卵子凍結について

不妊治療を考えている30代の方へ、人工授精とは?~2022年12月、小池都知事が卵子凍結について健康な人への「対象拡大を検討する」と発言し、注目を集める「卵子凍結」についてもご紹介~

そもそも人工受精とは?

人工授精とは(AIH:Artificial Insemeination withHusband’s semen)女性側の排卵の時期に合わせて、パートナーの精子を子宮内に注入する方法の事をいいます。歴史は古く、1799年イギリスの外科医であるHunterにより始まった、不妊治療(※1)のひとつの方法です。

参考HP 人工授精(AIH:Artificial Insemination with Husband’s semen) – 日本産婦人科医会 (jaog.or.jp)

人工授精は、運動率の良い精子を選び、直接子宮に精子を注入するため、自然妊娠よりも妊娠確率が高くなります。また、自然妊娠に限りなく近い方法なので、心理的な負担も少ない、副作用などもないメリットも挙げられます。また費用面の負担も少ない事も、利点として考えられます。

※1 不妊治療について

不妊治療は、様々な検査に始まり、タイミング法から、人工授精、体外受精、顕微授精といった高度な治療まであります。一般的な不妊治療の流れとしては、検査で異常が見当たらなければ、まずは、「タイミング法」(排卵日を推測しその前後に性交渉を持つ、場合によっては排卵誘発剤を使う)を行います。それでも妊娠できなかった場合、人工授精が次のステップとして試されることになります。さらに次のステップとしての体外受精は、女性の身体から卵子を取り出して、培養器の中で男性の精子を受精させてしばらく培養した後に子宮に戻します。顕微授精の場合は、顕微鏡を使って精子を卵子に直接送り込んで受精させる点が、体外受精とは異なります。

では、人工授精の手順とは?~大きく分けて3段階~

STEP1 排卵日を予測する各種検査

排卵日を予測するための各種検査を、必要に応じておこないます。超音波検査で、卵胞の育ち具合などをみます。また、頸管粘液検査では排卵日に向けて増加する頸管粘液をみます。さらに尿検査では、排卵日直前に急増する成分LHを測定します。

STEP2 排卵日前日~人工授精当日

パートナーの精子を採取して、洗浄・濃縮し、運動率の良い精子を選びます。樹脂製カテーテルを腟から子宮内に挿入し、精子を注入します。痛みはほとんどなく、治療時間は全部で10分前後です。治療後には、当日の入浴、激しい運動などは制限される場合もあります。また2日間は感染症予防のため、抗生物質を服用する場合もあります。

STEP3 人工授精の翌日以降排卵確認・着床サポート

超音波検査で、排卵がおこなわれたどうかの確認を行います。HCG注射(黄体ホルモンの分泌を促す筋肉注射)や黄体ホルモン剤による黄体補充療法で、排卵を促す治療や着床率を高める治療が行われる場合もあります。

気になる費用については?

2022年4月から保険適用となった不妊治療。人工授精(AIH)1回あたりの実施料は約6,070円と言われています。その他、診察、検査、処方薬の費用などが加算されるため、1回あたり約1万円の費用が必要となっています。

30代の妊娠確率を高める3つの方法は?

30代のみなさんの妊娠確率が少しでも上昇することを願って、3つの方法についてもご紹介します。1点目は、なるべく若いうちに妊娠出産の準備を始めることです。2点目は、女性ホルモンバランスを整えることです。最後に、なるべく若いうちに卵子凍結保存をしておくという方法をご紹介します。

なるべく若いうちに妊娠出産の準備を

年齢を重ねるごとに、自然妊娠・不妊治療ともに妊娠確率は低くなり、リスクは高くなる傾向にあります。これらの原因は母体の加齢だけでなく、卵子の加齢による減少および質の低下にあるといわれています。いわゆる「卵子の老化」という問題です。卵子の老化は、正常な受精卵になるための卵子の機能(妊孕性)の低下の事を言い、この低下は35歳ぐらいから閉経にかけて急激に進行すると言われています。30代で妊娠を望んでいる人は、なるべく早めに、妊娠のための検査や不妊治療の準備をする必要があるといえます。

女性ホルモンバランスを整える

女性ホルモン(エストロゲンとプロエストロゲン)は、生理周期(28日)に合わせて、増減しながらバランスをとっています。具体的には、排卵前になるとエストロゲンが徐々に増量し、一時的にピークを迎え、排卵を迎えるとともに減少します。排卵後の、卵胞は黄体という塊になります。この黄体がエストロゲンとプロエストロゲンを分泌し、エストロゲンは再び穏やかに増量し、プロエストロゲンも増量します。生理前には、両方のホルモンは急激に減少します。生理周期に合わせて、2種類の女性ホルモンの量が変化することが「ホルモンバランス」であり、これらが正常に作用していれば、「整っている」ということになります。また、女性ホルモンは、脳の視床下部の司令により分泌されます。視床下部は、自律神経系の中枢もあるため、心やからだのストレスの影響を受けやすい部位でもあります。疲労、睡眠不足、栄養不足などによって自律神経の乱れが生じると、連動して女性ホルモンのバランスが乱れてしまうのです。その結果、生理周期の乱れが生じると、妊娠確率を下げることにもつながってしまいます。ですから、女性ホルモンのバランスを整えることが大切になります。ズバリ疲労回復・バランスのとれた食事・十分な睡眠・適度な運動・リラックスなどが、ホルモンバランスを整えることにつながります。場合にとっては、サプリや漢方も効果を期待できます。生理不順や不正出血などがある場合は、一度婦人科へ行って検査・治療するのが望ましいです。

