結婚の予定はまだないけれど、いつかは子供が欲しい。けれど、なかなかパートナー探しや婚活がうまくいかず、時間が経っていくことに焦りを感じる方もいらっしゃるかと思います。
「妊活」=「パートナーがいたり、結婚してから始めるもの」のイメージがありますが、結婚の予定がなくても、1歳でも若いうちに何か妊娠・出産に向けた準備ができたら…と考えている方も多いのではないでしょうか。
今回は、パートナーを見つける前にできる将来の妊娠・出産に向けた準備のためのアクションをご紹介します。
目次
妊娠・出産を考えているならパートナーがいなくても少しでも早く妊娠・出産の準備をしよう
厚生労働省の人口動態調査によると、2023年の第1子の平均出産年齢は31.0歳(令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)より)となっています。第1子の平均出産年齢は上昇傾向にあり、1975年は25.7歳、1995年は27.5歳、2015年~2020年は30.7歳、2021年~2022年は30.9歳と、ここ7年ほどは30歳前後で妊娠・出産する人が多い傾向にあることがわかります。
このように30歳前後で妊娠・出産する人が増えていますが、25~30歳の方が1ヶ月の間に自然妊娠する確率は、25~30%(※1)と言われています。
1周期当たりの妊娠率(※1)
- 25歳・・・25~30%
- 30歳・・・25~30%
- 35歳・・・18%
- 40歳・・・5%
- 45歳・・・1%
(※1)婦人科ラボ「実は思っているほど高くない「自然に妊娠できる確率」」よりデータ引用
20~30代前半までは妊娠確率は大きく変わらないといえます。しかし35歳以降から妊娠確率は急激に下がり始めます。妊娠・出産を考えているのであれば、早めの計画と準備が必要なのです。
パートナーがいない・結婚の予定がなくてもできる妊娠・出産に向けた準備とは?
とはいえ、パートナーが見つからない・婚活がうまくいかないなど、妊娠・出産の計画を立てることが難しい状況の方も多いと思います。ただ、残念ながら日々年齢を重ねてしまうことは避けられません。そこで今回は、パートナーがいなくてもできる妊娠・出産に向けた準備について解説します。
女性ホルモンのバランスを整えよう
女性ホルモンのバランスの乱れは、美容面だけではなく、妊娠する力をも弱めることになりかねません。月経が正しく起こるためや、胎児を子宮で育てるためにも女性ホルモンが正しく分泌される必要があります。ホルモンバランスを整えるには、疲労回復・バランスのとれた食事・十分な睡眠・適度な運動・リラックスなどが大切といわれていますので、まず生活習慣で改善できそうなことを見つけてみてください。生理不順・PMS(月経前症候群)・肌荒れ・冷え性・情緒不安定・不眠などの症状は、女性ホルモンのバランスが乱れているサインかもしれません。
女性ホルモンと似た働きをする成分に大豆イソフラボンとエクオール(※)があります。女性ホルモンを整えるには、大豆イソフラボンやエクオールを効果的に摂取する方法も有効です。大豆イソフラボンは納豆や豆腐などの食事から摂取することができます。エクオールは産出する腸内細菌をもっていないと産出ができません。日本人でも約半数しかエクオールを産出できないと言われているため、食べ物から摂取できない人はサプリの摂取をおすすめします。
※大豆イソフラボンは女性ホルモンに似た働きをします。エクオールには大豆イソフラボンの働きを高める作用があります。
婦人科系疾患を治療する
女性ホルモンのバランスを整えることで、生理不順やPMSは自然と落ち着くケースがありますが、もし生理不順が改善しない場合は、婦人科での診療をおすすめします。普段から子宮や卵巣が健康で生理周期が整っていると、スムーズに排卵がおこなわれます。生理周期が整うと、排卵日も正確に把握しやすいというメリットがあります。
