可能性があります。具体的には、動物実験では胎児の骨格異常などが報告されており、ヒトにおいても同様のリスクが懸念されます。妊娠中の体重管理や血糖管理は重要ですが、それは必ず医師の指導のもと、母体と胎児の安全が最優先される方法で行われるべきです。自己判断で薬を継続したり、中止後に別の薬に切り替えたりすることは、予測できない健康上の問題を引き起こす可能性があるため、絶対に避けてください。

娠を希望する際のマンジャロダイエットの進め方

マンジャロをダイエット目的で使用している方が妊娠を希望する場合、胎児への安全性を最優先に考慮し、計画的に行動することが極めて重要です。無計画な妊娠は、予期せぬリスクを伴う可能性があります。

計画的な妊娠とマンジャロの中止期間

妊娠を希望する際には、マンジャロの最終投与から1か月空けることが添付文書上推奨されています。マンジャロの有効成分であるチルゼパチドは体内に比較的長く留まる特性があるため、完全に体外へ排出されるまでには時間を要します。具体的な中止期間については、個人の状態やマンジャロの使用期間・用量によって異なるため、必ず主治医と相談し、その指示に従ってください

マンジャロ中止後も体重管理を継続する必要がある場合は、医師や管理栄養士と相談し、妊娠に影響を与えない安全な方法で体重を維持する計画を立てましょう。例えば、食事内容の見直しや、妊娠を考慮した適度な運動などが挙げられます。

妊娠計画における医師との連携

マンジャロを使用中に妊娠を希望する際は、速やかにマンジャロを処方している主治医にその旨を伝え、妊娠計画について相談することが不可欠です。医師は、あなたの健康状態やマンジャロの使用状況を考慮し、適切な中止時期や今後の体重管理について具体的なアドバイスを提供します。

また、妊娠を希望する段階で、産婦人科医にも相談を開始することをお勧めします。主治医と産婦人科医の間で情報が共有されることで、より包括的で安全な妊娠計画を立てることが可能になります。医師との連携を密にすることで、マンジャロ中止後の適切な体重管理や、妊娠中の健康管理全般に関するサポートを受けることができます。

自己判断でマンジャロの使用を継続したり、急に中止したりすることは、母体や胎児に予期せぬ影響を及ぼす可能性があるため、絶対に避けるべきです。医師の専門的な指導のもと、安全な妊娠に向けた準備を進めましょう。

授乳中のマンジャロ使用について

母乳への移行と乳児への影響

マンジャロの有効成分が母乳に移行するかどうかについては、ヒトにおけるデータが非常に限られており、明確な情報が不足しています

もしチルゼパチドが母乳を介して乳児の体内に入った場合、乳児の成長や発達、血糖値などにどのような影響を与えるかは、現在のところ不明であり、安全性が確立されていません。特に、乳児は肝臓や腎臓の機能が未熟であるため、成人とは異なる影響を受ける可能性があります。

現時点では、乳児への潜在的なリスクを評価するための十分な臨床データが存在しないため、授乳中の使用は慎重に検討されるべきです。

授乳中のマンジャロ使用は避けるべきか

前述の通り、マンジャロの母乳への移行や乳児への影響に関するヒトでの安全性のデータが不足しているため、授乳中のマンジャロ使用は治療の有益性と母乳栄養の有益性を考慮し継続の可否について主治医と相談する必要があります。

もし授乳中にマンジャロの使用を検討している場合、またはマンジャロを使用中に授乳を開始したい、あるいは授乳を継続したいと考える場合は、必ず速やかに主治医に相談してください。医師は、母親の健康状態、治療の必要性、乳児の健康と授乳の重要性など、多角的な視点からリスクとベネフィットを総合的に評価し、最適な選択肢を提案します。

医師との相談の結果、マンジャロの使用を中止するか、あるいは授乳を中止するという選択肢が提示される可能性もあります。自己判断でマンジャロの使用を継続したり、授乳を中断したりすることは、乳児の健康に悪影響を及ぼすリスクや、母親の病状管理に支障をきたす可能性があるため、絶対に避けるべきです。

乳児の安全を最優先に考え、医師の専門的なアドバイスに従うことが極めて重要です

妊娠中の適切な体重管理とマンジャロ以外の選択肢

マンジャロは妊娠中の使用が推奨されないため、妊娠が判明した、あるいは妊娠を計画している場合は、マンジャロに頼らない方法で体重管理を行う必要があります。妊娠中の適切な体重管理は、母体の健康維持だけでなく、胎児の健やかな成長にとっても極めて重要です。過度な体重増加は妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病のリスクを高め、逆に不十分な体重増加は胎児の発育不全につながる可能性があります。ここでは、妊娠中に安全かつ健康的に体重を管理するための具体的な方法と、マンジャロ以外の選択肢について解説します。

