卵子凍結について

今注目の「卵子凍結」どんな卵子が凍結できる?凍結卵子の妊娠率は?保管方法から使用方法まで解説します。

今注目を集めている「卵子凍結」ですが、凍結卵子を使うと妊娠率が低い?本当に妊娠できる?など疑問も抱かれている方も多いかもしれません。今回のコラムでは、とくにご質問の多い4つの疑問にお答えしていきます!

どんな卵子が凍結できる?卵子凍結できるのは成熟卵子

卵子の状態は実際に採卵しないとわかりません。採卵した直後の卵子は以下の3つに分類され、このうち卵子凍結できるのは成熟卵子のみです。

成熟卵子35歳以下の場合、採取された卵子の90%程度が成熟卵と予想されます。
(個人差があり、未成熟卵も成熟卵と同様に多く取れてしまう方もいます。)
未成熟卵子採卵した卵子の10~15%程度が未成熟卵子です。
採卵後、数時間で成熟卵子になれば凍結保管が可能です。
変性卵子受精能のない変性した卵子です。変性卵子は凍結保管できません。
採卵した卵子の5%以下ですが、38歳を越えると変性卵の割合が著明に増加します。

凍結卵子の妊娠率は低い?

凍結卵子を使った妊娠率は、以前は低いと言われていましたが、近年の医学の進歩により(※1)高まっています。

(※1)未受精卵は、受精卵に比べて染色体が不安定なことから、凍結卵子を融解した後の生存率が安定しなかったのですが、卵子凍結の際の革新的な技術である急速ガラス化法の確立と、凍結・融解時に用いられる凍結液・融解液の性能の進化により、適切な手法で凍結された卵子の融解後の生存率は90%を超えるようになりました。融解後の卵子の生存率がそのまま出産率になる訳ではありませんが、凍結・保存技術の進歩により、凍結卵子を使って出産に至る確率は、以前より確実に高まっていると言えます。
※自社HPより(https://gracebank.jp/about_freezing/

◆凍結卵子を融解した時の卵子生存の確率

  • 融解後の卵子生存の確率・・・80〜95%
  • その後、精子を注入した場合の受精率・・・60〜80%

◆未受精卵融解後に、卵子が生存、受精し、質が良好な受精卵が確保できた場合に、卵子10個あたりで妊娠できる確率

こちらは、採卵時の年齢により割合が異なります。

  • 30歳以下・・・80%程度
  • 31〜34歳・・・75%程度
  • 35〜37歳・・・53%程度
  • 38〜40歳・・・30%程度
  • 41歳以上・・・20%以下

40代でも20代でも変わらない妊娠率?

一般的な凍結卵子(=実年齢)による体外受精の妊娠率は、加齢とともに下がりますが、凍結卵子が若い場合、40代でも20代とあまり変わらない妊娠確率となります。下記のように、卵子が若ければ40代の体外受精による出産率は20代と大きく変わりません。(米CDC、2021)

※自社HPより(https://gracebank.jp/guide/#p_guide03

卵子凍結の年齢制限と推奨年齢

卵子の元となる卵胞細胞は、年を重ねると細胞質が老化し、妊娠する力が急激に低下します。排卵が行われても染色体異常があったり、着床しても流産してしまったりという事が多くなってしまいます。残念ながら、卵子の質低下は、35歳頃から加速するといわれています。40歳くらいまでが妊娠可能性があるとされる年齢なので、 採卵の年齢制限を40歳未満または40歳前後とするクリニックが多くなっています。 

凍結卵子保管サービスの「Grace Bank」では、基本的には採卵をするご年齢を満40歳の誕生日までとさせていただいておりますが、それ以上のご年齢でご希望される場合でも専門医の判断により実施できることもありますので、お気軽にご相談ください。

凍結卵子のリスクは?