生理痛の原因には、子宮内膜症、子宮筋腫などの病気が隠れている可能性があります。気になる症状がある場合は、早めに病院を受診しましょう。
また、不妊につながる性病もあります。特にリスクが高いのが「クラミジア」です。クラミジアの病原菌は、性器や尿道など精液や腟分泌液などに存在し、主に、性交渉で性器感染します。性交渉以外にも、オーラルセックスが原因で喉に感染することがあります。
クラミジアに感染すると、初期は子宮頸管炎(おりものの増加、不正出血、下腹部痛、性交痛など)が多くみられ、症状が進むと、子宮内膜炎・卵管炎・卵巣炎・骨盤腹膜炎・肝周囲炎などを引き起こします。卵管まで炎症が広がってしまうと卵管内部の癒着などによる卵管閉塞・排卵障害などが起きてしまい、不妊症のリスクを高めます。
気になる症状がある場合は、早めに病院を受診しましょう。
卵子凍結をする
年齢を重ねるごとに、「妊娠が成功するまでのリスク」、「胎児へのリスク」、「母体へのリスク」が高くなっていきます。リスクが高くなる原因のひとつに「卵子の老化」が挙げられます。卵子の質の低下は35歳くらいから始まり、40歳頃から閉経するまでの間に急激に進行します。
卵子の老化に備えて、今から準備しておけるのが「卵子凍結」です。若く妊娠力の高い卵子を凍結保存するので、将来の不妊治療の際に役立つ可能性もあります。卵子凍結で体外受精の場合、採卵時とほぼ変わらない出産率を維持できます。
卵子凍結保管サービスでおすすめなのが「Grace Bank(グレイスバンク)」です。Grace Bankは、全国の提携クリニックで採卵・凍結した卵子の保管専門のサービスを提供しており、クリニックで採卵・凍結から保管まで行う場合とは異なり、体外受精を行う際は全国の提携クリニックにて凍結卵子の利用が可能です。
Grace Bankが提携しているクリニックは、確かな実績を持った経験豊富な有名不妊治療クリニックです。また、従来の不妊治療クリニックのような小型の液体窒素タンクによる保管とは異なり、臍帯血バンクのステムセル研究所と提携し、今まで25年以上無事故を誇る同社の専用大型タンクで24時間365日一括管理をしています。保管施設は地震や津波に強いエリアに設置され、停電対策も万全、安心のシステムで大切な卵子を保管します。
初期費用55,000円(税込)と保管費用は年払い38,500円(税込)または月払い3,850円(税込)の2つのプランからお選びいただけます。東京都では卵子凍結に係る費用に最大30万円の助成があります。こちらの記事も是非ご確認ください。
今からでも知っておきたい「プレコンセプションケア」という考え方
プレコンセプションケアとは、将来の妊娠を考えながら女性やカップルが自分たちの生活や健康に向き合うことです。直近で妊娠を考えている女性だけでなく、将来少しでも妊娠や子どもを持つことを考えているのであれば、すべての女性、それだけでなくそのパートナーも一緒に考えることが大切です。プレコンセプションケアを早いうちから行うことで、自身のキャリア・ライフプランを考える助けとなります。
東京都では、「TOKYOプレコンゼミ」という、都内在住の18~39歳の方を対象にプレコンセプションケア(性や妊娠に関する正しい知識を身に付け健康管理を促すこと)に関する講座を月1回程度開催しています。受講された方を対象に、妊娠・出産前のヘルスチェックとしての各種検査が女性は上限3万円、男性は上限2万円助成されます。こちらの記事も是非ご確認ください。
名倉 優子 なぐら ゆうこ
日本産科婦人科学会専門医
グレイス杉山クリニックSHIBUYA (東京都渋谷区)
杉山産婦人科の医師・培養士による技術を用いた質の高い診療を提供。
将来の妊娠に備えたプレコンセプションケアと卵子凍結にフォーカスした診療。
スタッフは全員女性。明瞭な料金設定も人気!