セミナーレポート

産婦人科医に聞く!ブライダルチェックはシングルでも有効?

最近よく聞く「ブライダルチェック」、妊娠できるかどうかのチェックと勘違いしている人はいませんか?

現在、妊娠できるかどうかを調べる検査はありません。ではどんな検査なのでしょうか?シングルの人でもやっておいた方がいいものなのでしょうか?

10月8日に行われた「女性の恋愛結婚サポートを行うメンタルコーチと語る!卵子凍結セミナー」からたくさん寄せられた質問を前・後編で紹介します。

まずは前半から、質問に答えてくださるのはグレイス杉山クリニックSHIBUYAの岡田有香院長です。

現在44歳です。卵子凍結はできるのでしょうか?

岡田生殖医療学会のガイドラインでは、39歳までに卵子凍結の検討をしてもらうことを推奨しています。44歳でもできる可能性がありますが、出産に至る可能性は確かに高くはないので、一度クリニックに相談にきてもらえたらと思います。

凍結した卵子で体外受精した場合と、年齢を重ねていても現在の新鮮な卵子を使った場合、どちらがいいのでしょうか?

岡田妊娠しようとする時の年齢と、卵子凍結した時の年齢が、どれくらい離れているかによります。

もし、20代で凍結して30代後半で妊活した場合は、若い時に凍結した卵子を使う方がいいでしょう。不妊治療では、年齢が離れていると、若い時の卵子の方が妊娠に至る可能性が高くなります。

凍結した時と、妊娠しようとする年月が1〜2年の差であれば、あまり変わらないと言えます。ただ30代後半からの2〜3年の開きは大きく、凍結卵子を使う方が有効だと思っています。

現在は、妊娠・結婚の必要性は感じていませんが、将来変わるかもしれません。将来の変化を考えて卵子凍結する人はいますか?

岡田もちろんいます。今の状況や価値観は変わることがあります。将来、価値観が変わって「子どもをもちたい」と思った時に「今の年齢では難しい」とならないように卵子凍結を選ぶ人もいます。

男性の年齢は妊娠に影響しますか?

岡田男性の不妊もあり、実は、男性側の問題が不妊の原因の半分を占めています。

35歳から精子の力は落ちてきて、45歳から格段に下がると言われています。卵子と精子の大きな違いは、精子は毎日新しく作られて生まれ変わるということです。年齢もありますが、生活習慣によって精子が影響を受け、状態が多少変わる部分があります。

グレイス杉山クリニックSHIBUYAで2回採卵すると70万円かかると思いますが、事前に2回以上必要か知ることはできますか?

岡田AMH検査で卵子が何個くらい取れるか事前に予測ができます。最終的に、ご自身が何個凍結したいかというところになりますが、その希望の個数と実際の取れそうな個数を見て、採卵回数が決まります。

※AMH検査:卵巣の中に卵子がどれくらい残っているかを調べるための検査で、妊活などに利用できる。

妊娠できるかの検査は「ブライダルチェック」というものがありますが、未婚の人はできるでしょうか?

岡田まず、妊娠できるかどうかの検査はないのです。

「ブライダルチェック」は卵管のつまりやすい病気になってないか、感染症や妊活に入るにあたって風疹の抗体があるか、流産に関わるようなホルモン値が出ていないかなどを見ていくものです。

パートナーがいなくてもできますが、抗体や感染症は時系列で変化していくので、妊活を考える半年前に受けることを勧めています。項目を絞って今の段階から見ていく必要があるものもあります。

ブライダルチェックとは関係なく、一年に一度は婦人科に行って、卵巣・子宮の状況はチェックしてほしいですね。ヨーロッパやアメリカでは、かかりつけの婦人科を持つのが当たり前なのですが、残念ながら日本ではそうなっていません。是非、そこから始めてみてください。

凍結卵子の保存期限は?

岡田グレイス杉山クリニックSHIBUYAは50歳の誕生日までお預かりします。

生殖医学会のガイドラインでは45歳までに使ってくださいとなっています。というのもそこから妊娠するとなると、超高齢出産になるので、それによる母体への命の危険、障害を持つ子どもが生まれるリスクもあるので、それくらいまでに使ってほしいということなのです。

卵子が16〜30個取れたら、16個目以上は補完しないという選択肢はありますか?

岡田そういう人もいます。16個以上取れるのはいいのですが、保管する価格もそこを境に変わってきますので、そういう場合は相談できます。

AMH検査に年齢制限はありますか?

岡田制限はありません。AMH検査で閉経の予想は難しいのですが、AMHが0.1を切ると閉経に近い状態になるのというデータもあるので、40代後半の人も自分の状態を知ることができる検査になります。

卵子凍結検討してます。ピルの服用は関係しますか?

岡田ピルを使っても卵子を温存することはできません。それよりも、ピルによって内膜症や卵巣にダメージ与える病気は防ぐことができます。それがピルのメリットだと思います。

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