卵子凍結について

卵子凍結の「よくある誤解」5選!必ず妊娠できる?若い人だけが対象?そんな誤解を解消します!

卵子凍結について、「必ず妊娠できる?」「若い人だけが対象?」「ピルを飲んでいるとできない?」といった誤解や不安を抱えていませんか?この記事では、卵子凍結に関する5つのよくある誤解を解消します。正しい情報を得ることで、あなた自身にとって最適な選択をしましょう。

はじめに 卵子凍結を正しく理解するために

近年、女性のライフスタイルやキャリアプランの多様化に伴い、「卵子凍結」への関心が急速に高まっています。将来の妊娠に備えるための選択肢として注目される一方で、「卵子凍結すれば必ず妊娠できるのか?」「若い人しかできないのでは?」「費用が高額すぎる?」といった、多くの誤解や不安も同時に広がっているのが現状です。

しかし、これらの誤解は、正しい情報に基づかないために生じていることがほとんどです。不正確な情報や偏った報道によって、本来、女性が自身のライフプランを豊かにするための選択肢であるはずの卵子凍結が、かえって不安や迷いの種となってしまうケースも少なくありません。

現代社会における卵子凍結の重要性

晩婚化やキャリア形成の長期化が進む現代において、女性が自身のライフステージに合わせて妊娠・出産を計画することは、以前にも増して重要な課題となっています。卵子凍結は、将来の妊娠可能性を温存するための有効な手段として、多くの女性にとって希望となり得るものです。年齢による卵子の質の低下という避けられない現実に対し、「時間」という選択肢を付与することで、女性がより柔軟なライフプランを描くことを可能にします。

卵子凍結に関するよくある誤解とその真実

誤解1】 卵子凍結すれば必ず妊娠できる?

【真実1】「卵子を凍結すれば必ず妊娠できる」というのは誤解

卵子凍結は、将来の妊娠の可能性を高める選択肢の一つですが、「卵子を凍結すれば必ず妊娠できる」というのは誤解です。 凍結した卵子を用いて体外受精を行い、妊娠に至るまでには、卵子の質、凍結・融解後の生存率、受精率、胚の発育、子宮環境など、多くの要因が複雑に絡み合います。

卵子凍結の主な目的は、採卵時の年齢における卵子の質と数を維持することです。しかし、凍結した卵子が融解後にすべて生存するわけではありません。また、融解した卵子がすべて受精し、良好な胚に育つわけでもありません。さらに、胚を子宮に戻しても、着床して妊娠が成立するかどうかは、子宮の状態やホルモンバランス、その他の健康状態に左右されます。

項目確率
凍結卵子融解後の卵子生存の確率80~95%
融解後の卵子に精子を注入した場合の受精率60~80%

さらに、質が良好な受精卵(10個あたり)が確保できた場合に出産できる確率を見ていきます。こちらは採卵時の年齢によって割合が異なります。

年齢出産率(凍結卵子を融解後に質が良好な受精卵が確保できた場合※10個あたり)
30歳以下80%程度
31~34歳75%程度
35~37歳53%程度
38~40歳30%程度
41歳以上20%以下

参考:グレイス杉山クリニックSHIBUYA 卵子凍結における妊娠/出産率

一般的に、卵子凍結後の妊娠率や出産率は、卵子を凍結した時の年齢に大きく影響されます。若いうちに凍結した卵子ほど、将来の妊娠・出産に繋がる可能性が高いとされています。卵子凍結は、あくまで将来の選択肢を広げるための手段であり、その成功を保証するものではないことを理解しておくことが重要です。ご自身の卵子の質や数、将来のライフプランについて、専門医とよく相談し、現実的な期待値を持つことが大切です。

誤解2】 卵子凍結は若い人だけが対象?

【真実2】「若い人だけが対象」というわけではない

卵子凍結は、一般的に20代後半から30代前半の、卵子の質が良好な時期に行うことが推奨される傾向にありますが、「若い人だけが対象」というわけではありません。 年齢の上限は明確に定められていないことが多く、個々の健康状態や卵巣機能によって検討が可能です。

確かに、女性の卵子の質と数は加齢とともに自然に減少していくため、若いうちに卵子を凍結する方が、将来の妊娠・出産成功率を高める可能性は高まります。しかし、30代後半や40代で卵子凍結を検討する方も少なくありません。この場合、採卵できる卵子の数が少なくなったり、卵子の質が低下している可能性があるため、複数回の採卵が必要になったり、将来の妊娠率が低くなる可能性も考慮する必要があります。

重要なのは、年齢に関わらず、ご自身の卵巣予備能(AMH値など)やホルモンバランス、健康状態を専門医に評価してもらい、将来のライフプランと照らし合わせて、最適な時期や方法について相談することです。卵子凍結は、ご自身の年齢や体の状態に合わせて、専門家とよく話し合いながら検討すべき選択肢と言えるでしょう。医師の適切な診断と情報提供のもとで、賢い選択をすることが求められます。

誤解3】 卵子凍結はピルを飲んでいるとできない?

