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生理前のイライラはなぜ起こる?
生理前のイライラの原因は、女性ホルモンのバランスの乱れにより生じるといわれています。そもそも、女性ホルモンは、エストロゲン(卵胞ホルモン)と、プロゲステロン(黄体ホルモン)から成り立ち(※1)、卵巣から分泌されています。この女性ホルモンは、生理周期(約28日)に合わせて、2つのホルモンが増減しながらバランスをとっています。排卵から生理までの間(黄体期)には、エストロゲンが減り、プロゲステロンが増える時期です。そして、この黄体期には、むくみ・体温上昇・眠気・食欲増進・胸の張りといった様々な体の不調や、気分の落ち込み、イライラなどの心の不調が起きやすくなります。このような、生理前の不調はPMS(月経前症候群)とよばれ、女性の60%にPMS症状があるとされています。
※1 エストロゲンは、妊娠の準備のためのホルモンで、肌や髪が潤ったり、美容面での魅力を高める作用もあります。プロゲステロンは、妊娠を維持するためのホルモンで、子宮内膜を厚くしたり、体温を上げる、乳腺を発達させるなどの作用があります。
生理前のイライラは病気の可能性も
生理前に気分の落ち込み・不安・緊張・怒り・イライラといった強い精神症状が出て、人間関係や日常生活に支障が出る場合は、PMDD(月経前不快気分障害)という病気の可能性もあります。我慢せずに、婦人科(または心療内科など)での治療が必要な場合もあります。
生理前のイライラを抑える方法はない?おすすめ4選
イライラを抑える食べ物をとる
食生活から改善の糸口を探るのも有効かもしれません。例えばカルシウム(小魚、乳製品)を多く含む食品を選ぶと、脳の興奮を抑える働きを期待することができます(※2)。ただしカルシウムの吸収をよくするため、ビタミンDなどを含んだ食品と組み合わせて摂取することが必要です。
※2 カルシウムには脳神経の興奮を抑える働きがあります。そのため、“カルシウム不足=脳神経の興奮=イライラ”と考えられがちです。しかしカルシウムは厳密にシステム管理されています。つまりカルシウムが品不足になると、貯蔵庫である骨から血液中に出庫され、逆に過剰状態では骨に入庫されたり、尿中に廃棄されたりと常に一定の供給量になるように管理されています。つまりカルシウムを含んだ物を食べないからといって、即イライラ人間となることはありません。ただし骨からカルシウムが出庫されてばかりでは、在庫なしという緊急事態に陥ってしまいます。そのような事態にならないためのリスクマネジメントとしては、カルシウムを多く含んだ食べ物(牛乳・小魚・大豆製品など)と、カルシウムの吸収を良くするために必要なビタミンD(魚介類・卵類・きのこ類など)、そしてカルシウムを骨にするビタミンA(緑黄色野菜など)を含んだ食べ物を取ることを日頃から心がけておくことが必要でしょう。ストレスと食生活 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)
また、抗ストレスホルモンが作られる過程では、マグネシウム(牡蠣、ナッツ類、わかめ、昆布、大豆など)、ビタミンB6、ビタミンB2(レバー、赤魚、うなぎ、卵、チーズ、バナナなど)、ビタミンC(果物、野菜、芋など)が必要です。ストレスに対処するために、これらの栄養素を不足しないように摂るのがよいでしょう。
栄養バランスの乱れは、ストレスの原因になります。
生理のイライラを鎮めるためには、十分なホルモンの分泌が必要です。慢性的な睡眠不足と朝食の欠食は、ホルモンの分泌リズムを乱します。食事はできる限り決まった時間によく噛んで摂る習慣をつけましょう。
ストレス時には、暴飲暴食(甘い物の食べ過ぎやお酒の飲み過ぎ)になりがちです。早寝早起き・規則正しい食事・適度な運動でホルモンのバランスを整えましょう。食欲をコントロールするホルモンを働かせることで過食を防ぐことができます。
リラックスとストレス解消を心掛ける
お気に入りのアロマやハーブティなど、穏やかな気持ちになれるアイテムがあると良いですね。そのほかにも、お部屋にお花を飾る、ペットショップで好きな動物をみる、映画をみる、好きな音楽を聴くなど、いつもより意識的に、気持ちをゆったりさせてみてはいかがでしょうか?
