33歳で卵子凍結を検討しているあなた。「33歳って卵子凍結するには遅い?」「卵子凍結のベストなタイミングっていつなの?」と疑問に思っているのではないでしょうか。
実は米国生殖医学会(American Society for Reproductive Medicine)の最新の論文で、「33歳の卵子凍結は最もコストパフォーマンスがいい」という研究が発表されました。
この記事では、卵子凍結に適した年齢について、米国生殖医学会の論文や医学的根拠に基づいて解説します。また、33歳での卵子凍結のメリット・デメリット、妊娠率の観点から年齢と卵子凍結の関係性、AMH検査の重要性、費用やクリニックの選び方まで網羅します。
さらに、30代で卵子凍結を経験した方のリアルな体験談もご紹介します。卵子凍結に関する正しい知識を得ることで、将来の安心を手に入れるための具体的な行動が見えてくるはずです。
目次
33歳は卵子凍結のベストタイミング?
33歳という年齢は、卵子凍結を考える上で、ベストタイミングと言えるのでしょうか?卵子凍結のベストタイミングは、女性のライフプラン、経済状況、そして何より卵巣の年齢によって異なります。33歳は社会的に安定し、将来のライフプランを具体的に考え始める時期である一方、卵子の質の低下も徐々に始まる年齢でもあります。そのため、この時期に卵子凍結を検討する女性が多いのも事実です。
妊娠率の観点から年齢と卵子凍結の関係を考える
女性の妊娠率は、年齢とともに低下していくことが知られています。これは、加齢とともに卵子の数と質が低下していくためです。卵子の質の低下は、染色体異常のリスクを高め、流産や先天性異常の発生率にも影響を与えます。一般的に、35歳を過ぎると妊娠率の低下が顕著になり、40歳を超えるとさらに急激に低下します。
1周期当たりの妊娠率
- 25歳・・・25~30%
- 30歳・・・25~30%
- 35歳・・・18%
- 40歳・・・5%
- 45歳・・・1%
出典:婦人科ラボ「実は思っているほど高くない「自然に妊娠できる確率」」
卵子凍結は、若い頃の質の良い卵子を保存することで、将来の妊娠の可能性を高めるための手段です。つまり、卵子凍結を行う年齢が若いほど、将来妊娠に繋がる可能性が高いと言えるでしょう。
米国生殖医学会で、米国全体の8割のクリニックのデータを分析した結果、1人出生の場合は32歳以前に卵子凍結を行うこと、2人出生の場合は31歳以前に2回の卵子凍結を行うことが最も高い成功率になるという結果が示されています。
卵子凍結をするのは33歳が最もコストパフォーマンスがいい?
米国生殖医学会(American Society for Reproductive Medicine)の最新の論文で、「33歳の卵子凍結は最もコストパフォーマンスがいい」という研究が示されました。
卵子凍結を行う年齢は若ければ若いほどいいのでは?と思うかもしれませんが、例えば、20代で卵子凍結をした場合、その自然妊娠率の高さから、結果、凍結卵子を使わない可能性があります。
一方で、30代後半になると質の良い卵子を一定数採取するのに、複数回の採卵の採卵が必要となり、コストパフォーマンスが低下するとされるため、中間地点である33歳が一つの指標として示されました。
ただし、この研究は30代後半に卵子凍結を行い、40代前半に使用するケースを対象としており、例えば30代前半で卵子凍結をし、30代後半で使用するといった場合では結果が異なる可能性があります。また、この研究でのコストパフォーマンスには、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)などの疾患に罹患した場合や流産をした場合、精神的なコストなどは含まれていません。また、個人の状況によって卵子凍結をする最適な年齢は異なるため、今回の研究結果はあくまで一つの参考材料として、慎重に検討することをおすすめします。
33歳で卵子凍結をするメリット・デメリット
33歳で卵子凍結をする際のメリットとデメリットを整理してみましょう。
33歳で卵子凍結をするメリット
- 比較的良好な卵子の質を保存できる可能性が高い:33歳はまだ卵子の質の低下が比較的緩やかな時期であるため、良好な卵子を保存できる可能性が高いです。もちろん個人差はありますが、35歳以降と比較すると、より多くの健康な卵子を採取できる可能性があります。
