女性は一生の中で一度生理が始まれば、閉経まで毎回くるのが当然のことです。もちろん妊娠出産の間は生理は止まりますが、それ以外の理由で生理がこないのはなぜなのでしょう。今回は生理がこない3つの理由と病院へ行く目安についてご紹介します。
目次
妊娠以外で生理がこない原因は?考えられる3つのこと
生理不順(ホルモンバランスの乱れ)
妊娠以外で生理がこないということは「生理不順」がまず考えられます。
正常な生理の間隔は25〜38日で欠かさずくるものですが、そのうちに生理がこないと生理不順と言えるでしょう。
初潮を迎えて数年間である10代の思春期や40代の更年期などは女性ホルモンのバランスが整わず生理不順になりやすいという特徴があります。そのほかに、過度のストレス、睡眠不足、過労によって同じく女性ホルモンのバランスが乱れることもあります。
また、過度なダイエットによって栄養不足になったり、体脂肪率が低くなるような体操、陸上などの競技でのアスリートのような激しい運動を続けることにより生理がこないということもあります。
甲状腺の病気
甲状腺というのは喉のあたりにある器官で、体の代謝に関わるホルモンを分泌しています。この甲状腺のホルモンは多すぎても少なすぎても体にまざまざな不調をもたらしてしまうことで知られています。その分泌の多い少ないでバセドウ病や橋本病になることもあります。
甲状腺ホルモンが多い場合の生理不順として月経量が少なく、周期が長くなり、無月経や不妊につながることがわかっています。
逆に少ない場合にはプロラクチンという乳汁を作るためのホルモンが分泌される場合があり、そのため生理が止まってしまうことになります。
出産後のような状態になってしまうので、排卵も正常に行われず妊娠しにくくなります。
ピルの服用
すでに生理痛の緩和や生理不順、子宮内膜症の治療などで低用量ピルを服用している場合にも生理がこないように感じます。
低用量ピルは排卵が止まるので、排卵期の後に子宮内膜が厚くならないため生理の期間に出血する量が減ります。このため正確には生理が止まったというわけではありませんが、出血が起こらない人もいるので生理がこないと感じることがあります。
妊娠以外で生理がこないとどうなる?病院に行く目安
妊娠やピルの服用以外で生理がこないということは何かしら体に異変があるということです。
ホルモンバランスの乱れである生理不順を放置すると、子宮や卵巣にダメージが蓄積してより一層悪化してしまいます。
卵巣機能の低下は老化を早め、早期の閉経や骨粗鬆(しょう)症、そして不妊のリスクを高めます。
生理が遅れてきたり、こなかったりという時、こない方が楽だからと見過ごす女性も少なくないのですが、将来の女性の体のためにはきちんと病院に行くことが大切です。
妊娠の可能性がある場合、生理の予定日から約1週間を過ぎれば市販の妊娠検査薬で調べることができます。
もしそうでなかった場合はホルモンバランスの乱れや病気などの原因を早めに特定し、早めに治療に繋げることが必要になりますので「生理予定日の1週間後」を目安に受診をしましょう。
生理不順による不妊リスクを抑える「卵子凍結保存」とは
先ほど述べたように、生理不順を放置すると卵巣機能が低下し、不妊に繋がってしまいます。
卵子も年齢とともに数が減り「老化」します。卵子が加齢とともに老化すると妊娠率が低下します。
特に生理不順がある人は卵巣機能の低下が早く、加齢による妊娠率低下が進行する可能性が高いと考えられます。
生理不順で、いつか妊娠したいと考えている人には、ひとつの選択肢として卵子の凍結保存があります。
若い卵子というのは妊孕性(妊娠するための能力)が高く、そのうちに凍結保存をしておき、いざ妊娠したいというときに凍結を戻して体外受精することができます。
「卵子凍結保存」とはもともと抗がん剤や放射線治療を行う女性が将来妊娠できるように治療前に卵子を残すためのものとしてすでに行われてきました。取り出した卵子はマイナス196℃の液体窒素の中で半永久的に保存することができます。凍結した卵子は長期間その質を劣化することのないまま保存され、将来子どもを授かりたい時が来たら解凍して体外受精に使用できます。
卵子凍結保管サービスを行なっているグレイスバンクは国内最大級のバンクで、確かな実績を持った経験豊富な有名不妊治療クリニックと提携しています。
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また凍結した卵子は従来の不妊クリニックのような小型の液体窒素タンクでの保管するのとは異なり、臍帯血バンクのステムセル研究所と提携し、今まで20年以上無事故を誇る専用大型タンクで一括管理をしています。保管施設は地震や津波に強いエリアに設置され、停電対策も万全、安心のシステムで大切な卵子を保管します。
まとめ
生理がこないと、少し心配だけど、快適だからいいだろうと放置しがちです。
どうしても卵巣の機能は目に見えないもので、痛みもないので不妊になっているかどうかがわかりません。
日々の忙しい仕事などに追われるとつい婦人科の受診は後回しになってしまいがちですが、卵巣の機能は治療をしないと勝手に良くなったりしません。
いつかは妊娠したいと考えているならばぜひ早めの受診をお勧めします。また、選択肢のひとつとして卵子の凍結保存についてもお考えください。
名倉 優子 なぐら ゆうこ
日本産科婦人科学会専門医
グレイス杉山クリニックSHIBUYA (東京都渋谷区)
杉山産婦人科の医師・培養士による技術を用いた質の高い診療を提供。
将来の妊娠に備えたプレコンセプションケアと卵子凍結にフォーカスした診療。
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