PMSに悩んでいて薬を探している人へ。PMSに効く市販薬、処方薬を症状別に解説いたします。
目次
PMSの原因と症状
PMS（Premenstrual Syndrome＝月経前症候群）とは、排卵から生理までの期間に、心身の不調が生じる病気です。生理が始まると、噓のように心身の不調がなくなるのが特徴です。女性の60％に何らかのPMS症状があると言われています。
PMSの原因
PMSの原因の1つとして考えられているのが、女性ホルモンバランスの乱れです。排卵から生理までの間（黄体期）に、プロゲステロンという女性ホルモンが急激に増加します。このプロゲステロンには、妊娠に備えるために、子宮内膜を厚くしたり、体温を上げたり、乳腺を発達させたりする作用があります。同時に、むくみ、体温上昇、眠気、食欲増進、胸の張り、イライラなどの不快なPMS症状も引き起こします。
PMSの主な症状
PMSの症状にはさまざまなものがあり、からだの不調、こころの不調、行動面の不調に分類できます。
からだの不調には、頭痛、めまい、倦怠感、眠気、熱っぽさ、過食または食欲不振、腹痛、便秘や下痢、胸の張り、肩こり、腰痛、手足の冷え、むくみ、喉の渇き、肌荒れ、おりものの増加などがあります。
こころの不調には、気分の落ち込み、不安感、イライラ、感情のコントロールができない、何もかもが面倒になる、集中力の低下などがあります。
そして、これらの不調が、仕事効率の低下、忘れ物が多くなる、家に引きこもる、人に会いたくないなどの行動面の不調につながっていきます。
PMSの症状は生理痛などの強い痛みとは異なり、いくつもの症状が重なって現れます。症状は毎月同じではなく、体調、食べ物、環境などによって変化します。
【症状別】PMSに効く薬
PMSの薬物療法は症状や生活スタイルに合わせスタイル合わせて選ぶことが大切です。
症状が腹痛や頭痛の場合｜鎮痛薬
頭痛や腹痛が主な症状で他の症状が少ない場合には、鎮痛薬が処方されます。対処療法は、根本的な解決にはなりませんが、最もつらい症状が緩和されることで楽になります。鎮痛薬は市販薬でも手に入り、手軽に使えるメリットがあります。
症状が軽い場合｜漢方薬
漢方薬は気軽にPMSの症状を改善したい人、PMSの症状がそれほど重くない人、妊娠を希望している人におすすめです。ただし、妊娠希望中の場合は、市販の漢方薬でも薬剤師などに相談してから購入するようにしましょう。
漢方薬は冷え、血流改善、体質改善、精神症状の緩和などに効果的です。体格や症状によって自分に合うものを選択します。
- 華奢で冷え症状がある人・・・当帰芍薬散（とうきしゃくやくさん）
- 疲れや精神神経症状がある人・・・加味逍遙散（かみしょうようさん）
- 体格がよくのぼせ症状がある人・・・桂枝茯苓丸（けいしぶくりょうがん）
- むくみやすいタイプの人・・・五苓散（ごれいさん）
- 気分がふさいで動悸やめまいを伴う人・・・半夏厚朴湯（はんげこうぼくとう）
漢方薬は、市販薬でも手に入り副作用が少ないのがメリットですが、治療効果がゆるやかで効き目が弱いこともあります。
からだの症状が重い場合｜低用量ピル
倦怠感や頭痛などからだの症状が重くてつらい人、 PMSの症状をしっかり改善したい人、今すぐは妊娠を希望していない人には低用量ピルの服用が効果的です。低用量ピルは現在PMS治療の最もポピュラーな薬となっています。
低用量ピルを服用することで、ホルモンの変動を抑え、PMSの症状を改善します。高い治療効果が期待できますが、病院で処方してもらう必要があり、排卵を抑制するため妊娠希望中は使うことができません。
こころの症状が重い場合｜抗うつ薬
気分の落ち込み、イライラなどPMSの精神症状が重くてつらい人には抗うつ薬を使用することもあります。PMSの中でも特に精神症状が重く、絶望感が募って自殺願望が生じる、家族を傷つけてしまいそうになるなど深刻な場合は、PMDD（月経前不快気分障害）という精神疾患になっている可能性もあります。
抗うつ薬は気分の落ち込み、イライラなどの情緒不安定、意欲低下などの精神症状を改善します。SSRI（選択的セロトニン再吸収阻害剤）は、PMSの症状改善に優れた効果を発揮することがわかってきていて、PMDDの治療で処方されています。高い治療効果が期待できますが、病院で処方してもらう必要があり、妊娠希望中は使えないことがあります。婦人科より精神科を受診することが勧すすめられるケースもあります。
PMSがつらい場合は、服薬・受診などで早めの治療を
PMSや生理痛などの生理トラブルは、女性ホルモンバランスの乱れが原因で、放置すると子宮や卵巣にダメージが蓄積し、不妊の原因となることもあります。PMSは早めの治療が大切です。ホルモンバランスを整えるために漢方薬による体質改善、生活リズムの改善、食生活の見直しなど、セルフケアでできることもあります。症状が重く辛い場合には早めに婦人科を受診しましょう。
卵子の数と質には限りがある？｜将来の妊娠に備える「卵子凍結保存」
生理のたびに卵子の在庫数は減り、加齢とともに卵子の質は低下していきます。そして、年齢を重ねるとともに、妊娠できる可能性は低くなっていきます。食生活の変化による生理開始年齢の早期化や出産回数の減少によって現代女性の生理の回数は昔に比べて約9倍も増えており、卵子在庫の減少も早くなっているのが現状です。いざ妊娠出産を望んだときに、不妊に悩む現代女性は多くなっています。そんな悩みを解決する卵子凍結保存というシステムがあります。
「卵子凍結保存」とは、若く妊娠できる能力（妊孕性）の高いうちに、卵子を凍結保存し、将来の不妊治療に備える方法です。国内最大級の卵子凍結保存バンク「Grace Bank」は、厳選したクリニックの全国ネットワークを持ち、20年以上無事故の生体凍結保管施設での一括保管をおこなうことで高い安全性と将来不妊治療を受ける際の高度な利便性を実現しています。凍結卵子保管料は使いやすい価格でサービスを提供しています。
卵子凍結保存の体験談も掲載しているので、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
PMSに悩んでいる人は早めに婦人科を受診し、妊娠希望の有無に合わせて適切な薬で治療を行うことが大切です。PMSを引き起こすホルモンバランスの乱れは放置すると不妊の原因になることもあります。将来の不妊治療に備える卵子凍結もぜひ知っておいて下さい。
▼参考文献
- PMS月経前症候群とうまくつきあう 百合レディスクリニック 丸本 百合子 著
- 女医さんが教えてくれた女性ホルモンがわかる本 網野 幸子 監修
名倉 優子 なぐら ゆうこ
日本産科婦人科学会専門医
グレイス杉山クリニックSHIBUYA （東京都渋谷区）
杉山産婦人科の医師・培養士による技術を用いた質の高い診療を提供。
将来の妊娠に備えたプレコンセプションケアと卵子凍結にフォーカスした診療。
スタッフは全員女性。明瞭な料金設定も人気！