- キャリア形成と妊娠・出産の両立を図りやすい:30代はキャリア形成において重要な時期です。卵子凍結をすることで、キャリアを優先しながらも、将来の妊娠・出産の選択肢を残しておくことができます。
- 将来のパートナーの有無に関わらず妊娠の可能性を確保できる:結婚のタイミングは人それぞれです。卵子凍結は、将来のパートナーの有無に関わらず、自分の希望するタイミングで妊娠を検討できるという安心感をもたらします。
33歳で卵子凍結をするデメリット
- 費用がかかる:卵子凍結には、採卵、凍結、保管など、ある程度の費用がかかります。費用はクリニックによって異なりますが、採卵1回あたり40万円〜60万円程度、年間保管費用は数万円程度が相場です。補助金制度を利用できる場合もありますが、自己負担額も考慮する必要があります。
- 身体への負担がある:卵子凍結は、排卵誘発剤の注射や採卵手術など、身体への負担を伴います。副作用として、腹部の張りや痛み、吐き気などが起こる可能性もあります。また、まれに卵巣過剰刺激症候群(OHSS)などの合併症が起こる可能性もあるため、医師の説明をよく理解し、納得した上で治療を受けることが重要です。
- 妊娠を100%保証するものではない:卵子凍結は将来の妊娠の可能性を高めるための手段ではありますが、妊娠を100%保証するものではありません。解凍後の卵子の生存率や、体外受精の成功率なども考慮する必要があります。また、加齢による子宮の変化なども影響するため、凍結した卵子を使って妊娠できる確率は、凍結時の年齢や卵子の質、そして解凍時の年齢や体の状態によって異なります。
33歳で卵子凍結を検討する際には、これらのメリット・デメリットを踏まえ、自身の状況や将来のライフプランに合わせて、医師とよく相談することが大切です。
AMH検査で自分の卵巣年齢を知る
卵巣年齢を知るためには、AMH(アンチミューラリアンホルモン、別名:抗ミュラー管ホルモン)検査が有効です。AMHは卵巣内に残っている卵子の数を反映するホルモンで、数値が高いほど卵子の数が多く、低いほど少ないとされています。
「抗ミュラー管ホルモン(AMH)」参考基準値
参考:JISART(日本生殖補助医療標準化機関)
AMH検査を受けることで、自分の卵巣年齢を客観的に把握し、卵子凍結の必要性を判断する材料にすることができます。AMHの値は年齢とともに低下するため、定期的に検査を受けることで、卵巣の状態を把握することが重要です。
AMH検査は、多くの婦人科で実施しており、費用は5,000円~10,000円程度が相場です。保険適用外のため、全額自己負担となります。
卵子凍結の手順と費用
卵子凍結は、将来の妊娠の可能性を残すための選択肢として注目されています。しかし、実際の手順や費用については、漠然としたイメージしか持っていない方も多いのではないでしょうか。ここでは、卵子凍結の大まかな流れと費用、そしてクリニック選びのポイントについて詳しく解説します。
卵子凍結の主な流れと期間
卵子凍結は、一般的に以下の手順で行われます。期間は個人差やクリニックによって異なりますが、全体でおよそ2~3週間程度かかります。
ステップ | 内容 | 期間(目安) |
1. カウンセリング・検査 | クリニックでの初回カウンセリング、血液検査、超音波検査などを通して、卵巣の状態や卵子凍結の適応性を確認します。AMH値(抗ミュラー管ホルモン)の測定も重要です。 | 1~2日 |
2. 排卵誘発 | 注射や内服薬を用いて、複数の卵胞を成熟させます。自己注射が必要な場合、クリニックで指導を受けます。 | 10~12日 |
3. 卵子採取・凍結 | 腟から針を刺して卵胞から卵子を吸引します。所要時間は15~30分程度です。採取した卵子は、急速ガラス化法と呼ばれる方法で凍結保管します。 | 1日 |
4. 凍結保存 | 凍結された卵子は、クリニックまたは専用の施設で長期間保存されます。 | 更新手続きを行うことで長期間保存可能 |
卵子凍結の費用相場と補助金制度
卵子凍結にかかる費用は、クリニックや採卵数、凍結期間などによって大きく異なります。一般的には、1回の採卵で40~60万円程度が相場と言われています。内訳は以下の通りです。
項目 | 費用(目安) |
初診料・カウンセリング料 | 5,000~10,000円 |
検査費用(血液検査、超音波検査など) | 20,000~30,000円 |
