当日は、日本の生殖医療をリードし、産科としても歴史のある「杉山産婦人科グループ」の杉山力一医師とフリーアナウンサーの宇賀なつみさんが対談。
前編では、社会で活躍する女性たちが社会生活を送りながら、将来の妊娠、出産を目指すためにどのように身体の機能と向き合っていけばいいのか、専門医の杉山先生にスライドを交えながら対談形式で講義を行いました。
続く質疑応答タイムでは、参加者のみなさまから卵子凍結について一歩踏み込んだ質問が次々と寄せられ、ライブで杉山先生が回答。
後編では質疑応答の内容を詳しくお届けいたします!
※費用、リスク、副作用は年齢、卵巣の状態により個人差があります。
目次
- 1 卵子凍結のリアルに迫る質問に杉山力一医師がライブでアンサー
- 1.0.1
- 1.0.2 Q 卵子凍結の身体への影響やリスクは?
- 1.0.3 Q 規則正しい生活の具体例は?
- 1.0.4 Q 卵子凍結し、保存する費用は?
- 1.0.5 Q 卵子凍結による出産後のリスクを知りたい
- 1.0.6 Q 採卵がうまくいかなかったときの保険、手術費の補填といったことはあるのでしょうか?
- 1.0.7 Q 杉山産婦人科グループのホームページでは排卵誘発方法は準自然周期法とありましたが、卵子凍結の場合は高刺激をやっていただけますか?
- 1.0.8 Q 痛みについて。子宮頸がん検診で(内診が)痛くて耐えられなかったので不安です。
- 1.0.9 検査や採卵時の痛みで卵子凍結ができなかった方はいますか?
- 1.0.10 Q 凍結する卵子は何個必要か?
- 1.0.11 Q 38歳ですが今からでも卵子凍結は可能でしょうか?
- 2 「女性のキャリアと卵子凍結」セミナーを終えて
卵子凍結のリアルに迫る質問に杉山力一医師がライブでアンサー
Q 卵子凍結の身体への影響やリスクは?
杉山先生「卵子凍結はどうしても1回で多くの卵子を採卵したいので、排卵誘発剤を打つことになります。
どれくらい打つのかということは、患者様の希望や仕事の状況によります。注射を打たないと毎月1個しか排卵しません。
(全部が保存できるわけではないので)10個、できれば20個採卵したいですね。
1回で20個となるとかなりの量の注射を毎日打たなければなりません。
注射を打っている間は少しおなかが張る程度ですが、採卵後1週間くらいスカートがはけなかったり、夜食事をしておなかが苦しい、のような感じが数日間続く、といった副作用があります。
ただ、これは1週間程度と一時的なものです。こうした排卵誘発剤を使うリスクはありますが、どうしても怖い場合は注射の数を減らせば回避できます」
宇賀さん「そのあたりも個別で相談しながらできるということでしょうか?」
杉山先生「そうです。AMH検査の結果で注射の効き目も事前にわかりますので、それを見て逆算します。
患者様によって、あまりに副作用が強いと仕事に差し障るから10個にしようか? など逆算できる時代です」
Q 規則正しい生活の具体例は?
杉山先生「卵子劣化スピードをあげる一番よくない要因は喫煙です。タバコはやめた方がいいです。
暴飲暴食はなるべく少なく、運動は適度で。
一番感じているのは睡眠です。睡眠をきちんととらないと女性の生殖機能は衰えるスピードは速いと実感しています」
Q 卵子凍結し、保存する費用は?
杉山先生「排卵誘発剤を使用し、卵子を採卵するのに大体30万円くらいかかります。
保管にも初期費用や毎年保管料がかかりますが、保管は Grace Bank さんがかなり価格破壊を行ったと聞いています( Grace Bank では初期費用10万円、15個保管費用3万円/年)。
保管費用は1個1~2万円で、10個保管したら年間20万円くらいが常識だったので」
※採卵費用はAMH検査の結果、卵巣の状態などにより個人差があります。
Q 卵子凍結による出産後のリスクを知りたい
杉山先生「凍結した卵子を使って産まれた赤ちゃんに、何かリスクがあったり高いというデータはありません。
ただ、卵子を凍結したことにより、同じ卵子でも1個当たりの出産につながる率は、フレッシュな卵子より少し劣るということが世界的にわかっています。
ただ、妊娠する率が下がるというリスクがあるだけで、産まれる赤ちゃんにリスクはありません」
Q 採卵がうまくいかなかったときの保険、手術費の補填といったことはあるのでしょうか?
