卵子凍結について

卵子凍結の5つのリスク~安心な卵子凍結のための3つの対策~

卵子凍結は、妊娠する力の高い若い卵子を凍結保存して、将来の妊娠に備えられる新しいライフプランの選択肢として注目され始めています。しかし、卵子凍結は医療行為なのでリスクもあります。卵子凍結の5つのリスクとして、身体、時間、費用、保管、妊娠時のリスクが挙げられます。今回はこれらのリスクについて詳しく解説していきます。また、リスクを最小限に抑えて安心して卵子凍結をするための3つの対策もご紹介いたします。

「卵子凍結が気になっているが、どんなリスクがあるのか不安…」「なるべく安心な方法で卵子凍結するには、どうすればいいのか?」と思っている人はぜひ参考にしてください。

卵子凍結の5つのリスク

卵子凍結のリスク1:身体への負担

卵子凍結を行う際には様々な場面で身体的負担が伴います。

まず、採卵前の検査にかかる身体への負担があります。卵子凍結をする際は、採卵前に複数の検査が必要となります。ホルモン値などを調べるための複数回の血液検査、卵巣機能を調べるための経腟超音波検査などです。

また、排卵誘発にかかる身体への負担もあります。排卵誘発剤の副作用が出ることもあります。内服薬の場合ほとんど副作用はありませんが、注射は効果が強いため副作用が起こることがあります。使用する排卵誘発剤の種類や投与の仕方によって副作用を軽減することは可能です。また、過剰なホルモンで卵巣が刺激されることで卵巣過剰刺激症候群が起こることもあります。卵巣の腫れ、お腹に水がたまることによる腹痛やお腹の張り、尿の減少などの症状がみられます。排卵誘発を行った周期で妊娠を試みると、多胎妊娠の確率が高まります。

さらに、採卵にかかる身体への負担もあります。採卵の際は、腟に超音波機器をいれて超音波画像を見ながら卵巣のなかの卵胞に針をさし、卵胞液とともに卵子を吸引・採取します。クリニックによっては麻酔を使った処置も可能です。

凍結卵子保管サービスを提供するグレイスバンクがユーザー71名に行ったアンケート調査では、痛みレベルを5段階(※1)で評価する設問では、レベル2と答えた方が最も多く、1~3と評価した方が約6割となりました。痛みが原因で卵子凍結を躊躇されている方も多いなか、実際は小~中程度の痛みと感じられた方が半数以上でした(痛みの感じ方は個人差があります)。

(※1)1が痛みを感じなかった、5が痛みを感じた、の5段階での選択式

アンケートの回答をまとめると、

  • 自己注射にともなう痛み
  • 採卵による痛み
  • 採卵後のお腹の腫れによる痛み

が多く寄せられていました。痛みは肉体的な苦痛にくわえて、精神的な苦痛も伴う可能性が高いです。卵子凍結では、体力面でゆとりを持ったスケジュールにすることや、リラックスして過ごすことが大切なことかもしれません。

卵子凍結のリスク2:時間がかかる

卵子凍結には2週間程度の時間がかかります。採卵までの検査のために1回は事前に来院していただく必要があります。排卵誘発から採卵までにかかる期間は卵胞の育ち方などによって異なるため人それぞれですが、早い方ですと10日程度、遅い方で14日程度です。1回の採卵に必要な通院回数は約3~4回です。採卵の日は半休取得もしくは全休をお勧めしております。

回数所要時間時期・内容
初回約1時間月経の3日目以内にご来院いただき、採血と超音波で卵巣の状態を確認し、卵胞の刺激方法の選択を決定します。 
2回目約1時間月経7~9日目頃です。採血と超音波で卵胞の発育具合を確認して薬剤の量を調整します。 
3回目約1時間月経10~12日目頃です。採血と超音波で卵胞の発育具合を確認して採卵日を決定します。
4回目午前中いっぱい月経12日目頃に採卵日となります。

実際に凍結卵子保管サービスのグレイスバンクを使って卵子凍結をされた方のスケジュールをご紹介します。

プロフィール

  • お名前:Aさん(都内在住)
  • 採卵時の年齢:34歳
  • 職業:会社員(職種:IT系企業の会社員、フルタイム・フレックス制度あり)

Aさんの採卵スケジュール(期間24日間、通院回数4回)

