目次
無排卵月経とは?
今回は、無排卵月経について、その特徴や原因などをみていきましょう。
無排卵月経とは、「生理(出血)はあるが、排卵されていない状態」のことを言います。
無排卵であることを自覚することはほとんどありません。月経異常、不正出血、不妊などの症状から医療機関を受診し、無排卵月経が判明した方がほとんどです。
無排卵月経の原因
それでは、無排卵月経の原因をいくつかみていきましょう。
ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスが乱れると、女性の体に影響を及ぼし、無排卵月経を引き起こす場合があります。
不規則な生活、ストレス、ダイエットなどは、女性のホルモンバランスを乱してしまいます。その結果、卵子がうまく育たず、排卵が起こらないことがあるのです。
PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)
- 月経不順
- 卵巣内にたくさんの嚢胞がある
- 男性ホルモン値が高くなる
これらの症状がそろうと、多嚢胞性卵巣症候群と診断されることがあります。
卵巣内の男性ホルモンが増加することで、卵子がうまく育たなかったり、卵巣の壁が厚くなったりすることにより排卵が起こりにくくなってしまうのです。
高プロラクチン血症
本来であれば出産後に母乳を出すために分泌されるプロラクチンというホルモンが、出産や授乳をしていないのに分泌が過剰になった状態を高プロラクチン血症といいます。
プロラクチンが高値になると、出産していないのに母乳が出たり、排卵障害が起こることにより月経不順になったりすることがあります。
卵巣機能の低下
早発卵巣不全や年齢的に閉経が近づくことにより、体内の卵子の在庫が少なくなってしまうことで無排卵となってしまいます。
無排卵月経の特徴は?症状セルフチェック
無排卵月経は自覚症状がなく、無排卵であることを自覚することはほとんどありません。しかし、自分の体の状態をチェックすることで無排卵かどうかの目安にすることはできます。以下のセルフチェックをしてみましょう。
無排卵月経の症状セルフチェック
- 生理不順がある(生理周期や期間や出血の量が安定しない)
- 避妊していないのに1年以上妊娠しない
- 基礎体温が、低温期と高温期にわかれていない
特に、基礎体温は、無排卵月経かどうかをセルフチェックするのに有効です。
セルフチェックに当てはまる方は、早めの受診をおすすめします。
無排卵月経の治療法
無排卵月経と診断された場合、その治療は、病院での治療だけでなく、セルフケアも合わせて取り組んでいく必要があります。
また、病院での治療については、妊娠をすぐに希望する・しないで、治療方法が変わってきます。
無排卵月経に対する改善方法をいくつかみていきましょう。
ホルモンバランスを整える
ホルモンバランスを整えることは基本中の基本です。セルフケアである、睡眠や食事の改善、運動やストレス発散などで、ホルモンバランスが整い、自然と排卵されることがあります。
婦人科による治療としては、漢方薬やホルモン剤でホルモンバランスを整える方法もあります。
排卵誘発剤を使う
すぐに妊娠希望がある場合は、排卵誘発剤を使うこともあります。内服薬や自己注射によって排卵誘発をおこなうのです。
- クロミフェン製剤など:比較的軽症の排卵障害に用いられる内服薬
- ゴナドトロピン製剤(FSH製剤、hMG製剤など):重症な排卵障害や、体外受精・顕微授精を行う際に用いられる注射薬
婦人科系疾患の治療
また、前述のPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)、高プロラクチン血症など、無排卵月経の原因になる病気がある場合には、早めの治療をすることで無排卵が改善されることが期待されます。月経異常がみられた場合には早めの受診をおすすめします。
無排卵月経は、不妊症や子宮体がんリスクを高める
無排卵月経を放置しておくと、排卵がないため不妊症の原因になります。また、卵巣機能の低下が隠れている場合は骨粗しょう症のリスク、排卵がない事により黄体ホルモンの分泌が相対的に欠乏すると子宮体がんなどのリスクを高める可能性があります。
不妊リスクに備える「卵子凍結保存」とは
ここまでご覧いただいたように、無排卵月経は不妊症の原因になってしまう可能性があります。放置せず、早めに対処することが大切です。
また、不妊については、健康な人でも加齢とともに卵子の数が減り老化するため、妊娠率が低下することが知られています。
いつか妊娠したいと考えている人は、少しでも若く妊孕性(妊娠する力)の高いうちに、状態の良い卵子を凍結保存しておき、不妊リスクに備えておくことをおすすめします。
そうすることで、年齢を重ねることによる体外受精成功率の低下を防ぐことが期待されています。将来、不妊治療するとなった時、心強い味方となることでしょう。
Grace Bankでは、女性の将来をサポートするために卵子凍結保管を行っています。
いつかの妊娠に備えて、少しでも若いうちに卵子凍結保管をしておくのも、医療が発達した現代の選択肢のひとつです。
東京都では「卵子凍結に係る費用への助成」が開始されました。ぜひこちらの記事もご確認ください。
まとめ
無排卵月経だけでなく、女性を悩ます病気は様々あります。具体的に体に症状があらわれるとも限りません。不安を感じたら一度婦人科を受診することも考えてください。
正しい知識と情報を得て、ご自身の身体を大切に守っていきましょう。
▼参考サイト
- https://aih-net.com/pikarada/birth/1579/#:~:text=%E3%81%97%E3%81%8B%E3%81%97%E7%84%A1%E6%8E%92%E5%8D%B5%E3%81%AE%E7%8A%B6%E6%85%8B,%E3%82%92%E3%81%8A%E5%8B%A7%E3%82%81%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
- https://amemiya-cl.com/gynecology.html#c02
- https://get-canvas.com/blogs/articles/anovulatory-menstruation-check
- http://sakuracl-chitose.com/column/file17.html
- http://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=75#:~:text=%E6%9C%88%E7%B5%8C%E4%B8%8D%E9%A0%86%E3%82%84%E7%84%A1%E6%9C%88%E7%B5%8C,%E3%81%A6%E3%81%8F%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%A8%E3%82%82%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
- https://www.yukari-clinic.com/column/2017/09/04/%E9%AB%98%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%83%81%E3%83%B3%E8%A1%80%E7%97%87%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/
名倉 優子 なぐら ゆうこ
日本産科婦人科学会専門医
グレイス杉山クリニックSHIBUYA (東京都渋谷区)
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