なるべく若いうちに「卵子凍結保存」をしておく

若く妊孕力の高いうちに卵子を凍結保存する「卵子凍結」が、将来の不妊治療(体外受精)の際に妊娠確率を上げる可能性もあります。

Grace Magagineでご紹介しています、まりえさんのお話から抜粋させていただきます。

「不妊治療を経験した先輩から「30代前半の今がチャンス」と卵子凍結を勧められたことです。なぜチャンスかというと、その方が30代後半からの不妊治療に時間と費用をかけたからこそ、年齢が卵子の質(妊娠能力)に影響することを理解していたためです。今の若い卵子が将来妊娠・出産の可能性を高めて、長期間の不妊治療が不要になれば、結果的に安いと思って。身近な友人が乳がんを患い、がん治療の始まる前に卵子凍結が必要になったことにも背中を押されました。それまで卵子凍結を「自分ごと」ととらえきれないでいましたが、このような出来事を受けて、今行動を起こすことの意味を強く感じ、34歳の誕生日に決断しました」

1年でも卵子が若いうちに、卵子凍結保存をしておくことが、数年後の不妊治療の成功率を大きく左右する可能性があることから、妊娠確率を上げる選択肢としてご検討いただければと思います。

簡単に卵子凍結保存の仕組みを簡単にご紹介いたします。まず、不妊治療クリニックでさまざまな検査を行ったのち、年齢や卵巣機能、体の負担や希望を考慮して、排卵誘発を行い採卵します。その後、耐凍剤濃度の高い溶液に卵子をひたし、マイナス196℃の超低温で凍結し、液体窒素タンクの中で保管します。ちなみに、卵子凍結までの期間は、状況により異なりますが、通院回数は約5~6回と言われています。費用は、一回の検査・排卵・凍結費用に30万から50万、保管費用は、初期費用に加えて年間3~5万円かかります(状況、クリニックにより変動します)。Grace Bankでは、全国に組織化された、国内最高峰の厳選クリニックを組織化しております。また排卵した後の卵子は、さい帯血の凍結保管システムを23年間無事故で運用してきたステムセル研究所と連携し、安心の保管システムを構築しています。

まとめ

最新情報として、東京都の小池都知事が婦人治療支援事業の卵子凍結について、健康な人への対象拡大を「検討していく」と発言された下記のニュースをご紹介します。

2022年12月7日 18:51 小池都知事、健康な人の卵子凍結支援「対応を検討」: 日本経済新聞 (nikkei.com)

東京都の小池百合子知事は7日、都の不妊治療支援事業の卵子凍結について健康な人への対象拡大を「検討していく」と話した。小池氏は民間企業の福利厚生を例に挙げ、「健康な女性の間で将来の選択肢として関心が高まっている」と理由を述べた。同日の都議会本会議で都民ファーストの会の後藤奈美議員の代表質問に答弁した。卵子凍結はがん治療などに伴う妊孕(にんよう)性の低下に備えて実施する「医学的適応」と、健康な人が将来の妊娠のために実施する「社会的適応」によるものがある。

今後ますます注目を集める「卵子凍結」、是非Grace Magagineの体験談をご覧いただき、ご検討いただけたら幸いです。

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▼この記事の監修は…

医師紹介:岡田 有香(おかだ ゆか)
産婦人科学会専門医、日本産科婦人科内視鏡学会腹腔鏡技術認定医、グレイス杉山クリニックSHIBUYA院長
順天堂大学医学部卒/聖路加国際病院8年勤務 現在まで産科、婦人科全ての領域に携わる。不妊治療を行う中で、不妊予防に興味を持ち、自身のInstagram(@dr.yuka_okada)でも生理痛や不妊、妊活の知識を発信している。
資格:da Vinci certified First Assistant (ダビンチ認定資格取得術者) 、日本母体救命システム普及協議会J-CIMELSプロバイダー 所属学会:日本産婦人科学会、日本生殖医学会、日本女性医学会、日本産科婦人科内視鏡学会、NPO法人日本内膜症啓発会議

▼参考HP

厚生労働省 不妊に関する取り組み 不妊治療に関する取組 |厚生労働省 (mhlw.go.jp)

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