主に半休やフレックスを使用しました。卵子凍結をすることを会社の上司にも伝えたうえで、リモートワークを利用してスキマ時間に通院しました。職場から近かったお陰で、お昼休憩中にパソコンを持って移動し、診察待ちのときに仕事をする、診察が終わればすぐに職場に戻る、ということができたので良かったです。

卵子凍結をするのはできるだけ若い時の方が良いと、30歳くらいのときに参加したセミナーで聞いていたので、34歳になることを期に卵子凍結をすることを決意しました。安い買い物ではないので私も躊躇しましたが、お金はまた頑張って稼げば返ってくる、と割り切って実施することを決意しました。実際、卵子凍結をしたことで気持ち的にも余裕が生まれ、よりやりたい仕事ができたり、結果的に収入が増えるといったことにも繋がりました。

卵子凍結したからといって誰しもが良い方向に物事が進むわけではないと思いますが、私は何よりも精神的な余裕が持てるようになったことが最大のメリットでした。

卵子凍結のリスク3:費用がかかる

卵子凍結には費用がかかります。1回の検査・採卵・凍結費用は30~50万円です。保管費用は年間3~5万円です。

内訳例:初回の採卵で十分な数の卵子が採れた場合

①クリニックへのお支払い

1回の検査・採卵・凍結にかかる費用:30~50万円程度(※クリニック毎に変動あり)

渋谷駅から徒歩4分、宮下公園向かいのcocotiビル5階にあるグレイス杉山クリニックSHIBUYAでは、各種検査、排卵誘発剤、局部麻酔、採卵・凍結費用を含む未受精卵凍結(卵子凍結)について、凍結する卵子の数に関わらず、一律38万円(税込価格41万8千円、初回採卵時)のパッケージ料金で提供しています。

さらには、2023年12月1日より凍結個数に応じた返金プランがスタートし、採卵終了後、凍結個数が5個以下だった場合には、採卵日に5万円の返金があります。

料金はこちら⇒https://grace-sugiyama.jp/price

②Grace Bankへの保管費用 (※詳しくは料金ページ をご覧ください。)

初期費用:50,000円(税別)

年間保管費用:年払い35,000円または月払い3,500円(税別、卵子15個まで)

初回の採卵で十分な数の卵子が採れた場合には、初年度費用としておよそ35万円~程度、次年度以降は毎年3,5000円〜の費用がかかることになります。(卵子15個まで)

なお、2回目以降の採卵の場合には、上記初期費用以外の採卵・凍結にかかる費用(おそよ30~40万円)と毎年35,000円〜の保管費用が追加で発生することになります。

東京都の卵子凍結に係る費用の助成について

2023年度から開始された東京都の「卵子凍結にかかる費用助成」は、将来の妊娠に備える選択肢の一つとして、「卵子凍結に係る費用」及び「凍結卵子を使用した生殖補助医療」を補助する助成制度です。

これまで東京都では、がんの治療のために女性が妊娠するための力(妊孕性)を温存する方法として、卵子凍結への支援をしていましたが、健康な女性の将来への備えとしての卵子凍結を支援するのは初めてです。対象は東京都に住む18歳から39歳までの女性で、採卵準備までの投薬・採卵など卵子凍結費用に対し、最大で30万円の支援が受けられます。

卵子凍結を福利厚生にしている企業が増えている

アメリカでは大手企業19%が「卵子凍結」を福利厚生にとりいれています。2014年のFacebook(現:Meta)での導入を皮切りに、卵子凍結費用の福利厚生としての補助制度の普及が進み、2020年には社員数2万人以上の企業の19%が導入しています。

また、日本受精着床学会のアンケート調査によると、将来に妊娠・出産をする可能性を考えて卵子凍結(社会的卵子凍結)を行った数は、2021年に全国で1,398件。同アンケートでは、がん治療や不妊治療のために行う医学的卵子凍結回数より、将来に備えて行う社会的卵子凍結回数の方が多いこともわかったとのことです。このことより、日本で「卵子凍結」の件数は増加していることがわかりますし、先ほどの東京都の動向なども踏まえますと、今後もますます普及する兆しを感じます。

データ出典:日本受精着床学会「日本受精着床学会会員の皆様へ(卵子凍結に関するアンケート調査に関しまして)」

ここで、グレイスバンクを利用し「卵子凍結」を福利厚生制度として導入した企業様の事例を紹介します。

その他、グレイスバンクではベネフィット・ワンやリロクラブの会員様向けのご優待がございます。

ベネフィット・ワン会員様向けご優待

ベネフィット・ワン会員様はグレイス杉山クリニックSHIBUYAの初診料+エコー+AMH検査が通常14,300円(税込)が12,100円(税込)で受けられるプランやグレイスバンクの卵子凍結に関わる保管初期費用が通常110,000円(税込)が104,500円(税込)になるプランがございます。

