東京都が支援検討
東京都の小池百合子知事は、12月7日、健康な女性の卵子凍結について自治体として支援を「検討していく」と話しました。
これまで東京都では、がんの治療のために女性が妊娠するための力(妊孕性:にんようせい)を温存する方法として、卵子凍結への支援をしていましたが、健康な女性の将来への備えとして卵子凍結を支援する方針を示したのは初めてです。
※2021年度より、「妊孕性温存療法」に対して都道府県が助成を行うようになっています。

東京都が、女性の出産とキャリアの両立が難しい点などを考慮して、女性の選択肢を増やすために支援を発表したことは、とても画期的なことです。
また日本受精着床学会は、12月8日、将来に妊娠・出産をする可能性を考えて卵子凍結を行った女性は、2021年に都内で1135件(11施設)にのぼると発表しました。
この数値は、調査を行った日本受精着床学会の医師も驚く数値で、現在は妊娠できないけれど、将来に向けて可能性を残したいという女性たちが、とても多いことを裏付ける結果になりました。
アメリカでは福利厚生に
卵子凍結に注目が集まるのは日本だけではありません。
アメリカでは2009年に475人の女性が卵子凍結を行いましたが、その数は10年後に1万6000人を超えています(SART調査)。
アメリカは国や自治体で、このような卵子凍結への補助はありませんが、民間の企業が福利厚生の一環として2014年頃から社員に向けて支援をするようになりました。

2万人以上の社員のいる大企業でみると、支援を行なっている企業は2020年には19%になっていて、2015年の6%から大幅に増加。珍しいものではなくなってきているのです。(Mercer調査)
日本でも始まる卵子凍結支援
日本では、2021年5月にメルカリが卵子凍結の費用を200万円を上限に負担する制度を正式にスタート。
またネット広告事業のサイバーエージェントや、通信販売のジャパネットホールディングスは最大40万円を補助する福利厚生を導入しており、日本でも人材の獲得という観点から、企業主導の支援がじわじわと広がっています。
自治体が卵子凍結の支援をするのは、とても珍しいことですが、実は東京都が初めてではありません。

実は2015年度に千葉県の浦安市が、市内に住む20~34歳の女性を対象に7割の金額を支援する制度を導入していました。ただ、この制度は3年間だけで、2018年には終了しています。
その点からすると、今回の東京都の支援の枠組みは、規模や影響力から見ても浦安の事例を超えるものです。
具体的な支援の内容や時期は明らかにされていませんが、女性たちだけでなく、企業も注目する制度であることは間違いありません。