杉山先生「当院でのことしかわかりませんが、補填といったことはありません。
たくさん注射を打って外来で10~15個くらいできているとお伝えした場合でも、超音波で見えているのは袋だけで、その中の卵子はいざ刺して抜いてみないとわからないのです。
採卵してみると3個だった、ということはどうしてもあることで補填はできません。
中には1個も取れないということもあります。
なぜかというと、排卵させるために卵子を取る36時間前に特殊な注射を打ってからいい卵子を取るのですが、まれにその注射が効かない方がいらっしゃいます。
その際も注射代、その他実費はいただく形になります。未授精卵の凍結では年間200~300件で1人いるかいないかで、非常に少ないケースです」
Q 杉山産婦人科グループのホームページでは排卵誘発方法は準自然周期法とありましたが、卵子凍結の場合は高刺激をやっていただけますか?
杉山先生「卵子凍結と体外受精では目的が違います。
卵子凍結の未受精卵採卵は数が必要なので、高刺激が基本です。
体外受精はその月に妊娠まで行くことが目的であることが多いです。
体外受精は副作用でその後のステップに支障が起きてはいけないので、その月に妊娠まで行きたい方は副作用が強い高刺激はしないということです。
卵子凍結は高刺激でなるべく数を多くとった方がいいという考え方です」
Q 痛みについて。子宮頸がん検診で(内診が)痛くて耐えられなかったので不安です。
検査や採卵時の痛みで卵子凍結ができなかった方はいますか?
杉山先生「産婦人科の内診が怖い、器具が入らないという方に数名お会いした経験があります。
これは申し訳ないのですが、慣れていただくしか方法がないです。
それでもきちんと説明して、チャレンジしてうまくいった方もいらっしゃいます。
採卵の痛みは静脈麻酔をすれば感じないので大丈夫かと思います」
Q 凍結する卵子は何個必要か?
「多ければ多いほどいいのですが、イメージとして30歳で最低10個凍結し、6割妊娠につながるという感じです。
30代前半と30代後半では必要な数は倍くらい違うと思います」
Q 38歳ですが今からでも卵子凍結は可能でしょうか?
杉山先生「当院でも卵子凍結ご希望の患者様の多くは40歳前後です。
最近はメディアで卵子凍結を知る機会が多く、だったら1日でも早いうちにと、知ってすぐいらっしゃる方が多いです。
30代後半は1回で取れる数も少なく、1個の成功率も低くなってしまいます。
将来の出産の確率はそんなに高いものではないですが、凍結することは可能です。
病院できちんと説明を受けてやれば38歳でも遅くないです!」
他にも参加者のみなさまからたくさんの質問をいただき、予定時間をオーバーして活発な質疑応答の時間となりました。
「女性のキャリアと卵子凍結」セミナーを終えて
メディアで取り上げられることも増え、日に日に関心が高まっている卵子凍結。
排卵誘発による副作用が「スカートがはけない、食べすぎでお腹が苦しい感じ」など、杉山先生の具体的でリアルな説明がとても印象的でした。
セミナー後のアンケートでも、「リスクはネットでもあまり載っていないので不安だったが、赤ちゃんにリスクがないこと、排卵誘発の説明がとてもわかりやすかった」など、杉山先生の現場感あふれる回答が大好評でした。
将来、卵子凍結で凍結した卵子を使用して妊娠を希望する場合、体外受精、または顕微授精が不可欠です。
今回のセミナーでは不妊治療についても取り上げ、不妊治療の現実も知ることができたのではないでしょうか?
Grace Bank ではネットだけでは知ることのできない、費用、リスク、確率について学び、専門医の質疑応答もできる「卵子凍結まるわかり!無料入門セミナー」を毎週行っております。
卵子凍結についてもっと知りたい方はぜひご参加ください!
#卵子凍結 #卵子凍結バンク #卵子凍結 病院 #不妊治療 #不妊治療 クリニック #卵子凍結 痛み #体外受精 #AMH検査 #女性キャリア #アラサー #杉山産婦人科 #杉山力一 #宇賀なつみ