卵子凍結をする場合、3つのカテゴリーにわかれます。
①がんと診断され、化学療法や放射線治療のために卵子を保管したい ②生殖補助医療を必要とし、胚凍結のオプションを利用したい ③まだ適切なパートナーが見つかっていない、あるいは医学的または個人的な理由で、将来子どもを持つ可能性を残したい
では卵子凍結にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか?
クリニックによって価格がまちまちですが、日本では最初のクリニックの診断から採卵までで、およそ30万円〜50万円かかります。また採卵した卵子を保管する料金もこれに加えてかかってきます。目安は1個につき1万円かかると言われています。
この金額ですが、外国と比べるとどの程度のものなのでしょうか。今回は卵子凍結にかかる費用に焦点を当ててみます。
アメリカでの卵子凍結の費用
アメリカでの卵子凍結の費用は、診察、採卵手術、凍結の費用だけでおよそ9,000ドル(119万円)から15,000ドル(199万円)かかります。 (※2023年1月現在、1ドル=133円で計算)
この費用には、薬代や保管料、凍結卵子を使用する際の解凍や受精にかかる費用は含まれていません。
またアメリカでは卵子凍結は、がん治療のために卵子を凍結する場合を除いて、基本的に保険が適用されません。もし勤務先の福利厚生で生殖医療への補助がなければ、全てを自費でまかなうことになります。
現在、新しいミレニアル世代向けのクリニックが立ち上がったりと、競争が激化していることから、金額は少しづつ下がる傾向にあります。
イギリス、スペイン、インドの費用
ヨーロッパに行くと価格はアメリカよりずっとおさえたものになります。
イギリスでは採卵と凍結の平均的な費用は3,350ポンド(53万円)で、薬代が500〜1,500ポンド(24万円)加算されます。保管費用は別途で、年間125~350ポンド(5万6,000円)になるという傾向があります。(※2023年1月現在、1ポンド=161円で計算)
メディカルツーリズムが盛んな他の国々では、卵子凍結にかかる費用は異なります。言わずとしれた卵子凍結大国はスペインです。
医療と技術的な面が揃っていながら、価格が安く、アメリカやヨーロッパの他の国々から卵子凍結をしにやってくる女性も多いのです。
首都マドリードで40年以上の歴史のあるクリニックが提供するプランは価格1,995ユーロ(28万5,000円:1年目の卵子保管料込み)で、その後保管に500ユーロ(7万1,000円)毎年かかる仕組みです。他にもプランがいくつかありますが、こちらが最低料金のプランになります。(※2023年1月現在、1ユーロ=143円で計算)
またメディカルツーリズムが盛んなインドでは、卵子凍結の費用はおよそ700ドル(9万3,000円:採卵と凍結含む)で、排卵誘発剤は含まれません。卵子凍結に排卵誘発剤を加えると1,420ドル(18万8,000円)になり、卵子を1年間保管する場合は180ドル(2万3,000円)になります。
その他、チェコ・スロバキア、ウクライナ(戦争のため現在の状況は不確か)、キプロスなどメディカルツーリズムで人気のある国では、アメリカ、イギリス、またスペインよりも卵子凍結の費用が安く設定されています。
選ぶ国によっては海外での卵子凍結費用の方が安いのですが、渡航費と年間の保管料、費用、サービスの質、また成功率を考慮し、どちらが有利かは大きく変わってきます。