海外の事例紹介

メルカリが福利厚生導入で話題!米国で進む卵子凍結サポート

フリーマーケットアプリの「メルカリ」が2021年5月から新しい人事制度を始めました。

それが「卵子凍結支援制度」。

社員の採卵、凍結保存など卵子凍結に関わる費用を、子ども一人当たり200万円を上限に企業が支給するものです。

働き方が多様化するなか、女性がキャリアとライフプランを考える上で選択肢を増やそうというのが目的です。

日本では、「ここまで企業が支援をしてくれるなんて、なんとも太っ腹」と、驚きの方が強いかもしれません。

しかし、米国の状況はずっと進んでいます。フェイスブック、アップル、グーグルといった大手IT企業を始めとして、金融、コンサルティング、メディアなど幅広い業界で、卵子凍結サポートが広がっています。

フェイスブックからスタート

米国で大きなきっかけを作ったのがフェイスブックです。2014年、チーフオペレーティングオフィサー(COO) のシェリル・サンドバーグ氏が旗振り役となって、全女性社員を対象に、卵子凍結の費用を支給すると発表しました。

これはサンドバーグCOOの下で働く女性社員が、ガンにかかってしまったことがきっかけでした。その社員は、将来子どもを授かるためにすぐにでも卵子凍結をしないといけない状況でしたが、治療をする費用が捻出できないと悩んでいたのです。

というのも、米国で卵子凍結は一度に約110万円(1万ドル)以上もします。簡単に、何度も治療できる金額ではありません。

サンドバーグCOOは米メディア、ブルームバーグのインタビューで、会社がこの女性社員を金銭的にサポートできないかと、人事部と交渉したことを明かしています。

その中で、「なぜガンの女性の卵子凍結だけを対象にするのだろう、もっと広い対象者をカバーする制度を作れないだろうか」という結論に行きついたというのです。

現在、フェイスブックでは「福利厚生」として、卵子凍結の費用を6回まで90%カバーしています。一人につき、600万円弱がサポートされる計算になります。しかも、これは社員になったその日から適用される制度なのです。

フェイスブックの発表の直後、アップルも同様の制度を導入したことで、企業による卵子凍結のサポートは大きくクローズアップされました。その後、グーグル、セールスフォース、ネットフリックスなど、多くの大手IT企業でも導入が進みました。

人材競争で加速した「制度」

なぜ、米国・西海岸に集まる大手IT企業がこぞってこの制度を導入したのでしょうか。そこには、「優秀な人材の獲得競争」があります。

優秀な社員を獲得するためには、高い給与の他に、他社にはない「福利厚生」で魅了を高めることが重要なポイントになっています。

企業は食べ放題のカフェを作ったり、無料のジムや洗濯サービスを完備してきましたが、極め付けに卵子凍結や不妊治療という分野までサポートが広げたのです。

特に、卵子凍結、不妊治療、代理出産といったライフプランの設計は高額なため、金銭的なサポートは優秀な社員を獲得し、つなぎ止める強いインセンティブになり得ます。

フェイスブックやアップルが導入するなら、我々も同じものを用意しないと良い社員を奪われてしまうかも知れない──。そんな企業間の思惑と競争も働いて、卵子凍結のサポートが広がってきました。

そして、その波は大手IT企業の枠を超えて、じわじわと拡大しています。北米大手の保険会社、マーシュ・アンド・マクレナンの調査によると、北米トップ企業の17%が卵子凍結へのサポートをしています。

批判を越えて・・・

フェイスブックが制度を作った当時は、「社員を企業に縛り付ける方法」、「家庭を作るより仕事を優先すべきというメッセージを送りかねない」、などとネガティブな報道も目立ちました。

けれども、そこから時を経てそういった批判めいた声はほとんど聞かれません。それとは逆に、女性の「選択肢を増やす方法の一つ」とポジティブに受け止められるようになっています。

実際に話を聞いた、フェイスブックや、グーグルに勤める女性たちも、「人生を自分で決める選択肢と余裕ができたように感じる」と話してくれました。

米国で広がる企業の取り組みは、コストもかかるため日本ですぐに導入するということは難しいかもしれません。

しかし、「社員の選択肢を広げる」ことが、企業にとって大きな競争力になるということは確か。その点において、卵子凍結のサポートをするという企業の考え方が出てくるのは、理にかなっているとも言えるのです。

※この記事は記者のレポートであり、Grace Bankは編集を加えていません。

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