妊娠中の健康的な体重増加の目安

妊娠中の体重増加は、妊娠前の体格(BMI)によって推奨される範囲が異なります。厚生労働省が示す基準を参考に、ご自身の状況に合わせた目標を設定することが大切です。妊娠前に痩せ型(BMI 18.5未満)だった場合は12~15kg、普通体重(BMI 18.5~25.0未満)の場合は10~12kg、肥満(BMI 25.0以上)の場合は個別対応(5~7kg程度が目安)が一般的な目安とされています。ただし、これはあくまで目安であり、個々の体質や妊娠経過によって最適な体重増加量は異なります。定期的な健診で医師と相談し、適切な目標を設定しましょう。

急激な体重増加は、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病のリスクを高めるだけでなく、難産につながる可能性もあります。一方で、過度な食事制限による体重増加不足は、胎児の低出生体重児のリスクを高めるため、注意が必要です。妊娠期間を通して、緩やかで安定した体重増加を目指すことが理想的です。

医師や管理栄養士による食事指導

妊娠中の体重管理の基本は、バランスの取れた食事です。必要な栄養素を適切に摂取しつつ、過剰なカロリー摂取を避けることが重要になります。妊娠中は、葉酸、鉄分、カルシウムなど、特定の栄養素の必要量が増加します。これらの栄養素を意識的に摂取しながら、以下のような食生活を心がけましょう。

  • 主食・主菜・副菜を揃えたバランスの良い食事:炭水化物、タンパク質、脂質をバランス良く摂取し、ビタミンやミネラルも豊富に含む野菜や果物を積極的に取り入れましょう。
  • 加工食品や高カロリーな間食の制限:スナック菓子、清涼飲料水、揚げ物などは、カロリーが高い一方で栄養価が低いため、控えめにすることが望ましいです。
  • 食事の回数を増やす工夫:つわりなどで一度に多く食べられない場合は、食事の回数を増やし、少量ずつ摂取することで、安定した栄養補給と血糖値のコントロールに役立ちます。
  • 食品の安全性への配慮:生肉や生魚、非加熱のチーズなど、リステリア菌やトキソプラズマなどの感染リスクがある食品は避けるべきです。

自己流の食事制限は、母体と胎児に必要な栄養が不足するリスクがあるため危険です。必ず医師や管理栄養士に相談し、個別の状況に合わせた具体的な食事指導を受けるようにしましょう。特に、妊娠糖尿病と診断された場合は、専門家による厳格な食事管理が不可欠となります。

妊娠中に安全に行える運動

適度な運動は、妊娠中の体重管理だけでなく、ストレス軽減、体力向上、出産準備にも役立ちます。ただし、妊娠中の運動は、必ず医師の許可を得てから始めるようにしてください。妊娠週数や体調に合わせて、無理のない範囲で行うことが重要です。

妊娠中に安全に行える運動の例としては、以下のようなものがあります。

  • ウォーキング:最も手軽で安全な運動の一つです。無理のないペースで、毎日少しずつでも続けることが大切です。
  • マタニティヨガ・ピラティス:妊娠中の体に合わせたポーズや動きが中心で、柔軟性の向上、心身のリラックス、骨盤底筋群の強化に役立ちます。専門のインストラクターの指導のもとで行いましょう。
  • 水泳・水中ウォーキング:浮力があるため、関節への負担が少なく、全身運動ができます。体温が上がりすぎるのを防ぐため、水温に注意し、無理のない範囲で行いましょう。
  • ストレッチ:体の柔軟性を保ち、筋肉の緊張を和らげるのに役立ちます。特に、腰や背中の負担を軽減するストレッチは有効です。

一方で、転倒のリスクが高い運動(スキー、乗馬など)、腹部に衝撃が加わる可能性のある運動(球技、格闘技など)、激しい運動や息を止めるような運動は避けるべきです。運動中に体調に異変を感じた場合は、すぐに中止し、必要であれば医師に相談してください。水分補給を十分に行い、体調が悪い日は無理せず休息を取ることも重要です。

まとめ

マンジャロは2型糖尿病治療薬であり、ダイエット目的での使用は本来の承認用途とは異なります。特に妊娠中や授乳中の安全性は確立されておらず、動物実験から胎児への影響が示唆されているため、使用は避けるべきです。もしマンジャロ使用中に妊娠が判明した場合は、直ちに中止し、速やかに医師へ相談することが極めて重要です。自己判断は避け、妊娠を希望する際も医師と綿密に連携し、計画的に薬剤の中止を進めましょう。妊娠中の適切な体重管理は、医師や管理栄養士の指導のもと、安全な方法で行うことが何よりも大切です。

監修者

名倉 優子 なぐら ゆうこ

日本産科婦人科学会専門医


グレイス杉山クリニックSHIBUYA (東京都渋谷区)

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