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生理中の不調「おなかの痛み」「貧血」「冷え」「イライラ」はなぜ起きる?
生理中に起きる「おなかの痛み」は、子宮が経血を押し出そうと収縮するのが原因です。「貧血」は経血の排出によって、体内の鉄分が不足するために起こります。さらに「冷え」「むくみ」は、女性ホルモンバランスと自律神経の乱れからくる血行不良が原因です。また、「イライラ」は、女性ホルモンのバランスの乱れが原因といわれています。
生理中のこれらの不調は、ひとつの不調だけでなく、いくつもの不調が重なって辛い…という場合もあります。何とか楽にならないものでしょうか。このコラムでは、食生活という面から不調を改善する方法を考えていきたいと思います。それでは、症状別に解説していきます。
生理痛・おなかの痛みにはからだを温めたり、子宮収縮を抑える食べ物・飲み物を
からだを温める食べ物
鍋物や汁物は具材に魚介類や肉類、野菜類、豆腐など多種使用することで栄養的にもバランスがとれます。豆乳・練りごま・キムチ・チーズ・味噌などで調味して美味しく楽しく食べましょう。根菜類、玉ねぎをはじめとしたネギ類を意識して取り入れて、体をポカポカにしましょう。長ネギは斜め切りや小口切りにして冷凍しておくとそのまま使えて便利です。生姜もすりおろして小分けにし冷凍しておけば、いつでも使えます。朝食を欠食すると、体は冷え脳も働かず良いことはありません。必ず食べるようにしましょう。
子宮収縮を抑えるマグネシウムを豊富に含む食べ物
マグネシウムが豊富な食品の代表格はナッツ類、海藻類です。日常食べる大豆製品、魚介類にも含まれています。野菜のごまの和えやわかめやひじきのサラダ・煮物、焼海苔と雑穀入りご飯や豆腐の味噌汁などを意識して取り入れましょう。おやつにはナッツ類を適量やきな粉入りドリンク、アーモンドドリンク、ココア入り豆乳などにして、マグネシウムを補足しましょう。サプリメントは過剰摂取の危険があるので避けましょう。
貧血には鉄分を多く含む食べ物+ビタミンCを
鉄分を多く含む食材をとることと、鉄分の吸収率あげるビタミンCを多く含む食材も一緒に摂るのがおすすめです。鉄分を多く含む食べ物は、レバー、赤貝、赤身肉、赤身魚(まぐろ、かつおなど)、納豆、小松菜、枝豆、ひじきなどです。
また、ビタミンCを多く含む食べ物として、ピーマン、ブロッコリー、キウイ、いちご、レモンなどがあげられます
ビタミンCは水溶性で、ゆでると溶け出してしまうため、炒めたり蒸したり電子レンジを使うようにして、効率よく摂る調理をおすすめします。また、芋類にもビタミンCは多く、加熱にも強いという特徴があります。さつまいも・じゃがいもなどの芋を日々の食事に取り入れましょう。
冷え・むくみには血流をよくする食べ物、カリウムを豊富に含む食べ物を
「冷え」には血流を良くする食材をとること、「むくみ」にはむくみを改善するカリウムを豊富に含む食材をとることが大切です。
血流を良くする食べ物・飲み物は、クエン酸を豊富に含む食材(レモンなどの柑橘類、酢、梅干しなど)、アルギン酸を豊富に含む食材(昆布、わかめなどの海藻類)、EPAを豊富に含む食材(青魚のイワシ、サバ、サンマなど)ポリフェノールを豊富に含む食材(ココア、緑茶、紅茶など)があげられます。カリウムを豊富に含む食べ物は、アボカド、バナナ、ほうれん草、昆布、ひじき、納豆などです。ただし、カリウムは水に溶けだしやすいので、食材を生のまま食べるか、煮汁やスープを一緒に摂るのがおすすめです。
血液をサラサラにする成分のEPAを手軽に摂るために、サバ缶を常備しておくと、生姜をたっぷり入れて白菜や大根と煮たり、新玉ねぎのスライス・カイワレとポン酢で食べたり、鍋物の具材にしたりと、簡単に調理ができておすすめです。
イライラ・気分の落ち込みには大豆イソフラボンを多く含む食べ物を
女性ホルモンのバランスを整える大豆イソフラボンが豊富な食べ物は、豆乳、納豆、豆腐、油揚げ、きな粉、味噌などがあげられます。大豆イソフラボンの過剰摂取は、かえってホルモンバランスの乱れを引き起こすので、サプリより食事から摂るのがおすすめです。
お勧めしたい献立例は「お味噌汁」です。朝忙しいときでしたら、お椀に鰹節をたっぷり入れ、お湯を注ぎ、味噌をとくだけで沖縄の日常食の「かちゅー湯」という立派な一品になります。
また、前夜の鍋や汁物の残りに野菜や豆腐などを追加した温かい汁を飲みましょう。身も心も温まり、イライラが静まることでしょう。
生理中に避けたい食べ物・飲み物は?