【真実3】ピルを服用中でも卵子凍結は可能

低用量ピル(OC/LEP)を服用していると卵子凍結ができないと誤解している方がいますが、ピルを服用中でも卵子凍結は可能です。 ただし、採卵周期に入る前に一時的な休薬が必要となる場合があります。

低用量ピルは、排卵を抑制することで避妊効果や月経困難症、子宮内膜症などの治療効果を発揮します。卵子凍結のための採卵では、排卵誘発剤を用いて複数の卵子を成熟させる必要があるため、ピルの排卵抑制効果が妨げになる可能性があります。そのため、多くのクリニックでは、採卵周期を開始する数週間前からピルの服用を中止し、体内のホルモンバランスをリセットする期間を設けることを推奨しています。

ピルの種類や服用期間、個人の体の状態によって休薬期間は異なりますので、必ず卵子凍結を検討しているクリニックの医師に相談し、具体的な指示に従うようにしてください。医師の適切な指導のもとであれば、ピル服用歴があっても問題なく卵子凍結を行うことができます。 自己判断でピルの服用を中止せず、必ず専門医の指示を仰ぎましょう。

誤解4】 卵子凍結は高額すぎて手が出せない?

【真実4】高額と感じる方が多いのは事実、ただし助成金などを上手に利用できる

卵子凍結にかかる費用は、検査費用、排卵誘発剤、採卵費用、凍結費用、そして年間の保管費用などを含め、決して安価ではありません。総額で数十万円かかることもあり、このため、「高額すぎて手が出せない」と感じる方が多いのは事実です。

しかし、近年では、卵子凍結を希望する方への経済的負担を軽減するための取り組みが広がっています。特に、一部の自治体では独自の助成金制度を設けており、費用の一部が補助されるケースが増えています。 例えば、東京都では、特定の条件を満たす都民に対して卵子凍結にかかる費用の一部を助成する制度が導入されています。

また、企業が福利厚生の一環として卵子凍結の費用を補助するケースも出てきており、今後このような動きはさらに広がることが予想されます。国の不妊治療助成金(特定不妊治療費助成事業)は、原則として既に不妊治療を行っている夫婦が対象であり、卵子凍結単独では対象外となることが多いですが、将来の不妊治療に繋がる可能性を考慮し、情報収集は怠らないようにしましょう。

助成金制度を賢く活用することで、卵子凍結の経済的負担を軽減できる可能性があります。まずは情報収集を行い、ご自身が利用できる制度がないか確認することが重要です。

誤解5】 卵子凍結は受精卵凍結に比べて成績が悪い?

【真実3】凍結技術の進歩により、その差は大きく縮まっている

かつては、未受精卵を凍結する卵子凍結は、受精卵を凍結する受精卵凍結(胚凍結)に比べて、その後の妊娠成績が劣ると言われることがありました。しかし、現在の凍結技術の進歩により、その差は大きく縮まっています。

この技術革新の背景には、「ガラス化法(Vitrification)」と呼ばれる急速凍結技術の普及があります。従来の緩慢凍結法では、凍結過程で細胞内に氷の結晶が形成され、卵子にダメージを与えるリスクがありました。しかし、ガラス化法では、高濃度の凍結保護剤を使用し、非常に速いスピードで冷却することで、細胞内の水分が結晶化するのを防ぎ、ガラスのように固めることができます。これにより、卵子の生存率が飛躍的に向上し、受精卵凍結と遜色ない成績が得られるようになってきています。

卵子凍結と受精卵凍結には、それぞれ異なるメリットとデメリットがあります。卵子凍結は、未受精卵を凍結するため、将来のパートナーとの受精を可能にする点で、パートナーがいない方や、将来のパートナーシップが未定の方に適しています。一方、受精卵凍結は、既に受精が成立しているため、その後の胚の成長を見守るフェーズからスタートとなり、より高い妊娠率が期待できるのは事実です。