プラン詳細はこちら⇒https://bs.benefit-one.co.jp/bs/pages/bs/srch/menuPrticSrchRslt.faces?menuNo=644433

リロクラブ「福利厚生倶楽部」会員様向けご優待

リロクラブ「福利厚生倶楽部」会員様はグレイスバンクの卵子凍結に関わる保管初期費用が通常110,000 円(税込)が 104,500円(税込)になるプランがございます。

卵子凍結の費用は一般的に50万円前後と言われていますが、価格が明瞭なクリニックや保管サービスを選択いただくことや、助成金・福利厚生制度の利用で少しでも費用を抑えられることができます。ぜひご自身が助成金や福利厚生制度の対象かどうかを確認したうえで、卵子凍結保存の実施を検討してください。

卵子凍結のリスク4:保管のリスク

卵子凍結には保管のリスクもあります。採卵した卵子はマイナス196℃の超低温で凍結し、液体窒素タンクのなかで保管されます。何十年も状態変化なく保存させることができますが、長期保存期間中に人的ミスや災害などで保管タンクが壊れたり、停電によって低温が保たれず凍結卵子がだめになってしまったりするリスクもゼロではありません。

保管先の管理体制や、万が一の災害時のバックアップ体制、返金規定などを確認しておくことが重要です。

卵子凍結のリスク5:妊娠時のリスク

凍結卵子は妊娠確率が減るという説もあります。しかしながら、年代別の「自然妊娠確率」(1ヶ月の間に自然妊娠する確率:25~30歳25~35%、35歳18%、40歳5%(※1))と「凍結卵子の妊娠率」(凍結卵子10個あたりの妊娠率:30歳以下80%程度、34歳以下75%程度、35~37歳50%程度、40歳以上30%以下(※2))を比較すると、凍結卵子の妊娠確率が低いとは一概にはいえません。ただ、卵子の質を若いままキープすれば妊娠確率は確保できますが、母体が高齢になればなれるほど、流産・早産といった妊娠維持に関するリスクは高くなります。年齢とともに妊娠・出産のリスクは増えるものと理解して、将来のライフプランをたてておくことが大切です。

【1周期当たりの妊娠率】(※1)婦人科ラボ「実は思っているほど高くない「自然に妊娠できる確率」」よりデータ引用
25歳 25%~30%
30歳 25%~30%
35歳 18%
40歳  5%
45歳  1%

(※2)https://gracebank.jp/about_freezing/

卵子の状態は実際に採卵しないとわかりません。採卵した直後の卵子は以下の3つに分類され、このうち卵子凍結できるのは成熟卵子のみです。

成熟卵子35歳以下の場合、採取された卵子の90%程度が成熟卵と予想されます。
(個人差があり、未成熟卵も成熟卵と同様に多く取れてしまう方もいます。)
未成熟卵子採卵した卵子の10~15%程度が未成熟卵子です。
採卵後、数時間で成熟卵子になれば凍結保管が可能です。
変性卵子受精能のない変性した卵子です。変性卵子は凍結保管はできません。
採卵した卵子の5%以下ですが、38歳を越えると変性卵の割合が著明に増加します。

続いて、凍結卵子を使用した際の妊娠率を見てみましょう。

◆凍結卵子を融解した時の卵子生存の確率

  • 融解後の卵子生存の確率・・・80〜95%
  • その後、精子を注入した場合の受精率・・・60〜80%

◆未受精卵融解後に、卵子が生存、受精し、質が良好な受精卵が確保できた場合に、卵子10個あたりで妊娠できる確率

こちらは、採卵時の年齢により割合が異なります。

  • 30歳以下・・・80%程度
  • 31〜34歳・・・75%程度
  • 35〜37歳・・・53%程度
  • 38〜40歳・・・30%程度
  • 41歳以上・・・20%以下

卵子凍結によって保存した卵子を使って妊娠・出産するためには、卵子と精子とを身体の外で受精する体外受精が必須となります。凍結した卵子は融解の過程で5~20%の割合で破損することもあります。また、融解後、精子と受精すると受精卵(胚)になりますが、その受精卵が良好胚に発育するとは限りません。良好胚が子宮に着床してはじめて「妊娠」となります。

