仕事や家事が忙しいとなかなかご自身の体の変化を見過ごしがちですが、何か不調はありませんか?
なんとなくイライラする、肌荒れが気になる、生理の周期も乱れているなどの症状を「疲れ」の一言で片付けていませんか?もしかするとそれらの原因が女性ならではのホルモンバランスの乱れかもしれません。
女性ホルモンは、妊娠出産の時だけでなく女性の一生において欠かせないものです。女性ホルモンのバランスはとても繊細なもので、それが崩れると心身にさまざまな不調が起こってしまいます。
今回は女性ホルモンのバランスが崩れる原因と、それを整える方法をご紹介いたします。
目次
女性ホルモンのバランスとは
女性ホルモンは卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)があり、そのホルモンの増減によってバランスが保たれることで生理周期が決まっています。
生理周期には以下の4つの時期があります。
・卵胞期 月経が終わると卵巣の中にある卵胞で卵子が成熟し始めます。そして次の月経に向けて子宮内膜が厚くなり始めます。卵胞期はエストロゲンが多く分泌され、排卵期を迎える直前にエストロゲンの分泌が最も多くなります。
・排卵期 卵子が卵巣から排出され(排卵)、この時期に精子と出会い受精して着床すると妊娠することになります。排卵をするとエストロゲンの分泌が一気に少なくなります。
・黄体期 卵子が放出された後、プロゲステロンが分泌されるようになります。体の中では子宮内膜が厚くなり受精卵を受け入れる準備をします。
・月経期 受精卵ができなかった、着床しなかった場合は子宮内膜は不要になるので体外に排出されます、これが月経です。この時期には2つのホルモンが一気に少なくなります。
卵巣で卵子を育て、排卵し、妊娠に備えて子宮内膜を厚くし、妊娠が起こらないと生理が起こるというサイクルは女性ホルモンバランスよって成り立っているのです。
女性ホルモンのバランスが崩れる原因
一生のうちで分泌される女性ホルモンはティースプーン1杯分と言われています。そのうち1回の生理周期で分泌されるホルモンの量はほんのわずかであることが分かります。
しかしこのほんのわずかな量のホルモンバランスが崩れるだけでさまざま不調を引き起こしてしまうのです。
女性ホルモンのバランスを壊してしまう原因はさまざまです。
仕事や人間関係などでかかるストレス、疲労はもちろんのことダイエットなどによる栄養不足、体の冷えなどが挙げられます。また加齢も一つの原因で、女性の閉経はだいたい50歳前後と言われていますが、その前はホルモンの分泌量が減ってくるためバランスが崩れます。
女性ホルモンのバランスが崩れると起こる6つの不調

生理不順
女性ホルモンのバランスが崩れると、もっとも影響を受けやすいのが生理周期です。
生理は個人差もあり25〜38日の周期でくると言われていますが、生理不順になるとそれ以上に間隔があいてしまうこともあります。生理周期以外でも経血の量が極端に少なかったり異常に多くなったり、PMS(生理前症候群)や生理痛がひどくなったりすることがあります。
不妊
生理不順もホルモンバランスの崩れからきますが、それを放置していると将来不妊になってしまう可能性があります。
卵子が育ちにくくなったり、卵子の老化が早まると不妊につながります。卵子が若い方が妊娠率も高いと言われています。精巣で常に新しい精子が作られる男性と違って、女性の卵子はその元になる細胞の全てがまだ赤ちゃんの頃に作られます。
つまり卵子の年齢=あなたの年齢なのです。
年月が経つほど体とともに卵子を老化が進みますがストレスなどにより老化の進みが早くなることもあります。
肌荒れ、むくみ、肥満、髪のパサつき
エストロゲンは肌や髪などを美しく保つ作用があります。
生理周期の中でも卵胞期を終えるとエストロゲンは一気に分泌量が減るので生理が近づくと肌あれや髪のぱさつきが気になってきます。またプロゲステロンは妊娠を維持するためのホルモンで、体に水分をためたり食欲増進の作用があります。生理前に分泌が増えてくるのでその時期はむくんだり太りやすくなるのでダイエットに向かない期間と言われます。
普段の生理周期でさえこのような乱れ方をしますので、ストレスや疲労などでさらにこのバランスが崩れると美容面にも悪影響がでてしまいます。
イライラ、気分の落ち込み
これは実感のある方も多いかもしれませんが、普段なら気にならないことなのになぜかイライラしてしまう、そして気分が不安定な時期続くというのもホルモンが関係していることが多いです。
ホルモンバランスは女性の心の安定にも影響しています。
更年期障害
女性の閉経は平均的には50歳前後と言われますが、更年期障害は45歳以降から閉経される方に増えてきます。ご自身の閉経の約5年前からエストロゲンの分泌が急激に減少します。
この影響でのぼせ、ほてり、めまい、イライラ、気分の落ち込みなどの症状いわゆる更年期障害が起こります。
骨粗しょう症や子宮がんなどの病気
特にエストロゲンには骨や血管を健やかに保つ作用があります。エストロゲンの分泌が減少すると骨が壊されていくのを守る事ができなくなり、骨粗しょう症のリスクが高まります。