排卵誘発費用(薬剤費含む) | 100,000~200,000円 |
卵子採取費用 | 150,000~200,000円 |
卵子凍結・保存費用(年間) | 30,000~50,000円 |
また、自治体によっては卵子凍結に助成金制度を設けているところもあります。助成額や対象年齢などは自治体によって異なるため、事前に確認しておきましょう。2025年1月現在、以下の制度が利用できます。
- 厚生労働省「小児・AYA世代がん患者等に対する妊孕性温存研究促進事業」:小児・AYA世代のがん患者を対象とした助成金制度です。卵子凍結が対象となる場合があります。
- 東京都「卵子凍結にかかる費用助成」:東京都内に居住する18歳から39歳の女性を対象に、卵子凍結・保管費用を最大30万円助成する制度です。
- 大阪府池田市「卵子凍結費用助成事業」:大阪府池田市に居住する18歳から39歳の女性を対象に、卵子凍結・保管費用を最大30万円助成する制度です。
- 山梨県「卵子凍結支援事業」:山梨県に居住する18歳から39歳の女性を対象に、医療機関(及び調剤薬局)に支払った卵子凍結費用の総額の1/2、上限20万円(※県外医療機関の場合は上限10万円)を助成する制度です。
クリニックの選び方
卵子凍結を行うクリニックを選ぶ際には、以下の点を考慮することが重要です。
- 実績と経験:卵子凍結の実績が豊富で、経験豊富な医師が在籍しているクリニックを選びましょう。実績はホームページなどで確認できます。
- 技術力:卵子凍結・融解技術が高いクリニックを選ぶことが重要です。成功率も確認しましょう。
- 費用:費用体系が明確で、追加費用などが発生しないかを確認しましょう。複数のクリニックで見積もりを比較することも大切です。
- アクセス:通院しやすい立地にあるクリニックを選びましょう。特に排卵誘発中は通院回数が増えるため、アクセスは重要な要素です。
- サポート体制:精神的なサポートや、疑問や不安に丁寧に対応してくれるクリニックを選びましょう。カウンセリング体制も確認しましょう。
- 緊急時の対応:夜間や休日の緊急時の対応についても確認しておきましょう。
複数のクリニックを比較検討し、自分に合ったクリニックを選びましょう。見学やカウンセリングなどを積極的に活用し、納得のいくまで相談することが大切です。医師やスタッフとの相性も重要です。また、日本産科婦人科学会が認定する生殖医療専門医がいるクリニックを選ぶのも一つの基準となります。
33歳で卵子凍結をした人の体験談
33歳という年齢で卵子凍結を経験した方々のリアルな体験談をご紹介します。様々な背景や動機を持つ方々のストーリーを通して、卵子凍結をより身近に感じ、ご自身の状況と照らし合わせながら検討材料にしていただければ幸いです。
33歳、同世代に贈る“いったん検討”のすすめ
33歳で、医療にかかわる仕事をしているゆいさん。「35歳までの出産が望ましい」とよく耳にしてきたなかで、なんとなく年齢の意識はしていたとのこと。当時は将来子どもが欲しいのかはっきりわからなかったそうですが、環境で気持ちが変化する可能性を見越して、卵子凍結をすることを決断しました。
出張が多い仕事とのことで卵子凍結のスケジュール管理は大変だったとのことですが、卵子凍結には自分だけのタイムリミットがあることから仕事を理由に先延ばしにせず、通院期間は卵子凍結を優先する覚悟をしたそうです。
結婚や出産に対する焦りが、卵子凍結が決まった瞬間に緩んでいくのがわかりました。あまり意識していなかったはずなのに、「本当はこんなにプレッシャーを感じていたのだな」としみじみしてしまったくらいです。日々焦りや不安にさいなまれることなく、前向きでいられることのメリットを実感しています。
私は卵子凍結をしてもしなくても、どちらでもいいと思っています。価値観は人それぞれなので、みんなした方がいい!とは思いません。ただ、卵子凍結について真剣に検討しないまま年齢を重ね、出産が難しくなる年齢になってから「あの時卵子凍結しておけばよかった」と後悔することだけは避けてほしいと思います。
33歳のゆいさんの卵子凍結体験談はこちらからご覧ください。
卵子凍結に関するよくある質問
卵子凍結を検討する上で、様々な疑問や不安を抱えている方も多いでしょう。ここでは、よくある質問とその回答をまとめました。
痛みや副作用は?
