卵子凍結について

妊娠可能な年齢は何歳まで?女性・男性別に解説

高齢になると妊娠確率が下がるといいますが、妊娠可能な年齢は何歳までなのでしょうか?妊娠を望む女性にとって、リミットがあるがゆえにデリケートな問題です。

女性だけの問題にされがちだった妊娠ついて、妊娠確率を男女別・年代別に…そして、世界の妊娠最高齢記録の実情を調べてみました。
また、妊娠力を維持するためにできる体質改善方法を男女別にご紹介します。

女性が妊娠可能な年齢は40代前半~閉経までが目安

女性が妊娠可能な年齢は40代前半から閉経までが目安とされており、45歳から50歳頃にかけて排卵・生理がなくなる閉経をむかえると妊娠できなくなります。閉経リミットぎりぎりまで妊娠できるかというとそうでもなく、年齢とともに妊娠確率は限りなく低くなってしまい、40代での自然妊娠は1~5%(※1)というデータもあります。

妊娠可能年齢だけではなく、母体への負荷・胎児へのリスクなども考慮して、45歳を過ぎると妊娠を諦めることも視野に入れる必要があります。今年4月から不妊治療が保険適用(※2)とされましたが、そこでの年齢制限が43歳未満とされている点もそれらを考慮されてのことと思われます。

(※1)1周期の間に自然妊娠する確率(婦人科ラボ「実は思っているほど高くない「自然に妊娠できる確率」」よりデータ引用)

  • 25歳:25~30%
  • 30歳:25~30%
  • 35歳:18%
  • 40歳:5%
  • 45歳:1%

(※2)不妊治療に関する取組について、厚生労働省ホームページより

女性の妊娠可能年齢は、卵子の老化と関係がある

女性の卵子の数は生まれたときから決まっていて、加齢と共に減少し、さらに正常な受精卵になるための卵子の機能=卵子の質も、加齢とともに低下します。必然的に卵子の質が低下すると、妊娠しにくくなる=加齢に伴って妊娠確率が下がる原因となります。その卵子の質の低下は35歳ぐらいから閉経にかけて、急激に進行します。生理(月経)があるから=妊娠可能ではないのをしっかりと理解しましょう。

男性が妊娠可能な年齢は未知数?

男性の精子は、生まれたときから数が決まっている女性の卵子とは違い、常に新しく作られます。そのため、男性の妊娠可能年齢は、これまでほとんど問題視されてきませんでしたが、近年の研究で、男性の精子も加齢に伴って質(受精卵の細胞分裂を促す機能・運動率・濃度など)が低下することが判明しました。男性の妊娠可能年齢はまだはっきりと明らかになっていませんが、精子のDNAの損傷などの質の低下は、30代半ばから40代ぐらいから始まるのと考えられています。

決して相手任せにせず、お互いの身体を理解し想い合い、早期に考えていくことが大切です。

世界の妊娠最高齢の記録は?

世界の妊娠最高齢の記録はというと、ギネス世界記録では、女性の自然妊娠は57歳・体外受精では66歳が最高齢として記録されています。非公式記録ではありますが、2019年にはインドで70代女性が、体外受精の末、双子を出産したという情報もあり、人体の生殖機能の順応性に驚くばかりです。

一方、男性は2012年に96歳・2020年には89歳で父親になったことが世界的ニュースになりました。

子を養育する体力はさておき、子を迎え入れる喜びは年齢問わず嬉しいことです。

女性にも男性にも妊娠適齢期がある

男女ともに、加齢に伴って卵子や精子の質が低下することがわかり、研究途上な側面もありますが、男女ともに一般的には妊娠適齢期は20から30代といえます。

妊娠適齢期を過ぎたからといて妊娠確率が0になるわけではないですが、妊娠確率の低下・妊娠したあとの流産や染色体異常などのリスクが増えることは事実です。

2023年の第1子の平均出産年齢は31.0歳(令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)/厚生労働省より)なので、30代後半になってからの妊娠出産は決して珍しいことではないが、妊娠を望む場合は、男女ともに妊娠可能年齢を考慮した早めの計画がおすすめでしょう。

将来子供を望む人が妊娠可能な年齢のうちにできること

男性ができること

最近では男性のブライダルチェックというものあるぐらいなので、結婚後自然妊娠を試みるも妊娠に繋がらない場合は、パートナーのためお互いそれぞれがクリニックへ受診されることをおすすめします。

精液検査で、精子の有無・濃度・運動量などに問題がないか調べることができます。

そして、精子の質低下を招く喫煙、アルコール、睡眠不足、ストレス、肥満、陰嚢に熱がこもる長風呂やサウナなど、生活習慣を改善することができます。

精子の質を上げる体質改善を図るとともに生活習慣病の予防にも繋がります。

女性が妊娠のためにできること

ピル外来や子宮がん検診など比較的女性は婦人科や産婦人科への受診機会があるため、自然妊娠に繋がらないときはクリニックにて排卵や女性ホルモンバランスなどに異常がないか調べることができます。

そして、女性ホルモンバランスを整える生活習慣を心がけ、バランスのとれた食事、十分な睡眠、適度な運動、ストレス解消で体質改善を図り、卵子の質を高めていきましょう。

また、卵子年齢が若く妊娠力の高いうちに、質の高い卵子を凍結保存(※3)しておくことも手段のひとつです。不妊治療が保険適用になったことで、卵子凍結は日本でも身近な選択肢をなりつつあり、卵子凍結保存ができるのは、一般的には40歳前後までとされています。

(※3)Grace  Bank卵子凍結保存について(採卵方法、保存方法、保存期間、コストなど)
https://gracebank.jp/guide/#p_guide03      

まとめ

男女ともに妊娠可能年齢は高齢になれば低下することから、将来子供を望んでいる人は、妊娠適齢期といわれる年代と妊娠可能年齢を考え、自然妊娠を待つだけではなく早めの計画を立てて頂くことをおすすめします。

そして日々の生活習慣に気を配りながら、自然妊娠や妊娠力を維持するための対策を行いましょう。お互いの身体を理解し合い、質のよい妊活に取り組んでいきましょう。

管理栄養士紹介:小林 れい子(こばやし れいこ)
管理栄養士
長野県生まれ、東京農業大学栄養科卒業。保健所の生活改善推進員として、講義と調理講習を行う。この活動が認められ農林水産大臣賞を受ける。その後墨田区公立保育所に勤務、平行して職場内研修の講師を務める。その後は、調理専門学校で講義を行う。長年の保育所での実体験に基づいた乳幼児期の食育活動をライフワークとしている。
管理栄養士紹介 小林 れい子(こばやし れいこ) 管理栄養士 長野県生まれ、東京農業大学栄養科卒業。保健所の生活改善推進員として、講義と調理講習を行う。この活動が認められ農林水産大臣賞を受ける。その後墨田区公立保育所に勤務、平行して職場内研修の講師を務める。 その後は、調理専門学校で講義を行う。 長年の保育所での実体験に基づいた乳幼児期の食育活動をライフワークとしている。
監修者

名倉 優子 なぐら ゆうこ

日本産科婦人科学会専門医


グレイス杉山クリニックSHIBUYA (東京都渋谷区)

杉山産婦人科の医師・培養士による技術を用いた質の高い診療を提供。
将来の妊娠に備えたプレコンセプションケアと卵子凍結にフォーカスした診療。
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