また生理周期の異常は、卵巣・子宮・子宮頸管などの女性器のがんリスクを高めます。
女性ホルモンのバランスを整える3つの方法

健康的な生活習慣
女性ホルモンのバランスを整えるために重要なのは健康を保つことです。適度な運動や十分な睡眠でストレスを発散、疲労を回復させてバランスの取れた食事を摂りましょう。
当たり前のようですがこれが1番の方法です。
しかし仕事などで忙しくしているとなかなか難しいという方は今足りていないものの1つでも整えることから始めてみると良いかもしれません。
女性ホルモンのバランスを整えるサプリ
健康的な生活習慣を全て取り入れるのが大事であることはよくわかるけれど流石に無理だという方はサプリに頼る方法もあります。
女性ホルモンの作用を助けたり、女性ホルモンのバランスを整える成分が入っているサプリがおすすめです。
・大豆イソフラボン:エストロゲンに似た働きをします。
・エクオール:大豆イソフラボンの働きを高める腸内細菌です。食べ物からは摂取できないため、サプリでの補充がおすすめです。
・ビタミンE群、B群:ビタミンEは強い抗酸化作用をもちその他血行促進の効果も、ビタミンBは疲労の回復、肌荒れの予防、イライラなどを鎮めて情緒を安定させる効果があります。
女性ホルモンのバランスを整える漢方
サプリの他に漢方も血や気の巡りをよくして、女性ホルモンのバランスを整えると言われています。
■主なおすすめ漢方
・温経湯(ウンケイトウ):女性ホルモンの分泌を促進する作用があり、生理不順に効果があります。
・当帰芍薬散(トウキシャクヤクトウ):血の巡りをよくして冷えを改善する。生理不順や生理痛の緩和に効果があります。
・加味逍遥散(カミショウヨウサン):血の巡りをよくして、イライラなどの精神症状を緩和する。更年期障害やストレスによる心身症状に効果があります。
・桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン):血の巡りをよくして、のぼせ・頭痛・肩こり・ニキビや皮膚炎などを緩和する。生理不順、生理痛、更年期障害、肌トラブルに効果があります。
まとめ
女性ホルモンのバランスはとても繊細で日々のストレスや疲労など誰にでもありがちなほんの少しの事で崩れてしまいがちです。
しかしそのバランスの崩れを放置しているとつらい生理不順を起こし、肌荒れやむくみや肥満などの美容面にも悪影響を及ぼします。さらに女性ならではの更年期障害や骨粗しょう症や女性ならではのがんのリスクも高まってしまいます。
特に妊娠したい女性にとっては卵子の老化を早め、不妊の原因になってしまうというのも見過ごせないことです。女性ホルモンのバランスを整えることは、美容・健康・妊娠力の維持のためにも重要です。
実は現在、将来のために妊娠力を維持するための選択肢として若いうちに卵子を凍結保管しておくという方法があります。
ご自身の卵子を凍結保管できるGrace Bankをご存じですか?
もともと卵子凍結は悪性腫瘍などを患い抗がん剤治療や放射線治療を行う女性が将来妊娠できるように治療前に卵子を残しておけるためのものとして行われてきました。
安全に採卵し、マイナス196℃の液体窒素で半永久的に保管することが可能です。
このような凍結融解卵子から産まれた子どもに染色体異常、先天異常、発育障害のリスクが増大することはないという見解が米国生殖医学会からされていることから 2013年に日本生殖医学会がガイドラインを正式決定し、健康な未婚の女性が将来の妊娠に備えて保管できるようになりました。
Grace Bankは確かな実績を持った経験豊富な有名不妊治療クリニックと提携しています。
また従来の不妊クリニックのような小型の液体窒素タンクによる保管とは異なり、臍帯血バンクのステムセル研究所と提携し、今まで23年間無事故を誇る、同社の専用大型タンクで一括管理をしています。保管施設は地震や津波に強いエリアに設置され、停電対策も万全、安心のシステムで大切な卵子を保管します。
今は仕事などが忙しいけれど将来妊娠を希望するという方は一度卵子凍結についても検討してみてはいかがでしょうか。
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▼この記事の監修は…
医師紹介:岡田 有香(おかだ ゆか) 産婦人科学会専門医、日本産科婦人科内視鏡学会腹腔鏡技術認定医、グレイス杉山クリニックSHIBUYA院長 順天堂大学医学部卒/聖路加国際病院8年勤務 現在まで産科、婦人科全ての領域に携わる。不妊治療を行う中で、不妊予防に興味を持ち、自身のInstagram(@dr.yuka_okada)でも生理痛や不妊、妊活の知識を発信している。 資格:da Vinci certified First Assistant (ダビンチ認定資格取得術者) 、日本母体救命システム普及協議会J-CIMELSプロバイダー 所属学会:日本産婦人科学会、日本生殖医学会、日本女性医学会、日本産科婦人科内視鏡学会、NPO法人日本内膜症啓発会議 |
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▼参考文献・引用
- MSDマニュアル
- エリス