未受精卵凍結と受精卵凍結はフェーズが違うことを理解し、比べるのではなく、どちらの凍結方法を選択するかを、個人の状況や将来のライフプラン、倫理的な側面で決定するのが重要です。最新の技術とご自身の状況について、専門医と十分に相談し、最適な選択をすることが大切です。

卵子凍結を検討する方へ 正しい情報で賢い選択を

卵子凍結は、将来の妊娠に備えるための有効な選択肢ですが、そのメリットとリスク、そして費用について正しい情報を得て賢い選択をすることが非常に重要です。これまでの章で多くの誤解を解消してきましたが、ここでは実際に卵子凍結を検討する際に知っておくべき具体的なポイントを解説します。

信頼できるクリニック選びのポイント

卵子凍結は高度な生殖医療技術を要するため、クリニック選びは成功を左右する重要な要素です。実績と透明性、そして患者へのきめ細やかなサポート体制が整っているかを重視しましょう。

評価項目確認すべきポイント
生殖医療の実績と経験・卵子凍結、融解、体外受精における具体的な成功率や妊娠率を公開しているか。
・豊富な症例数や経験を持つ医師、培養士が在籍しているか。
情報公開の透明性・費用体系が明確で、追加料金が発生する可能性について事前に説明があるか。
・治療のリスクや副作用について、隠さず丁寧に説明してくれるか。
カウンセリング体制・専門のカウンセラーや看護師が常駐し、心理的なサポートも提供しているか。
・疑問や不安に対して、納得いくまで丁寧に説明してくれるか。
設備と技術・培養室などの設備が整っているか。
・凍結卵子の保管環境が適切に管理されているか。
アクセスと通いやすさ・通院しやすい立地にあるか、予約システムはスムーズか。
・急な体調変化に対応できる体制があるか。

卵子凍結に関する専門家への相談

卵子凍結は個人の健康状態や将来設計に深く関わるため、専門家との十分な対話を通じて、自身の状況に最適な選択肢を見つけることが不可欠です。複数の専門家から意見を聞く「セカンドオピニオン」も有効な手段です。

主に相談すべき専門家としては、不妊治療を専門とする産婦人科医や生殖医療専門医・培養士が挙げられます。あなたの卵巣機能やホルモン状態を評価し、卵子凍結が適しているか、またどのような治療計画が最適かを具体的にアドバイスしてくれます。

相談時には、以下の点について積極的に質問し、疑問を解消しておきましょう。

  • 現在の卵巣予備能(AMH値など)と、卵子凍結の成功可能性について
  • 採卵に伴う具体的なリスクや副作用
  • 凍結卵子の保存期間と、将来的な利用に関する規約
  • 卵子凍結後の体外受精や妊娠に関する具体的なプロセスと成功率
  • 費用に関する詳細な内訳と、利用可能な助成金制度について

卵子凍結について興味がある方・実際に検討されている方は、ぜひGrace Bank(グレイスバンク)の無料セミナー等もご活用ください。より詳しく卵子凍結の相談・検討をしたい場合は無料の個別相談がおすすめです。

Grace Bank(グレイスバンク)所属スタッフが、グレイスバンクのサービス内容・ご利用の流れ・お手続き・クリニック選び等のご不明な点について個別にお応えします。ぜひご活用ください。

まとめ

本記事では、卵子凍結に関する一般的な誤解を解消し、その真実をお伝えしました。卵子凍結は「必ず妊娠できる魔法」ではありません。また若い方やピル服用者でも検討可能であり、受精卵凍結と比較して一概に成績が悪いわけではありません。特に費用については、国や自治体による助成金制度が整備されつつあり、以前より経済的負担が軽減される可能性もあります。正しい情報を得て、ご自身のライフプランに合った賢い選択をすることが何よりも重要です。信頼できる専門家やクリニックに相談し、納得のいく形で未来への準備を進めましょう。

監修者

名倉 優子 なぐら ゆうこ

日本産科婦人科学会専門医


グレイス杉山クリニックSHIBUYA (東京都渋谷区)

杉山産婦人科の医師・培養士による技術を用いた質の高い診療を提供。
将来の妊娠に備えたプレコンセプションケアと卵子凍結にフォーカスした診療。
スタッフは全員女性。明瞭な料金設定も人気!

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