卵子の生存率とその後の着床率を考えると、なるべく若い年齢で卵子凍結を行い、10個以上~できれば20個以上の未受精卵を凍結保存しておくことが望ましいということがわかります。

※参考:https://grace-sugiyama.jp/about_freezing

安心・安全に卵子凍結するための対策3つ

卵子凍結のリスクを抑えるにはどうしたらいいのでしょうか。安心安全に卵子凍結を行うための対策をGrace Bankで行っている対策事例を交えてご紹介いたします。

信頼できるクリニックを選ぶ

高い経験や技術実績のある信頼できるクリニックを選ぶようにしましょう。検査~採卵にかかる身体への負担軽減や効率的な通院回数の提案など、採卵の際の安心はもちろんのこと、凍結卵子を妊娠時に利用する際の体外受精の際にも安心できるクリニックを選びましょう。

Grace Bankは国内最高峰の不妊治療クリニックと全国提携

Grace Bankは、国内最高峰の厳選された不妊治療クリニックと、全国各地で提携しています。採卵・凍結に高い技術をもち、信頼できる不妊治療クリニックを厳選して連携しています。採卵への体への負担、将来的な体外受精への安全性という面で、安心して利用できます。

信頼できる凍結卵子の保管先を選ぶ

高い保管技術、適正な保管費用、万が一の備えがある保管先を選ぶことも大切です。

Grace Bankは国内最大級・20年以上無事故の安心保管システム

Grace Bankは、国内最大級の規模の凍結保管設備を持ち過去20年以上に亘って無事故を誇る安心の保管システムを運用するさい帯血バンクのトップランナーであるステムセル研究所と提携しています。ステムセル研究所では、最新のモニタリング機器を用いてタンク内の温度や液体窒素量を24時間365日、常に監視・記録した厳重なセキュリティシステムを採用しています。突然の地震や津波にも強いエリアで、液体窒素の自動供給システムを採用、バックアップ電源により停電対策も万全となっています。

また、万が一の事態に備えた保険加入も行っています。一般社団法人日本IVF学会と三井住友海上火災保険株式会社が共同開発した「生殖医療(凍結保管業務)賠償責任保険制度」に加入しています。

株式会社グレイスグループでは、生殖医療の臨床の現場で活躍するトップドクターの団体である一般社団法人日本IVF学会と三井住友海上火災保険株式会社が共同開発した「生殖医療(凍結保管業務)賠償責任保険制度」に加入しています。
この保険では、これまでの医師賠償責任ではカバーされていなかった、高度生殖医療に特有の事象、具体的には「凍結保存している精子・卵子・卵巣・受精卵の滅失、破損、汚損、紛失または盗難」が万一起こってしまった場合の損害に対して、保険金が支払われることになります。
お預かりしているみなさまの大切な卵子に万一のことが起こらないよう、細心の注意を払って安全なオペレーションに努めています。

正しい知識を得る

卵子凍結には時間も費用もかかります。理解を深め、自分にとっての必要性やリスクを見極め、慎重に検討する事が大切です。

Grace Bankでは専門医による無料セミナーや、カウンセラーによる個別相談会(いずれもオンライン)を実施しています。専門医による解説で知識と理解を深めたうえで、カウンセラーへの個別相談で個人的な疑問や不安を解消できます。

まとめ

女性の活躍や価値観の変化に伴い、晩婚化や少子化が進んでいます。一方、妊娠・出産に関する身体のリミットは、時代によって大きく変わるものではありません。いざ妊娠したいと思ったときに、年齢を理由に不妊に悩む女性が多いのも事実です。

卵子凍結は、若く妊娠力の高い卵子を、将来のために保存しておける新たなライフプランの選択肢です。卵子凍結のメリットもリスクも正しく知り、よく検討して、自身にとって最良の選択をしましょう。

▼参考文献・引用
・産みたいのに産めない 卵子老化の衝撃 NHK取材班
・Medical Note https://medicalnote.jp/

監修者

名倉 優子 なぐら ゆうこ

杉山産婦人科 日本産科婦人科学会専門医


杉山産婦人科 (東京都新宿区)

70年あまりの歴史を持ち、過去10000人以上の患者様と向き合ってきた生殖医療専門クリニックのトップ施設。
不妊検診センター、内視鏡手術、体外受精など生殖医療に特化。
新宿駅至近の好立地で、19時まで診療しており、仕事と生殖医療の両立をサポート。

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