まず、体を冷やす食べ物・飲み物は、生理痛の悪化や、血行不良の原因になるので避けましょう。また塩分の多い食べ物・飲み物は、むくみを悪化させますので控えましょう。最後にカフェインが多い飲み物も、生理痛の悪化の原因になりますので、ノンカフェインの飲み物(麦茶・ほうじ茶・ウーロン茶・ハーブティーなど)にし、コーヒーを飲むならノンカフェインにしましょう。
生理痛を放置しておくと…
生理前後や生理中の不調に悩んでいる人は、早めの婦人科受診で自分の子宮や卵巣の健康状態チェックがおすすめです。
生理痛などの不調は、女性ホルモンバランスの乱れが原因の場合もあり、放置すると子宮や卵巣にダメージが蓄積され、将来の不妊につながる可能性も無きにしも非りません。いつかは子供がほしいと思っている人は、若く妊孕性の高いうちに、質の高い卵子を凍結保存しておくのもおすすめです。
卵子凍結保存とは?
女性の働き方は様々になり、選択肢も多様化しました。今は仕事を頑張りたい!そのような思いでキャリア構築される方にとっては、将来の妊娠時期について悩まれる時間も多いかもしれません。残念ながら髪や皮膚の老化と同じように、卵子の老化を止めることはできないという、悩ましい現実が存在します。
今すぐじゃない、だけどいつかは子どもが欲しい━━。そう思っている女性も少なくないのではないでしょうか。
現在、日本では第一子を出産する年齢は30歳を越えています。日本は世界最大の不妊治療大国と言われ、なかなか思った時に出産ができない人たちがいることも事実。
今ではなくても、将来のために「今」できることを知っておく必要があるのです。
https://gracebank.jp/magazine/seminar-report/27-year-old-eggfreezing-grace-sugiyamaclinic-shibuya-okada/
卵子凍結保存は確実に卵子を採取するため、排卵誘発剤を使って卵巣刺激を行い、いくつかの卵胞を育てて採卵に臨みます。そうすることで、1回で複数個の卵子を採取することができるのです。採卵した卵子は、高速で凍結する急速ガラス化法により凍結され、マイナス196℃の液体窒素内に保存することにより、半永久的にそのままの状態を保つことができます。グレイスバンクの凍結卵子の保管は、25年以上無事故の万全の環境で保管される仕組みです。いつかはこどもを持ちたいと願う方は「卵子凍結保存」を選択肢のひとつとして検討されてみてはいかがでしょうか。
管理栄養士紹介:小林 れい子(こばやし れいこ) 管理栄養士 長野県生まれ、東京農業大学栄養科卒業。保健所の生活改善推進員として、講義と調理講習を行う。この活動が認められ農林水産大臣賞を受ける。その後墨田区公立保育所に勤務、平行して職場内研修の講師を務める。その後は、調理専門学校で講義を行う。長年の保育所での実体験に基づいた乳幼児期の食育活動をライフワークとしている。 |
▼参考文献
子宮力アップレシピ―PMS・妊娠・更年期をのりきる!(美ライフデザイン研究所。) 坂口 珠未 著 主婦の友社
名倉 優子 なぐら ゆうこ
日本産科婦人科学会専門医
グレイス杉山クリニックSHIBUYA (東京都渋谷区)
杉山産婦人科の医師・培養士による技術を用いた質の高い診療を提供。
将来の妊娠に備えたプレコンセプションケアと卵子凍結にフォーカスした診療。
スタッフは全員女性。明瞭な料金設定も人気!