卵子凍結の手順には、大きく分けて排卵誘発、採卵、凍結の3つのステップがあります。それぞれで起こりうる痛みや副作用について解説します。
・排卵誘発
毎日注射を行う自己注射と、通院による注射があります。注射部位の痛みや腫れ、発赤などが起こることがあります。また、排卵誘発剤の影響で、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)になる可能性があります。軽度であれば、下腹部膨満感や吐き気などがみられますが、重度になると腹水や胸水が溜まり、入院が必要になるケースもあります。医師の指示に従い、適切な投薬を受けることで症状を軽減できます。
・採卵
採卵は、膣から針を刺して卵胞から卵子を吸引する方法で行います。静脈麻酔を使用した場合は、処置中の痛みはほとんど感じません。麻酔の影響で、採卵後数時間はだるさや眠気を感じる場合がありますが、多くの場合、当日中に帰宅できます。まれに、出血や感染症などの合併症が起こる可能性があります。
・凍結
採取した卵子を培養士が凍結保管します。
凍結した卵子はいつまで保存できる?
法律上、凍結した卵子の保存期間に制限はありません。凍結した卵子は半永久的に保存可能とされていますが、各クリニックによって保存期間に規定があるので、クリニックに確認するようにしましょう。また、凍結保存には費用がかかるため、自身のライフプランに合わせて検討する必要があります。
解凍後の妊娠率は?
解凍後の妊娠率は、卵子を凍結した年齢、卵子の質、解凍方法、受精方法、子宮の状態など、様々な要因によって影響を受けます。一般的に、若い年齢で凍結した卵子ほど、妊娠率は高くなります。
項目 | 確率 |
---|---|
凍結卵子融解後の卵子生存の確率 | 80~95% |
融解後の卵子に精子を注入した場合の受精率 | 60~80% |
質が良好な受精卵(10個あたり)が確保できた場合に妊娠できる確率を見ていきます。こちらは採卵時の年齢によって割合が異なります。
年齢 | 妊娠確率 (凍結卵子を融解後に質が良好な受精卵が確保できた場合※10個あたり) |
---|---|
30歳以下 | 80%程度 |
31~34歳 | 75%程度 |
35~37歳 | 53%程度 |
38~40歳 | 30%程度 |
41歳以上 | 20%以下 |
※上記の値はあくまでも目安であり、クリニックや個々の状況によって異なります。最新のデータや具体的な数値については、医療機関に相談することをおすすめします。
その他
その他、費用や保険適用、クリニックの選び方、カウンセリングの重要性、卵子凍結後の生活、将来の妊娠・出産に関する様々な疑問についても、専門の医師やカウンセラーに相談することで、より詳細な情報を得ることができます。安心して卵子凍結を行うために、積極的に情報収集を行いましょう。
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まとめ
卵子凍結の最適なタイミングは、人それぞれ異なります。結婚や出産の予定、キャリアプラン、経済状況など、様々な要素を考慮する必要があります。30代前半であれば、卵子の質と数のバランスが良く、卵子凍結の適齢期と言えるでしょう。しかし、30代後半以降でも、AMH検査の結果や医師との相談に基づいて、卵子凍結を行うことは可能です。大切なのは、自分のライフプランと照らし合わせ、後悔のない選択をすることです。
例えば、キャリアを優先したい女性は、30代前半に卵子凍結を行うことで、将来の妊娠の可能性を広げることができます。また、結婚の予定がない女性も、将来の選択肢を広げるために、卵子凍結を検討する価値があります。
卵子凍結は、将来の妊娠を保証するものではありませんが、妊娠の可能性を高めるための有効な手段です。将来の不安を軽減し、より充実した人生を送るために、卵子凍結という選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。
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名倉 優子 なぐら ゆうこ
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