米国生殖医学会(※4)は、凍結融解卵子由来で生まれた子供に染色体異常、先天異常、および発育障害のリスクが増大することはないという見解を2012年に発表、2013年には日本生殖医学会がガイドラインを正式決定し、健康な未婚女性が将来の妊娠に備えて卵子凍結を行うことに基準を設けています。

(※4)米国では、2012年に米国生殖医学会が融解凍結卵子由来の出産に特別なリスクがないことを発表、これを受けて米国では、2014年にFacebook社がいち早く福利厚生制度として女性社員の卵子凍結費用を上限2万ドルまで補助する制度を導入しました。                               
※自社HPより(https://gracebank.jp/about_freezing/

凍結卵子の保管方法は?

採卵した卵子は、高濃度の凍結保護剤を利用し、従来の方法に比べて細胞内の水分をより多く除去した上で、固体と液体の中間状態を保ちながら高速で凍結する急速ガラス化法により凍結します。急速ガラス化法により凍結した上で、マイナス196℃の液体窒素内に保存することにより、半永久的にそのままの状態を保つことができます。凍結保管には専用の容器を用います。1本のデバイスと呼ばれる容器に、最大3個の卵子が収容可能です。

Grace Bankでは、国内最大級の規模の凍結保管設備を持ち、過去20年以上に亘って無事故を誇る安心の保菅システムを運用するさい帯血バンクのトップランナー、ステムセル研究所と連携しております。最新のモニタリング機器を用いてタンク内の温度や液体窒素量を24時間365日、常に監視・記録した厳重なセキュリティシステムを運用しています。また、突然の地震や津波にも強いエリア、液体窒素の自動供給システムを採用、バックアップ電源により停電対策も万全です。

保管にかかるコストは、初期費用が50,000円(税込55,000円)+保管費用が35,000円(税込38,500円)の年払いまたは3,500円(税込み3,850円)の月払いがご選択いただけます。

凍結卵子の使用方法

凍結した卵子を使用する場合、パートナーの精子が必要となります。パートナーが決定した後の流れは以下のとおりです。

  1. 卵子の融解…凍結した卵子を溶かします
  2. 受精…融解した卵子とパートナーの精子を受精させます
  3. 培養…受精卵を胚移植ができる段階まで管理し育てます
  4. 胚移植…受精卵を子宮の中へもどします
  5. 妊娠判定…子宮にもどした受精卵が着床し、妊娠しているかどうか、血液中のhCGという着床後に胎盤になる部分から分泌するホルモンを測定し、判断します

凍結した卵子を使用して妊娠するまでの順調な流れは、上記のように進んでいきます。また、卵子の融解から胚移植までは、クリニックごとに決められた料金がかかります。

参考:https://grace-sugiyama.jp/posts/magazine-20230705aftereggfreezing

Grace Bankで保管した凍結卵子を不妊治療で利用する場合は、マイページから凍結卵子移送申請をします。その後、Grace Bankが移送の手配を行います。東京都内であれば約1週間ほどで利用されるクリニックへ凍結卵子を安全な状態でお届けします。凍結卵子は、採卵したクリニックまたは弊社提携クリニックでの利用を推奨しますが、それ以外の希望の不妊治療クリニックでも利用可能です。

まとめ

みなさまが「卵子凍結」に関してお持ちの疑問点をひとつでも解消できれば幸いです。お伝えさせて頂きましたが、卵子凍結の妊娠率は、医学の進歩により高まっていますし、凍結卵子が若い状態ですと、妊娠率は年をとっても変わりません。しかしながら、若い凍結卵子によって高い妊娠率をキープできても、母体年齢は止められないのが現実ですので、年齢を考慮しながら妊娠の計画を立てるのがおすすめです。

卵子凍結をお考えでしたら、全国の不妊治療専門クリニックと連携・国内最高水準の保管システムを誇るGrace Bankへ、是非ご相談ください。

監修者

名倉 優子 なぐら ゆうこ

日本産科婦人科学会専門医


グレイス杉山クリニックSHIBUYA (東京都渋谷区)

杉山産婦人科の医師・培養士による技術を用いた質の高い診療を提供。
将来の妊娠に備えたプレコンセプションケアと卵子凍結にフォーカスした診療。
スタッフは全員女性。明瞭な料金設定も人気!

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