漢方薬をのむ
漢方薬には、ホルモンバランス、自律神経、血流などを整える効能があります。薬局などでも、市販薬が手に入りやすいのが嬉しいです。ただし、効果は緩やかですので、効き目については、自分に合うかどうか、一度試してみるのが良いかもせれません。おすすめの漢方薬は、加味逍遙散(かみしょうようさん)(※3)、チェストベリーなどです。
※3 参考:女性特有の症状や、心身の不調の改善に効果的な漢方薬
【漢方解説】加味逍遙散(かみしょうようさん)|漢方セラピー|クラシエ (kracie.co.jp)
病院を受診する
辛い症状がある場合は、我慢せず、また迷わずに婦人科受診をおすすめします。症状や状況(妊娠希望の有無など)に応じて、漢方薬、低用量ピル、抗うつ薬などが処方されることが多く、症状の改善につながることが期待できます。
生理前のイライラには、とにかく早めの対策を!万が一放置すると不妊の原因にも?
生理前のイライラ、PMS、生理痛などのトラブルは、女性ホルモンバランスの乱れが原因と言われています。万が一、放置すると子宮や卵巣にダメージが蓄積し、不妊の原因となることもあります。また、症状を放置すると、PMSの進行や、精神症状が重くあらわれるPMDD(月経前不快気分障害)という精神疾患に移行する場合もありますので、食べ物・ストレス解消・市販薬でのセルフケアから、婦人科受診まで、早めの対策が大切かと思います。
現代女性はPMSなどの悩み増加とともに、卵子在庫の減少も早くなっている?
実は、食生活の変化による生理開始年齢の早期化や、出産回数の減少によって、現代女性は生理の回数が増えている(昔の約9倍)ことはご存知でしょうか?このことから、現代女性は、卵子在庫の減少も早くなっていると言われています。また、そもそも卵子は、生理のたびに卵子の在庫数は減り、加齢とともに卵子の質は低下していくので、年齢を重ねるとともに、妊娠できる可能性は低くなっていくという現実からも目を背けることができません。晩婚化・晩産化・生理回数の増加などの影響で、いざ妊娠出産を望んだときに、不妊に悩む現代女性も多いのです。
卵子在庫の減少に備える「卵子凍結」という選択肢
卵子凍結は、卵子年齢が若く妊孕性の高い卵子を凍結保存し、将来の体外受精などの成功率を高めることができるなど、不妊リスクに備えることができます。
卵子凍結保存の仕組みを簡単にご紹介いたします。まず、不妊治療クリニックでさまざまな検査を行ったのち、年齢や卵巣機能、体の負担や希望を考慮して、排卵誘発を行い採卵します。その後、耐凍剤濃度の高い溶液に卵子をひたし、マイナス196℃の超低温で凍結し、液体窒素タンクの中で保管します。ちなみに、卵子凍結までの期間は、状況により異なりますが、通院回数は約5~6回と言われています。費用は、一回の検査・排卵・凍結費用に30万から50万、保管費用は、初期費用に加えて年間3~5万円かかります(状況、クリニックにより変動します)。グレイスバンクでは、全国に組織化された、国内最高峰の厳選クリニックを組織化しております。また排卵した後の卵子は、20年以上もの間、さい帯血の凍結保管システムを無事故で運用してきたステムセル研究所と連携し、安心の保管システムを構築しています。
参考:卵子凍結までの流れ~検査・採卵・凍結方法まで~ | 卵子凍結保管 グレイスバンク (gracebank.jp)
また、ご参考までに卵子凍結をされた方の体験談として、下記のようなメッセージを頂いております。
「私の場合は「今の私が一番若い!」と思って卵子凍結を決めました。
将来妊娠・出産できる確率を上げるための、今できるアクションに投資ができてとても満足しています。私は勢いもあって卵子凍結までノンストップで進めましたが、今検討されている方は、AMH値を測定してみるだけでも良い検討材料になると思います。ぜひ、自分の体を知るチャンスととらえて飛び込んでみてはいかがでしょうか。
卵子凍結は費用もかかりますが、だからこそ勢いも大切だと思います!
https://gracebank.jp/tonatama02/
管理栄養士紹介:小林 れい子(こばやし れいこ) 管理栄養士 長野県生まれ、東京農業大学栄養科卒業。保健所の生活改善推進員として、講義と調理講習を行う。この活動が認められ農林水産大臣賞を受ける。その後墨田区公立保育所に勤務、平行して職場内研修の講師を務める。その後は、調理専門学校で講義を行う。長年の保育所での実体験に基づいた乳幼児期の食育活動をライフワークとしている。 |
名倉 優子 なぐら ゆうこ
日本産科婦人科学会専門医
グレイス杉山クリニックSHIBUYA (東京都渋谷区)
杉山産婦人科の医師・培養士による技術を用いた質の高い診療を提供。
将来の妊娠に備えたプレコンセプションケアと卵子凍結にフォーカスした診療。
スタッフは全員女性。明瞭な料金設定も人気!